【12】2010/09/16 都立霊園について質問しました
2010年9月16日、東京都議会 環境・建設委員会において都民から提出された陳情について質問を行いました。以下に質問と答弁を掲載します。
「都立霊園内に粉末状の遺骨を埋蔵できる墓地を設けることに関する陳情」についての質問
〇中村委員 都立霊園内に粉末状の遺骨を埋蔵できる墓地を設けることに関する陳情について質問いたします。今回、陳情の審査に当たって、都議会民主党の委員有志で、都立小平霊園を視察させていただきました。また、都立多磨霊園が近隣にありましたので、別途、単独でも視察をさせていただきました。多様な墓地を見学させていただき、とりわけ合葬埋蔵施設については、ご遺族でさえ入れない内部まで見学させていただき、審査の参考にさせていただきましたことには感謝いたします。さて、高齢化、核家族化の進展など、社会経済状況が変化する一方、家族間の多様化や自然への回帰の希望など、墓に対する都民の考え方にも変化が生じています。今回の陳情では、粉末状の遺骨を埋蔵できる墓地の設置が要望されています。社会情勢の変化に伴う都民ニーズをしっかり受けとめ、だれもが自分に合った墓を確保できるようにしていく必要性があります。平成二十年二月に、東京都公園審議会では、都知事の諮問に応じ、都立霊園における新たな墓所の供給と管理についてと題する答申を出しました。答申書には、当時の状況として、正確に予測をすることは容易でないともしながら、墓所の需要を年間二万基、二十年後には三万基になると見込んでいます。一方、都内では、年間六千基程度供給されていると推計していますので、単純計算で、年間一万四千基足りない計算になります。毎年、東京都全体で十万人近い方が亡くなられる中で、都民が安心して利用できる墓地として、都立霊園に対する需要は依然として高い状況にあります。墓地には民間の宗教法人が提供するものもありますが、場所が遠方であったりとか、また価格が高いことなど、さまざまな理由があるかと思いますが、都立霊園を望む声は強くあります。そこで、まず、都立霊園の役割をどのように考えているのか伺います。
〇上杉公園緑地部長 都立霊園の役割につきましては、大きく分けて二つあると考えております。一つは、都民のニーズにできる限りこたえ、墓所を提供することであり、将来の管理や承継の心配のない墓地を求める都民ニーズに対し、合葬墓地を供給しております。もう一つは、緑のオープンスペースとして、霊園を訪れる人々にとって、快適で、安らぐことができる空間を提供することと考えております。
〇中村委員 都立霊園を希望する方が大変多く、申し込んでもなかなか当たらないという声もいただきます。現在、都立霊園全体の申込状況はいかがでしょうか。また、都では、都民ニーズである将来の管理や承継の心配ない墓地として、合葬埋蔵施設を供給しているということですが、この申込状況はいかがでしょうか。
〇上杉公園緑地部長 都立霊園における近年の申込状況を倍率でご説明いたします。都立霊園全体の申込数は約一万四千で推移しておりますが、倍率は、平成二十年度、六・二倍、平成二十一年度、五・一倍、平成二十二年度、四・二倍となっております。平面墓地では、申込数が減少傾向にあるのに対し、合葬墓地では、申込数がふえており、供給数を毎年五百体ずつふやしております。このため、合葬墓地では、平成二十年度は倍率三・四倍、平成二十一年度は倍率二・六倍、平成二十二年度は倍率二・二倍となっております。
〇中村委員 かつての高い倍率に比べると努力はされているようですが、まだまだ高い倍率ですので、全体の供給数をふやしていく上で、合葬埋蔵施設を供給していくことは効果的だと思います。また、都民ニーズをとらえた墓地の新たな形態として、都が、小平霊園において、樹林墓地、樹木墓地の導入を決めたことは意義深いものがあります。この樹林墓地、樹木墓地に、陳情者が要望している遺骨を粉状にしたものも埋蔵可能にしたとのことです。樹林墓地、樹木墓地の整備に向けた現在の取り組み状況について伺います。また、現在、想定している供給数や埋蔵方法についてもご説明願います。
〇上杉公園緑地部長 樹林墓地、樹木墓地につきましては、平成二十年二月の東京都公園審議会答申に基づき、整備箇所や規模などを検討しております。樹林、樹木墓地の整備箇所につきましては、都立霊園の敷地において、まとまった空地のある場所を候補地として抽出し、景観、利用、管理等の条件を検討した結果、最初の整備を都心からアクセスのよい小平霊園と考えております。供給数につきましては、計画として、粉末状の遺骨についても受け入れ、樹林墓地は八百平米、一万七百体分、樹木墓地、六百平米、千八百体分の整備を予定しております。埋蔵方法でございますが、樹林墓地は、樹林の下に設けられた納骨施設に多くの遺骨を一緒に埋蔵するタイプでございます。樹木墓地は、シンボルとなる樹木の地中に遺骨を個別に埋蔵するタイプとなっております。いずれも、献花、参拝スペースを設けてまいります。
〇中村委員 自然に帰りたいという都民ニーズに対応し、新しい形式の樹林墓地や樹木墓地の導入に取り組むことは、墓地を選ぶ際の都民の選択が広がることになります。都民の関心も高いと思われるこのような墓地の整備を都は積極的に取り組んでいくことを期待します。都立霊園の倍率が高い中で、現有の敷地の中でも、壁面墓地や合葬墓地など工夫を重ねて、今回、樹木墓地、樹林墓地にも着手することは評価します。しかし、これらはいずれも、限られた敷地をいかに効率的に利用するかという工夫であり、子孫に迷惑をかけたくないとか、低料金ということへの希望にこたえている反面、一般的な平面墓地を求める人へのニーズにはこたえ切れてはいません。今後の都立霊園の需要にどのようにこたえていくのか、ご所見を伺います。
〇上杉公園緑地部長 今後の都立霊園の需要にどうこたえるかにつきましてですが、無縁となった墓所の整理を計画的に推進し、自主返還地とあわせて整備し、再貸付を進めてまいります。その再貸付の際には、区画を極力細分化し、一般墓地の供給数をふやしてまいります。今後も、既存霊園の限られた空間を有効に活用し、都民ニーズの変化を踏まえて、多様な墓地の供給に取り組んでまいります。
〇中村委員 ご答弁ありがとうございました。今回、陳情の提出に際して、墓地について幅広く質問させていただきました。とりわけ陳情者の要望である粉末状の遺骨を埋葬できる樹林墓地、樹木墓地の設置をしていくことは高く評価します。とはいえ、まだまだ高まる需要の中で、将来的には、新規に都立霊園を設立したり、都有地に埋葬可能な場所を整備することも必要になるかもしれませんので、その場合、住民の理解を得ていくためにも、今から長期的な検討を始めていくことも必要になります。また、現在、都立霊園は建設局が所管していますが、墓地全体の所管は福祉保健局が行っています。福祉保健局の保健所では、計画的に墓地を整備するというよりも、民間の墓地と近隣住民との紛争の仲介をしていることに苦労しているようです。墓地は必要な場所ですので、今後、区市町村や民間が整備する際、例えば、一定面積の緑地を整備した場合に補助金を出すなどして、公園墓地へと誘導したりするなど、整備しなければならないものならば、政策的に望ましい方向に誘導することも考えられます。これで質問は終わりますので答弁は求めませんけれども、東京都としての総合的な墓地行政の必要性を要望していきたいと思います。以上です。
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