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都議会質問記録

2014/10/22 中央卸売市場の決算を質問しました

2014年10月22日、都議会公営企業会計決算特別委員会の第一分科会で中央卸売市場について質問しました。流通が変化する中で市場が取り扱う比率が低くはなっていますが、公設市場の役割は重要です。財政状況、築地市場の移転の問題も含めて消費者のための食の安全確保について議論しました。
 
◯中村委員 それでは、平成二十五年度の中央卸売市場の決算について質問します。
 まず、改めて市場の役割について伺います。
 最近では、流通の仕組みが大きく変わり、民間の事業者による市場を通さない流通もあると聞きます。また、大手流通事業者による産地直送もふえています。しかし、消費者にとって食の安全を確保したり、小規模な小売店の取引を支えていくなど、公設市場に求められる役割は依然として大きいと思います。
 そこで最初の質問として、改めて都が市場を経営することの意義と、今後どうなっていくと考えているのか、まず伺います。
◯日浦市場政策担当部長 市場経由率は、長期的に見ると低下傾向にございますが、水産物で約六割、青果物では国産で見ると約九割を占めており、生鮮食料品流通において、市場は依然として重要な役割を担っております。
 都民の食生活の安定や食の安全を確保するため、卸売市場が持つ集荷、分荷機能や相対取引をも対象とした価格形成機能等、市場の基本的機能を発揮し、公正な取引が確保できるよう、都が開設者となり市場を運営しております。
 これらの基本的機能に加え、加工やパッケージ、効率的な物流の実現など、都と市場業者が連携して市場の機能強化を図り、川下のニーズに応えることも必要と考えております。
◯中村委員 都民にとっても大変重要なさまざまな機能が市場にはあることを改めて確認させていただきました。
 また昨今では、福島での原子力発電所の事故に対して、放射能についても、市場を通るものは産地において検査が行われ、全て安全性が確認されているということから、市場を通すことが付加価値としてもあるかと思います。引き続き、食の安全についても取り組んでいただきたいと思います。
 とはいえ、商売は都が直接行うわけではありませんので、都は公設市場としての果たすべき役割を通して流通量をいかに確保するか、そして、事業者の方々を支えていくことを通して消費者の利益になるように都の役割が期待されます。
 そこで、市況や事業者の状況について伺いたいと思います。
 決算年度の二十五年度は、水産物と青果物については、市場での取引量は減少または横ばいになっているのに比べ、売り上げは伸びており、個々の事業者の営業利益もふえていると考えます。これは、円安や景気、消費税導入前の駆け込み需要などにもよるものと考えられますが、都は、市況や事業者の業績をどう捉えているのかお伺いします。
◯野口事業部長 平成二十五年度決算の中央卸売市場の取扱数量及び取扱金額につきましては、水産物では、取扱数量が約五十万五千トンと、前年に比べ約二万二千トン減少いたしましたが、取扱金額では約四千四百七十九億一千万円と、前年に比べ約五十二億七千万円増加いたしました。
 また、青果物では、取扱数量は約二百八万一千トンと、前年に比べて約一千トンの増加、これに対しまして、取扱金額は約五千三百四十三億八千万円と、前年に比べ約百六十九億円と大きく増加いたしました。
 市場で取り扱う生鮮食料品につきましては、天候に左右されやすい生産地の出荷、そして流通量、さらに景気の動向や為替相場など、さまざまな要因が日々の取引に大きな影響を与えており、平成二十五年度につきましては、天候不順を初め、市場への入荷量が伸び悩み、取引が比較的高単価で推移したことが結果として事業者の営業利益に反映されたものと捉えております。
 ただし、このような状況は一時的なものであり、個々の事業者の業績が回復基調にあるとはいえません。事業者の多くは、依然として厳しい経営環境に置かれているものと考えております。
◯中村委員 事業者の二十五年度の経営状況ということの検査結果についてはこれから早期に分析し、それにより困難な状況などがあれば、一口に事業者といっても多種多様なご意見や立場もあるかと思いますので、よく話を聞いて今後の施策に反映させていただきたいと思います。
 こうした社会状況では、事業者の経営も大変厳しくなっています。水産仲卸業者では、条例上の財務基準に抵触する事業者も多いと聞いていますが、この事業者の経営状況やその対応について伺います。
◯野口事業部長 市場を取り巻く経営環境は、景気回復のおくれや流通環境が大きく変化する中、仲卸業者におきましては、従前からの顧客でありました鮮魚、青果店といった専業小売店が大幅に減少し、多様な商品を取り扱う食料品スーパーが主流となるなど、ますます経営が厳しくなっております。
 特に水産物を取り扱う仲卸業者では、都で定める三年連続の経常損失など指導対象となる三つの財務基準のいずれかに抵触する事業者が多く、直近の平成二十四年では約六九%の事業者がこれに該当しております。
 このため、都では、定期的な財務検査や業務指導を行うとともに、赤字を計上している事業者に対しましては、経営改善を図るため、公認会計士や弁護士、中小企業診断士等を交えました経営相談、指導を実施しております。さらに、業界団体が取り組む流通改善や顧客、販路拡大等の活性化事業に対して支援を実施しているところでございます。
◯中村委員 条例上の基準に抵触をしても、すぐに経営難というわけではないことは聞きましたけれども、とはいえ、六九%というのはかなり高い割合であり、厳しい状況にあることは変わりありません。
 とりわけ築地市場においては、事業者の組合の調べによると、豊洲新市場への移転については、経営が厳しくて廃業するしかないという事業者も何割かあるようです。引き続き事業者への支援をお願いします。
 また、公設市場として利益を上げることだけが目的ではないにせよ、事業者の利益がふえれば、市場会計自身の営業利益にも反映をされます。二十五年度は、市場会計の決算として、取引量は減っても、単価が上がり取扱金額がふえているため、営業利益は増加しているようです。しかし、営業費用を見込んだ営業損益は赤字のようです。
 卸売市場会計は、昭和四十二年度以降、連続して赤字になっています。経常収支は、平成十二年度以降黒字とはいえ、厳しい状況にあります。
 現在の累積欠損金、企業債の残高と年間の利子支払い額は幾らか、伺います。
◯坂巻管理部長 営業損失につきましては、本年度決算では約十三億円となってございます。過去、平成九年度には約三十六億円の営業損失を計上する時期もありましたけれども、その後、経費節減等により改善傾向にございまして、損失は大幅に縮小してきてございます。
 また、経常収支につきましては、施設使用料の改定や企業債繰り上げ償還等によるコスト縮減により、平成十二年度以降黒字で推移してございます。平成二十五年度決算では約五億円の黒字でございまして、純利益においても約三億円の黒字を確保してございます。
 企業債残高につきましては約一千四百九十三億円でございまして、年間の企業債利息は約二億円となってございます。
 累積欠損金につきましては近年減少しており、平成二十五年度末で約五十六億円でございます。
◯中村委員 ただいま答弁にもあったとおり、収支は改善傾向にはあるとはいうものの、累積欠損金が五十六億、企業債残高が一千四百九十三億円で、年間利息が二億円ということです。さまざまご努力いただいて、累積欠損金については縮減しているようです。とはいえ、早期に解消することを考える必要性はあるので、引き続きご尽力いただきたいと思います。
 こうした会計状況の中で、二年後に豊洲新市場の開場を迎えることになります。豊洲新市場建設に向けた財源はどのように確保していくのか伺います。
◯坂巻管理部長 豊洲新市場整備のための財源といたしましては、市場会計の保有資金、国庫交付金のほか、築地市場跡地の処分に伴う収入を充てていくということにしてございます。
◯中村委員 新市場の建設は、現在の築地の土地の売却収入を充てるようですが、跡地についての利活用または処分などの方針が未決定のままの状況が長期間に及ぶと、市場会計としては、その間も利子の支払いなどが積み重なっていきます。財産の管理を所管する財務局や、都市計画を所管する都市整備局など関係局と連携しながら、早期に財源の確保に向けて協議していただきたいと思います。
 さて、豊洲新市場建設の財源見通しの話をしましたが、決算年度は第九次卸売市場整備計画に基づいて各市場で事業が行われていますが、とりわけ豊洲新市場においては、土壌汚染対策工事から本体工事の着工が始まりました。
 卸売市場計画では、流通圏を設定し、需要量の見通しをしています。その需要量と整備計画は、そもそもどのように関連づけられているのか伺います。
◯日浦市場政策担当部長 都道府県卸売市場整備計画は、その区域ごとの生鮮食料品等の流通事情に応じて、卸売市場の適正な配置方針や施設の規模等を定める計画でございます。そのため、計画目標年度の流通圏における需要量や市場取扱量を推計し、計画的に整備を行うことにより、都民への生鮮食料品等の安定供給の確保を図っております。
◯中村委員 新たな市場をつくるので、新たな需要を見込むこともあるかと思います。今の築地が手狭ということでより広い豊洲に移ることになることはあるにせよ、その分、需要がふやせるように尽力していただいて、整備中の施設が後年度に過剰な規模になることがないようにしていただきたいと思います。特に、他の十カ所の中央卸市場の取引も吸収してしまうということもあるかもしれませんので、予想して、十一の市場で全体としての取り組みをお願いします。
 また、昨今の労務単価や建設資材価格の急激な上昇等が原因となって、公共工事も不調になるケースも続きました。二十五年度当初予定した事業はできたのでしょうか。資本的収支の執行率が余りに低いのですが、原因は何か、改めて伺います。
◯坂巻管理部長 平成二十五年度決算におきます資本的支出は約五百二十三億円で、予算現額に対する執行率は五七・七%となってございます。これは、土壌汚染対策工事におきまして、汚染土壌の処理残渣の受け入れ量が制限された影響などで工期を翌年度に延伸したこと、あるいは、豊洲新市場青果棟などの建設工事の再発注に伴い、工事着手が年度末にずれ込んだことなどにより、約三百十三億円を翌年度に繰り越したためでございます。
 これらの工事の二十五年度執行額五百二十三億円に、二十六年度への繰越額である三百十三億円を加味した執行率は九二・二%となってございます。
 一方、資本的収入は三百九十九億円で、予算現額に対する執行率は五三・一%でございます。これは、先ほど申し上げた土壌汚染対策工事及び豊洲新市場青果棟などの建設工事につきまして、二十五年度の工事出来高に相当する企業債収入や国庫交付金収入を計上したためでございます。
◯中村委員 決算上は大幅に執行率が低くはなっていますが、繰り越した分を入れると高い執行率とのことです。とはいえ、時期がずれ込んだことは事実ですし、当初計画よりも大幅に事業費が膨らんだことで、会計としては厳しくなります。引き続き行われている事業については、その見積もりを適切に行っていただきたいと思います。
 また、昨年度は、五街区と七街区の土壌汚染工事が完了し、建設工事が始まった年度でもありました。改めて、どういうプロセスで五街区と七街区の土壌汚染工事が完了したか伺います。あわせて、地下水のモニタリングの方法がずっと決まっていないのですが、そろそろ決まってもいいんじゃないかと思いますが、方針を伺います。
◯若林基盤整備担当部長 土壌汚染対策のプロセスにつきましては、豊洲新市場用地の安全・安心を確保するため、学識経験者による専門家会議及び技術会議といった二つの会議体を設置し、これまで、その会議体の提言に基づく対策を実施してまいりました。
 具体的には、街区周縁部に遮水壁を設置し、周辺地域との地下水の移動を遮断した後、ガス工場操業地盤面から深さ約二メートルのAPプラス二メートルまでの土壌について、汚染の有無にかかわらず全てきれいな土に入れかえる、また、APプラス二メートルより下については、操業由来の汚染土壌を全て掘削除去し、地下水についても環境基準以下に浄化するものでございます。
 都では、こうした土壌汚染対策について、土壌及び地下水におけるガス工場の操業に由来する汚染対策が完了したことを、客観的データに基づき、技術会議においてこれまで確認してまいりました。
 土壌汚染対策法の地下水モニタリングにつきましては、土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドラインに基づき、建築施設の配置等を勘案しながら、地下水を採取する観測井を設置し、モニタリングを実施してまいります。
◯中村委員 私も、この汚染対策が非常に重要だということで思いましたので、五街区と七街区のときの技術会議については傍聴し、確認されたというところは拝見させていただきました。
 今後、六街区の対策も間もなく終わるようですが、当然しっかりやっていただきたいと思います。何より食の安全が大切ですので、土壌汚染対策については行っていただきたいと思います。
 また、地下水についても、モニタリングの方法を決めるのは簡単ではないようですが、そういった状況が早くわかった方がいいところがありますから、できるだけ早急に行っていただきたいと思います。
 また、既に建設が始まっている豊洲新市場では、六街区の水産仲卸売り場棟と七街区の水産卸売り場棟が道路で分割され、離れています。生鮮食料品を途切れることなく低温の温度管理を行うコールドチェーンを進める上では課題が大きいとは思いますが、市場全体としてコールドチェーンが実現できる施設計画となっているのか、伺います。
◯加藤新市場整備部長 豊洲新市場の整備におきましては、食の安全・安心を確保する上で、商品を適切な温度で管理していくことが重要でございます。そのため、市場全体として温度管理が可能な閉鎖型施設としているほか、衛生管理などの品質管理のあり方を検討しているところでございます。
 例えば、六街区の水産仲卸売り場棟と七街区の水産卸売り場棟の間は、補助三一五号線の下に四本の屋内連絡通路を設けるなど、閉鎖型の一体施設として利用可能な計画としております。
◯中村委員 既に建設工事は行われていますが、まだ開場に向けて調整していかなければならないところが多くあるようです。コールドチェーンは新市場の特徴の一つだと思いますので、関係者の意見を調整して行っていただきたいと思います。
 以上、さまざま質問しましたが、公設市場の役割としての機能を発揮し、厳しい経済状況や流通の変化の中で関連事業者を支え、ひいては消費者のために最大の効果を果たすのが役割だと思います。新市場の開設に向けても、関係者の意見を十分に聞き調整し、何より食の安全を確保していただくよう要望しまして、質問を終わります。

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