【13】2010/09/29 都議会 本会議で一般質問を行いました
2010年9月29日、東京都議会 本会議において都政に関する一般質問を行いました。以下に質問と答弁を掲載します。
(議場では全質問をまとめて行った後で一括で答弁されましたが、以下は一問一答に並べ替えたものです)
〇都議会議員 中村ひろし 4つの項目について一般質問を行いますので、ご答弁よろしくお願いします。初めに、地域主権について質問します。ことし6月に地域主権戦略大綱が閣議決定されました。民主党の代表選挙では、両候補者とも地域主権を主張した上で菅総理が選出されましたので、今後進展すると思われますが、自治体議員の一人としては、自治体の声もしっかりと聞いて進めるよう働きかけをしていきたいと思います。
さて、地域主権の時代を迎えるに当たり、東京都みずからの民主主義の確立のためには、団体自治だけではなく住民自治も大切です。近年、区市町村では、自治基本条例を制定する自治体がふえ、都道府県でも制定する自治体があります。これは、自治体みずからが統治機構の役割を規定し、住民の権利と責務を明記するとともに、住民参加や情報公開、他の自治体との関係等を定めるものであり、東京都も今後制定を検討すべきと考えます。
今後、少子高齢化が進む中、財政状況も厳しいため、すべての住民ニーズにこたえることが困難であり、サービスの集中と選択が進み、都民には権利とともに責任も求められます。そのためには、住民参加の促進は必要であり、その前提として情報公開による行政の透明化は必要です。都民の信頼を得るには、よい情報だけでなく、悪い情報も出すことがリスクマネジメントにつながり、かえって信頼度を増すものと考えられます。改めて全庁的に都民への説明責任について検証することが必要です。地域主権における都政において、住民自治を確立するため、より一層の住民参加の促進と説明責任などを実現するために、自治基本条例を制定することについての所見を伺います。
〇知事本局長 秋山俊行 自治基本条例についてでございますけれども、基礎自治体でございます市区町村にあっては、その約1割が制定をしておりますけれども、広域自治体の都道府県では、2団体にとどまっている現状にございます。このことは、住民参加の観点から見た基礎自治体と広域自治体のあり方が異なることの一つのあらわれではないかというふうに思っております。また、制定された条例の内容もさまざまで、抽象的な理念やプログラム規定にとどまっているものも多く、その効果を疑問視する声も聞かれるところでございます。一方、都におきましては、都民生活に関する世論調査や都政モニターアンケート等を通じまして、幅広い意見要望をさまざまな施策に反映しているほか、何より、全国に先駆けて新しい公会計制度を導入し、財政状況をわかりやすく示すなど、都民への実効性ある説明責任を果たしてきたものというふうに考えております。今後とも、首都東京の広域自治体としての役割をより一層果たしていくため、情報公開や広報広聴の個々の制度を十分活用し、都民の声を反映した施策を充実させるとともに、適切な情報提供に努めてまいります。
〇都議会議員 中村ひろし とりわけ、住民自治の拡充、強化には、都政運営への都民参加が必要であり、政策や個々の施策に都民の意思がより広く反映されなければなりません。多数の人々の声が的確に行政に届き、施策に生かされることが重要です。そのために、まずは行政情報が個々の情報公開請求を待つまでもなく積極的に公開、提供され、それが都民に広く共有されることが必要と考えます。こうした観点から、都民が都政情報を容易に入手できるよう、都の情報公開をさらに充実強化すべきと考えますが、見解を伺います。
〇生活文化局長 並木一夫 情報公開の充実強化についてでございますけれども、都民に対する説明責任を果たし、都民による都政への参加を進める上で、情報公開の推進は重要であります。都は、これまでも情報公開条例に基づき、公文書の開示制度だけでなく、重要な基本計画、審議会の議事録など、公表や環境、保健衛生、防災などの都民生活と密接な関係のある情報の提供により、情報公開の総合的な推進を図ってまいりました。今後とも、情報公開の身近な媒体でございますホームページや広報誌に、より見やすくなるような工夫を加えるなど、都民が都政情報を容易に入手できるよう努めてまいります。
〇都議会議員 中村ひろし 基礎的自治体である市区町村では、それぞれの地域に特有の多様な行政ニーズにこたえるために、広域行政による一律、画一的なサービスでは賄い切れない、きめ細やかな対応が必要です。行政に対するニーズがより細かく高度になっている現在、市区町村の果たす役割はより重要なものになってきています。地域主権戦略大綱では、主権者たる国民が、みずからの住む地域のことはみずからの責任で決定し、活気に満ちた地域社会をつくっていくために、住民に最も身近な行政主体である基礎的自治体に事務事業を優先的に配分することを定めています。このように、国においては、国と地方の役割分担について抜本的な見直しの議論が進められています。こうしたことから、都と市区町村の役割分担を踏まえた上で、市区町村がより大きな権限と財源を持って住民に向き合うことが求められています。そこで、こうした動きを踏まえ、都と市区町村の役割分担について所見を伺います。
基礎的自治体が住民の期待にこたえ、その役割をしっかりと果たしていくためには、相応の財源が必要です。そのためには、都と市区町村の役割分担を明確にし、都の政策的必要性がある政策については都が行い、それ以外のものについては市区町村に任せるという観点から制度を検証し、市区町村の自主性、独自性が発揮できるよう、財政支援のあり方も見直していくべきです。都独自の制度である市町村総合交付金については、すべての市町村が施策を展開する上で、より自主性、独自性を発揮しやすいものへと進化させていくべきだと思いますので、そのことを要望して次の質問に移ります。
〇総務局長 比留間英人 都と区市町村の役割分担についてでございます。都はこれまで、平成12年に策定した第二次東京都地方分権推進計画に基づき、区市町村に対して、住民に身近な事務権限の移譲を着実に進めてきました。今般、国において閣議決定された地域主権戦略大綱では、基礎自治体への権限移譲をさらに進めることとされておりますが、その具体化に当たっては、必要な財源が国により確実に措置されなければならないと認識をしております。また、都から区市町村への分権の推進に当たっては、東京の実態、地域特性を十分に踏まえ、大都市特有の行政課題を総合的、一体的に解決するという視点が不可欠でございます。今後、国の地域主権改革の動向を見据えつつ、東京の特性を踏まえた適切な役割分担について、区市町村と十分に協議し、分権の推進を図ってまいります。
〇都議会議員 中村ひろし 次に、まちづくりについて質問します。都市計画道路を決定されてから約半世紀が経過したところですが、都市計画道路の整備率はいまだに56%程度です。家が少なかった時期に立てた計画で、これまでも整備に困難な状況でしたが、今後はさらに困難になると予想されます。このため、都市間を結ぶ広域交通とは別に、地域交通を分担する都市計画道路については、地域の事情などを踏まえて適宜見直すことにより、事業が円滑に進む場合もあると考えます。例えば、現在、地域における主要な道路が都市計画道路でなく、近隣に線だけ引かれ未着手の都市計画道路がある場合、現在の道路の拡幅が望まれたとしても、なされにくい状況にあります。未着手の都市計画道路を廃止し、現在の道路の拡幅など、その整備を中心にした道路交通網に変更した方が、整備が進む場合もあると思います。
現在、優先整備路線を定めて事業が行われていますが、その際に、区部で見直し候補区間に選定された路線が5路線、多摩では要検討区間に抽出された路線が10路線となっていますが、全体に比べれば少ないと感じます。そこで、今後の都市計画道路網の整備と廃止を伴う直しについての所見を伺います。
〇東京都技監 河島均 都市計画道路網の整備と見直しについてでございますが、都市計画道路は、人や物の円滑な移動を確保するとともに、防災性の向上や良好な都市空間の形成を図る上で不可欠な都市基盤として、法に基づく都市計画に位置づけることにより、計画的な整備を図るものでございます。都は、区市町とともに、平成16年には区部について、平成18年には多摩地域について都市計画道路の整備方針を策定いたしました。その際、道路整備の基本目標でございます活力、安心、環境、暮らしに照らして各路線の必要性の検証を行い、見直しを検討することとした一部の路線を除き、都市計画道路の必要性を確認いたしました。そのため、必要性が確認された路線については、現時点で廃止を伴う見直しを行うことは考えておりません。今後とも、快適で利便性の高い都市生活の実現に向け、計画的、効率的に都市計画道路網の整備を進めてまいります。
〇都議会議員 中村ひろし 次に、医療政策について伺います。我が国は、国民皆保険制度のもと、だれもが安心して医療を受けることができる医療制度を実現し、高い保健医療水準を達成してきました。しかしながら、急速な高齢化の進展により、医療費が増加傾向にあります。そのため、平成20年3月に医療費適正化計画を定め、今年度行う中間評価に向けて準備を進めていると聞いています。しかし、その当時とも状況が変わり、国でも介護療養病床の廃止の見直しなど、政策変更がなされていますので、今後、都としても状況を分析し、課題の抽出をしていただきたいと思います。
しかし、医療費の効率化でできる部分は効率化していくことは重要ですが、単なる絶対額の圧縮では受診抑制につながりかねません。経済的な格差が、そのまま都民の医療格差につながらないよう、都民の心身の状態に応じた必要な医療サービス等が受けられる体制確保が何よりも大切であると考えています。
医療費については、今後、診療報酬などを含め、国での抜本的な改革が望まれます。現状では、個々の患者の動向がどのように医療費の適正化につながるかも重要ですが、一方では、限られた医療資源において、多様な患者へのニーズにどのように対応するか、また、最良の医療を受けたいという当然の患者の思い対してどうこたえていくのかを、調整を図らなければならない難しさがあります。患者が望む医療を提供するという点で、例えばがん医療において、緩和ケアは患者の療養生活の質の維持向上に不可欠なケアです。がん患者が増加している都においては、緩和ケアのニーズはますます高まるものと考えられます。緩和ケアの充実に対する取り組みを伺います。
〇福祉保健局長 杉村栄一 8点のご質問にお答え申し上げます。まず、緩和ケアの充実についてでございますが、がん患者やその家族が抱える身体的、精神的な苦痛を軽減し、療養生活の質を維持向上させるためには、治療の初期段階から緩和ケアを提供していくことが重要でございます。都では、がん診療連携拠点病院及び東京都認定がん診療病院におきまして、医師、看護師、医療心理職等、多職種で構成する緩和ケアチームを設置し、治療の早期から緩和ケアを提供いたしますとともに、地域でも安心して療養ができるよう、かかりつけ医等も対象といたしました医師向け緩和ケア研修を実施し、人材育成を行っております。今後とも、拠点病院等を中心に、地域の医療機関と連携を図りながら、広く緩和ケアの充実に取り組んでまいります。
〇都議会議員 中村ひろし また、どんな症状でもとりあえず大病院に行ったりとか、タクシーがわりに救急車を使用していては、医療資源が生かされません。強制することができないため、都民の意識をどのように変えていくのかという点が課題としてあります。学校教育や社会教育を含め、都民に対し、医療機関、特にかかりつけ医へのかかり方についての意識啓発や普及を行う必要があると考えますが、都はどのような政策を行っているのか伺います。
〇福祉保健局長 杉村栄一 次に、都民の受療行動に関する意識啓発についてでございますが、都は、都民向けテキスト「知って安心 暮らしの中の医療情報ナビ」を作成いたしまして、医療の仕組みについての正しい理解と医療機関の適切な利用を促進いたしております。テキストにおきましては、まずは、かかりつけ医と十分相談をすることが適切な治療につながるなど、医療機関へのかかり方についてもわかりやすく解説をしており、区市町村や教育機関等へも配布をいたしております。また、都民に広く意識啓発を図るため、区市町村職員や民生委員などを対象に医療に関する研修を実施し、地域において正しい知識を普及するとともに、救急医療や小児医療などについて、都民と医療従事者との相互理解を深めるためのシンポジウムを開催いたしております。
〇都議会議員 中村ひろし 次に、精神保健福祉行政について質問します。ストレスが多い現代社会において、多くの方が精神疾患を患い、都内でも30万人以上がいると推計されています。毎年全国で3万人以上の方が自殺で亡くなられていますが、そのうち精神疾患の方は、自殺者の約3割がうつ病との調査データもあり、関連性があると推測されます。精神保健福祉の充実はもとより、そうした社会背景の改善により、とうとい命を守ることが大切です。精神疾患は特別な病気ではなく、だれもがかかり得るものです。特に10代から20代にかけての若い世代で発症する方も多く、早期に発見することで早期の治療につなげ、未支援、未治療の期間を短縮することで、重症化、慢性化を防ぐことが必要です。
そこで、教育現場における精神疾患への対応を伺います。学校では、日常、生徒と接する教師が異変について、その信号を受けとめることが大切です。もちろん大変判断は難しいのですが、まずは精神疾患に対する知識を持つことが大切であり、研修の充実が求められます。もちろん判断が大変難しく、レッテルを張ることになってしまう危険もありますので、そうしたこともあるため、教師が一人で抱え込むのではなく、生徒に兆しがあった場合、学校としてどのように対応するのか、さらには、医療機関などを含めてどのようにつなげていくのか、学校としての体制を整えていく必要があります。家庭と学校との役割分担というものはありますけれども、日常の多くを生徒が過ごすのは学校であり、教育と福祉の連携が求められます。学校における生徒の精神疾患への対応について、早期発見、早期支援につなげる体制を整備することが必要と考えますが、教育長の所見を伺います。
〇教育長 大原正行 中村ひろし議員の一般質問にお答えします。生徒の精神疾患への対応についてでございます。学校においては、生徒の心身の健康状態を把握するために、担任教員等が生徒一人一人の言動や様子を広く観察し、心や体の変化、発するさまざまなサインを読み取るとともに、養護教諭やスクールカウンセラー等と連携しながら、適切に対応することが重要でございます。このため、東京都教職員研修センターにおきましては、思春期、青年期の心理の理解と児童生徒対応の事例研究という研修講座を初めとして、児童生徒の精神保健に係る問題への対応について、教員研修の充実を図っております。また、精神科医を都立高校に派遣し、担任教員や養護教諭などに対し、精神保健に関する講演や具体的なケースに対する助言を行うなど、校内連携の援助を行っております。今後とも、こうした教員研修や精神科医の派遣を通して、学校が生徒の心の健康に係る課題の改善に向けて、組織的に対応できるよう支援してまいります。
〇都議会議員 中村ひろし また、地域で生活する精神障害者への対応が求められます。訪問による支援体制、つまりアウトリーチの体制を早急につくる必要があります。本年5月に国に出された、こころの健康政策構想会議提言書においては、多職種チームによるアウトリーチ、つまり訪問型の支援の実現の必要性を強く打ち出しています。現在、都でも、訪問型支援についてモデル事業を実施しているところです。アウトリーチ支援に当たっては、行き過ぎた訪問が患者の監視につながらないよう、権利擁護の視点も必要です。また、本人への支援だけではなく、患者を抱える家族の心のケアも必要です。このような観点も踏まえて、早急に全都に拡大することが求められますが、所見を伺います。
〇福祉保健局長 杉村栄一 次に、精神障害者に対する訪問型支援についてでございますが、都は、今年度から、医療の中断により症状が悪化し、地域での安定した生活が困難な精神障害者に対し、精神保健福祉センターの医師、保健師等による専門職チームが、区市町村や保健所等と連携をして訪問等の支援を行うモデル事業を実施いたしております。支援に当たりましては、対象者の状況に応じ、弁護士から法的な助言を受けながら適切な医療につなぐなど、障害者本人の人権に十分配慮をいたしております。また、家族に対しましては、症状に応じた対応方法の助言を行い、不安の軽減を図るなど、心理面への支援も行っております。今後、これらの取り組みも含め、モデル事業の評価、検証を行い、本格実施を目指してまいります。
〇都議会議員 中村ひろし 精神保健を扱う保健所の重要性はいうまでもありません。多摩地域の保健所が、二次医療圏に合わせて統廃合されましたが、身近なところでの保健行政を求める声も多く、再編の見直しの意見もあります。新型インフルエンザなどの対応もあり、危機管理上、人員体制の拡充が必要です。精神保健に関する相談については、市町村に業務を移しつつありますが、保健所のある区と違い、市町村だけでは対応が難しい面もあり、今後、保健行政の体制強化が求められます。市町村が実施する精神保健相談に対する保健所の一層の支援が必要であると考えますが、所見を伺います。
〇福祉保健局長 杉村栄一 次に、市町村の精神保健相談への支援についてでございますが、地域における精神保健相談に関しましては、市町村が一般的な相談、保健所が専門的な相談に対応いたしております。また、保健所では、市町村の要請に応じまして、家庭訪問に同行したり、事例検討などを行うケース会議において医療上の助言を行っております。あわせて、市町村職員が精神保健に関する専門知識を得られるよう、講演会等も開催をいたしております。今後も、精神保健福祉センター等の関係機関とも連携をしながら、精神保健相談について市町村を支援してまいります。
〇都議会議員 中村ひろし 最後の項目として、児童虐待の対応について質問します。悲惨な事件が繰り返し起こる中、しっかりとした体制が必要です。社会的に子どもの貧困という問題が顕在化し、親の所得格差も深刻になる中、子どもを守るための社会的なコストとしては、日本は諸外国に比べると少ないといえます。児童虐待が起こる社会的要因を取り除くことも重要です。子どもの養育は、第一義的には親の責任ではありますが、さらに一層児童虐待への対応についての施策の充実を求めます。そのためにも、児童相談所の体制拡充が必要ですが、所見を伺います。
〇福祉保健局長 杉村栄一 次に、児童相談所の体制についてでございますが、都では、児童福祉司を平成13年度から21年度までの8年間で66名増員をいたしまして、172名とするとともに、チーム制を導入し、複数の児童福祉司で協議をしながら対応いたしております。平成22年度には、児童相談センターの児童福祉相談専門課長を2名に増員いたしまして、困難事例へのスーパーバイズや業務研修を充実するなど、各児童相談所の職員の専門性の向上に努めております。今後、こうした取り組みを充実させ、児童相談所の体制を強化してまいります。
〇都議会議員 中村ひろし また、児童虐待の発見については、住民に身近な各市区町村の対応が大切です。各市区町村の虐待防止ネットワークがますます充実することが必要です。どのように考えますか、お伺いいたします。
〇福祉保健局長 杉村栄一 次に、区市町村における虐待防止のためのネットワークの充実についてでございますが、平成17年度に要保護児童への支援のために、関係機関が連携する場として要保護児童対策地域協議会が法的に位置づけられました。平成21年度には、島しょ部を含む全区市町村に協議会などが設置され、子ども家庭支援センターや児童相談所を中心として、民生・児童委員や学校などで構成するネットワークが整いました。各区市町村の協議会では、児童虐待の対応を学ぶ研修会や情報交換、支援策の協議を行うケース検討会議等を行っております。今後とも、児童虐待の早期発見、早期対応を進めるため、こうした地域のネットワークを充実させてまいります。
〇都議会議員 中村ひろし また、親の病気や虐待などの理由により、親元で暮らせない子どもを家庭に迎え入れて育てている里親については、さらにふやしていくべきですが、根本的に里親に対する社会の認知が不十分であると考えます。社会の認知は、里親になる人をふやすためだけではなく、親元で暮らせない子どもへの差別をなくすための啓発活動にもつながります。もっと広報普及活動が必要ではないでしょうか、所見を伺いたいと思います。
〇福祉保健局長 杉村栄一 次に、養育家庭制度の普及啓発についてでございますが、養育家庭の登録数をふやし、養育家庭とそこで育つ子どもたちが安心して生活できる社会をつくるためには、都民の理解が不可欠でございます。都は、10月、11月を里親月間といたしまして、区市町村と連携しながら、養育家庭がみずからの子育てを語る体験発表会の開催や、ポスターや広報誌、テレビ、ラジオ番組を活用した普及啓発などを集中的に展開しております。今後とも、多様な手法を用いながら、養育家庭に対する都民の理解促進を図ってまいります。
〇都議会議員 中村ひろし 児童虐待の対策として、子どもの権利をしっかりと保障することが大切です。大人の都合ではなく、本来子どもが持つ権利を保障するためには、子どもの権利条例の制定が必要と考えます。条例には、子どもの権利を明記し、都民として子どもを守ることを共通の認識とするとともに、子どもの権利を守るための第三者機関の設置や施策を盛り込むことも考えられます。既に児童の権利を保障するさまざまな施策を、計画を策定の上実施していることは承知をしていますが、各市区町村で子どもの権利条例制定の動きもあるのですが、東京都として、条例制定に先導的に取り組むことも大切であると考えますが、所見を伺いたいと思います。以上で質問を終わります。ご答弁の方をよろしくお願いいたします。
〇福祉保健局長 杉村栄一 最後に、子どもの権利条例の制定についてでございますが、子どもの福祉を増進するためには、実効性のある具体的な施策に取り組んでいくことが必要であり、都では、次世代育成支援東京都行動計画に基づき、総合的かつ効果的な施策を進めております。具体的には、児童相談所の体制強化、子ども家庭支援センターにおける相談機能の充実、子ども本人から直接相談を受ける子どもの権利擁護専門相談事業など、実践的な取り組みを通して子どもに係るさまざまな問題に対応いたしております。お話の権利条例の制定につきましては、権利のとらえ方を含め、多様な意見がございまして、慎重な対応が必要と考えております。
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