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都議会質問記録

2021/02/24 新型コロナ対策などを小池知事に代表質問しました

2021年2月24日、都議会本会議が開かれ都議会立憲民主党を代表して小池知事に代表質問を行いました。新型コロナ対策を中心に質問しましたが、都の長期計画、生活保護、震災対策、オリンピック、ジェンダー平等なども質問しました。コロナ対策では、とりわけワクチンについては多くの方が関心を持っているのでより丁寧な説明を求めました。また、医療体制や保健所の体制拡充についても質問しました。

以下は質問の全文です(実際には質問と答弁をまとめて行っていますが、1問1答に並べ替えています)。

○中村:私は、東京都議会立憲民主党を代表して、都政の諸課題について質問いたします。
 初めに、知事の基本姿勢について伺います。
 二月の十二日、小池知事は、未来の東京戦略案を発表しましたが、どのような社会を築いていきたいのか、知事からの明確なメッセージが求められています。昨年の代表質問でも申し上げましたが、都民の暮らしと人に着目をし、貧困や格差などの将来不安を解消してこそ、希望の持てる社会となるのです。
 私は、誰ひとり取り残さないという明確なメッセージを打ち出すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事:中村ひろし議員の代表質問にお答えをいたします。
 未来の東京戦略についてのご質問がございました。
 いつの時代も未来を切り開くのは人。子供が笑顔で伸び育ち、そして高齢者がこれまでの経験を生かして生き生きと活躍できる。そして、女性、障害者、外国人を問わず、一人一人がみずからの意思で将来をつかみ取ることができる。
 未来の東京戦略には、東京に暮らし、働く全ての人が輝く社会を築いていきたいという、こうした私の強い思いを込めたところでございます。
 こうした社会をつくり上げるために、未来の東京戦略では、新型コロナで生じたさまざまな変化を踏まえた政策の大きな方向性として、安全・安心な新しい暮らしを追求し、誰ひとり取り残さない包摂的な社会の実現を目指すことといたしております。
 子供の貧困対策、ひとり親家庭への支援、離職者向けの雇用対策、人が集う居場所づくりや相談支援の充実など、悩みや不安を抱える人に寄り添った政策を幅広く展開をして、誰もが生き生きと輝き、安心して暮らせる東京をつくり上げてまいります。

○中村:ポストコロナの都政において、雇用対策は最重要課題です。私たちが強く要望していた雇用対策が来年度予算案において、東京版ニューディールTVA作戦などとして大きく掲げられたことは、問題意識が共有できたものと理解をしています。
 想定される雇用者数も二万四千人と、二月十二日現在厚労省が把握する解雇等見込み労働者数二万六百人をも見据えた数字であると期待していますが、実効性や失業なき労働移動という観点から、懸念がないわけではありません。
 そこで、私は、都として目標とする指標に失業率や有効求人倍率を定め、対策の効果を常に検証し、必要であれば矢継ぎ早に対策を講じていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事:コロナ禍の雇用対策についてであります。
 感染症の影響が長期化をして、雇用情勢には回復の兆しが見えておりません。解雇や雇いどめによって、離職を余儀なくされた方々の雇用を確保し、生活の安定を図ることは喫緊の課題であります。
 このため、都は来年度、トライアル就労を通じました正社員就職を支援する事業や、IT分野の職業訓練などの施策を大幅に拡充いたしまして、二万人を超える雇用創出を目指す東京版ニューディールを実行してまいります。
 対策の実施に当たりましては、失業率等の各種の雇用データも参考に、求職者の支援ニーズや事業実績等を検証しながら進めてまいります。
 こうした取り組みによって施策の実効性を一層高めて、都民生活の基盤となる雇用確保に向けて全力を尽くしてまいります。

○中村:雇用対策に限らず、行政の支援策は申請主義がほとんどで、本来支援を必要とする人たちに支援が届いていないのが現状です。手続の簡素化、周知の徹底は当然ですが、私は、アウトリーチこそが重要であると考えます。
 東京都は、誰ひとり取り残さない相談サポートプロジェクトの一環として、包括的相談支援体制を構築するとしていますが、アウトリーチの徹底を含め、その取り組みについて伺います。

○吉村福祉保健局長:地域における相談支援体制の整備に関するご質問にお答えいたします。
 東京では、単身世帯の増加、住民同士のつながりの希薄化などを背景に、地域で生活していく上での課題は複雑化、複合化しており、分野や世代を超えたきめ細かな支援体制の構築が求められております。
 今月公表した未来の東京戦略でも、二〇三〇年への展開として、複合的な課題等に対応するため、全区市町村に総合的な相談支援体制を整備することを掲げております。
 都は、福祉の総合相談窓口の設置や、社会福祉協議会と連携したアウトリーチ支援の実施等の先進的な取り組みを紹介するシンポジウムの開催、地域で暮らす多様な住民の居場所の整備への補助などを行っており、今後も地域における体制づくりに取り組む区市町村を支援してまいります。

○中村:生活に困窮した際の最後の制度として生活保護がありますが、扶養照会があることで申請がしづらいといわれています。
 そこで、本当に困っている人がちゅうちょすることなく制度を利用できるよう、運用の改善を求めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事:生活保護についてであります。
 生活保護制度は、健康で文化的な最低限度の生活を保障する最後のセーフティーネットであり、さまざまな支援施策を活用いたしましても、なお生活に困窮する場合には、確実に制度につなぐことが重要であります。
 扶養照会につきましては、現在、国において運用の弾力化が検討されておりまして、都はその動向等も踏まえて、区市と連携して対応してまいります。

○中村:次に、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
 第三波はいまだ予断を許さない状況ですが、この一年間の知事の言動を見ると、ミスリードとなりかねない発信も一度ならずありました。当初は、時短要請には幅広い行動抑制の効果がありましたが、回を重ねるごとに協力が得られなくなっていきました。記者会見では質疑応答に割く時間が非常に短く、次々発表されるスローガンは余り定着をしていません。
 新しい対策や呼びかけは、市民の理解を得ている諸外国のリーダーのように、質問がなくなるまで答える、科学的根拠に基づく真摯な説明を尽くすなど、対応を改めるよう求めますが、知事の見解を伺います。

○小池知事:都民に対する発信についてであります。
 新型コロナウイルス感染症への対策や都民への呼びかけを行うに当たりましては、専門家等の意見も踏まえて、都民や事業者が適切な感染防止対策をとれますよう、世代や活動場面等に応じまして具体例を示しながら、わかりやすい言葉で丁寧に発信をしてまいりました。
 引き続き、都民の目線に立って、行動変容に確実につながるよう、明確なメッセージを発信してまいります。

○中村:私たちは、感染症が流行しやすい季節に備えた医療体制の抜本的拡充を夏から訴えてきました。結果は、入院調整の間に自宅で亡くなる医療崩壊です。コロナ受け入れ病院に確保を要請するだけでなく、通常医療の継続やコロナ軽快者の転院問題など、医療全体が機能できる体制構築が必要です。知事がみずから陣頭指揮をとってスキームを構築すべきです。医療崩壊に対し、知事としてどのように受けとめ、責任を感じているのか、所見を伺います。

○小池知事:医療提供体制の強化についてであります。
 都はこれまで、通常医療への影響も考慮しながら、五千床の病床を確保するなど、医療提供体制の整備に最大限の力を注いでまいりました。また、新たな入院患者を円滑に受け入れるため、新型コロナウイルス感染症から回復した患者で、慢性疾患などにより、引き続き入院が必要な方の転院を受け入れる病院への支援を行っております。
 今後も都民の命を守るため、新型コロナウイルス対策に全力で取り組んでまいります。

○中村:私たちは、ホテル療養一〇〇%を目指した説明、説得、安心して療養できる体制、拡充したPCR検査体制を活用した抑え込みなど、小康状態の夏から秋にこそ、冬の第三波に備えた保健所の体制強化を強く訴えてきました。これらが実行されないまま第三波を迎え、ついに積極的疫学調査の大幅縮小に至りました。外出抑制が十分できないまま感染経路等の調査を大幅に縮小すると、無症状やコロナと気づかない人が感染を広げるリスクが高まる悪循環が懸念されています。
 従来からの保健医療システムの脆弱さが、新型コロナに対する政策の実効性に影響した証左であり、第四波もあると考えると、大幅増員やデジタル化、外部化可能な業務の委託など保健所体制の抜本的強化に、知事が陣頭に立って取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長:保健所の体制強化に関するご質問にお答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症に確実に対応していくためには、最前線を担う保健所がその機能を十分に発揮することが必要でございます。
 このため、都は、各保健所へ職員を派遣して業務支援を行うほか、発熱等の症状のある方の相談窓口や保健所支援拠点の設置など、保健所の体制強化に取り組んでまいりました。
 また、積極的疫学調査などの業務を担う保健師等をトレーサーとして採用し、都保健所に配置するほか、デジタル化の推進などにより、業務の効率化を図っております。さらに、保健所設置区市に対しては、保健師の雇い上げや業務委託の経費などを支援してございます。
 新型コロナウイルス感染症の再度の感染拡大に備え、保健所の体制強化に取り組んでまいります。

○中村:諸外国でも、ロックダウン解除後に状況が悪化をし、リオープニングが世界的課題となっています。東京も昨年の宣言明けに、政府と歩調を合わせ経済再開を急ぎ、東京アラートの混乱、ロードマップを急遽前倒しした結果、一カ月半で時短の再要請に至ったことを決して忘れてはいけません。
 緊急事態宣言の解除について、感染や病床が具体的にどうなったら国に要請し、解除後の蔓延防止措置、時短要請や外出自粛要請については、いつまで、感染や病床がどうなるまで続けるのか明らかにすべきと考えますが、知事に伺います。

○山手総務局長:緊急事態宣言の解除等についてでございますが、緊急事態宣言の解除は、感染状況及び医療提供体制等の逼迫状況について、国の分科会提言におけるステージスリー相当の対策が必要な地域になっているか等を踏まえ、専門家の意見も聞きながら、国が総合的に判断するものでございます。
 また、国は、緊急事態宣言解除の後も、都民への外出自粛や飲食店への営業時間の短縮の要請等につきまして、必要な対策は、ステージツー相当以下に下がるまで続けるとしてございます。
 都としては、国の方針や都内の感染状況等を踏まえまして、専門家の意見等も聞きながら、適切に対応してまいります。

○中村:知事は、私たちが繰り返し求めてきた都の新型コロナ対策の検証をしていませんが、昨年の経過を教訓にした二度目の緊急事態宣言解除後の対応が必要です。早期に経済を再生させるため、昨年来迷走を続けてきたウイズコロナ方針を撤回し、感染をできる限り減らした後は、徹底して感染を抑え込みつつ経済を回すゼロコロナ戦略に切りかえるべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事:今後の新型コロナウイルス感染症対策についてであります。
 現在、都内の新規陽性者数は減少傾向にございますが、医療提供体制の逼迫は長期化しており、予断を許さない状況でございます。感染の再拡大を招かないよう、ここで新規陽性者数をしっかりと下げ、感染を徹底的に抑え込む必要がございます。
 都といたしましては、引き続き、外出の自粛や飲食店への営業時間の短縮の要請などを行うとともに、感染拡大防止ガイドラインの遵守の徹底、テレワークの普及拡大等を進めまして、感染拡大の防止と経済社会活動との両立を図ってまいります。

○中村:新型コロナのワクチンについて、知事は強く発信していませんが、安全性や効果に不安を感じる方も多くいます。また、予防接種法に基づく努力義務になったとはいえ、いつまでに、都民、都が担っている医療従事者のおおむね何割が接種をするのかという接種率が、都のコロナ対策にも大きく影響するにもかかわらず、明らかにしないまま進められています。また、ワクチンに関するきちんとした情報提供も行われているとはいえません。
 コロナ終息、病床逼迫の解消、経済再開に必要な接種率などの見解があり、到達させるべく、できるだけ都民に接種を推奨するのか、推奨せず、希望者が少なければたとえ一割でも構わないのか、知事の見解を伺います。また、知事ご自身は率先して接種する考えなのかもあわせて伺います。

○小池知事:ワクチン接種に関する二点のお尋ねがございました。
 我が国でも先週から接種が始まりましたワクチンは、新型コロナとの闘いでゲームチェンジャーとなることが期待されておりますものの、副反応が生じる可能性も否定できません。
 都といたしましては、このワクチンの効果や副反応などに関する情報発信を、国に強く求めていくとともに、都民の皆様が適切にご判断できますよう、正確な情報を幅広く発信をしてまいります。
 私自身も、条件が整いましたら、その段階で、知事として、また一都民として、ワクチンの接種を受ける考えでおります。

○中村:協力金一律六万円に対する批判や疑問が多く聞かれます。昨年から繰り返された時短要請、緊急事態宣言の再発出と延長、昼間の外出自粛要請による消費の落ち込みで、経営環境が一段と厳しくなる中、知事は、大規模事業者も含めて、延長前と同じ六万円、一律の協力金としました。時短、自粛の影響で苦しむ生産者や関連事業者への都としての支援もありません。法改正で罰則まで設けられましたが、規模によって売り上げや固定費が大きく異なるため、営業時短や休業への協力金は、一律ではなく事業の規模や売り上げを考慮した給付金額にすべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事:協力金の給付金額についてであります。
 感染拡大を防止するため、営業時間短縮の要請に応じた飲食店等には、その協力に対して協力金を支給してまいりました。これまでの事業者単位での支給から店舗単位での支給へ変更するほか、大企業も対象に含めるなど、時短要請の実効性を高める観点から、必要な見直しを行ってまいりました。
 今後、さらに協力金の制度を変更する場合、事業規模をはかる指標や支給の基準が自治体間で異なると、新たな不公平が生じかねません。
 このため、協力金の仕組みにつきましては、国の責任で制度構築してほしい旨、引き続き、国に対して要望を行ってまいります。

○中村:消費喚起策は、GO TOキャンペーンのように特定の業界、業種に限ると、効果や公平性が不十分で、実施、中止を適時適切に判断できない問題が明らかになりました。消費の喚起、景気浮揚は、結果として国民の手で適正配分される給付金とすべきです。財務大臣は否定をしましたが、所得捕捉や税制が比較的公平な我が国では、一律給付が最も公平で迅速に届く方法といわれ、消費を喚起し、不安を軽減する有効な方策ですが、知事は国に要望していません。
 緊急事態宣言が再発出をされ、延長されている現下の状況で、十万円以上の給付金は必要ないと考えるのか、知事の見解を伺います。

○山手総務局長:国による経済支援策についてでございますが、消費喚起や景気浮揚を目的とした国民への一律の給付金実施の有無につきましては、国会での議論を踏まえ、国において適切に判断すべきものと認識してございます。
 都としては、新型コロナウイルス感染症の終息を見据え、来年度、新しい日常における都民の生活応援を図るとともに、デジタルの力を活用した地域経済の活性化に向け、キャッシュレスによるポイント還元などの取り組みを行う区市町村を支援することといたしておりまして、こうした取り組み等を通じて、都民生活を下支えしてまいります。
 
○中村:次に、まちづくりについて伺います。
 二〇二一年三月、東日本大震災の発災から十年の節目を迎えます。亡くなられた方々に改めて心からの哀悼の意を表します。
 二月の十三日深夜、福島県沖でマグニチュード七・三の地震が発生しました。東日本大震災の余震であり、まだ進行形ともいわれています。
 東日本大震災では、現行基準のインフラや建築物は地震の揺れでは深刻な被害がなかったことから、耐震性能の確保が避難など全ての防災対策のベースとなります。その上で、三・一一当時、東京で直面した課題に対し、しっかりとした備えを積み上げていかなければなりません。
 まずは、駅や歩道を埋め尽くした帰宅困難者の対策です。群衆事故が起きれば、大勢の死傷者が出る惨事になりかねなかった状況を受けて、一時滞在施設の確保などが進みました。
 コロナ禍では、感染防止策、収容可能人数等の見直しが必要であり、早急に対応すべきですが、都の見解を伺います。

○山手総務局長:一時滞在施設の感染防止策等についてでございますが、大規模地震等の発生時に、一時滞在施設では、不特定多数の行き場のない帰宅困難者を受け入れることから、新型コロナウイルス感染症対策を確実に行うことが重要でございます。
 都は、昨年四月に都立の一時滞在施設や民間の一時滞在施設と協定を締結する区市町村に対しまして、感染対策の徹底や、さらなる受け入れスペースの確保の検討など、施設管理者が行うべき留意事項を周知いたしました。
 また、感染防止に必要なマスクやアルコール消毒液等の備蓄品につきまして、都立の一時滞在施設へ配備いたしますとともに、民間の一時滞在施設への費用補助を開始いたしました。こうした取り組みにより、帰宅困難者の安全を確保してまいります。

○中村:カジノについて、小池知事は総合的に検討していくと繰り返すばかりですが、都議会では、昨年末の各会計決算特別委員会において、IRにおけるカジノ誘致について断念することが、委員長認定意見として付されました。長期戦略や東京ベイeSGプロジェクトにも盛り込まれていません。
 こうしたことに鑑みれば、令和三年度予算案において計上されているカジノ予算、一千六十三万円は、議会を軽視するものであり、削除すべきと考えますが、予算編成権者である小池知事の見解を伺います。

○古谷港湾局長:令和三年度予算案におけるIRについてでございますが、IRについては、日本の経済成長や国際競争力を高める観光拠点として期待される一方で、ギャンブル依存症等の懸念の声もあると認識しております。
 都としては、メリット、デメリットの両面から引き続き総合的に検討を行うため、調査費を計上いたしました。

○中村:羽田空港の新飛行ルートについては、昨年十二月三日、東京選出の国会議員によって、羽田低空飛行見直しのための議員連盟が発足していますが、国土交通省においても、この間、固定化回避に係る技術的方策の検討が進められているところです。
 そこで、私は、都としても国に対して、固定化を避けるための取り組みを早急かつ具体的に進め、見直しを図るよう求めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○上野東京都技監:羽田空港の新飛行経路についてのご質問にお答えをいたします。
 将来にわたって東京が国際競争力を持って持続的な発展を続けていくためには、国内外に豊富なネットワークを有する羽田空港の機能強化を図ることが不可欠でございます。
 国におきましては、昨年、地元区の意見等を踏まえ、羽田新経路の固定化回避に係る技術的な方策につきまして、現在の滑走路の使い方を前提として、多角的に検討する会を設置し、検討が進められております。
 都といたしましては、騒音軽減や技術的な観点から、適切に検討が進められるものと受けとめております。
 引き続き、国に対しまして、都民の理解がさらに深まるよう丁寧な情報提供と騒音、安全対策の着実な実施を求めてまいります。

○中村:次に、オリンピックについて伺います。
 この間の質疑において、私たちはさまざまな観客のパターンをシミュレーションすべきだと主張してきましたが、東京都は、春までに判断すると繰り返すばかりでした。私たちは、大会の開催や観客の扱いについては、科学的な根拠やその時点での危険性に基づき適切な判断がされるべきであり、その際にはさまざまなシミュレーションをした上で判断されるべきだと考えています。
 今後、万が一開催できなくなった場合などにも備え、開催の可否や観客のパターンごとに、費用と効果、リスクや都民負担などシミュレーションすべきと考えますが、改めて知事の見解を伺います。

○中村オリンピック・パラリンピック準備局長:東京二〇二〇大会の開催についてですが、大会の成功のためには、選手、大会関係者、観客など、全ての人にとって安全・安心な環境が提供できるよう準備を進めていくことが重要であります。
 そのため現在、コロナ対策調整会議において取りまとめた中間整理に基づき、対策の具体化に取り組んでおります。
 観客数の上限につきましては、国内外の感染状況や渡航制限、検疫等の水際対策、国内外のイベントの実施、対策の状況等を踏まえて、この春に決定することとしております。
 今後とも、国、組織委員会など関係者と連携協力し、さまざまな場面に応じた対策を幅広く検討し、安全・安心な大会の実現に向けて準備を進めてまいります。

○中村:辞任した森氏の後任として、組織委員会の会長に橋本聖子氏が選任されました。森前会長のかいらいとならないよう大いに期待するとともに、既に自民党を離党してはいますが、これまでなれ親しんだ組織風土を引きずることなく、透明で多様性に富んだ組織委員会を実現していただきたいと思います。
 知事においても、組織委員会と一体的に準備を進める立場として、組織委員会の改革により主体性を持って積極的に取り組まれることを望みますが、知事の見解を伺います。

○小池知事:組織委員会との連携についてであります。
 東京二〇二〇大会の準備を円滑に進めるためには、組織委員会と東京都が密接に連携しながら、お互いの役割を果たしていくことは重要であります。
 今般、橋本新会長とお会いした際に、会長は、多様性と調和を世界に示していくと、男女平等参画、女性活躍などの進展に尽力されることを表明されました。この組織委員会の目指す方向は、人権尊重の都の方針とも合致するものであります。
 大会の理念である多様性と調和を具体化するためにも、組織委員会と積極的に連携をいたしまして、取り組みを進め、そして都民、国民に発信をしてまいります。

○中村:次に、ジェンダー平等について伺います。女性蔑視発言で、森氏は組織委員会会長を辞任しましたが、認識を改める言葉がないままの後味の悪い結末となりました。私は、この間、知事から女性蔑視やジェンダー平等に関する積極的発言が見られず、施政方針表明にジェンダーという言葉すらなかったことに強い違和感を感じています。
 無意識も含めた性差別がいかに根深く、解消が困難か、日本ではいまだ解消が進んでいないことが世界的にあらわになった今こそ、知事として、ジェンダー平等への取り組み強化を改めて明確に発信すべきと考えますが、見解を伺います。
 以上で、東京都議会立憲民主党を代表しての質問を終わります。

○小池知事:ジェンダー平等への取り組みについてでございますが、コロナ禍を乗り越えたサステーナブルリカバリーをあらゆる分野で実現し、強靭で持続可能な社会をつくっていくためには、男女がともに能力を十分に発揮でき、多様な生き方を選択できる柔軟な社会を実現することが重要でございます。
 世界の国々では、企画立案など意思決定過程の女性の参画は当然のことでありますが、日本は女性の力を生かし切れておらず、まさにもったいないと何度も申し上げてきたところであります。
 あらゆる分野で女性が活躍することは、社会全体の生産性を高め、女性だけでなく、男性にも大きな影響を与え、男女が対等な立場で責任を分かち合う男女平等参画社会の形成につながります。
 このため、知事就任以来、女性が輝くための取り組みに力を入れるとともに、オリンピック憲章にうたわれます人権尊重の理念の実現を目指す条例の制定、働き方改革など、人が輝き、多様性あふれる東京を実現するための幅広い施策を講じてまいりました。
 今後とも、人権尊重の理念を根づかせ、あらゆる分野で多様な方々が活躍できるよう取り組んでまいります。

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