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都議会質問記録

2021/10/08 コロナ禍における都財政について質疑しました

2021年10月8日、都議会財政委員会で議案の審議と東京都年次財務報告書への質問をしました。都財政もコロナ禍で厳しい状況にありますが、第6波への備えをするため積極的な財政出動をする必要があります。そのための財源確保のために常なる検証を行い無駄を削減しより効果のある施策を行うことを求めました。コロナ後の都政については、再びコロナ前の財務体質に戻せるよう引き締めを図りつつ、厳しい状況にある人に手厚く支援し格差を是正することの必要性も求めました。主な質問と答弁の概要は以下の通りです。

○中村委員 それでは、私からも、年次財務報告書について質問をいたします。
 この間、長らくコロナ禍も続いてまいりました。例年の報告書とはまた違っていて、そういった面でも厳しい状況があるかと思っています。
 こうした厳しい財政状況なのですが、コロナ禍が早く終息するよう、医療、保健体制の強化、中小企業支援などの経済対策、都民生活の下支えのために、財政出動が必要なときです。
 厳しい財政状況ですが、私は積極的な施策を展開すべきだと考えますが、見解を伺います。

○山田理事 新型コロナウイルス感染症は、都民生活や経済活動など様々な面に影響を与えており、この解決に向けては、感染再拡大を阻止する対策はもとより、感染症防止と経済社会活動の両立やセーフティーネット対策など、多岐にわたる対策が必要でございます。
 こうした中、今回の補正予算には、国庫支出金の獲得に努めるとともに、これまで培ってきた財政対応力を最大限に発揮することで、万全な医療提供体制の確保や感染の終息に向けた対策に加えて、経済の再生、回復に向けた取組など、必要な対策を盛り込んでおります。
 財政環境の先行きを見通すことが困難な中であっても、引き続き、財源確保に工夫を凝らし、経済活動の正常化を見据えた対策などを含め、必要となる施策を積極的に展開してまいりたいと思っております。

○中村委員 コロナ禍が始まって一年半がたちました。財政出動は必要だということは述べさせていただいたんですが、だからといって、何でもよいというわけではなく、より効果のある施策を行うことが必要です。こうした点では、行ってきた施策について検証する必要があります。その上で、事業の見直しやより効果のある施策を行う必要があります。
 そこで、コロナ禍に関する施策について検証を行う必要があると思いますが、見解を伺います。

○山田理事 都は、一年半以上にわたりまして、都民の命や暮らしを最優先に考え、コロナ対策に取り組んでまいりました。
 対策の具体化と実行に当たりましては、日々刻々と変化する情勢に的確に対応していくため、既に具体化した対策の状況や感染状況、経済情勢などを踏まえながら、より実効性の高い対策へと取組のブラッシュアップを図ってまいりました。
 例えば、医療提供体制に関しては、国と連携して病床確保を図ることに加えまして、宿泊療養施設において、抗体カクテル療法の実施などにより療養環境を充実するとともに、自宅療養者向けにオンライン診療システムを活用するなど、感染状況や症状に応じて、きめ細かな体制の構築に取り組んでおります。
 引き続き、予算編成過程などを通じまして、各局と連携しながら、状況に即した効果的な対策につながるように取り組んでまいりたいと思っております。

○中村委員 私たちも、検証ということについては、度々これは求めてきたんですが、今、答弁の中では、検証という言葉はありませんでした。これは事業局がやるところだというふうには思いますが、財政当局としても、しっかりと連携しながら、本当に今やっていることが適切なのかどうか、そしてまた、コロナが終わればいいんですけど、まだ終わらない状況なので、本当に都度見直しをしていただいて、より効果のある施策をやっていただけるよう、検証をお願いしたいと思います。
 さて、コロナ禍については、まだまだ第六波への懸念もあり、今後も膨大な施策を行わなければならない可能性もあり、そのための財源の確保が必要になります。不要不急の事業の見直し、国庫からの支出、基金の活用や都債の活用などもあり得ます。
 今後、さらに最悪の感染状況を見通して財源を確保する必要がありますが、見解を伺います。

○山田理事 今回の補正予算におきましては、災害級の感染状況にも対応し得るよう、万全な医療提供体制を確保するための取組を盛り込んでおり、その財源については、国庫支出金や基金を活用しているところでございます。
 一方で、今後の都内経済の動向など、財政環境の先行きを見通すことが困難な中、都を取り巻く状況を引き続き注視していく必要がございます。
 こうした中で、引き続きコロナ対策などの喫緊の課題に迅速かつ的確に対応をしていくため、国庫支出金の獲得に努めるとともに、無駄をなくす取組を徹底するなど、基金や都債といった財政対応力の確保につながるよう取り組んでまいりたいと思います。

○中村委員 今、無駄をなくす取組を徹底するということもご答弁いただきました。
 歳出も増加し、税収も減少する中ですので、財政出動を積極的にすべきですが、不要不急の事業の見直しはやはり必要です。
 昨年度見直した主な事業と合計金額を伺いたいと思います。また、今年度も、必要があれば事業の見直しをすることも必要ですが、見解を伺います。

○山田理事 新型コロナウイルス感染症の拡大により、予算編成時とは大きく状況が変化いたしました令和二年度は、経済性や効率性の確保はもとより、情勢変化を踏まえ、事業規模や手法の見直しなどを行うなど、様々な観点から精査することで適切な支出に努めてまいりました。
 その上で、令和二年度最終補正予算において、予算の執行状況の総点検を行い、執行しないことが明らかな事項や節減が図れたものなどについて、二千九百八十九億円の減額補正を行っているところでございます。
 具体的には、執行時の工夫などによる経費の節減、契約差金、給与費の執行状況を踏まえた精査等で減額をしているところでございます。
 今年度予算の執行に当たりましても、効率的、効果的な執行に向けて創意工夫を凝らすとともに、年度途中の環境変化等に即した執行となるよう、各事業について必要な見直しを図ってまいりたいと思っております。

○中村委員 今年度に関しては、予算編成時は既にコロナ禍にはあったとはいうものの、かなりコロナの感染状況が、恐らく予算編成したときは相当ひどくなっていたのではないかと思いますので、今年度についても、必要な見直しがあれば、ぜひ積極的にやっていただきたいというふうに思っています。
 さて、コロナ前は財政調整基金は約九千億円ありましたが、現在は二千億円まで減少しました。今後、税収は持ち直したとしても、再び九千億円まで積み増すのは、相当の時間を要するものと思います。
 もちろん、こうしたときのための貯金ですから、その役割を果たせたものとは思っていますが、一方、昨晩も地震がありましたが、地震とか風水害とか、いつ起こるか分からないときのために、万一のための備えは引き続き必要です。
 都においては、コロナで一時的な税収減があったものの、大企業の堅調な業績回復に伴い、都の財政は早期に回復するとの見通しもあります。こうした状況では、コロナ前のような歳出とはいかず、将来に備えて基金を積み増すことも必要かと考えます。
 財政調整基金はどのぐらいをいつまでに積み戻すつもりなのか、見解を伺います。

○山田理事 財政調整基金については、都は、過去の景気変動や税収低迷に伴う基金残高の枯渇といった経験を踏まえ、法に基づく義務積立てに加えまして、都独自の制度といたしまして、税収増が見込まれる場合に、増加額の一部を基金に積み立てる仕組みを設け、着実に財政調整基金を積み立ててまいりました。
 こうして培ってきた財政調整基金を、税収の減少局面や突発的な財政需要の発生など財源が著しく不足する場合に取り崩すことによりまして、年度間の財源調整を図ってきておりまして、コロナ禍においても、対策の財源として有効に活用したところでございます。
 今後も、義務積立てや都独自の積立制度を通じまして、財政調整基金の残高確保に努めるなど、継続的な施策展開を支える財政基盤の堅持に努めてまいりたいと思います。

○中村委員 なかなかすぐに幾らということではないのかもしれませんけれども、少なくとも税収が少しずつ戻っていくのであれば、二千億ということでは少ないでしょうから、一定の積み戻しはしていただきたいと思っています。
 さて、このコロナ禍による影響は世界中に及びますが、その影響は偏在し、非正規雇用の方やひとり親家庭など、厳しい状況の方にはより厳しくなっています。巣籠もり需要によるゲーム産業など活況を呈するものもあれば、飲食業や観光業のように大きくダメージを受けた産業もあります。これは、決して自己責任ではありません。こうしたときにこそ、行政の支えが必要です。もともとあった格差や貧困の問題が、コロナによってより深刻さを増していますが、今後のコロナ対策への予算編成においては、こうした格差の是正に向けた施策に、より注力する必要があります。
 来年度の予算編成において、マイナスシーリングによって必要な事業が削られることがないようにはしていただきたいと思います。コロナは自己責任ではありませんし、厳しい状況にある方々をこうしたときにこそ支えていくことが必要であると考えますが、見解を伺います。

○山田理事 令和四年度予算編成に当たりましては、感染症の脅威など大きな危機を克服し、サステーナブルリカバリーを実現するため、大胆な発想で果敢に取組を進めるとともに、都民が安心して暮らし、輝ける社会を築くための施策を推進することとしております。
 一方、限られた財源の中、積極的な施策展開を推進していくためには、無駄をなくす取組を一層強化することが必要でございます。
 そのため、予算の見積り段階から、各局における主体的な見直しを促す仕組みとして、事業実績や執行率が一定の水準に達していない事業など、さらなる見直しが必要な事業を対象に、原則としてマイナスシーリングを導入したものでございます。
 都政に課された使命を確実に果たしていくため、こうした仕組みを活用しながら、より実効性、効率性の高い施策の構築につなげてまいりたいと思います。

○中村委員 コロナによって、都財政、厳しくなっていますが、本当により厳しい方々がさらに厳しくなっているという状況にあるかと思っていますので、そういった方々をしっかり支えるような都の財政であっていただきたいと思っています。
 さて、都議会の立憲民主党からは、長期的な財政推計を示すようにということを度々求めてきて、コロナ禍の前の段階ではありますが、示されてはおりました。
 しかし、コロナ禍によって状況が大きく変わったと思っています。改めて、この長期推計を見直す必要があるとは考えますが、見解を伺います。

○山田理事 財政収支の長期推計は、中長期的な財政見通しを基に、計画的かつ戦略的な財政運営を行っていくため、これまでの都の財政運営や現在の都財政の状況、今後起こり得る環境変化を踏まえながら、中長期的な財政収支を推計したものでございます。
 推計に当たりましては、人口推計や物価上昇率なども加味した上で、経済成長率について上位、中位、下位の三つのシナリオを設定し、収支ギャップの振れ幅を推計したものでございます。
 財政環境の先行きを見通すことが困難な中、引き続き、状況につきましては、注視してまいりたいと思っております。

○中村委員 次は、事業評価について伺います。
 これまでも、都議会立憲民主党からも指摘をしてきましたが、もともと終期のある事業を事業評価の成果にするのは、成果を過大に見せるものであり、適切とはいえません。また、全ての事業に終期を設けるとしていますが、必要な事業については、内容をほとんど変えずに名前だけを変える場合もあるようです。また、市区町村の事業への補助などでも、例えば三年間などとして期限を切ってしまうと、三年後に、補助がなくなっても市区町村の事業を継続せざるを得なければ、手を挙げることにちゅうちょしてしまいます。
 適切な評価や無駄な事業の見直しは必要ですが、事業評価の成果を求めるあまり、事業そのものが行われなくなってしまえば本末転倒だと思います。この点に関して見解を伺います。

○山田理事 事業評価は、一つ一つの事業の実効性と効率性を向上させるため、予算編成の過程で多面的な検証を行う取組として着実に成果を上げてきており、平成二十九年度予算編成からは、全ての事業に原則五年以内の終期を設け、事後検証による評価を徹底するなど、取組の深化を図ってきたところでございます。
 この終期の設定でございますけれども、評価時期をルール化し、終期到来後に事業を継続するのか、見直し、再構築を図るのか、あるいは拡充をしていくのか、多角的な検証を確実に行っていくために実施しているものでございます。
 終期を迎えたタイミングで事業を評価することによりまして、施策の新陳代謝をさらに促進する効果が生じるなど、PDCAサイクルの一層の強化につながるものと考えているところでございます。

○中村委員 評価なわけですが、評価のための評価にならないように、事業そのものの目的が達成されていくことが大切だと思っていますので、ぜひこういった事業を行った際に、内容の検証や関係者の意見等も聞きながら、よりよい効果のあるような評価システムにしていただきたいと思います。
 さて、これまで質問いたしましたが、コロナ禍で厳しい状況にあり、かつ第六波への備えをする状況では、積極的な財政出動をする必要があります。そのための財源確保のための常なる検証を行い、無駄を削減し、より効果のある施策を行うことが必要です。そして、コロナ後の都政については、再びコロナ前の財務体質に戻せるよう、引き締めを図ることは必要ですが、マイナスシーリングではなく、厳しい状況にある人に手厚く支援し、格差を是正することが必要と考えます。
 コロナ禍、そしてその先を見通した都の財政運営について、財政当局の責任者である財務局長の決意を伺います。

○潮田財務局長 緊急事態宣言は解除されましたものの、コロナとの闘いは今なお続いており、引き続き、危機管理の観点から、万全の医療提供体制の確保に取り組むとともに、感染の終息に向けた取組を着実に実施していくことが求められております。
 加えて、長期の行動制限等の影響を受けた事業者の皆様に対しまして、しっかりと支援をしていくとともに、今後の経済活動の正常化も見据えつつ、経済の再生、回復に向けた取組を積極的に講じていかなければなりません。
 こうした考えの下、財政環境の先行きを見通すことが困難な状況ではございますが、都政が直面する課題を解決していくために、効果的な施策を継続的に展開していくことが必要でございます。
 そのため、見直すべき事業はしっかりと見直し、施策の新陳代謝を促すことで、将来にわたる財政対応力を堅持しつつ、コロナ禍を乗り越え、全ての都民が安心して暮らし、輝ける社会を実現するなど、都政に課せられた使命を着実に果たすべく、積極的に取り組んでまいります。

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