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都議会質問記録

【15】2010/10/18 会計管理、青少年施策、財産管理について質問

2010年(平成22年)10月18日、東京都議会 平成21年度各会計決算特別委員会 第1分科会において局別審査(会計管理局、青少年・治安対策本部・財務局)に関する質疑を行いました。以下に質問と答弁を掲載します。

◆会計管理局への質疑

1.会計検査について

〇中村委員 平成二十一年度決算審査の冒頭に当たり、会計管理局への質問がありますので、決算全体の適正性を確認する前提として、会計管理局の会計事務について質問します。決算の認定を審査するのは議会の役割ですが、提出された計数をもとに審査を行いますので、当然のことながら、すべての会計が適正に行われている必要があります。そのため、会計管理局がしっかりと指導検査をすることが大切です。
 そこでまず、会計管理局は、会計事務に関する検査や指導に関してどのような権限を持っているのかを伺います。また、都の職員が会計事務を適正に行うことを確保するため、各局、各事業所に検査を行っていると聞いています。各局長がみずから実施する自己検査とは別に、会計管理局が直接実施する定期検査を行っているとのことですが、それはどのような検査でしょうか。あわせてお伺いします。

〇佐藤会計制度担当部長 まず、権限についてのお尋ねでございますが、東京都会計事務規則第四条によりまして、知事の会計事務の指導統括に関する事務は会計管理者が行うことになっておりまして、会計管理局が実務を行ってございます。会計事務の適正な執行を確保することが、会計管理局の役割でございますけれども、会計管理局が行う検査におきましても、検査結果を踏まえて各部署を指導し、改善を図ることを主眼に置いてございます。
 次に、定期検査でございますが、これは、各局に委任しております百万円未満の支出事務を対象として行う検査でございまして、平成十四年度に百万円未満の支出に関する審査を各局に委任しましたことから、平成十五年度から会計管理局が検査を行い、会計事務の適正性を確保しようとしたものであります。
 定期検査は、本庁のすべての部及び全事業所を対象として、二年に一回の割合で検査を行っており、検査結果に応じて一部の部署には翌年度も検査を行っておりまして、全五百部署に対しまして、年間三百部署程度を対象に検査を実施しております。

〇中村委員 決算を行えば会計処理上の誤りが発見されることもあるかとは思いますが、具体的にどのようなものがあるでしょうか。また、発見されるものはどのように対応するのか伺います。

〇佐藤会計制度担当部長 会計処理上の誤りとしましては、例えば、委託完了届が提出されていなかったもの、支出決定の起案書に決定印が押されていなかったもの、請求書の印影が印刷になっていて書類不備であるにもかかわらずそのまま受理をしていたものなどがございます。
 定期検査でこうした会計処理上の誤りが発見された場合には、該当する局に対し、速やかに不適正処理の是正を行うよう指導助言を行うこととしております。

〇中村委員 定期検査は問題を発見することも大切ですが、何よりも重要なのは、公金を扱う職員に常に緊張感を持って会計事務を行っていただくことにあります。人間ですのでミスが起こる可能性はありますが、極力それをなくしていくことが大切です。
 会計管理局では、検査結果を踏まえて各部署を指導し、改善を図っているとのことですが、定期検査の実施によりどのような効果が出ているのか伺います。

〇佐藤会計制度担当部長 定期検査の効果でございますが、五年前の平成十七年度におきまして、一部署平均四十件近い誤りがございましたものが、平成二十一年には平均十件程度へと大幅に減少してございます。これは、定期検査に伴う事務の指導と会計実務研修等の継続的な実施が効果を発揮しているものと考えてございます。

〇中村委員 会計処理上の誤りについて、この五年間で大幅な減少があったことはわかりました。
 とはいえ、先ほども申しましたが、ゼロに近づけるよう引き続きの努力をお願いしたいと思います。そのためにも、検査の結果から判明した問題点について、どのように改善を図っているのか伺います。

〇佐藤会計制度担当部長 会計管理局では、検査部門、審査部門及び指導部門の連携の取り組みを進めてございます。検査部門が実施をいたします定期検査の結果や、会計管理局では百万円以上の支出案件を実際に局で審査してございますが、その審査部門における指摘等も踏まえまして、指導部門であります指導係が是正の指導を行うほか、日々の会計指導や、会計実務研修等に反映をして、職員の実務能力の向上を図るなど、適正な会計事務処理の確保に努めてございます。今後とも、こうした連携の取り組みを一層強化をして、より効果的な会計事務指導を図ってまいりたいと考えます。

〇中村委員 ご答弁ありがとうございました。今後も適正な会計処理をお願いして、次の公会計制度による財務諸表についての質問に移ります。

2.公会計制度による財務諸表について

〇中村委員 都は平成十八年度から、これまでの官庁会計による決算のほかに、複式簿記・発生主義の考え方を加えた新公会計制度を導入しました。
 都はこれらを作成して、都が現在どのような状況に置かれているかを分析し、戦略を持って都が抱える諸問題を解決していかなければなりません。まずは、都はこの財務諸表を作成することにより、都の財政運営にどう寄与してきたと考えるかを伺います。

〇佐藤会計制度担当部長 東京都は全国に先駆け、従来の官庁会計に複式簿記・発生主義の考え方を加えた新公会計制度を導入しまして、財務諸表を作成しております。これにより、これまでの官庁会計でわからなかった資産、負債などのストック情報や、減価償却、金利などを含むフルコスト情報の把握などが可能となりました。
 都においてはさらに、財務諸表を施策内容の検証に活用し、その結果を予算編成に反映させるなど、効率的かつ効果的な行財政運営のツールとして役立てております。

〇中村委員 予算編成の中心は財務局ですが、財務諸表を活用することで決算と予算との連動が求められることから、財務諸表の編成を担う会計管理局としても、その作成過程において、各局に数式の意味をしっかりと伝え、財務局と連携して財務諸表を生かした財政運営ができるようにお願いします。
 次に、財務諸表は監査事務局の定例監査の対象となっており、会計処理や資産計上の改善、計数の精度向上などが求められ、その都度、都は対応を行ってきました。各局財務諸表においても、一部の局に資産計上における連携に不十分さがあることや、資産の登録漏れがあることが指摘されるなど、取り組みが求められています。
 それでは、都がこれまで財務諸表を改善してきた取り組みについて伺います。

〇佐藤会計制度担当部長 会計管理局としましては、これまでも正確な計数の把握という点につきまして、財務会計システムの計数と、財産や債権などの各システムとの計数を一致させる照合作業に重点を置いてまいりました。また、各局におきまして正確な財務諸表作成に資するよう、マニュアルの充実や職員への説明会を実施してまいりました。
 その結果、平成二十一年度の過年度損益修正でございますが、制度導入の初年度である平成十八年度に比べて大きく減少するなど、財務諸表の精度は年々向上してございます。今後も財務諸表の精度を高めるための取り組みを継続的に行ってまいります。

〇中村委員 財務諸表を政策の有効性を議論、評価するツールとして高めていただけることを期待します。
 最後に、財務会計システムから作成される財務諸表のうち、会計別財務諸表や財務局による目別、事業別財務諸表は、パンフレットを作成したり、都のホームページに掲載するなどして、都民に対するアカウンタビリティーを進めてはいます。しかし、局ごとに作成されている財務諸表は、議会には報告され決算審査、審議に活用されてはいますが、今後局別の都民に対する経営報告もより果たされていくべきです。都民への説明責任をより高める取り組みが必要であると考えますが、見解を伺います。

〇佐藤会計制度担当部長 会計管理局といたしましては、東京都の財務諸表につきまして、カラーの図表やグラフを用いて解説しました概要版を作成し公表するなど、都民への説明責任をより果たすための取り組みを行ってまいりました。
 組織別や事業別など多様な財務諸表の作成は、日々の仕訳による本格的な複式簿記を採用しております都の方式の特色でありまして、現在のところ、他の自治体にはない取り組みでございます。この新公会計制度を運用するに当たり、会計管理局は、都政運営のインフラである会計制度と財務会計システムを所管する立場から、各局に対する財務諸表の作成方法の指導や、会計データの提供などを担っております。
 一方、局別の財務諸表につきましては、各局が決算参考資料として、都議会の決算特別委員会分科会に提出してご審議をいただいております。こうしたことから、都民への説明責任を果たすために、各局が所管する事業につきまして、局別財務諸表や事業別財務諸表を含め、新公会計制度によって得られる情報をいかに活用するかにつきましては、各局で判断すべきものと考えておりますが、適切に活用が図られているものと認識をしております。当局としましては、今後とも各局と連携をとりながら、都民への説明責任を一層果たすべく努めてまいります。

〇中村委員 公会計制度は、知事がさまざまな場面でご自分の成果として述べているのですから、知事みずからが指示を出して、全都庁として取り組むぐらいでもよいのではないかと思います。ないものをつくれといっているわけではなく、既に作成され議会にも提出されているのですから、すぐにでもできると思います。会計管理局としても各局と連携をということにとどまらず、ぜひとも知事に提案して実現させていただきたいと思います。
 また、我々都議会民主党は、都がこれからも財務諸表を活用し、行財政改革を進めるとともに、効率的かつ効果的な施策を実施し諸問題の解決に取り組まれること、その際には都民への説明責任を果たしていくことを望み、質問を終わります。
 以上です。


◆青少年・治安対策本部への質疑

1.若者のひきこもり対策について

〇中村委員 若年者自立支援について質問します。
 東京都が平成十九年度に若年者自立支援調査研究を行ったところ、都内のひきこもりの人数は少なくとも二万五千人という推計結果が出ました。これほど多くの若者がひきこもりの状態にあるということは大きな問題であり、対策が大変重要であると考えます。実際は抽出からの推計値であり、また対象も十五歳から三十四歳までであったことから、今後はその実態把握も必要になるとは思います。
 そもそもこのひきこもりの問題は、単なる怠け者として扱ってしまえば、本当の状況が見えてこないことになります。一概にレッテルを張るのは大変危険ですが、精神疾患、軽度知的障害、発達障害の方など、さまざまな原因がそのような状況をつくり出しているということもあるようです。また、直接的な原因となるいじめや不登校、就職でのつまずきなども、そもそもの原因がこうした障害等に起因している可能性も指摘されます。単なる甘えだと切り捨てることなく、さまざまな要因を分析し、対応が必要な問題ともいえます。
 国でも大きな問題であるとの認識から、子ども・若者育成支援推進法が二十一年七月一日に成立、平成二十二年四月一日から施行されました。その中では、地方公共団体の責務として、子ども、若者の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有すると定められました。
 そこでまず最初の質問として、都はどのように対策を講じているのか伺います。また、対策の結果どのような実績が出ているでしょうか。相談件数だけではなく、具体的な成果などもあわせてお伺いします。

〇浅川青少年対策担当部長 都は平成十六年度から、東京都ひきこもりサポートネットを運営し、ひきこもりの状態にある本人や家族、関係者などからのメールと電話による相談に対応しております。その実績といたしましては、事業開始時から本年八月末までで一万六千九百五十七件のご相談をいただいております。
 また、平成二十年度から、東京都若者社会参加応援ネット、コンパスを、NPO法人等との協働で実施しております。これは都が作成したひきこもり等の若年者支援プログラムに基づき、ひきこもり等の状態にある若者やその家族などに対する支援を行うことにより、同プログラムをNPO法人等において実践、検証し、確立する事業でございます。
 事業開始時から本年八月末までのコンパスの実績は、訪問相談が五百八十九件、フリースペースの提供が一万二千百七十六件、社会参加活動が三千八百二件で、平成二十二年八月末時点での登録者数は二百五十七人などとなっております。
 具体的な成果といたしましては、自宅の外に出ることがまれであったひきこもりの方が、訪問相談の結果、フリースペースに通うようになり、仲間との交流を通して徐々に自信を取り戻し、地域の清掃活動やお祭りに参加できるようになったという事例などの報告を受けております。

〇中村委員 若者が、東京都若者社会参加応援ネット、コンパスによる支援の結果、自立に向けて進んでいる方もいると聞き、大変よいことだとは感じます。現在では都内四カ所のNPO法人に委託して実施されていますが、コンパスの今後の展開はどのようになっているのか伺います。

〇浅川青少年対策担当部長 都は、ひきこもりなどの状態にある若者をNPO法人が支援する枠組みである、ひきこもり等の若年者支援プログラムを平成十九年度に策定いたしました。平成二十年度には、そのひきこもり等の若年者支援プログラムをNPO法人等において実践し、検証と見直しを行うため、東京都若者社会参加応援ネット、コンパスを開始し、今年度で三年目となります。
 この間、コンパスの実施状況を踏まえ、毎年度ひきこもり等の若年者支援プログラムの検証と見直しを行っておりまして、今年度はそのプログラムの確立をすることとしております。また、学識経験者、NPO法人への支援を行っている団体の職員などを構成員といたします、ひきこもり等の若年者支援プログラム普及定着方法に係る検討会におきまして、NPO法人に対するひきこもりなどの若年者支援プログラムの効果的な普及定着策を検討しております。
 ひきこもり等の若年者支援プログラムの確立を目指してきた現行のコンパスは、今年度をもってその役割を終了し、今後は、より多くのNPO法人などに対して、確立したひきこもり等の若年者支援プログラムの普及、定着を図ってまいります。

〇中村委員 支援プログラムを確立して普及、定着を図っていくということですが、なぜ現行のコンパスを終了するのか改めて伺います。

〇浅川青少年対策担当部長 先ほど、副委員長のお話にありましたとおり、都内のひきこもりの人数は少なくとも二万五千人と推計されております。このように多くのひきこもりの若者を支援するためには、良質なNPO法人が多数、社会基盤として整備される必要がございます。
 そこで都は、ひきこもりの若者に対して有効な支援を行うことのできる支援団体数の増加に取り組むこととしております。具体的には、コンパスで検証と見直しを行ってきたひきこもり等の若年者支援プログラムを、幅広くNPO法人等に対して普及、定着させることで、より多くのひきこもり等の若者に良質な支援を提供できる環境を整備してまいります。コンパスは、ひきこもり等の若年者支援プログラムの確立に伴い、その役割を終了することになるものでございます。

〇中村委員 お答えを聞きまして、単にコンパスを終了させるということではなく、より多くの団体に範囲を広げていく趣旨だとは受けとめました。ただ、終了による影響が大きく出ないよう、受託者の状況を聞きながら、必要であれば暫定的な対策を講ずることも検討していただきたいと思います。
 また、大きな社会的な問題ですので、事業そのものを拡大させていくことが求められます。今後は支援を行う団体数をふやすだけではなく、その育成や補助、また、そこに通う若者に対して市区町村が支援する仕組みを、都として創設することなども検討されてもよいのではないかと思います。
 冒頭にも述べましたが、若者の自立支援は原因がそもそも多様であり、福祉、教育、雇用、医療等の広範な連携がないとできません。福祉や教育が責任を持って若者の自立支援を行い、施策の重点化を図るべきではないかと思いますが、見解を伺います。

〇浅川青少年対策担当部長 副委員長のお話のとおり、ひきこもりに至る要因はさまざまであり、また、ご本人が希望される社会参加のあり方もさまざまでございます。就労、就学支援事業や精神障害、精神疾患への対応などを含めまして、関係相談機関と連携しつつ、適切な支援を実施する必要がございます。
 そのため都は、ひきこもりに係る機関が相互に連携し、総合的な対策を講じていくことにより、若者の自立を促進することを目的として、東京しごと財団、東京都教育相談センター、都及び区の保健所など、庁内外の関係相談機関で構成いたしますひきこもりに係る連絡調整会議を設置しております。この連絡調整会議等を活用し、今後とも相談機関相互の情報共有、連携強化を図ってまいります。

〇中村委員 ひきこもりの問題は大変大きな問題です。多くの部門にまたがる問題ですので、これは都政全体の問題かもしれませんが、横断的に取り組む組織での事業ということよりも、専門的に取り扱う組織が取り扱うことも検討されてもよいかと思います。ひきこもりが長期に及べば、社会的な損失ということだけではなく、家族の負担も重く、何より本人の人生にとって大きな影響を与えてしまいます。今後も相談体制の拡充や居場所づくり、地域との連携、また社会の偏見をなくすべく啓発活動など含めて、より事業の重点化をお願いします。

2.非行少年の立ち直り支援について


〇中村委員 次に、非行少年の立ち直り支援についての課題と取り組みをお伺いします。
 罪を犯した青少年も必ず地域に戻ってきます。成人とは違い、成長過程における青少年が再び罪を犯すことなく立ち直るためには、地域の理解が必要です。更生保護については、法務省主導の社会を明るくする運動が各地域で行われています。私も地元三鷹市が行う行事にも参加しましたが、すぐに効果があるものでもありませんが、地道な啓発活動は続けていく必要があります。
 昨今では保護司のなり手も少なく、また若者がキレやすくなるといわれるなど不安も大きいと聞きます。また、個人情報がインターネットで流れる危険性もあり、更生保護にとっては困難な状況があります。
 そこでまず、非行少年の立ち直り支援について都の基本的な考え方を伺います。

〇浅川青少年対策担当部長 平成十八年の第二十六期青少年問題協議会の答申、少年院等を出た子どもたちの立ち直りを、地域で支援するための方策についてにおきまして、立ち直りの決意を持って少年院等を出た子どもたちに対し、地域社会が適切な支援を行うことが、再犯を防ぐとともに、少年を地域社会の一員として迎え入れるために必要であるとの指摘がなされました。
 こうした指摘を踏まえまして、都におきましては、保護司との連携を図りながら、地域社会において少年に対する支援を実施していくことが重要であるとの考え方のもと、少年院出院者の立ち直りを図るための保護司活動支援協議会を設立し、関係機関、団体と保護司との意見交換等を行うとともに、こうした保護司の意見などを反映させて、就労、就学支援や生活面でのサポート、居場所の提供などに関する事業を実施しております。

〇中村委員 都は民間団体に委託してぴあすぽを立ち上げ、相談、就労支援を行っていますが、その取り組みの成果をお伺いしたいと思います。

〇浅川青少年対策担当部長 非行少年の立ち直りのためには、少年の就学、就労、生活全般の悩みに対する適切な対応と、さまざまな年代や立場の大人たちと触れ合いつつ、自分自身の将来について落ちついて考えることのできる居場所が必要であると考えております。
 このため、相談対応や居場所の提供を行うことを目的とした非行少年立ち直り支援ワンストップサービス事業、ぴあすぽをNPO法人と連携し、設置運営しております。
 具体的には、ふだん感じている悩みや将来についての面接相談などの生活自立支援、学習支援や学校見学への同行などの就学支援、しごとセンターへの同行や面接の練習などの就労支援などを実施しております。
 事業を開始した平成二十年八月から平成二十二年三月までの延べ利用者数は、少年本人、保護者、関係者合わせて計五百六十七人でございます。具体的な事例といたしましては、高校進学を希望する少年に対し、作文や面接の指導などの学習支援を実施し、進学に結びつけたケースがございます。

〇中村委員 青少年の更生保護については個人情報の問題もあり、自治体ではその実態把握が困難で、本来的には国の役割が求められます。しかし、先ほど述べましたが、青少年は必ず地域に戻ってきますし、むしろ地域が温かく迎えることで更生保護につながっていきます。そのためには、最後には住民の理解と協力が必要になるため、住民とより密接した市区町村の役割が重要になります。
 非行少年の立ち直り支援のため、二十一年度には大田区と八王子市にモデル事業を委託しましたが、その事業の成果と今後の見解を伺います。

〇浅川青少年対策担当部長 区市町村青少年立ち直り支援モデル事業は、区市町村における非行少年の立ち直り支援のあり方を検討するため、平成二十一年度から大田区及び八王子市に委託して実施しているものでございます。
 両区市におきましては、自治体、保護司会、PTA、民生児童委員、警察署などによる連携体制を構築するとともに、少年や保護者からの相談窓口の設置、保護観察少年の参加する清掃活動、立ち直り支援への地域の理解を深めるためのイベント、講演などを実施した結果、関係機関、団体との連携の強化や、非行少年等の立ち直り支援に対する理解の深まりが見られたところでございます。
 今後は両区市における実施結果を参考に、区市町村における立ち直り支援のあり方を検討していく考えでございます。

〇中村委員 ご答弁ありがとうございます。都としてもモデル事業の成果を検証し、市区町村への支援をお願いします。
 現在、安全・安心なまちづくりが進められ、住民によるパトロールも推奨され、そのものはよいことだと思います。ただし、それは決して監視社会につなげるためのものではなく、いたずらに異質な人を排除してはならないという難しさもあります。さまざまな地域住民への研修や講習なども行われると思いますが、非行少年の立ち直りには地域の理解と協力が必要であることを引き続き求めていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。


◆財務局への質疑

1.財産管理について

〇中村委員 財産管理について質問します。
 財産面から決算を見た場合に、財産売り払い収入や財産貸付収入はかなりの額を占めています。日本経済が冷え込んでいる状況でも、二十一年度においては七十億円を超える財産売り払い収入がありました。
 都議会民主党は、さきの定例会での都有地売却の事案に対する討論において、一、都市づくりや地域経済の活性化、地域環境の向上など広域性、一体性の観点からも吟味して活用すること、二、規模の大きな行政財産の廃止や売却などを行う場合、地域社会に与える影響が大きいため、地域の合意形成に向けた取り組みが必要であること、三、財産情報システムの掲載事項の充実や、暫定活用中の土地の別途表示などを行い、都有財産の有効活用を進めていくことの三点を主張しました。
 都有地の売り払いで一定の収入を確保することも必要ですが、都内に残る貴重な財産は再び確保するのは容易ではないだけに、保持したまま都施策や地域施策のために活用していくことが最も重要なことです。そこで、従前の行政用途が廃止され、新たに活用できる財産が発生した場合に、現在どのような考え方のもとに使い方が検討されているのか伺います。

〇松本財産運用部長 都有財産は都民から負託されました貴重な財産であることから、その財産価値を最大限発揮させるとともに、都政の喫緊の課題解決のために、各局と連携し、利活用を推進していくことが重要でございます。
 このため、行政用途が廃止されました財産の利活用に当たりましては、まず第一に、都の事業への活用可能性を各局に照会し、それがない場合は、次に区市町村事業への活用可能性を、地元の区市町村に照会してございます。それでも使用がない場合は、民間への貸し付けや売却を検討いたしますけれども、その際には、都内に残る貴重な財産は保持するとの観点から、民間に売却等を行う財産と保持し続ける財産との選別を行い、保持する財産につきましては、当面の間暫定活用を行うなどの有効活用を図っているところでございます。

〇中村委員 都政の喫緊の課題への財産利活用は、福祉施設の充実など、都民が強く求める施策の充実に寄与することから、積極的に推進すべき取り組みです。都は平成十二年度の財産利活用総合計画、十五年度の第二次財産利活用総合計画などで、財政が厳しい時期に資産の売却が出されましたが、その後財政状況が改善したことを受け、平成十九年度の今後の財産利活用の指針が示され、環境変化に対応した新たな利活用の方針へと転換され、施策連動型の財産利活用の推進がうたわれました。
 そこで、都有地はこの施策連動型の財産利活用の推進という視点で、これまでどのような施策に使われているのか、実績を伺います。

〇松本財産運用部長 都の施策連動型の財産利活用の実績でございますけれども、例えば福祉のインフラ整備事業として、区市町村を介して高齢者向けまたは障害者向けなど、民間福祉事業所に対し都有地を長期貸し付けてございます。
 また、都内施設の耐震化推進に向けまして、私立学校について、その耐震改修を支援するため、一定期間都有地の貸し付けを行っております。
 さらに、都市部の緑化推進のため、通常の一・五倍の緑地創出を条件といたしまして、事業用定期借地契約で民間事業者へ土地を貸し付けている事例もございます。

〇中村委員 さまざまな方面の施策に財産が利活用されており、今後も引き続きの取り組みに期待します。
 一方、一定の行政用途が終了した都有地については、土地の所在や経営上の関係もあり、すべてをすぐに別の用途に使うことは困難です。小規模の土地であれば、しばらく使い道がなく、あいたままの状態であることも、都市の中の貴重な空間として悪くはありません。しかし全く活用されないということであれば、都民からは、行政としては何をやっているんだと問われかねません。その意味では、当面の暫定活用ということも重要な取り組みの一つです。
 そこで、未利用となった都有地はこれまでどのように暫定活用しているのか伺います。

〇松本財産運用部長 未利用となった都有地をどのように暫定活用しているかということでございますけれども、例を申し上げますと、都内における駐車場確保の観点から、自動車や二輪車用のコインパーキングとして都有地の暫定活用を行っている事例がございます。また、環境配慮型の住宅を展示する住宅展示場に用途限定をいたしまして、民間事業者へ貸し付けている事例もございます。さらに、面積の比較的小さな土地につきましては、緑化条件をつけて自動販売機を設置するというような取り組みも行っております。
 今後とも、都施策への貢献という観点を踏まえまして、民間事業への都有地の貸し付け等を行うなど、積極的に未利用都有地の暫定活用を推進してまいります。

〇中村委員 暫定活用にも積極的に取り組んでおり、さまざまな形で都有財産が活用されている現状についてお答えいただきました。
 今後も都政の喫緊の課題解決に向けて、各局や市区町村との情報連絡を密接に行っていただきたいと思います。とりわけ福祉施設などの施策に連動した財産利活用を強く推進していくことはもちろん、公開可能な財産は都民や事業者に周知することが大変重要です。積極的な情報公開をお願いしたいと思います。今後も財産の暫定活用について引き続き積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

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