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都議会質問記録

【16】2010/10/25 外部団体への監査、政策減税について質問

2010年(平成22年)10月25日、東京都議会 平成21年度各会計決算特別委員会 第1分科会において局別審査(議会事務局、監査委員会事務局、収用委員会事務局、主税局)に関する質疑を行いました。以下に質問と答弁を掲載します。

◆監査委員会事務局への質疑

〇中村委員 東京都が補助金を出している団体や委託している法人などが適切に事務を執行しているかというのは大変重要な問題だと認識しています。それらの団体に対する監査について伺いたいと思います。東京都では、厳しい財政状況のもと、行財政改革が行われ、行政の役割が大きく変わってきました。かつては行政みずからが行っていた事業について、都の外郭団体である監理団体等や民間団体へのアウトソーシング化が進められてきました。これは、直接都が事業を行わないことをもって都政が縮小したと単純にとらえるのではなく、むしろ委託や指定管理、または補助などを通じて東京都がこれまでかかわってこなかった事業にまでかかわりが広がり、むしろ公の領域は拡大しているといえなくはありません。拡大された公の領域において使用されるお金も、もともとは都民の税金ですから、その適正な使用が担保されるためには、外部であるだけにきちんとチェックする仕組みが必要であり、当然のことながら監査の役割が重要になります。先般ご説明いただいた決算概要では、監査事務局は財政援助団体等監査を実施しているとのことですが、そもそも財政援助団体等監査とはどういう監査なのか伺います。

〇並木監査担当部長 財政援助団体等監査についてでございますが、これは地方自治法第199条第7項により監査委員が行う監査であり、地方自治体が補助金等の財政援助を行っている団体や出資している団体、公の施設の指定管理者などを対象として実施するものでございます。実施に当たっては、毎年実施計画を策定して計画的に行っており、原則として1団体について2カ年の事業を対象に実施してございます。

〇中村委員 補助団体や出資団体などを対象に毎年計画を立てて監査を実施しているとのことですが、平成21年にはどういう団体に監査に入り、結果はどうだったのか、監査の実績と主な指摘内容について伺います。

〇並木監査担当部長 財政援助団体等監査の実施方法についてでございますが、補助金等交付団体に対しては交付額や過去の指摘等の実施、指摘等の状況などを勘案し、2年から5年の範囲内で1回、出資団体に対しては事業規模や都の出資比率等を勘案して2年から4年の範囲内で1回監査を実施することを目安としてございます。これに基づき、平成21年においては、学校法人、社会福祉法人等の補助金等交付団体については163団体、監理団体等の出資団体については15団体について監査を実施し、指摘事項38件、意見、要望事項3件があったことから、議会に報告の上、公表してございます。その主なものは、補助金の返還を求めるものや財産の帰属について明確な取り扱いを求めるものなどでございます。

〇中村委員 選定基準に基づいて平成21年の監査実施団体を決定し、監査に入ったとのことです。しかし、最近でも国の会計検査院により発覚した国庫補助事業に係る事業費の不適正な経理事件を見ても、補助金の交付をめぐっては不正が働きやすいのではないでしょうか。また、都が多額の出資をしている団体の多くは監理団体でもあります。そこで、財政援助団体に対する監査について、もっと頻度を上げる必要があると考えますが、見解を伺います。

〇並木監査担当部長 財政援助団体等監査の実施についてでございますが、地方自治法199条において、各局の事務事業を見る定例監査が毎年1回以上期日を定めて監査しなければならないとされているのに対しまして、財政援助団体等監査は必要があると認めるときは監査できるとされており、その取り扱いが異なってございます。その中で年間を通じて、定例監査、工事監査、行政監査、決算審査に合わせて財政援助団体等監査を計画的、効率的に実施しており、人的、時間的な制約の中、可能な限りの監査を実施しているということでご理解を願います。

〇中村委員 人的、時間的な制約があり、現在でも可能な限りの監査を実施しているとの答弁でした。確かに、予算や職員定数に限りがある中で頻度を上げることは難しいかもしれませんが、工夫を凝らして監査の充実に努めていただきたいと思います。また、補助団体や出資団体の適切な事務執行を確保するためには、一義的にはその団体を所管する局がしっかりとチェックをし、不正を見逃さないことが重要です。そこで、財政援助団体を所管する局がその団体に対して行っている指導監督について、監査をどのように実施しているのか伺います。

〇並木監査担当部長 財政援助団体を所管する局への監査についてでございますが、財政援助団体等監査において団体に問題があった場合には、その所管局の指導監督についてもあわせて監査を行い、問題があれば指摘や意見、要望を行っております。平成21年監査におきましては、補助金の算定方法が統一的に行われていない事例につきまして、算定方法の統一と法人への周知の徹底等により適正に審査するよう所管局の指導監督について指摘を行った例などがございます。

〇中村委員 財政援助団体を所管する局の指導監督状況についての監督監査をもっと充実してほしいと思います。また、先ほどの答弁の中で財政援助団体等監査の対象に委託業者が入っていませんでした。委託業者が監査の対象になっていないというのは、少々不思議な感じがします。都は行政改革により民間活力の導入や民間委託の拡大などを進め、従来、都が直接行っていた事務事業をアウトソーシングしてきました。都の事業であれば毎年必ず監査を行っているはずですが、外部委託化してしまえば外れてしまいます。外部委託化したものこそしっかりと監査でチェックすべきです。そこで、委託業者に対する監査はどうなっているのか、また、各局が行う委託業者への指導監督について、監査をどのように実施をしているのか伺います。

〇並木監査担当部長 委託業者に対する監査についてでございますが、地方自治法第199条第7項で定める財政援助団体等監査においては一般の委託業者は対象とされておりませんが、委託契約は定例監査の対象であり、契約手続や履行の確保が適正であるかについて、局に対して監査を行っております。加えて、指定管理者が公の施設にかかわる管理を受託している場合や都の出資団体が都から受託して業務を行っているような場合は、それらの委託事業についても財政援助団体等監査の対象として監査を実施してございます。また、近年、局の事務事業を監理団体に移管し、一体的に局事業を推進するという状況が見られることから、平成21年行政監査の中で水道事業における監理団体の業務委託を対象に監査を実施したところでございます。

〇中村委員 ご答弁ありがとうございました。今回、財政援助団体等監査について何点か質問をさせていただきました。現在、国においては総務省の地方行財政検討会議において監査制度の抜本的な見直しについて検討を行っています。そこでは財政援助団体等監査を見直し、首長みずからが内部統制として行うということも議論されているようです。しかし、都においては各局に対する定例監査と財政援助団体に対する監査とが相まって、初めて行政の事務執行全体を監査することができるのであって、財政援助団体等監査は独立した機関が行う必要があると考えます。また、都議会民主党は行政改革プロジェクトチームを立ち上げ、その中に監理団体検証ワーキンググループを設置して、監理団体の検証を進めています。監理団体など都が補助金を出している団体や委託している法人等に対する監査がますます重要となってくることを申し上げて質問を終わります。

◆主税局への質疑

〇中村委員 まず、最初の質問として都税収入について伺います。一昨年、平成20年8月のリーマンショック以降、景気状況が悪化をし、平成20年度の決算は、当初予算で5兆5,097億円が最終決算では5兆2,801億円となりました。この年度は途中から景気が悪化したのでこの程度でしたが、昨年平成21年度は引き続き厳しい景気状況が通年で続いたこともあり、税収にも大きな影響を与えました。そのため、当初予算でも4兆7,577億円と大幅な減収でしたが、さらに3月に議決された最終補正では4兆2,532億円にまで下方修正されました。決算では最終的に4兆2,867億円と若干最終予算を上回ったものの、厳しい状況に変わりはありません。そこで、まず、平成21年度の厳しい景気の状況が都税収入にどのような影響を与えたのか伺います。またあわせて、今後の税収の動向についても伺います。

〇田倉税制部長 平成21年度の都税収入につきましては、企業収益の悪化及び地方法人特別税導入の影響により、法人二税が大幅に落ち込んだことなどから、前年度決算額に対しまして、過去最大の約1兆円の減収となりました。また、その他の税目につきましても、厳しい雇用情勢や景気後退に伴う所得の減少等の影響を受けまして、総じて減収となっておるところでございます。次に、今後の税収の動向についてでございますが、平成22年度の都税収入につきましては、税収に占める割合の高い11月の法人二税の中間申告の状況を見きわめる必要がございまして、現時点では確たることを申し上げることが可能な状況にはございませんが、しかしながら、急激な景気の下降局面で発生をいたしております多額の繰越欠損金による減収の影響なども踏まえますと、今後税収が大幅に好転することは期待できないものと考えております。

〇中村委員 決算の資料によると徴収率が下がっていますが、その理由をお伺いします。また、都税事務所ごとの収納率も公表されていますが、差があるのはなぜでしょうか、伺います。

〇田倉税制部長 平成21年度の都税の徴収率は、前年度の97.4%から0.6ポイント低下し、96.8%となりました。これは第一には、雇用、所得環境の悪化に代表される厳しい景気の状況を反映したものと考えております。なお、既に明らかになっている全国の平成21年度の道府県税徴収実績によりますと、全国平均の徴収率は、前年度と比較して0.8ポイント低下をしております。また、都税のうちの道府県税分の徴収率は全国平均を0.4ポイント上回っている状況でございます。次に、都税事務所ごとの徴収率の差についてでございますけれども、各税目の特性によりまして徴収率には差が出てまいります。そうした前提で申し上げますと、いわゆる中心区の事務所では法人二税の税収の割合が高く、周辺区の事務所では固定資産税、都市計画税の税収の割合が高い傾向があるなど、都税事務所間で各税目の税収の構成比が異なること、このことが主な理由であるというふうに考えております。

〇中村委員 次に、政策減税について伺います。税については、その大枠を国が決めているため、都独自の税制というものを打ち出しにくくなっています。そうした中で、東京都では震災対策や地球温暖化対策などの重要政策について、事業局と協力して効果的と判断された場合に政策減税が行われています。そこで、まず、平成20年9月に導入が発表された耐震化促進税制について、適用を受ける見込み件数とその実績について伺います。

〇田倉税制部長 耐震化促進のための減免措置の適用見込みにつきましては、平成19年3月に都市整備局が策定した東京都耐震改修促進計画に基づきまして、平成27年に住宅の耐震化率の目標である90%を達成するための計画数をベースに試算をしております。減免見込み件数は、平年度ベースで建てかえが約2万6千件、耐震改修が約2万4千件でございます。減免見込み税額は、建てかえ及び耐震改修の合計で平年度ベースで約60億円から70億円程度でございます。実績につきましては、平成22年度定期課税時点での建てかえ適用件数が3,099件、耐震改修の適用件数が1,259件、減免税額は建てかえ及び耐震改修の合計で約4億6千万円となっております。

〇中村委員 減税措置の適用見込みと比べて実績が低いようです。効果があると考えているのでしょうか、伺います。

〇田倉税制部長 主税局といたしましては、東京都のホームページや「広報東京都」による広報活動を初めといたしまして、防災関係事業でのチラシの配布や関係団体の説明など、幅広く周知活動を行っているところでございます。当初の見込みと比べますと実績が低い理由といたしましては、耐震化に取り組むか否か、これは所有者の意思にゆだねられているところもございます。また、建てかえ及び耐震改修に際しまして、多額の費用がかかり、費用面での資金繰りの困難なことなどから、建物所有者の行動に結びつかないのではないかと考えておりますが、この税制は税を減免することによりまして、耐震化促進へのインセンティブとなるとともに、助成事業などとの相乗効果、アナウンスメント効果によって住宅の耐震化率の向上に寄与するものと認識をしておるところでございます。

〇中村委員 さて、この耐震化促進税制が導入された際は、対象が23区限定であったことから、東京都市長会、町村会から緊急要望書が提出されました。そこでは市町村に影響を与える税制改正措置については、事前に十分な相談と調整を徹底すること等3項目について要望がなされましたが、私も多摩地域選出の議員として全く同感です。そこで、多摩地域に影響を与える政策税制の創設については、事前に十分な相談を行うべきではないかと思いますが、見解を伺います。

〇田倉税制部長 固定資産税及び都市計画税は市町村税でございますので、東京都は市町村に対する課税権を有しておらず、こうした制度的な限界がありますことから、耐震化促進税制は必然的に23区に限定したものとなったわけでございます。政策税制の創設につきましては、各市町村の課税自主権にゆだねざるを得ないというふうに考えております。

〇中村委員 東京都では、組織を横断した地球温暖化対策が講じられて、主税局においても独自の環境税制を実施しています。このうち中小企業者が対象とされている省エネ促進税制が昨年度創設されていると思いますが、実績が低いと聞いています。そこで、その実績と減免申請が伸びない理由、制度導入の効果について伺います。

〇田倉税制部長 法人事業税及び個人事業税の中小企業者向け省エネ促進税制は、一定の事業所におきまして特定の省エネルギー設備等を取得した場合に、その取得価格の半額につきまして1千万円を上限に、法人及び個人の事業税額の2分の1まで減免するものでございます。法人事業税につきましては、平成22年の5月末から減免申請が始まっておりまして、平成二十一年度決算においては影響額はございませんが、22年9月末時点では23件の申請がございまして、減免申請額は約1,460万円となっております。当初想定いたしました件数をかなり下回っておりますが、これは制度創設から間がないこと及びリーマンショック以降の景気低迷により、中小企業者が省エネルギー設備更新の余力が乏しくなっていることなどが理由として考えられております。また、効果といたしまして、本制度の実施が企業の自主的な省エネ努力へのインセンティブとなり、低炭素型都市の実現、地球温暖化対策の推進に寄与するものと考えております。なお、個人事業税につきましては、平成23年8月の定期課税分から減免申請の受け付けを開始いたします。

〇中村委員 ご答弁ありがとうございました。政策の目標達成そのものは、税の減免だけではなく、むしろ事業局による他の施策を含めた事業全体の取り組みによるところが大きいとはいえます。とはいえ、実施に踏み切った税制ですから、効果が上がるよう主税局としてもさらなる広報活動をお願いします。なお、政策減税については、税の公平性から大変その導入は難しいものがありますが、今後も重要政策の実現のために、調査研究を行っていただきたいと思います。以上で質問を終わります。

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