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都議会質問記録

2021/10/19 財政委員会で待機児童解消、建設労働者の賃金向上を質問

2021年10月19日、都議会の財政委員会が開かれ、財務局の事務事業についての質疑が行われ、待機児童解消に向けた保育園の整備のための都有地の活用、公共事業における建設労働者の賃金の向上について質問しました。

○中村委員 それでは、財務局の事務事業について質問します。
 まず最初に、都有地の活用について伺います。
 長引く新型コロナ禍の下、その対応が注目されていますが、従前から問題になっている保育園の待機児童の問題については、依然として都の大きな課題であり、引き続き、その解消に向けて取り組まなければなりません。
 都は、長期計画に当たる未来の東京戦略において、都内の保育園の待機児童解消を早期に解消し、その状態を継続していくことを目標としており、保育所の整備をはじめとした保育サービスの充実に取り組んでいます。
 そこで、都の待機児童解消に向けた取組の一つとして、都有地活用推進本部がありますが、確認も兼ねてその概要について伺います。

○五十嵐財産運用部長 都有地活用推進本部は、平成二十八年九月に発表しました待機児童解消に向けた緊急対策に基づき、都有地を活用した保育所等の整備を一層推進するため、副知事をトップとして設置されたものでございます。
 本部では、保育所等として活用可能性のある百平米以上の都有地を、公営企業局所管の土地も含めて全庁横断的に洗い出し、年に複数回、区市町村に情報提供しているところでございます。
 提供した都有地情報は、都のホームページから、誰もが閲覧可能な状態にしており、あわせて、統一的な窓口であるとうきょう保育ほうれんそうを設置して、民間事業者や区市町村からの問合せなどに対して、きめ細かに対応しているところでございます。

○中村委員 都が都有地を活用した保育所の整備を進めるため、全庁挙げて取り組んでいるとのことでした。きめ細かくご対応いただいているとのことですが、民間事業者とか、また、市区町村に対しても、引き続き丁寧な対応にしていただくようお願いをいたします。
 都有地活用推進本部の取組により洗い出された都有地における保育所の整備は、どのような形で行われるのでしょうか。整備を促進するための工夫などがあれば併せて伺います。

○五十嵐財産運用部長 都有地活用推進本部を通じて情報提供を行った都有地について、区市町村から活用意向が示された場合には、福祉インフラ整備事業のスキームを活用して、都有地を減額して貸し付け、保育所等の整備を進めております。
 待機児童解消に向けた緊急対策以前の福祉インフラ整備事業では、都が直接公募を行い、保育事業者に対して都有地を貸し付けておりました。
 しかし、公募に当たりまして、より積極的な関与を望む区市町村もあったことから、本緊急対策では、区市町村の主体的な取組と保育所等の一層迅速な整備を促すことを目的として、区市町村の適切な関与を条件に、保育事業者への転貸を前提とした区市町村に対する都有地の貸付けも可能としたところでございます。

○中村委員 地域の事情をよく知る市区町村の主体的な取組や整備の加速を促すための制度の改善も行われているとのことでした。やはり現場に一番近い自治体が市区町村ですし、自治体ごとに状況も違うので、より一層連携を図っていただくことを求めます。
 さて、都有地活用推進本部の取組により、どのような成果が上がっているのでしょうか。また、待機児童の解消に向けて、引き続き取組を継続すべきと考えますが、今後の取組についても併せて伺います。

○五十嵐財産運用部長 都有地活用推進本部を通じて、保育所等として活用可能な都有地を全庁横断的に洗い出した結果、平成二十八年九月から令和三年九月までの間に、十五回にわたって、延べ二百七十八件の都有地情報を区市町村に提供しております。本部を通じて情報提供を行った土地の中から、これまでに十六件の土地において、保育所等が開設済みとなっており、今後も三件の開設が予定されているところでございます。
 今後の取組につきましては、都における待機児童対策の動向を見据えつつ、関係局と連携し、都の施策実現に向けて、引き続き、財産面から適切に対応してまいります。

○中村委員 都有地の活用により保育園の整備が進んでいるとのことです。
 こうした取組も含めて、令和三年四月時点の都内の保育園の待機児童は九百六十九人となるなど、その数は着実に減少はしてきています。しかし、待機児童がゼロになるまで引き続き取組を続けることが必要だと思います。
 財務局としては、この都有地の利活用という面からの支援も行っていただきたいと思いますし、今日はほかの方もいらっしゃいます。財務局ということですから、予算編成全体、都政全般におけるそういった予算編成の面でも、強力に推し進めていただきたいと思います。
 そして、少子高齢化がますます進展すると、待機児童が先々解消したとすると、今度は高齢者の施設が不足するということも当然あり得ます。都有地は、都民共有の貴重な財産であり、都の政策課題や地域の課題解決に向けて、今後も最大限有効活用していただくことを求めます。
 次の質問に移ります。
 次に、契約事務について、公契約条例などについて質問します。
 都は、公共事業を発注する際、公の立場として、そこで働く人の一定の所得を確保する必要があります。大規模な事業が多いこともあり、重層的な下請構造となるため、元請だけではなく、下請で働く人についても無関係ではありません。設計労務単価は、働く人の賃金として見積もっているのですから、実際に働く人にその金額が払われるようにすべきです。都は、賃金の実態調査を実施すべきです。
 都として、公共事業に関連して働く人の賃金をどのように認識しているのか伺います。

○金子技術管理担当部長 国が行う公共事業労務費調査では、賃金の支払い実態を調べた賃金データを基に、公共工事に適用される公共工事設計労務単価を決定しております。
 この調査では、調査対象となった工事につきましては、全ての下請を含め、建設労働者の賃金について、労働基準法に基づく賃金台帳等から調査票へ転記しており、賃金実態が適切に反映されていると認識しております。
 なお、賃金は、各企業において、対等な労使間での交渉等により自主的に決定されるとともに、経験、技能など個人の能力によっても異なるものでございまして、同職種であっても一律になるものではないと考えております。

○中村委員 賃金実態の把握はされているということではあるんですけれども、実際にこの公共事業などで、設計労務単価で見積もった部分が働いている人にどう行っているかというところまでは、なかなかまだ分かっていないのではないかと思います。ぜひ、この設計労務単価の引上げ等があった場合に、現場の建設労働者には、まだまだ浸透していないという状況もあるようですから、私は、これ、実態調査等は、国ではなくて都としてもしていただいて、現状の把握、分析を行って対応していただきたいと思っています。
 さて、都内でも既に多くの自治体で公契約条例を制定しています。その中でも、民法規整型の公契約条例を制定する自治体も多くあります。
 これは、都と受注者が、民法五百三十七条の第三者のためにする契約を締結するものです。受注者が従事する全ての労務提供者、すなわち受注者だけではなく、下請事業者などと契約を結ぶ者を含めた労務提供者に対する労働報酬下限以上の労働報酬や賃金の支払いについて、履行責務と連帯責任を負うものです。民間と民間の契約であっても、こうした仕組みを利用した公契約条例の制定は可能と考えます。
 そこで、民法規整型の公契約条例の制定をする必要があると考えますが、見解を伺います。

○小泉契約調整担当部長 我が国における賃金や労働条件は、最低賃金法や労働基準法などで下支えした上で、各企業において対等な労使間での交渉により自主的に決定されるものでございます。
 都の契約制度もそうした考え方に立脚しており、公契約条例などによる労働報酬下限額を定めることにつきましては、労働法制との整合や入札契約制度の前提である公正性、競争性の確保など整理すべき課題があると認識してございます。

○中村委員 何度もこれ、過去も質問はしているんですが、なかなか前向きな答弁が出てこないのは少し残念ではあります。
 公契約条例は、既に多くの自治体でも制定されています。都民の税で行う公共事業ですから、働く人の賃金向上につながるよう、ぜひ制定を検討していただくよう、再度お願いいたします。
 さて、こういった公契約条例の制定を求めるものではありますが、都から受注する事業者に対して、下請事業者も含め、建設技能者への適切な賃金水準の確保を要請することも必要ですが、見解を伺います。

○小泉契約調整担当部長 中小事業者や下請事業者の労働条件や労働環境の改善は重要と認識しております。
 都は、品確法の理念を踏まえまして、最新の設計労務単価を適用した適正な予定価格の設定や最低制限価格制度等のダンピング対策などの取組を行ってまいりました。
 また、都の直接の契約の相手方となる元請事業者の団体に対し、適正な賃金水準の確保を要請し、受注者としての責務を果たすよう求めております。

○中村委員 直接の相手方は確かに元請にはなるんですけれども、東京都の場合、やはり大きな工事が多いわけですから、重層的な構造になってきますので、どうか下請まで浸透するようにということも啓発していただけるといいかなと思っております。
 また、同様に、これは取引の適正化についてもあるかと思うんですが、都は、中小企業・小規模企業振興条例を制定しましたが、社会的公正を実現していく取組が必要で、取引の適正化の実現が必要です。
 都は、下請法はじめ、都の条例、そして、業界団体等が策定する適正取引のためのガイドラインなどを遵守した取引を行い、受注者に対して、下請取引の適正化を促す必要がありますが、見解を伺います。

○小泉契約調整担当部長 都はこれまでも、適正な予定価格の設定やダンピング対策などの施策を通じ、受注者による適切な賃金の支払い等、処遇の確保に向けた取組を行っております。
 都は、契約約款において法令遵守を求めることで、受注者に建設業法などに沿った適正な下請契約の締結を求めており、こうした取組を通じて、労働者の適切な処遇の確保に引き続き努めてまいります。

○中村委員 法令の遵守というのは当然のことなので、これはしっかりと徹底していただきたいと思っているんですが、やはり都の発注する工事ですから、これは、下請等に至るまで適切な取引がされるように、私はこれは求めていただきたいと思います。
 さて、働き方改革の推進のために、週休二日制の導入に対応するには、適正な工期の確保が必要です。また、建設現場で働く労働者は、日給月給制が多くて、週休二日で週五日の勤務でも、これまでと同様の収入になるようにするためには、労務費の引上げが必要です。
 働き方改革推進のため、適正な工期の確保や労務費の引上げについて見解を伺います。

○金子技術管理担当部長 公共工事の発注者といたしまして、適切な工期の設定などは、建設業の担い手確保に向けた重要な責務と認識しております。
 工期設定に当たりましては、工事に直接必要な日数のほか、施工条件や休日等を考慮した日数を加え、工事の各段階に必要な期間を適切に確保しております。
 また、平成二十八年度から試行を開始した週休二日モデル工事では、週休二日に取り組む際に必要となる経費として、国に準じて労務費を補正し、実態に即した経費を計上することとしております。
 今後とも、適切な工期の設定に努めるとともに、様々な施工現場の状況を踏まえた週休二日モデル工事を実施してまいります。

○中村委員 週休二日への対応もしていただいているとのことですが、補正率は五%とのことです。しかし、六日間で得ていた収入を五日間で得るためには、補正率は二〇%以上の必要があるとの考え方もあり、さらなる検討が必要かと思いますので、ご検討いただきたいと思います。
 さて、工事の規模が東京都の場合大きくなっているわけですが、大企業しか入札に参加できなくなってしまいます。できるだけ分離分割発注として、中小企業の入札の機会を確保する必要があります。
 中小企業の育成のために、分離分割発注の増加についてどう考えるか伺います。

○小泉契約調整担当部長 中小企業者が、地域社会の活力や都民生活の向上に果たす役割は重要であり、契約制度面からも、中小企業者の育成を後押しすることは必要でございます。
 都は、中小企業の受注機会の増大を図るためにも、これまで分離分割発注の推進に取り組んでまいりました。引き続き、契約制度面から中小企業者を支援してまいります。

○中村委員 都内には、多くの中小企業者もあります。ぜひともその支援等も含めて、こういった契約制度面からのご支援もお願いします。
 さて、新型コロナについて、ようやく第五波が収まりましたが、今後起こるともいわれている第六波への備えも必要です。コロナの直接的な安全対策としてのマスクや消毒液、検温装置、アクリルパネルや密にならないための詰所の増設も必要です。また、気候変動の影響もあるともいわれますが、夏の異常な猛暑への対策も必要です。
 働く人が安全に働ける環境整備のための安全性経費の確保が必要だと思いますが、見解を伺います。

○金子技術管理担当部長 都では、発注工事の現場につきまして、基準やガイドライン等を整備するとともに、工事施行適正化点検などを通じて、安全で働きやすい労働環境づくりや労働災害防止の徹底に取り組んでおります。
 令和二年四月には、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を図る観点から、東京都における公共工事の新型コロナウイルス感染症拡大防止対策ガイドラインを策定いたしました。この中で、工事現場で講じる感染拡大防止措置に係る費用につきましては、受注者の責によらないものとして、設計変更の対象といたしまして、受発注者間で協議を行うこととしております。
 熱中症対策につきましては、受注者に対し、計画的な予防、対策等の徹底を求める注意喚起を行っており、一般的な対策に要する費用については、共通仮設費及び現場管理費において当初工事費に計上されております。
 また、追加対策として、例えば、財務局が施行する建築工事におきましては、遮光ネットやドライミスト等を設置する費用につきましては、受発注者間で協議の上、設計変更により対応することとしております。

○中村委員 昨今、いろんな気候変動とか、いろんなことで状況が変わったりもしています。働く人の健康安全のためにも、ぜひこういったところを早め早めに対応していただければと思っております。
 さて、入札の際に、障害者雇用の促進とか防災協定など地域社会への貢献、都内中小企業の育成など、総合評価方式での加点をより積極的に行う必要があると思いますが、見解を伺います。

○小泉契約調整担当部長 総合評価方式は、価格点と技術点を総合的に評価するものであり、そのうち、技術点については、技術者の資格や過去の工事成績評定の実績など、企業の技術力に加え、ご指摘の障害者の雇用や災害協定の締結の実績など、企業の社会性、信頼性についても評価項目に設定してございます。
 一方、こうした社会性、信頼性についての加点につきましては、総合評価方式の本来の趣旨である品質確保が損なわれることがないよう、価格点と技術点、また、技術点における技術力と社会性等とのバランスについて慎重な配慮が必要でございます。
 引き続き、経済的で質が高い公共工事となるよう契約制度の活用を図ってまいります。

○中村委員 品質の確保というのは当然だと思いますが、そういう中で頑張っている企業とかもありますので、バランスは当然大事だと思いますけれども、そういう中で検討をお願いしたいと思います。
 るる公契約条例等を含めて述べさせていただきました。
 私たち立憲民主党は、働く人の賃金の向上に取り組んでいます。
 都としては、産業労働局が働く人の賃金の向上を図っていただいていると思いますが、都が直接発注する公共事業においては、当然、工事の品質の確保をしつつも、同時に賃金の向上につながるよう取り組むことが必要です。
 財務局についても、今後も公契約条例の制定を検討し、働く人の賃金向上につなげていただくことを要望して、質問を終わります。

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