2021/11/18 財政委員会で税による格差是正を求める
2021年11月18日、都議会財政委員会が開かれ、所管の会計管理局、主税局の事務事業について質疑を行いました。コロナによる基金の取り崩しへの対応としての公金管理、コロナの影響に対する税の猶予、税による格差是正への取り組みなど質問しました。主な質問と答弁の要旨は以下の通りです。
1 会計管理局への質問
○中村委員 それでは、会計管理局の事務事業について、最初に、公金管理について伺います。
新型コロナウイルス感染症に関して、支出が増加し、一方では、税収の減少が懸念されます。また、不要不急の外出や、接触を避けるためにキャッシュレス化が進むなど、時代が大きく変わりました。公金管理について、安全を最重要視し、適切に行わなければなりません。
そこで、新型コロナウイルス感染症に係る影響と対策について幾つか質問していきたいと思います。
まずは、地方自治体の歳入歳出に属する現金である歳計現金等の保管についてです。
コロナで基金が減少し、税収も減少しました。通常でも税収がない五月は資金不足になりますが、支払いを遅らせるわけにはいきません。
そこで、歳計現金等残高の令和三年度の状況について伺います。あわせて、直近三年間の平均残高の変化についても伺います。
○副島管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 歳計現金等残高の令和三年度の状況でございますが、年度当初は新型コロナウイルス感染症対策に係る経費等がかさんだことから、五月には歳計現金等の資金不足が生じたところでございます。
その後、国庫支出金収入等によりまして、五月末までにかけて残高不足は解消いたしましたが、これから年度末にかけましても、収入及び支出に係る計上時期のずれの影響が残るものと見込まれております。
また、過去三年の歳計現金等の平均残高でございますが、平成三十年度が一兆四千三百九十二億円、令和元年度は一兆三千六百七十九億円で推移いたしました。令和二年度につきましては、対前年度比で四千八百八十四億円減の八千七百九十五億円と大幅に減少しております。
○中村委員 都は、安定した税収があるので、企業のように資金不足による黒字倒産ということはないとはいえ、歳計現金等の平均残高が例年に比べて五千億円も減少したのは異常な事態であり、公金を管理する会計管理局としても、例年とは違った対応も必要であったと推測されます。
毎年度当初の資金不足についてどのように資金繰りを行っているのでしょうか。また、例年にも増して厳しい状況にあった今年度についてはどのように対応したのか伺います。
○副島管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 歳計現金等に一時的な不足が生じる場合には、基金、準公営企業会計資金などの内部資金からの一時繰替え借りや、市中金融機関からの一時借入れにより資金を調達しまして、その不足を賄うこととなります。
都におきましては、内部資金からの調達が可能であることから、基金からの一時的な借入れである一時繰替え借りを行いまして、支払いに支障を来さないようにしておるところでございます。
例年でございますと、五月末を挟む短期間、一時繰替え借りを行い対応しているところでございますが、今年度につきましては、年度当初から資金不足が見込まれたため、四月十二日から五月三十一日までの四十九日間にわたり一時繰替え借りを行ったところでございます。
○中村委員 税収が入る前は基金を活用して、税収が入れば戻すことにはなります。その際に、金額的には大変大きな金額が見えないところで動くことになります。
そこで、基金からの一時繰替え借りについては、誰が決裁を行い、その内容は議会などに諮られているのか伺います。
○副島管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 内部資金の移動であります基金からの一時繰替え借りの決裁権限は会計管理局の管理部長にございまして、金額につきましては、支払いに支障を生じさせない規模としております。
なお、一時繰替え借りに係る利子につきましては、一般会計から基金等へ利子を支出することとなりますので、議会の議決を受け、予算化されているところでございます。
○中村委員 内部資金の移動ではあり、適法な手続を経ることは当然ではありますが、それにしても見えないところで大きな金額が動くことになります。
基金からの一時繰替え借りの額とその利子に関して、直近三年の実績について伺います。
○副島管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 一時繰替え借りの額につきまして、直近三年の実績でございますが、平成三十年度一千億円、令和元年度三千億円、令和二年度五千億円となっております。
今年度につきましては、先ほども申し上げましたが、年度当初から資金不足が見込まれましたため、四月中旬から五月末まで一時繰替え借りを実施し、最大八千億円を調達いたしました。
また、直近三年の一時繰替え借りに係る利子の実績額でございますが、平成三十年度二万七千三百九十七円、令和元年度五十七万五千三百四十二円、令和二年度三十八万三千五百六十一円となっております。
なお、一時繰替え借りに際し適用する利率でございますが、市中金融機関におけます定期性預金の預入利率を参考にいたしまして、基金として不利益とならない水準としているところでございます。
○中村委員 一時的な繰替え借りとはいえ、八千億円は相当な金額であり、それだけに適切な取扱いが重要となります。低金利時代とはいえ、どう扱うかで利回りも変わってきます。
困難な資金繰りを余儀なくされる中で、流動性預金での保管が増加し、例年より利回りが低くなっているのではないでしょうか。その件について伺います。
○副島管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 金融緩和局面の継続が想定されることに加えまして、コロナ禍における運用可能資金の減少や運用期間の短縮が見込まれることから、今後につきましても、歳計現金等の利回りは低下する可能性がございます。
こうした環境下におきましても、各局と情報連携を密に取り、突発的な支払いにも対応できるよう、必要な流動性を確保した上で運用可能資金の最大化を図り、利回りを確保しているところでございます。
○中村委員 公金の管理において利回りも重要なので、引き続き、資金繰りを行う中でも最適な運用を求めます。
続いて、令和三年度の公金管理の計画及び実績について質問していきます。
毎年、年度当初にその年の公金管理計画が策定されます。その中で運用方法のポートフォリオが示されますが、今回、令和二年度の実績見込みとして、都市銀行が六〇%であったのが三年度想定で四五%に下がり、外国銀行が一八%から二五%に上がっています。ほかの数値を見てもそれほど大きく変わっていない中、気になるところであります。
令和三年度公金管理計画において、基金の金融機関種別ポートフォリオで、都市銀行の割合が減少し外国銀行の割合が増加しているのはなぜでしょうか。また、安全性の観点から問題ないのか伺います。
○副島管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和三年度につきましては、都市銀行での預金を中心に運用を行っております財政調整基金の残高が大幅に減少する見込みであったため、預金総額に占める都市銀行の割合が減少しております。
このことから、相対的に外国銀行や信託銀行等の割合が増加したものでございます。
また、安全性の観点につきましては、預入先金融機関に関しまして、多角的な視点からのリスク管理を徹底しておりまして、預金の安全性の確保に万全を期しているところでございます。
○中村委員 財政調整基金が急速に取り崩される中で、結果として割合が変わったとのことでした。
必ずしも外国銀行だから安全ではないとはいえませんが、公金管理に当たり、安全性の確保は最も重要ですので、状況が変わろうとも細心の注意が必要です。とはいえ、実際には、まだ計画のとおりにはなってはいません。
令和三年度第一・四半期の実績では、都市銀行の割合が下がっていないのはなぜでしょうか。また、年間を通じて比率が変わっていくのか伺います。
○副島管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 昨年度末の計画策定時におきましては、財政調整基金の取崩しによる残高減に伴い都市銀行の割合の減少を見込んでおりましたが、同基金の取崩し額が見込みよりも圧縮されましたため、第一・四半期における都市銀行の割合は下がっておりません。
今後につきましても、基金残高の推移が見込みとは異なることも想定されますため、都市銀行の割合は計画値ほどには下がらない可能性がございます。
○中村委員 国庫による支えもあり、財政調整基金の取崩しが予想よりも少なくて済みそうです。
コロナについては、まだ油断のならない状況なので、状況がいかに変化しても適切な対応をしていただきたいと思います。
さて、公金の種類によって運用方法が違うとはいえ、利回りにおいても違いが出てくるとのことです。
令和二年度の利回りについて、準公営企業会計資金では横ばいとなっているのに対して、歳計現金等及び基金で低下しているのは何でなのか伺います。
○副島管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 歳計現金等につきましては、コロナ禍における突発的な支払いに備え、流動性を確保する観点から、定期性預金の構成比が減少したため利回りは低下しております。
基金につきましては、過去に組み入れました比較的利回りの高い債券が順次償還を迎えていることが主因となりまして、利回りが低下したものでございます。
なお、準公営企業会計資金は預金のみで運用を行っておりますため、利回りは横ばいとなっております。
○中村委員 公金管理は利回りも大事ですが、何より安全が重要です。超低金利時代ではありますが、元が税金である以上はリスクを取るわけにはいきません。以前、公金で株式投資をという人もいましたが、すべきではないと思います。
安全な運用と利回りについてどう考えるのか伺います。また、株式投資については現在も行わないという理解でよいのか、確認のため伺います。
○副島管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公金を管理するに当たりましては、取り巻く環境が変化いたしましても資金元本を毀損することのない確実な保管、運用をすべく、安全性の確保を最重要視しております。
その上で、預金に関しましては、預入機関を工夫するなど、きめ細やかな対応に努め、なるべく利回りの有利な金融機関で預金を設定しているところでございます。
また、債券につきましては、比較的利回りが見込める地方債や財投機関債での運用に重点を移すなど、ポートフォリオの適時適切な見直しを行っているところでございます。
こうした取組によりまして、安全性と効率性の両立を図っているところでございます。
なお、株式による運用につきましては、現状、法令上の解釈において行うことができないものとされております。
○中村委員 引き続き、安全性の確保を最優先した上での運用を求めたいと思います。
最後に、会計事務について伺います。
都は、物品の購入、公共工事の発注、補助金の交付など、多くの相手に対して支払いを行っています。いうまでもなく、その元は全て税金であり、その相手先の選定は公平でなければなりません。その公平性を担保するには、議会での議論が重要ですが、全部の案件のチェックは当然できません。
公平性を担保するには透明性を高めるのが重要であり、情報公開が必要になります。都も公開を進めてはきたのですが、さらなる公開が必要と考えます。
公金支出情報の公開については、支出先の公開など、より積極的に行うべきではないかと考えますが、見解を伺います。
○筒井会計企画担当部長 都は、平成二十九年九月から、公金支出情報として、件名、支払日、支出部署、支出科目、支払額などの情報をホームページで一括公開しております。
支払先等の情報公開につきましては、支出の妥当性の検証、確保等に活用し得るものであると考えております。
一方、支払案件によっては、個人情報のほか、法人についても、正当な権利利益の保護のため、情報公開条例に基づく非開示情報に該当する場合等がございまして、全ての案件を一律に公開することは適切でないというふうに考えてございます。
なお、現行の事務処理システムの下では、こうした情報の該当、非該当を線引きすることが困難であり、その判断には、各局において多大な時間と労力を要し、また、膨大な件数の中で非開示情報が誤って公開され、都民生活や事業活動に多大な影響を及ぼすリスクもございます。
支払先の公開につきましては、メリットとリスク、コストを比較しつつ、代替手段や他の公開情報も踏まえながら、公開可能な情報の範囲について、引き続き、各局と調整しながら検討してまいります。
○中村委員 課題は様々あり、すぐにはできないようですが、これまでの私たち会派の主張を受けて検討はしていただいているとのことです。
また、公営企業会計の情報公開については、各公営企業局が担当することは承知はしていますが、都庁全体で公開に向かって足並みをそろえるのが望ましいと思います。
権限的には各局が持っているにせよ、どこかが旗を振らなければ進みません。さらなる情報公開について検討されていますが、さらに進める際には、公営企業局にも会計管理局が呼びかける必要があると思っています。ぜひ、積極的な情報公開を全庁挙げて進めてもらうことを求めて、質問を終わります。
2 主税局への質問
○中村委員 それでは、主税局の事務事業について質問します。
都税は、都民サービスを行うための財源として重要ですが、さらに、その賦課の方式によって所得の再分配という大切な役割もあります。コロナ禍において厳しい経済環境に置かれた人も多くいますが、そのことは、コロナだけのせいではなく、それ以前から格差や貧困をつくってきた新自由主義的な政治が問題であり、それがコロナで助長されてきました。
十月二十二日に東京都税制調査会から出された答申においても、所得格差に対応した税制として、税制においても所得再分配機能を適切に発揮することが求められるとしています。私もそのとおりだと思います。
国税と地方税の違いがあり、また、都税とはいっても、国で大枠を決めてしまう中では、都税によって所得の再分配を発揮するのは困難ではあるようではあります。それでも、可能な範囲で機能を発揮することが求められます。
そこでまず、都として、税率や税目について都独自で決められるのはどのようなものなのか伺います。
○丹羽税制部長 自治体は、地方税法に定める範囲で、地方税の税目や税率設定などについて自主的に決定することができるとされております。
税目については、地方税法に定める税目以外に、条例により税目を新設することができる法定外税と、自治体が課税するか否かを判断できる法定任意税がございます。
税率については、例えば、標準税率とされている税目について、それと異なる税率を条例によって設定することができる超過課税等がございます。
そのほか、一定の事由に該当した場合、条例により納税者の税負担を軽減できる課税免除、不均一課税、減免などがございます。
○中村委員 都独自でも一定の範囲では決められるようですが、抜本的に変えるには、やはり国の判断が必要でもあります。
今回、都税調の答申でも所得格差の問題への懸念が記載されていますので、都としても、これを踏まえて、国に対して、税制含めて格差是正に取り組むよう求めていただきたいと思います。
さて、長引くコロナ禍において、都の財政も、財政調整基金を大幅に取り崩し厳しい状況になります。とはいえ、大企業の本社が集まり、都税収入は堅調との見通しもあります。
九月末現在の都税収入は昨年度より堅調ですが、コロナ禍で厳しい状況にある法人もあります。
そこで、法人二税の税収について、昨年と比較して大きく落ち込んでいる企業規模や業種について伺います。
○丹羽税制部長 法人二税の税収について企業規模別に見た場合、大企業、中堅企業、中小企業のいずれも税収は伸びております。
次に、業種別で見た場合、減収となっているのは、鉄道や航空などの運輸業や飲食店などでございます。
○中村委員 大企業だけではなく、中堅、中小からの税収も伸びているとのことです。
肌感覚とは違うなという感じはしますが、企業の収益が上がっても給与に反映されていないからなのか、それとも、コロナ禍における現状や将来への不安なのか、非正規雇用の方が増えたりしたからか、様々理由があるんだろうと思います。
そうした中で、飲食や観光産業は、その業界の責任では決してなくても厳しい状況にあります。今は多少コロナが収まってはいても、第六波への心配もあり、消費がまだまだという感じです。
そうした状況では、将来に大きな負債を残すわけにいかず、財政規律はもちろん重要ですが、今、危機に瀕した人たちを支えるには、積極的に財政出動をすべき時期でもあり、一方では、税の減免や徴収の猶予も必要でもあります。その点について見解を伺います。
○丹羽税制部長 令和二年四月に国が策定した新型コロナウイルス感染症緊急経済対策においては、売上げが一定程度減少した中小事業者等に対し、事業用家屋と償却資産の固定資産税等を軽減する措置や、徴収猶予の特例措置などが講じられました。
また、令和三年度税制改正では、評価額の上昇等により固定資産税等の税額が増加する全ての土地について、前年度の税額に据え置く特別な措置などが講じられました。
このほか、都独自の措置といたしまして、令和三年度も、小規模住宅用地に係る都市計画税の軽減措置などの固定資産税等の負担軽減措置を継続するとともに、地方税法第十五条第一項の徴収猶予を柔軟に活用することで、納税者の状況に応じ、きめ細やかに対応しております。
○中村委員 厳しい状況にあり、納税が困難な方には柔軟な対応が必要です。コロナへの感染もそうですし、コロナの影響による厳しい経営環境は、その人や会社の責任だけではありません。とりわけ業種による明暗がはっきりしていることもあり、行政が支えることが重要です。税の徴収についても、コロナで厳しい状況にある方々に対して丁寧に対応するよう求めます。
さて、中小企業にとって厳しいのは、コロナで企業活動ができなくても、仕入れは減らせても、固定費である人件費や家賃は減らせません。そこで、テナントの救済として不動産の所有者の協力が必要です。既にこれまでも支援策は講じられていますが、コロナの状況によっては施策の継続も必要です。
コロナで影響を受けた中小企業者に対する家賃減額や、支払い猶予に応じた事業者への固定資産税の軽減を令和四年度も実施すべきと考えますが、見解を伺います。
○丹羽税制部長 令和三年度の固定資産税等については、売上高の減少率に応じて中小事業者等が所有する事業用家屋等の課税標準を最大でゼロとする軽減措置が講じられており、不動産貸付業を営む中小事業者等が家賃減額等に応じ売上高が一定以上減少した場合にも適用されます。
本税制措置の令和四年度以降の取扱いにつきましては、新型コロナウイルス感染症の状況などを踏まえ、国において検討が行われるものと認識しております。
○中村委員 令和四年度以降について国で検討されるものとのことですが、都としても、現場からの声を国に届けていただきたいと思います。
さて、厳しい状況にある中で、これまでも問題視されてきたのが、収入と個人住民税の支払いの時期のずれです。所得税と違い、個人住民税は翌年賦課されるため、前年度の収入がよくても今年が悪くなると非常に税負担が重く感じられます。
また、行政が行う多くの施策が、その適用の基準として住民税が非課税の場合になることが多いため、まさに今困っていても、前年度よかったからとしてサービスが受けられないこともあります。いわゆる個人住民税の現年課税化が重要だと考えます。
都税調の答申でも、納税の負担感の軽減及び適正、公正な税負担の観点から、個人住民税を現年課税化することが望ましいとしています。
改めて、個人住民税の現年課税化を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
○丹羽税制部長 個人住民税の翌年度課税は、退職等により前年に比べて収入が減った場合には納税者の負担感が大きくなることや、賦課期日前に海外転居等をすることにより、前年所得がありながら課税ができない等の課題があるものと認識しております。
しかしながら、現年課税化に向けては、とりわけ特別徴収義務者において、所得税と個人住民税の二重の年末調整等の事務負担が生じる可能性について強い懸念が示されております。
また、納税義務者においては申告の手続、市町村においては還付事務などの負担が増大するといった課題もございます。
○中村委員 導入に当たっての課題があるのは承知はしていますが、現状のままでは問題も大きいということを指摘しています。都税調の答申もありますので、都から、国に対して見直しを求めていただきたいと思います。
さて、大企業だけではなく、中堅、中小からの税収は堅調とのことでしたが、とはいえ、大企業とは違い、やはり中小企業の経営環境は楽観視できず、大企業同様の課税をとはいきません。
確かに、大企業で多くの従業員を抱え地域の行政サービスを利用していても、利益が出ないと法人税が非課税というときもあります。その不公平を是正する一つとして外形標準課税がありますが、今度は中小企業の負担が重くなってしまいます。
中小企業に対しては外形標準課税を拡大すべきでないと考えますが、見解を伺います。
○丹羽税制部長 法人事業税における外形標準課税は、法人の事業規模に応じた薄く広い課税により、公平性を確保できるとともに、景気変動に左右されにくく、税収の安定化に寄与しているものと認識しております。
資本金一億円超の法人となっている適用対象の拡大につきましては、中小企業への影響など課題が多いことから、都としては、慎重に検討することを国に対し要望しております。
○中村委員 慎重な検討を国に要望しているとのことで、妥当な対応だと思います。もちろん、昨今の動向で、減資により大規模な企業でも法的には中小企業となる場合もあり、資本金が必ずしも企業規模を反映していないなど、新たな課題もあります。そうした中で、本当の意味での中小企業の税負担が重くなり過ぎることのないようにしていただきたいと思います。
さて、厳しい経済状況のため、都民税の減税という意見もありますが、都民税は税率が一律のため、高額所得者ほどその恩恵を受けることになります。もとより、低所得者で非課税の方には何の恩恵もありません。所得が低く控除し切れない分、給付をするもので、消費税の議論をする際にも実現はしませんでしたが、案として示されました。
都税調の答申でも、給付付税額控除の導入に向けた検討を始めるべきとしています。
改めて、この給付付税額控除を導入すべきと考えますが、見解を伺います。
○丹羽税制部長 給付付税額控除は、課税最低限を下回る所得層の方にも税額控除の効果が給付として及ぶことから、税制の観点から考えられるセーフティーネットの一つの方策と認識しております。
一方で、既存の社会保障制度との役割分担の明確化、所得情報の正確な捕捉と管理、不正受給の防止等、実現に向けた課題も少なくないものと認識しております。
○中村委員 課題は少なくないとのことですが、ぜひ検討するよう国に強く求めていただきたいと思います。
次に、金融所得課税について伺います。
かねてからいわれていますが、合計所得額が一億円を超える高所得者層において、所得税負担率が低下していることが不公平な税制として批判されてきました。そのため、岸田総理が自民党の総裁選挙で金融所得税制の見直しに触れましたが、その後、急速にしぼんでしまい、あまりにも早い方針転換に失望の声が多く出されました。
都税調の答申でも、金融所得への課税に関して、高所得者層の税負担が低くなっていると問題を指摘もしています。さらには、中低所得者の資産形成に与える影響への配慮を述べつつも、引き上げることを提案しています。
そこで、金融所得課税を強化していくべきと考えますが、見解を伺います。
○丹羽税制部長 今年度の東京都税制調査会答申にあるとおり、所得税の負担率は、高所得者ほど所得に占める金融所得の割合が高く、金融所得の多くは分離課税の対象として総合課税制度よりも相対的に低い税率が適用されていること等により、高所得者層の税負担が低くなっているものと認識しております。
金融所得に対する課税の在り方につきましては、令和三年度与党税制改正大綱において、所得階層別の所得税負担率の状況も踏まえ、税負担の垂直的な公平性等を確保する観点から、関連する各種制度の在り方を含め、諸外国の制度や市場への影響も踏まえつつ総合的に検討するとしており、都としては、引き続き国の動向を注視してまいります。
○中村委員 税についての不公平感は納税意欲の低下につながりかねません。課題はあるとはいえ、都としても、国の動向を注視するだけではなく、国に対して積極的に見直しを求めていただきたいと思います。
さて、コロナ禍において迅速な支援が必要な場合として、昨年、全国民に十万円の定額給付金が出されました。迅速性という点では必要な政策ではありましたが、所得制限がなかったので、不公平ではと賛否両論出されました。今回、国が非課税扱いしたためであり、課税扱いにしていれば、一定程度以上の所得がある方からは税で回収することになります。迅速性が求められる場合には有効な手段ではあります。
都税調の答申では、コロナの定額給付について、一律に給付した後で所得に応じて税で調整する仕組みを検討すべきとありますが、その際の課題について伺います。
○丹羽税制部長 新型コロナウイルス感染症に対応する緊急経済対策として支給された一人につき十万円の特別定額給付金は、個人所得課税において非課税の取扱いとされております。
こうした個人を対象とした給付金について、仮に課税所得の取扱いとし、事後的に税で調整する仕組みとする場合、確定申告や年末調整が必要になるため、納税義務者や雇用主、税務当局の事務負担が増大する等の課題が考えられます。
○中村委員 今後、ICT化がより進むと、こうした問題はなくなるのかもしれませんが、少なくとも現在、コロナ禍で厳しい状況にある場合、景気対策としても迅速な給付が求められるため、迅速性と公平性が両立するため、課題についてはその解消に取り組み、導入を検討していただきたいと思います。
以上、いろいろと都税調に関連して質問もさせていただきました。今、コロナ禍において、いろいろと厳しい状況にあったりとか、もともとあった格差、貧困の問題などいろいろあるわけですが、都税調の中にもいろいろヒントはあります。これ答申としてだけではなくて、もちろん、いろいろと皆さんの動きがあると思いますが、都としても受け止めていただきまして、改善すべきこと、課題はあると思いますが、ぜひ、しっかりとやっていただければと思います。
以上で質問を終わります。
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