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都議会質問記録

2021/12/07 コロナ対策など立憲民主党を代表して小池知事に質問しました

2021年12月7日、都議会の本会議が開かれ立憲民主党を代表して小池知事等に質問しました。新型コロナの第6波への備えと中小企業や都民生活への支援、コロナ禍で低下したがん検診率への対応、児童虐待防止の体制強化、学校教育の充実としてのIT環境の整備と教員の多忙化対策、孤独・孤立対策やひきこもり支援、気候変動対策など多岐にわたって質問しました。一定の答弁を引き出すことができ、編成中の来年度予算に反映できるよう、引き続き取り組みます。

以下は質問の全文です(実際には質問と答弁をまとめて行っていますが、1問1答に並べ替えています)。

中村:私は、東京都議会立憲民主党を代表して、都政の諸課題について質問いたします。はじめに、知事の基本姿勢について伺います。
 知事は、6月下旬の1週間の過労入院に続き、10月27日から、11月2日までの1週間、過労で入院されました。その後も、2週間に及ぶ静養をされておりましたが、回復されたとのことで、安堵しております。
 一部メディアでは、重病説が取りざたされるなどしました。
 そこで、私は、都政の最前線からいなくなる場合においては、不要な憶測を招かないようその理由や期間なども含め、十分に説明すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

小池知事:先般の静養等についてでございますが、十月二十七日に入院いたしまして、あとは静養、テレワークを行ってまいりました。おかげさまで疲労も回復いたしまして、ご覧のとおり公務に励んでいるところでございます。
 その間の経過につきましては、プレス発表、また会見等により説明をいたしたところでございます。

中村:新たに選任された副知事に不満を申し上げる訳ではありませんが、突然の交代が、知事のどんな考え方や哲学に基づいているのか、極めて分かりづらかったことは事実です。副知事の交替にともなう局長人事も、突然の異動により、都政への影響が避けられなかったのではないかという懸念が拭いきれません。あらためて、任命権者たる知事の考え方を伺います。

知事: 人事についてのご質問がございました。
 人事の要諦は、適材適所の配置、そして時期を逸することなく的確に行う必要がございます。
 先般の人事は、東京二〇二〇大会を終え、都政が次なるステージを迎える機を捉えまして、大会のレガシーの発展、そして万全の危機管理という礎を築き、あらゆる政策を進化させていくため、適時適切に行ったものでございます。

中村:次に、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
 これから迎える、感染症が流行しやすい冬場における新型コロナウイルス感染症の拡大防止、懸念される第6波への備えには、南アフリカで確認されたオミクロン株という不確定要素も加わります。
 一方、私たちが繰り返し求めてきた東京都の新型コロナウイルス感染症対策の検証を、都は未だに行っていません。
 検証のないまま迎えた、今夏の第5波では、都が確保しているとしていた病床や宿泊療養施設は、実際には人手不足などから、受入れができず、必要な医療等を受けることができずに亡くなる方も出ました。検査体制と医療、宿泊療養体制の確保に万全を期すべきと考えますが、見解を伺います。

知事:検査体制と医療、宿泊療養体制の確保についてのご質問でした。
 現在、新たな変異株が発生するなど、引き続き緊張感を持って対応していく必要がございまして、この夏の経験も踏まえて、より厳しい感染状況も想定して備えを講じていかなければなりません。
 こうした中、感染急拡大時には、都が診療・検査医療機関等に要請をして、速やかに検査体制を拡充する仕組みを構築したものでございます。
 また、病床のさらなる確保や酸素・医療提供ステーションの多機能化などによりまして、約九千四百四十床の医療提供体制を確保してまいります。
 宿泊療養につきましては、既存の施設の運用見直しや新規施設を開設するなど、受入れ可能室数を約七千九百室確保してまいります。
 こうした複合的な対策を先手先手で講じることで、都民の安全・安心を確保してまいります。

中村:オミクロン株については、病原性、感染力、ワクチンや抗体カクテル療法等の効果などが未だ明らかになっておらず、世界的に分析が行われている途上にあります。
 都は、ゲノム解析数を増やすとしています。しかし、現時点で不明な点があまりにも多いオミクロン株については、都内感染者の全数ゲノム解析を行い、把握もれのないよう対応するとともに、徹底した拡大防止策をとるべきと考えますが、見解を伺います。

局長:オミクロン株への対応に関するご質問にお答えいたします。
 新たな変異株の感染拡大を防ぐためには、変異株の感染状況を迅速に把握していくことが重要でございます。
 都は、今回取りまとめた緊急対応におきまして、陽性者の検体のゲノム解析を行うとともに、東京都健康安全研究センターが独自に構築いたしました変異株PCR検査手法により、持ち込まれた検体は全て検査をしております。
 今後とも、この検査手法の民間検査機関への拡大など、変異株PCR検査等を進めるとともに、陽性者が見つかった場合には、濃厚接触者の範囲を広げまして、積極的疫学調査を行うなど、感染拡大防止に取り組んでまいります。

中村:新型コロナについて、知事の所信表明では、いまなお厳しい状況にある方々への支援についてはあまり言及がなく、寄り添う姿勢に欠けていると言わざるを得ません。
 飲食店の時間制限は解除されましたが、客足は十分戻っていません。協力金は給付されましたが、融資を受けた金額の返済は厳しいものがあります。また、個人の福祉貸付金についても同様の問題があります。長引くコロナ禍で厳しい状況にある企業や都民を支えるべきと考えますが、知事の見解を伺います。

知事:コロナ禍での企業や都民への支援についてでございます。
 都では昨年度、感染症の影響を受け、厳しい経営環境にある中小企業に対しまして、国と連携した融資制度により、資金繰りを支えてまいりました。
 コロナ禍が長引く中で、返済に不安を抱える中小事業者からの申出に金融機関が柔軟に対応するように要請をいたしております。
 また、今年度からは、売上げが落ち込んだ中小企業のための融資メニューを設けまして、その保証料の負担を抑える支援を年度末まで継続いたします。
 なお、生活に困窮した方への生活福祉資金の特例貸付につきましては、一定の要件での償還免除などの規定がございまして、都といたしましては、さらなる検討を国に求めているところであります。
 今後とも、コロナ禍で厳しい状況にある中小企業や都民をしっかりと支援してまいります。

中村:次に、がん対策について伺います。
 がんの早期発見について、11月25日国立がん研究センターは「2020年に新たにがんの診断・治療を受けた件数が前年と比べ60,409件減った」とする調査結果を発表しました。がん検診での発見例、検診以外の発見例ともに減少が認められたとのことです。
 診断と治療の進歩により、一部のがんでは早期発見、早期治療が可能となってきていますが、今後、コロナ禍におけるがん検診の受診率等の低下により、進行したがんが見つかるケースが増加することが懸念される、との指摘もあります。都としても早急にがん検診受診率向上の対応策を実施すべきと考えますが、見解を伺います。

局長:まず、コロナ禍におけるがん対策の推進についてです。
 がんを早期発見、早期治療し、死亡率減少につなげるには、がん検診の受診率の向上が重要です。都が本年六月に実施した調査によりますと、昨年四月、五月には、国の通知を踏まえ、検診を延期する区市町村が多くありました。一方、その後、全ての区市町村で検診が再開され、受診者が回復したことによりまして、昨年度は一昨年度と比較して九・五%の減にとどまっております。
 都は、区市町村に対し、感染対策を徹底した上で検診を実施し、受診機会の確保に努めるよう重ねて通知するほか、都民に向け、定期受診の重要性や検診会場での感染対策について、様々な媒体を活用して普及啓発しております。
 引き続き、がんの早期発見、早期治療につなげるため、受診率向上に取り組んでまいります。

中村:コロナ禍のワクチン接種では、業種の垣根を越えた職域接種など、改めて職域での疾病予防が意識されました。
 そこで、健康づくりや生活習慣の改善、がん検診への取り組み支援など、職域でのがん予防対策に積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

局長:次に、職域におけるがん予防対策についてであります。
 事業所や就業者数が多い東京では、職域でのがんのリスクを下げる生活習慣の普及啓発を図ることや、がん検診の受診機会の確保を図ることは重要です。
 都は、職域におけるがん予防対策を推進するため、東京商工会議所と連携し、健康づくりやがんの早期発見、早期治療の重要性などについて、健康経営アドバイザーを通じて企業経営層に周知するとともに、従業員の健康に配慮した企業の取組を支援する職域健康促進サポート事業を実施しております。
 今後とも、企業や働く世代への普及啓発等を通じて、がん予防に取り組んでまいります。

中村:がん治療では「手術だけで治療が終わる」ケースは少なく、手術後も抗がん剤などの化学療法や、放射線療法が継続的に行われます。
 また、診断後に退職・廃業した人は19.8%にも上るとの調査結果があります。現役世代にとって、就労継続、仕事と治療の両立は大変大きな課題です。
 都は、治療と仕事の両立に取り組んでいますが、がんの進行や治療による倦怠感、体力の低下などで、それまでできていた仕事ができなくなる場合もあり、事業者において、保健医療専門職と連携した安全配慮や合理的配慮が広く行われることなど、就労継続を支援する取組みをより一層推進すべきと考えますが、見解を伺います。

局長:まず、がん患者の就労継続への支援についてですが、がん患者の方が職場で安心して働くためには、治療などを行いながら仕事を継続できる職場環境づくりが重要でございます。
 このため、治療により休職した従業員を職場復帰させるほか、がん患者を新たに雇い入れる企業に対して、都は奨励金を支給しております。
 この事業では、医師の助言を基に、時間単位の休暇取得等の配慮を盛り込んだ支援計画を社員ごとにつくる仕組みとしているところでございます。
 こうした取組によりまして、引き続き、がん患者の方の就労の継続を後押ししてまいります。

中村:現在、都は2018年3月策定の「第2次改定・東京都がん対策推進計画」に基づき、がん対策に取り組んでいますが、ゲノム解析などの科学技術の向上や高齢化等の進展、医療の進歩などを背景に、がん対策への社会のニーズは急速に高度化・多様化しています。
 がんの予防、がん医療の充実、がんとの共生、これらを支える基盤整備をより一層加速化し、都における総合的ながん対策をより積極的に推進するため「がん対策推進基本条例」の制定を求めるものですが、知事の見解を伺います。

知事:がん対策の推進についてのお尋ねがございました。
 都は、都民ががんになっても、罹患する前と変わらず自分らしく生活を送ることができますよう、東京都がん対策推進計画に基づきまして、総合的な対策を展開いたしております。
 計画では、科学的根拠に基づくがん予防、がん検診の充実、患者本位のがん医療の実現、尊厳を持って安心して暮らせる地域共生社会の構築の三つを全体目標といたしております。
 この目標を達成するため、専門家や患者団体などから成るがん対策推進協議会におきまして、評価、検証しながら着実に取組を進めております。
 今後とも、都民、医療機関及び関係団体等と連携を図りながら、都民の一人一人ががんを知り、がんの克服を目指す社会を実現してまいります。

中村:次に、子ども施策について伺います。
 杉並区児童相談所開設に伴い、三鷹・武蔵野を管轄する都立杉並児童相談所がなくなった場合、例えば、先般国が示した上限である、人口100万を所管している都小平児童相談所が、三鷹市・武蔵野市を所管することになれば、この人口がさらに膨らむこととなります。そのため、私は、現在多摩地域の児童相談所が抱える課題を解決する意味でも、新たな都立児童相談所を設置するなどの、適正配置が必要と考えます。
 都立児童相談所の設置にあたっては、人口や地域性はもとより、面積が広範囲になりすぎないこと、すなわち区域内に目が行き届き、効率的に業務が遂行できるよう交通事情も勘案するなど、新設も含めて適正な配置を実現すべきと考えますが、都の見解を伺います。

局長:次に、児童相談所の管轄区域についてです。
 令和五年四月一日に施行予定の改正児童福祉法施行令では、児童相談所の管轄区域の人口は、基本としておおむね五十万人以下とされております。また、政令と併せて発出された通知では、管轄人口の目安は二十万人から百万人までの範囲とされているところです。
 都としては、児童相談所の管轄区域は、こうした法令等を踏まえ、人口や地理的条件、交通事情などを総合的に考慮する必要があると考えております。

中村:児童相談所については、区立での設置も進んでおり、都立児童相談所の管轄区域や人口も変化が生じています。都立児童相談所では、従来から所管する区域の人口の多さ、児童福祉司一人当たりのケースの多さなど、多くの課題を抱えており、私たちも長年にわたって改善を強く求めてきましたが、未だ解決には至っていません。児童福祉司等職員の増員など、都立児童相談所における多忙解消に向けても、体制強化にしっかりと取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

局長:続いて、児童相談所の体制強化についてです。
 都はこれまでも、児童虐待に迅速かつ的確に対応するため、児童福祉司及び児童心理司を増員するほか、困難ケースで職員に助言指導等を行う専門課長を配置するなど、児童相談所の体制強化に取り組んでまいりました。
 今年度は、意欲ある人材を確保するため、専任チームを設置し、大学や養成機関への訪問、専用サイトの開設など、採用活動を積極的に展開しております。
 また、就職希望者向けの動画等の発信や、若手職員向け専用住宅の借り上げを行うこととしておりまして、引き続き児童相談所の体制を強化してまいります。

中村:核家族や高齢者のみ世帯が増える中で、介護離職や老々介護、ヤングケアラーなどに代表される家族の過大な負担や社会的孤立、サービスへのアクセスなどが課題となっています。ケアラー支援条例を制定して取組みを進めるべきと考えます。
 私たちは、ケアを必要とする方の家族が介護するのは当たり前、という根強い意識から脱却し、ケアラーを理解し支える社会へと転換しなければなりません。
 中でも、年若い子どもが家族のケアを担うヤングケアラーについては、当事者や家族にとっては日常であるが故に、誰かに相談したり支援を求めるという発想や情報が乏しく、学校現場を含めた周囲の大人が気づいて、支援につなげる体制づくりが大変重要であり、構築を急ぐべきと考えますが、知事の見解を伺います。

局長:次に、ヤングケアラーについてです。
 都は、関係各局で構成する連絡会を本年立ち上げ、ヤングケアラーへの支援策について検討を進めております。連絡会では、有識者や当事者であった方、支援者団体から、家庭の状況に応じた様々な支援の必要性等についてお話を伺っております。
 また、現在ヤングケアラーへの支援を盛り込んだ第二期東京都地域福祉支援計画の策定を進めており、先日、パブリックコメントを実施しております。
 今後、これらの意見も踏まえながら、ヤングケアラーを早期に把握し、適切な支援につなぐことができるよう、様々な方策を検討してまいります。

中村:障害のある子どもたちの、放課後の居場所である「放課後等デイサービス」は、都内で約1,000事業者ありますが、令和3年4月に行われた障害福祉サービスの報酬改定によって、多くの事業者が多大なる影響を受けました。
 こうした中でも、放課後デイサービスが閉所すれば、子どもたちの居場所がなくなってしまうとの思いで、必死に努力を続けている事業者も少なくありません。都として、療育の質の向上を含め、放課後等デイサービスを積極的に支援していくべきと考えますが、見解を伺います。

局長:次に、放課後等デイサービスについてです。
 就学中の障害児の居場所である放課後等デイサービスは、事業所ごとに支援の内容は様々であり、都が実施した調査によりますと、経験のある専門職による多様なサービスを提供する事業所がある一方で、職歴が短い職員が多い事業所もあることなどが分かっております。
 今後、この調査結果も踏まえまして、放課後等デイサービスの質の向上に向けた支援策について検討してまいります。

中村:次に、教育について伺います。
 第3回定例会において、私たちは、来年度から高校段階で一人一台端末を整備するにあたって、東京のすべての高校生に支援を行うとともに、低所得世帯にはより手厚く補助すべきと提案しました。
 本定例会では、知事の所信表明で、端末購入における保護者負担を3万円の定額負担とする補助制度の創設を明言されたことを評価致しますが、低所得家庭への支援には言及がありませんでした。
 現在、既存の給付型奨学金の活用を検討しているとのことですが、今のままの金額では、デジタル端末の購入費用に奨学金を充てると、もともと充当してきた教育活動には使うことができなくる、との懸念にどう対応されるのでしょうか。奨学金制度は執行率が低い状況ですが、デジタル端末支援では必要とするすべての生徒が使うことができるための工夫が必要ではないでしょうか。また、奨学金対象には入らないものの家計が厳しく端末を購入できない家庭への対応はどうするのか。その場合、どのように教育活動を展開するのか。学校に貸与用の予備端末などを用意するのか、教育庁の見解を伺います。

教育長:初めに、高校における一人一台端末の導入についてでございますが、今般創設する全世帯を対象とした補助制度は、令和四年度から、都立高校に入学する生徒全員が端末を学習に不可欠なツールとして活用できるようにするものでございます。
 現在の低所得者世帯への支援制度を活用し、全ての子供たちが安心して学べるように工夫をしてまいります。

中村:学校現場における教員の多忙化は深刻な状況にあります。子どもたちと接する時間をもっと確保できるよう東京都教育委員会として取り組まなければなりません。とりわけ業務が集中する副校長を直接補佐する人材配置については、配置の実績ある学校現場からは、好評の声が届いており、希望する全学校への配置する声もあるため、早急に進めるべきと考えますが、見解を伺います。

教育長:次に、副校長を補佐する人材の配置についてでございますが、都教育委員会は、平均の時間外労働が他の教員に比べ副校長が特に多くなっている状況を解消するため、副校長を直接補佐する支援員を学校に配置しております。
 支援員は、各種調査への回答、教員の勤務状況の整理、施設管理等の業務を分担しており、配置した学校では、副校長の一週間の在校時間が平均六時間三十分短縮されました。その結果、OJTによる若手教員の育成や地域及び関係機関との連携などに向けられる時間が増え、副校長業務により専念することができたとの評価を得ております。
 今後とも、区市町村教育委員会や学校の意向も踏まえ、支援員を活用した負担軽減に取り組んでまいります。

中村:また、学校管理職が頭を悩ませる問題として、産休育休休職代替教員の任用業務があります。任用者の半数が、東京都教育委員会の本来の選考による合格者ではなく、さらに、現状では東京都教育委員会が用意したリストの掲載者に管理職が連絡をしても、他で決まってしまっているケースが多々あるなど、業務ロスが極めて大きいと考えています。任用制度を早急に改善すべきと考えますが、見解を伺います。

教育長:次に、産休育休代替教員制度についてでございますが、都教育委員会は、教員の妊娠出産休暇、育児休業の取得に伴い必要となる代替教員の選考を事前に行い、候補者となり得る者の名簿を作成しております。各学校では、この名簿から適任者を選び、個別に勤務の諸条件の確認ができた者を代替教員として採用しております。
 近年は、産休、育休を取得する教員の数に名簿登載者数の確保が追いつかず、学校が独自に人材を探さざるを得ない状況となってございます。このため、都教育委員会としては、退職教員や大学などへの広報活動を積極的に行い、候補者数の確保に努めるとともに、名簿の情報の更新頻度を上げてまいりました。
 引き続き、人材の確保に取り組みますとともに、より使いやすい制度となるよう検討してまいります。

中村:11月25日、特別支援教育推進計画第2期第2次実施計画素案が示され、この中で、発達の凸凹とも言われる発達障害のある子どもに対し、特別な指導を行う特別支援教室の円滑な運営など、個別事業案が示されました。
 発達障害のある子どもは増加傾向が続いており、多くの保護者から支援の充実を求める声が届いています。また、発達障害のある子どもは、特別支援教室で指導を受けている場合もあれば、通常の学級のみで支援を受けている場合もあります。
 そのため、特別支援教室における教育の質の向上と、通常の学級におけるインクルーシブな教育環境の充実の両方を進めていくことが必要です。
 そこで、発達障害のある子どもそれぞれの障害の状態や程度に応じた支援を更に充実していくべきと考えますが、見解を伺います。

教育長:次に、小中学校での発達障害のある子供への支援についてでございますが、発達障害のある子供が一人一人の障害の特性等による困難を改善し、適切な環境の下で学校生活を送るためには、特別支援教室や在籍学級での支援が重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、特別支援教室における指導の充実を図ることを目的として、発達障害教育に関する多くの経験等を有する職員の巡回による指導を行っております。
 また、在籍学級に区市町村がサポート人材を配置する場合に、その費用の一部を補助する事業を実施しております。
 さらに、支援のノウハウを普及するため、指導の事例を収集し、ホームページによる周知等も行っております。
 今後とも、こうした区市町村と連携した取組等を進めてまいります。

中村:次に、性犯罪について伺います。
 今年6月、教職員による児童生徒性暴力防止法が公布されました。子どもたちの心身を育むべき学校という場で、強い立場にある教職員から子どもへの性暴力・性犯罪は極めて悪質であり、根絶に全力を尽くさなければなりません。
 法施行は、公布から1年以内となっていますが、信頼できる相談窓口の構築と周知、子どもを守りながら事実確認を行う手続き、校内通報者の保護、未然防止のための教職員・児童生徒双方にむけた啓発、さらには、かつての児童生徒が被害を申し出た際に、刑法上の時効にとらわれることなく相談に応じるなど、法の施行に向けて確実に対策をとる必要があると考えます。
 法を実際に機能させるための取り組みについて、任命権者である都教委の見解を伺います。

教育長:児童生徒性暴力防止法の施行に向けた対応についてでございますが、子供たちを守り育てる立場にある教職員が、子供たちに不適切な行為を行うことは断じてあってはなりません。
 都教育委員会ではこれまでも、教職員による不適切な行為の未然防止に向け、採用後の経験年数に応じて規範意識を高める研修を実施するとともに、全学校で過去の発生事例に基づいた校内研修の実施を義務づけ、教職員としてあるべき行動を校長が指導しているところでございます。
 また、児童生徒に対しては、日常における会話や観察に加え、アンケート等により、教職員が子供の状況をきめ細かく把握し、気になる様子が見られるときはスクールカウンセラーによる面接等の支援を行っております。
 こうした取組を引き続き徹底するとともに、国が今後示す基本的な指針等を踏まえて対応を検討し、子供たちが安心して過ごせる環境を整えてまいります。

中村:東京都ワンストップ支援センターへの相談件数は、平成30年度の4,002件から、令和2年度6,014件へと、コロナ禍で5割もの増加となりました。
 また、東京都総合相談窓口の相談件数も令和2年度5,389件のうち性的被害が2,545件と約半数を占めており、深刻な状況です。
 概算要求での性犯罪等被害者支援コーディネーター配置の予算を計上されたことを評価しますが、相談体制を拡充すると件数が増えるということは、潜在的な需要がまだまだ多いということであり、さらなる体制の強化が必要と考えます。
 現在は、電話相談のみとなっていますが、若い世代では電話よりもSNSが利用されている傾向にあります。また、聴覚に障害があるなど、電話ではコミュニケーションが取りづらい人も一定数いることが想定され、SNSによる相談または相談受付ならびに広報も必要と考えますが、見解を伺います。

局長:性犯罪等被害者に対する相談対応等についてですが、現在、都が民間団体と協働で設置しているワンストップ支援センターでは、二十四時間三百六十五日相談を受け付けているほか、緊急時は被害者が受診する医療機関等に出向いて対応しているところでございます。
 また、これまでも若年層に対しては、都内の大学や中学、高校等においてセンターの連絡先を記載したカードを配布するほか、SNS広告等によりPRを行うなど、相談窓口の周知を図ってまいりました。
 さらに、本年二月に策定しました第四期支援計画では、SNSなど多様な相談方法を活用していくこととしており、現在、他の自治体の事例を収集するなど、検討を進めているところでございます。
 今後も引き続き、相談対応の充実や窓口の一層の周知に取り組んでまいります。

中村:性犯罪の中でも件数が多いもののひとつに、いわゆる痴漢があります。痴漢被害は、毎年、検挙数だけで1,000件を超えています。昨年は、コロナ禍による外出抑制で一時的に減少したものの、抜本的な改善には至っていません。また、その過半数は電車内や駅構内で発生しており、被害者は反復して被害に遭うことも少なくありません。痴漢被害への恐怖から通学通勤ができなくなるなど、その影響は深刻です。今後、さまざまな視点でこの問題を取り上げたいと思いますが、まずは発生の抑止が肝要です。痴漢被害の防止に向けて、積極的に取組み、実績を上げている団体もあります。
 そこで、痴漢被害対策で効果を上げるために、痴漢被害防止活動に実績のある民間団体と連携する必要と考えますが、見解を伺います。

本部長:痴漢被害の防止に向けた取組についてお答えいたします。
 痴漢や性被害など、女性の生命、身体に関わる犯罪については、都民の安全・安心を脅かす重要な問題であると認識しております。
 都では、女性に対する犯罪被害防止のノウハウを持つ民間団体と連携し、被害の現状や具体的防止策等を学ぶ講習会を実施しております。
 また、犯罪被害防止リーフレットを十万部作成し、市区町村の窓口や警察署、学校等を通じて配布しており、こうした取組を通じて、防犯意識の向上と犯罪の抑止に努めております。
 今後とも、市区町村や警視庁、民間団体等と連携し、痴漢被害の防止に向け、効果的な対策に取り組んでまいります。

中村:次に、困難を抱える人たちへの対策について伺います。
 コロナ禍によって誰もが社会的に孤立しやすい状況となるなど、従来から課題となっていた、都市部における孤独・孤立の課題が、より一層顕著になりました。国際的にも、日本は孤立する人の比率が高いとみられており、家族以外の人との交流がない、介護や看護で頼れる人がないとする人の割合が、単身の高齢者や現役世代、ひとり親世帯など幅広い年代や属性で高くなっています。
 孤独・孤立は、生きる意欲や自己肯定感の低下、経済的困窮と相まって生活困窮に陥るなど、社会的課題や健康リスクを高めるものであり、中長期的な課題としてしっかりと取り組まなければなりません。
 国でも担当大臣が置かれており、都においても孤独・孤立担当部門を設置するなどして、孤独・孤立への対策を行う必要があると考えますが、知事の見解を伺います。

局長:次に、孤独、孤立対策についてです。
 コロナ禍の影響で、あらゆる世代の人が孤独、孤立の状態に陥りやすい状況にあり、きめ細かな支援が必要であります。
 このため、都は、総合的な孤独、孤立対策について各局が連携し、組織横断的に検討を進めております。
 今般、女性や子供、ひとり親家庭等に対する相談体制の強化や、ひきこもりの方やその家族に対する理解促進のための広報、動画等を活用した自殺防止対策の拡充等に係る補正予算案を提案しております。

中村:コロナ禍では、ひきこもりが増加し、8050問題も深刻化したと言われています。
 2019年に内閣府が発表した、40歳以上のひきこもりが全国で61万3千人という調査結果は、39歳までと合わせると100万人以上と言われ、衝撃を与えました。また、都の支援協議会では、ここから想定される都内の推計数は約11万人との数字も出ており、大変大きな課題です。
 現在、都は、福祉保健局において、中高年のひきこもりを含めた支援に取り組んでいるところですが、ひきこもりの支援には「気軽に相談できる窓口」をはじめ、「悩みを話し合い、集える場所」「生活の支援」など、地域での取り組みが欠かせません。
 そこで、すべての区市町村での相談窓口設置促進など、都としても、ひきこもり対策をさらに推進すべきと考えますが、見解を伺います。

局長:ひきこもりの方への支援についてです。
 都は、令和元年度に設置した東京都ひきこもりに係る支援協議会で支援の在り方について検討を進め、本年八月、身近な地域での相談体制の充実を図るべきなどの提言をいただいております。
 これを受けまして、本年十月、都と区市町村によるひきこもりに係る支援推進会議を設置し、都の施策や区市町村の好事例を共有するなど、区市町村の取組を促進しております。
 引き続き、当事者やご家族に寄り添った支援の充実に向け、区市町村等と連携して、提言を踏まえた支援を行ってまいります。

中村:次に、脱炭素について伺います。
 COP26は「グラスゴー気候合意」と名付けられた成果合意書が採択され11月13日に閉幕しましたが、1.5度をめぐり各国の意見調整が難航するなど、多くの課題を残しました。
 東京都としても、より一層気候変動対策に取組む必要があり、新型コロナウイルス感染拡大からの経済復興において、サステナブル・リカバリーを指向する都の方向性を評価致します。私たちは、そうした取組みを行う上で、とりわけ、環境に配慮した回復を目指す景気刺激策として、欧州を中心に広がっているグリーンリカバリーを主軸に据えて取り組んでいくべきだと考えます。
 世界で見られるグリーンリカバリーの取組みは、環境への配慮だけでなく社会の繁栄や雇用の創出といった視点が盛り込まれており、具体的にはサーキュラーエコノミーやクリーンエネルギーなどの新規事業に対する助成、生態系の回復を促進する事業支援などが東京都としても考えられます。
 コロナ禍から社会・経済を復興するグリーンリカバリーに向けた知事の見解を問います。

知事:そして、グリーンリカバリーについてのお尋ねがございました。
 都は、気候危機に対応しながら、コロナ禍からの経済復興を目指すという世界の潮流を踏まえまして、環境はもとより、未来に向けた人々の持続可能な生活を実現することを目指すサステーナブルリカバリーを推進しております。
 本年一月には、二〇三〇年カーボンハーフを目指すことを表明しまして、現在、環境審議会において施策の強化に向けた検討を進めております。
 今後とも、条例によります制度の強化のほか、省エネ、再エネ設備の普及拡大策や新たな3Rビジネスモデルの構築支援など、あらゆる分野の取組の強化、拡充によりまして、環境投資を促し、社会経済の回復とともに強靭で持続可能な都市を構築してまいります。

中村:経済の回復・成長を希求する経済刺激策において、脱炭素・循環型社会への投資を同時実現するためには、グリーンリカバリーの視点に基づく具体策をしっかりと講じていくことが求められます。
 京都議定書の時代には、世界の環境政策をリードしていた我が国でしたが、現在は再エネの利用も十分進んでおらず、他国に遅れをとっています。この現状を、東京がリードして変えていかなければなりません。
 日本の産業の強みを殺さず、かつ炭素集約的な仕事に就く人の雇用にも配慮した公正な移行によって負の影響を回避しながら、脱炭素を実現するには、「欧州グリーンディール政策」や「グリーン産業革命」のように、都としての政策パッケージを示し、使い道を明らかにしたファンドによる脱炭素化ベンチャー支援など、具体策を早期に実行していくことが必要と考えますが、見解を伺います。以上で東京都議会立憲民主党を代表しての質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

局長:次に、産業分野での脱炭素化に向けた支援についてですが、これまで都は、地域環境への負荷の低減に取り組んでいるベンチャー企業を含めた中小企業の経営を支援するため、制度融資にメニューを設け、保証料の負担の軽減などを行ってまいりました。
 今後は、新たな発想や優れた技術を持つベンチャー企業による脱炭素化への取組を後押しするため、ファンドによる資金提供と経営面からのサポートについて検討してまいります。

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