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都議会質問記録

2021/12/10 財政委員会でコロナ対策の補正予算を審議

2021年12月10日、都議会の財政委員会が開かれ、コロナ対策や原油高騰対策等1,047億円の補正予算について財務局に質問しました。都の貯金にあたる財政調整基金は、コロナ前は9千億円あったのが1千500億円まで減少しており施策の検証を求めました。また、会計管理局には都の指定金融機関であるみずほ銀行が相次ぐシステム障害を起こしたことを受け、都の対応を求めました。

◆会計管理局への質問

○中村委員 それでは、令和三年度公金管理実績(上半期)について質問します。
 令和三年度上半期の公金管理実績における金融機関種別預金の内訳では、期中の預金平均残高四兆九千八十四億円のうち都市銀行が三兆三千三十億円となっており、全体の六割以上を占めています。
 個別の金融機関ごとの残高については明らかになっていませんが、都の指定金融機関であるみずほ銀行はメガバンクであり、相応の額が運用されているのではないかと推測するところです。
 そのみずほ銀行ですが、今年二月末以降、度々システム障害を発生させており、先日、担当官庁である金融庁から、経営責任の明確化を求める業務改善命令が出され、親会社であるみずほフィナンシャルグループの社長をはじめとした経営陣の退任について大きく報道がなされました。
 大手都市銀行であり、指定金融機関でもあるみずほ銀行の不祥事に対する都の考え方と対応を確認することは重要であると考えます。
 そこでまず、みずほ銀行による一連のシステム障害について、都の認識について伺います。

○副島管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 みずほ銀行でございますけれども、多くの都民が利用するメガバンクであるとともに、都の指定金融機関として公金を管理する立場にありますが、令和三年二月から九月にかけまして、計八回のシステム障害を発生させたところでございまして、ATMにおける通帳、キャッシュカードの取り込みや外為取引の処理遅延等を引き起こしております。
 こうした今般の一連のシステム障害により、都の公金収納、支払いには直接の影響はなかったものの、都民、事業者に不都合を生じさせたことにつきましては、都といたしまして、誠に遺憾であると認識しております。

○中村委員 一連のシステム障害により公金に直接の影響がなかったことは不幸中の幸いともいえます。しかし、仮にシステム障害で支払いに遅れが生じれば、ぎりぎりの資金繰りを行う企業にとっては、決済が遅れ、多大な影響が出ていたかもしれません。さらには、下請への支払いや従業員への給料の支払いにも影響が出れば、都民生活にも大きく影響が出る大問題になった可能性も否定できません。
 金融庁は、日本の決済システムに対する信頼を損ねたとして、先ほども触れたように、みずほ銀行に対して業務改善命令を出しています。
 そこで、みずほ銀行に対する都の対応を伺います。

○副島管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 金融庁は、銀行法第二十六条に基づきまして、十一月二十六日に業務改善命令を行いましたが、都は、行政処分があった当日に、その内容につきまして、みずほ銀行から直接報告を受けた上で、再発防止等の申入れを行ったところでございます。
 具体的には、指定金融機関業務に遺漏がないように行内の組織間連携に万全を期するとともに、システム等に係る改善策の進捗状況につきまして、定期報告することを文書にて求めました。
 引き続き、日々の業務や定期報告の機会を捉えまして、みずほ銀行の状況を的確に把握するとともに、都民の信頼を一日も早く回復するよう要求してまいります。

○中村委員 都が、みずほ銀行の一連のシステム障害に適切に対応することは分かりました。
 都の指定金融機関は、都の膨大な公金の収納、支払いを取り扱うための事務処理能力、多額な公金の取扱いに対応できる経営規模、財務の健全性などが必要です。
 みずほ銀行に対しては、公金管理と指定金融機関業務の両面を担っていることを改めて自覚していただき、今回のようなトラブルを二度と引き起こさないよう、常に緊張感を持って業務に当たるよう、都がしっかりと指導していただくことを求めて、私からの質問を終わります。

◆財務局への質問

○中村委員 それでは、補正予算について質問します。
 今年度に入り、補正予算の回数は十七回に及び、総額は約四兆円にも及びます。これだけ巨額の補正予算を組んだことで、都の財政状況は大丈夫なのか心配しているところですが、先日の令和二年度年次財務報告書では、都の自主財源はもちろんのこと、国庫支出金を活用するなどにより、都の財政状況は一定程度その対応力を維持できているという見解でした。
 しかし、第六波への備え、コロナからの脱却を考えると、今後も取組を継続する必要があり、その下支えとなる財政の安定が必要です。そういった観点から質問をしたいと思います。
 今回の補正予算では、これまでのコロナ対策と同様、国庫支出金と都の基金を活用していますが、今後も安定して対策を講じていくためには、柔軟に活用できる財政調整基金が特に重要です。第三回定例会の財政委員会でも質問しましたが、財政支出に対応しながらも、財政調整基金の残高確保に努めていくべきです。
 まず、今回の補正予算の一千四十七億円の財源の内訳を確認するとともに、財政調整基金の残高見込額について、昨年度末時点から現時点までの増減の推移について伺います。

○山田理事 今回の補正予算の財源につきましては、地方創生臨時交付金など国庫支出金が七百四十億円、財政調整基金二百八十二億円をはじめとする基金繰入金が二百八十三億円、その他の財源が二十四億円となってございます。
 また、財政調整基金の残高につきましては、令和二年度決算の残高は五千三百二十七億円でございました。
 今年度も引き続き、コロナ対策に迅速かつ的確に対応するための財源として有効に活用した結果、第二回定例会後には、令和二年度決算の確定前の数値でございますけれども、今年度末残高見込みが二十一億円まで減少したところでございます。
 その後、決算見込みの反映によりまして残高は回復する一方で、定例会等における補正予算の財源として財政調整基金を活用した結果、現時点における令和三年度末残高見込みは一千五百七十七億円となっているところでございます。

○中村委員 今後、地震や風水害など、万が一の備えが必要であり、財政調整基金は大変重要だといえます。しかしながら、先ほどご答弁もありましたコロナ前には九千億円を超えていた財調が二十一億円と、今年度、一時は底をつきかけるという状況が確認できました。
 今回計上されている脱炭素の取組にも財政調整基金が充当されているようですが、他の特定目的基金を活用することもできたのではないかと思います。今後の突発的な財政需要に備え、財政調整基金の残高確保をしっかり行うことを引き続き求めておきます。
 財政調整基金が減少している中で、事業の一つ一つの効果、実効性を上げることは極めて重要な段階だと考えます。
 都議会立憲民主党は、コロナ対策に関し、コロナ対策の検証を行うべきだと主張し続けています。
 福祉保健局や産業労働局など事業をつかさどる局がしっかりとやるべきことだと思いますが、財政調整基金が減少している中で、財務局としても予算編成の過程でコロナ対策を検証すべきだと思いますが、見解を伺います。

○山田理事 コロナ対策の具体化に当たりましては、日々刻々と変化する情勢に的確に対応していくため、感染状況や社会経済情勢はもとより、既に具体化した対策の状況も踏まえながら、各局等と連携して、より実効性の高い対策となるよう施策のブラッシュアップを図ってきたところでございます。
 今回の補正予算におきましても、今後の感染拡大に備えるため、これまでの対応で培った経験を生かし、医療提供体制の一層強化に向けた対策の構築につなげているところでございます。
 また、来年度予算の編成におきましては、コロナ対策だけでなく、幅広い施策について、最少の経費で最大の効果を上げる観点から、政策評価と事業評価の一体的実施によりまして各事業を検証するとともに、成果目標の達成にどの程度寄与しているかを分析し、結果を予算に反映するなど、より実効性、効率性の高い施策の構築につなげてまいります。

○中村委員 各事業を検証し、実効性、効率性の高い施策の構築につなげていくとの財務局の答弁でした。事業を担当する局は多忙を極めているとは思いますが、長く続くコロナ禍における対策ですから、全て終わってから検証しますでは遅いので、対策を行いつつ、本当に今行っている対策が適切なのか分析をしていただきたいと思います。そして、次の未知のウイルスへの対応のためだけでなくて、現在進行形で起きているコロナ対策に生かしていただきたいと思います。
 私は、こうした危機のときなので、財政規律も重要ですが、今は財政出動すべき時期だとは思っています。とはいえ、それも限界がありますから、そうした状況下でも、費用対効果を考えた施策を積極的に展開する必要があります。財務当局としても、事業局に対して検証を行うよう求めていただきたいと思います。
 さて、今回の補正予算では、コロナ対策に加え、原油高への対策が講じられており、原油高の取組の中に脱炭素の取組が包含される形となっていますが、予算額のほとんどは脱炭素の取組です。先日の代表質問でも質問いたしましたが、脱炭素の取組自体は重要です。しかしながら、原油高がなければこの対策は行われなかったのではないかと疑問があります。
 都民に誤解を生まないためにも、原油高対策と抱き合わせずに、気候変動への喫緊の対策として打ち出すべきであったと考えますが、見解を伺います。

○山田理事 今回の補正予算では、昨今の原油価格高騰により厳しい状況にある事業者に対しまして迅速に支援する必要があることから、中小企業制度融資の信用保証料補助の拡充や、専門家派遣によるアドバイスの実施などの対策を講じたところでございます。
 一方、東京の持続的成長に向けましては、これまでも、二〇三〇年のカーボンハーフ実現に向けて重点的に財源を振り向けており、世界の潮流であります脱炭素化の推進は不可欠でございます。
 こうした観点から、原油高を、脱炭素化をさらに推し進める契機と捉えまして、次世代タクシーの導入促進やゼロエミ住宅の建設助成など、取組をより強化したところでございます。
 現在編成中の令和四年度予算におきましても、これらの取組を含め、サステーナブルリカバリーの実現に向けて果敢に取組を進めていくこととしておりまして、引き続き、積極的な施策展開を図ってまいりたいと思っております。

○中村委員 補正予算というのは本来例外的な措置です。しかし、気候危機への対応は大変重要であるのは当然ですので、もし取り組むのであれば、コロナや原油高騰への対応が仮になかったとしても補正予算を組むのだというくらい知事の強い決意が必要だと思い、あえて質問しました。
 予算は都の姿勢そのものを示すものなので、原油高への対応と脱炭素化は無関係とはいいませんが、提案するなら、より分かりやすく提案していただきたいと思います。
 最後に、オミクロン株への対応が急がれる中、万が一、感染が拡大し、第六波が危機的な状況となった場合、必要な対策を早期に判断していただき、早急に議会で議論していただきたいと思います。
 これまでのような予算の専決処分ではなくて、議会を招集して議論すべきでありますが、見解を伺います。

○山田理事 まずは、感染症の再拡大防止に向けまして、全庁一丸となって取り組んでいくことが最優先の課題であると認識をしております。
 今後とも、コロナ対策に当たりましては、その時々の状況を踏まえながら、時期を逸することなく適切に対応してまいりたいと思います。

○中村委員 第六波は来てほしくはありませんが、もし襲来した場合、補正予算を組むことも必要になります。繰り返しになりますが、コロナ対応を迅速に行うためには協力しない議員はいないと思います。今後、追加で補正予算を出さざるを得ない状況になった場合には、当然速やかな審議を行いますので、重ね重ね申しますが、専決処分をすることがないよう求めて、質問を終わります。

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