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都議会質問記録

2022/02/28 財政委員会で危機に備えて基金の積み増しを求める

2022年2月28日、都議会財政委員会で今年度の最終補正予算について質問しました。今年度の一般会計予算は、税収増により歳入が増え都債の発行を減らしたもののコロナ対策予算が大きかったため、最終的に10兆4,080億円と過去最高規模になりました。今後の危機に備え基金の積み立てを求めました。

○中村委員 それでは、私からも、補正予算について質問いたします。
 令和三年度は、年度当初からの緊急事態宣言などへの対応など、コロナ対策により、過去に例を見ない財政規模となり、令和四年度当初予算と併せて発表された最終補正予算後の予算現額は、過去最高となった昨年令和二年度の最終補正後の九兆六千八百十八億円を大きく上回る十兆三千七百七億円となりました。
 しかし、この数字については、次年度の予算案の概要では、最終補正予算のページに出てくるだけです。
 さらに、今回追加の補正が出されて、最終的には十兆四千八十億円となりました。
 今後、コロナが終息した後、これだけの予算措置を必要としたことが埋もれてしまう可能性もあるのではないでしょうか。
 今後、様々な場面で予算規模を示す場面が出てくると思いますが、この令和二年度、令和三年度において、これだけの規模となったことを分かりやすく表記すべきだと思いますが、見解を伺います。

○山田理事 都の財政状況につきましては、例えば、財政のあらましという冊子を、地方自治法及び東京都財政状況の公表に関する条例に基づきまして、半期に一度公表いたしまして、補正後の予算現額を示しながら、財政運営の状況などにつきまして、都民の皆様にお知らせをしているところでございます。
 また、令和二年度東京都年次財務報告書におきましても、財務諸表など決算全体の状況に加えまして、補正予算などにより計上したコロナ対策費の内容など、決算の特徴をグラフなどを用いまして、都民の皆様にご理解いただきやすくお示ししております。
 引き続き、都財政の状況につきまして分かりやすく発信することで、都民に対するアカウンタビリティーを果たしていきたいと思っております。

○中村委員 既に令和四年度の一般会計予算が、当初予算としては過去最高の七兆八千十億円としていますが、最終補正後の予算と比べると二兆五千億円以上も少ない状況です。
 予算は、原則が通年であり、例外として補正をしてきたわけですし、それが当初予算全体の割合と比較して少なかったために、当初予算の比較で済んではきました。
 しかし、当初予算の三分の一の規模が追加され、コロナの特殊事情があるとはいえ、無視するにはあまりにも大きな金額です。予算の実態を正しく表す必要があります。幾ら大半が国庫負担とはいえ、一たび危機が起これば、都財政とて安泰でないことを示さなければなりません。
 コロナ関連予算だけを別に分けて記載するなど、工夫は幾らでも出来ます。予算編成時に、最終補正後の予算が明示されることを求めます。
 さて、十兆円という予算規模にまで膨れ上がったのは、いうまでもなくコロナ対策が原因ですが、今後さらなるコロナ対策が必要となった場合に、都が措置すべき財政規模の一つの目安とでもなるのではないでしょうか。
 そうした中で、最終補正予算では、財政調整基金条例に基づく義務積立てが行われていますが、千九百四十四億円を積み増して、合計三千五百二十一億円という規模を見ると、十兆円もの財政規模を下支えするものとしては心もとないのではないかと考えます。コロナ前は九千億円近くあったものが、底をつきかけたこともあるので、三千億円台まで持ち直したとはいえ、十分とはいえません。
 まず、税収増分に応じて積立てを行うとのことですが、積立ての制度の詳細について伺います。

○山田理事 地方財政法では、決算剰余金の二分の一以上を積み立てておくことなどが規定されております。
 この法定積立てのほかに、都では、過去の景気変動や税収低迷に伴う基金残高の枯渇といった経験を踏まえまして、独自の制度として、税収増が見込まれる場合に、その一部を基金に積み立てることを義務づける仕組みを条例で規定しております。
 具体的には、補正予算に計上された都税の額が当初予算を上回る場合などに、増収額の一部を、税収の伸び率に応じて設定した割合で積み立てることとしているものでございます。

○中村委員 定められた率によって積立てがなされているとのことですが、決められた率の範囲での対応で、十兆円にも膨れ上がった異例ともいえるコロナ対策を含めた都の財政需要を支えることができるのでしょうか。
 コロナの流行当初は、国の財政措置がなかったため、財政調整基金が活用され、残高が急速に減少しましたが、国の財政措置がなされた現在では、確かに今後、都の財政需要が当初ほど大きくはないかもしれません。しかし、いつ財源に穴が空くとも限らないので、しっかりとした備えをしておくことも重要です。
 やはりここは、義務積立てのみならず、任意積立てもすべきであったと考えますが、見解を伺います。

○山田理事 将来にわたりまして、都政の諸課題に確実に対応していくためには、財政対応力の一層の強化が重要であると考えております。
 そのために、令和三年度最終補正予算と四年度当初予算を通じまして、基金全体で約一兆円の残高の確保を図っております。
 加えまして、都債の発行抑制により都債残高を減少させ、将来に向けた発行余力を培うなど、財政基盤の強化に取り組んでいるところでございます。
 引き続き、中長期も見据えながら、持続可能な財政運営に努めてまいりたいと思います。

○中村委員 現在の第六波までの対応として、令和四年度の当初予算では、三か月分の医療関係の予算が組まれてはいます。しかし、さらに、来てほしくはないのですが、第七波、第八波が来ることも、それほど起き得ないことでもないことを考えると、最低限それを見通しての積立てをすることが必要です。まして大幅な増収ということですので、三年度の最終、さらに四年度でも、より一層の基金を積み立てていくことが必要と考えます。
 今回の最終補正予算では、飲食店向けの協力金の大幅な減額補正がされている一方、不用額の範囲で、現在行われている蔓延防止等重点措置に関する協力金の支払いが行われています。
 令和三年度は、十一回の補正予算で、協力金二兆二千百九十二億円が計上されました。そのうちの七回が専決処分で、金額では一兆六千四百二十四億円となっています。
 これは、デルタ株が猛威を振るった第五波が感染拡大している頃までに計上されたものです。予算が不足して申請した協力金を支給できなくなるわけにはいかないとはいえ、大幅に予算の枠が残っていたようです。
 そのため、今回の主にオミクロン株による第六波では、蔓延防止等重点措置の実施に当たっては、補正予算を組むことなく協力金の申請が始まっています。大きな金額でもあり、説明する必要があるのではないでしょうか。
 今回、予算措置を行わない対応とした理由と補正予算を編成するか否かの基準について見解を伺います。

○山田理事 補正予算につきましては、地方自治法において、予算の調製後に生じた事由に基づいて、既定の予算に追加や変更を加える必要が生じた場合に編成できることとされておりまして、都におきましても、この規定に基づき対応しております。
 令和三年度最終補正予算におきましては、今後の協力金の執行見込みを踏まえて予算を減額しておりまして、感染拡大防止協力金の支出については、減額後の予算額で対応しているところでございます。

○中村委員 最終補正予算では六千七百八十七億円も減額をしています。最終補正では、協力金の繰越明許が千三百十七億円、さらに追加補正で二千七百三十六億円が計上され、合計四千五十三億円となりました。
 これらを踏まえても、第五波までの予算としては、単純計算で一兆円を超える予算が未執行であったともいえます。専決処分を重ねた上に、大きな金額が次の感染の波で充てられています。法的には問題ないとしても、きちんとした説明が必要です。
 現在の蔓延防止等重点措置は三月六日までですが、二十一日まで二週間延長になるという報道もあります。新年早々専決処分ということがあっても困ります。延長が決まれば、繰越明許の追加計上など、予算上の対応も出てくるのではないでしょうか。
 これまで、専決処分ではなくて議会で議論を行うべきと再三申し上げてきました。もちろん事業者の皆さんへの迅速に支払うという観点も重要ですが、やはり議会でしっかり議論をすることも重要です。
 万が一、四月以降、蔓延防止等重点措置の延長、あるいは緊急事態宣言の発出などとなった場合に、専決処分ではなく議会を招集すべきだと考えますが、見解を伺います。

○山田理事 まずは感染症の終息に向けまして、全庁一丸となって取り組んでいくことが最優先の課題であると認識をしております。
 今後とも、コロナ対策に当たりましては、その時々の状況を踏まえながら、時期を逸することなく適切に対応してまいりたいと思います。

○中村委員 残念ながら第六波は高止まりしていて、急速に収まることではなさそうです。新年度に発生した事項に対しては、繰越明許を決定しても、今年度の予算は使えないとのことです。
 この委員会でも何度も申し上げましたが、コロナ対策は都議会でも最重要課題であり、緊急で議会を開いて審議するというのならば、幾らでも協力するのが議員の役割です。
 コロナ禍で厳しい状況が続きますが、議会も協力しますので、財政面から都庁のコロナ対策を支えるよう求めまして、質問を終わります。

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