2022/03/07 予算委員会で会派を代表して小池知事に質問しました
2022年3月7日、都議会の予算特別委員会が開かれ、来年度の東京都予算案について会派を代表して小池知事に質問を行いました。夜9時20分から79分間の持ち時間で10時39分まで質問しました。ロシアのウクライナ侵攻に対する平和施策や影響される中小企業支援、予算編成の考え方、困難を抱える人たちへの支援、高齢者施策、交通弱者対策、防災対策、経済・雇用対策、新型コロナ対策、保健所の強化、児童虐待対策など広範にわたって質問しました。以下は質問と答弁の全文です。
○中村委員 それでは、立憲民主党を代表して質問いたします。
初めに、知事の政治姿勢について伺います。
先日の中途議決の討論でも申し上げましたが、ロシアによるウクライナへの武力攻撃、侵略行為は断じて容認できるものではありません。ロシアに対しては、引き続き、即時攻撃の停止、部隊の早期停止を強く訴えていきたいと思います。
一方で、今、改めて意識せざるを得ないのは平和の大切さです。この間、私たちは、二〇二一年一月の核兵器禁止条約発効に合わせた核廃絶の取組をはじめ、東京大空襲を知らない都民が増える中にあって、三月十日の平和の日記念式典だけではない日常的な平和への取組、平和祈念館の整備や平和全般に関する担当部署の設置などを提案してきました。
東京都庁をウクライナカラーでライトアップして連帯の意思を示すだけではなく、常日頃から平和の意義を確認し、平和の意識の高揚を図るために取り組んでいくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
○小池知事 まず、我が国におけます今日の平和、そして繁栄、これらは先人たちのたゆまぬ努力の上に築かれてきたものでございます。これを次の世代にしっかりとつないでいかなければならない。
今回のロシアの行為、おっしゃるように決して許されるものではございません。私たちは改めて、一方で国際情勢の厳しさも目の当たりにしているところであります。
引き続き、首都東京の知事として、都民の命、そして生活を守るために取り組んでまいります。
○中村委員 今起きている局面に対する対応も大事ですし、都民の皆さんの平和の意識の醸成も必要かと思っています。引き続き、平和祈念館の整備については求めたいと思います。
次に、予算編成について伺います。
四年度予算案の施策展開の視点では、年齢や性別、障害の有無などにかかわらず、誰もが輝くことのできる、あらゆるバリアが取り除かれた段差のない共生社会をつくるためとして、段差という言葉を使っています。この段差という言葉は、格差とは違うのでしょうか。
四年度予算案では、段差のない共生社会という中で、コロナ禍が長期化し、人とのつながりの減少、非正規雇用を中心とした離職の増加など、深刻な影響が及んでおり、困難を抱える方の状況に応じた支援体制の構築が求められると触れているように、いわゆる格差を包含しているものと考えますが、この格差の解消に向け、どのような考え方で予算編成に臨んだのか、見解を伺います。
○小池知事 令和四年度予算では、誰もが輝くことができる段差のない共生社会の形成を施策展開の柱の一つに位置づけまして、様々な対策を盛り込んでいるところでございます。
具体的に申し上げますと、例えば、離職した方への職業訓練の実施など雇用対策を充実させましたほか、コロナ禍で孤独や孤立が長引いて悩みを抱えておられる方々への総合的な対策を図るなど、困難を抱えた方への支援体制を構築いたしております。
これらの施策などの実行を通じて、不安を抱える方々に支援が行き届く社会を実現してまいります。
○中村委員 来年度予算は過去最高の金額ということなんですが、厳しい状況にある方々、たくさんいらっしゃいます。引き続き、格差の解消、段差の解消に取り組んでいただきたいと思います。
今回の予算編成過程での政策評価、事業評価の取組で、施策全体の方向性を評価して設けられた成果指標は、分かりやすく、事業全体としての方向性を位置づけるものとしてよかったのではないかと評価するものです。
もちろん課題も多々あります。例えば、私でしたら、MICE誘致などではなく、子供の貧困率ゼロ、児童の虐待死ゼロ、路上生活者ゼロなどを成果指標として、その達成のために政策評価を行っていたんだと思います。
そこで、なぜこの九つの事業ユニットを設定したのか、また、事業ユニットを設定する際に外部の目は活用したのか、併せて見解を伺います。
○吉村財務局長 政策評価の対象となる事業ユニットは、各施策の成果や進捗状況等を踏まえ、さらに踏み込んだ見直しが必要と考えられるものや、関連する計画が改定時期にあるものなどにつきまして、財務局と事業所管局とで見直しの必要性などの課題認識を共有しながら評価対象として設定しております。
その上で、各事業ユニットにおける課題の分析や見直しの方向性について、各施策分野の専門家の方々などに意見を伺い、それらの意見を踏まえ、評価を行っているところでございます。
○中村委員 本会議の代表質問でも、私たちは、都政運営に当たっては、都民の暮らしと人に着目し、貧困や格差などの将来不安の解消に向けて取り組んでいくべきだと申し上げてきました。
貯蓄が十分ではないなどと経済的な不満を訴える都民の満足度を向上させるためには、何をすべきなのかかみ砕き、成果指標として定め、その達成のために取り組んでいくことが重要であると考えます。
もちろん、知事が掲げた二〇三〇年のカーボンハーフや知事選で掲げていた電柱ゼロを除いた七つのゼロなども成果指標にしてもよいとは思います。
そこで、今後の成果指標を掲げるに当たっての基本的な考え方について見解を伺います。
○吉村財務局長 政策評価における成果指標は、定量的なアウトカム指標として、各事業ユニットが目指すべき目標値であり、その達成状況等を踏まえ、より成果重視の視点から、事業ユニット全体の方向性や個々の事業を評価しております。
例えば、パラスポーツの推進に関しては、まず、障害のある都民の方のスポーツ実施率を五〇%に設定するといった具体的な指標を設けております。
その上で、目標の達成状況や個々の事業による成果等を分析し、施策全体の方向性の評価を行い、身近な場所で運動を続けられる環境づくりの推進など、新規事業の構築や既存事業の見直しにつなげております。
こうした指標の分析、評価を通じて、引き続き、都政の課題解決に資する施策の構築に取り組んでまいります。
○中村委員 ここのところ、小池知事の目玉予算は執行率が上がらないものも多いように感じます。
もちろん、求められるのは執行率ではなく成果ですが、掛け声倒れになることのないよう、PDCAなどを通じて確実に成果が上がるよう取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
○吉村財務局長 これまでも都は、予算の編成に当たりまして、事業の実績や執行率だけでなく、社会的要請や事業の必要性など、様々な角度から分析と検証を行い、必要な予算を計上しております。
令和四年度予算におきましても、政策評価と事業評価を一体的に実施したほか、事業評価についても、DXによる業務効率化などの視点も踏まえながら、着実に見直しを図り、施策の実効性、効率性の向上につなげております。
引き続き、成果重視の視点から見直しを行い、実効性と効率性の高い事業の構築と、迅速かつ着実な執行に取り組んでまいります。
○中村委員 成果を上げるためには、ある程度、執行率も上がらなければなりませんから、予算をつける段階でしっかりと調査をし、検討し、準備を進めていただく中で成果を上げていただきたいというふうに思っています。
次に、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
第六波によるオミクロン株を主体とした感染拡大を受けた二月十四日から三月六日までの蔓延防止等重点措置期間が、本日から三月二十一日まで延長となりました。
知事から都民に向けて要請が出されていますが、この間、知事からの発信は鳴りを潜め、何がどうなれば解除になるのか、これ以上どうすれば感染が減るのか、都民にとって分かりにくい延長となりました。
知事から都民向けの要請は、不要不急の外出自粛、夜八時または九時以降みだりに飲食店に出入りしないとなっていますが、果たして今のまま漫然と延ばすだけで、これ以上の蔓延を防止し、この長いトンネルの向こうに光が見えるのか、懐疑的な雰囲気が漂っています。
蔓延防止期間の延長は、これを最後とし、でき得れば前倒して終了できるくらいに感染終息に向けた取組を推進しなければなりません。
そこで、今回の蔓延防止期間において、都民に最もお願いしたいこと、知事自身の言葉で分かりやすく訴えていただきたいと思いますが、見解を伺います。
○小池知事 これまで、感染防止対策など多大なご協力、ご尽力をいただいている都民の皆様、事業者の皆様に改めてこの場で感謝を申し上げたいと思います。もちろんのこと、医療従事者の方々には本当にご尽力いただいておりますこと、改めて感謝いたします。
新規陽性者数は下降傾向になるなど、重点措置の効果は着実に現れておりますが、医療提供体制については依然として厳しい状況にあるということであります。
今が一番大事な時期だと先日のぶら下がり会見の中でも申し上げたことでございます。
そこで、都民の皆様には、油断せずに自分や家族、大切な人を守るという思いを持って基本的な対策を徹底して行動していただきたい旨もお伝えをしております。
また、ゲームチェンジャーとなりますのがワクチンの接種でございますけれども、こちらについてもぜひご検討をお願いしたいと思います。
都としても、国や近隣の三県とも連携を図りながら、ここで感染を抑え込むんだと総力を挙げて対策を講じてまいります。
○中村委員 二週間延長したということは、二週間で終わらせるということだと思いますので、ぜひともここでしっかりと都民に向けてのメッセージも出していただきたいと思っています。
特に、せんだって代表質問の中で解除の基準はどうかと求めたんですけれども、それは国のことだということで明言されなかったんですが、やはり今、飲食店等を含めて、一体先がどうなるのかという不安があるところだと思っています。やはり現場を持つ都として、しっかりとその辺りを考えていただければと思っています。
次に、保健所について伺います。
もちろん、今、コロナに関して最前線で保健所の皆さんが懸命に取り組まれていることには心から敬意を表します。
この四年度予算案では、都保健所の感染症対策に関する業務の在り方検討経費が計上されています。
私は、昨年の第一回定例会の代表質問で、コロナの第四波を考えると、大幅増員やデジタル化、外部化可能な業務の委託など保健所体制の抜本的強化に知事が陣頭に立って取り組むべきだと主張してきました。
人員体制の強化という観点からは、現場からの応援要請を待つのではなく、震災時のように、あらかじめ都庁から現場に駆けつける体制を決めておく即応体制として直ちに発動できるよう、新型感染症に際しての人員計画をつくるべきだと考えます。
既に都内には、図書館や博物館を休館にし、保健所体制を強化するというBCPを発動している自治体もあります。
また、今回のコロナを教訓にするのであれば、保健所と市町村との情報共有、連携強化は欠かせません。
都保健所の感染症対策に関する業務の在り方の検討について、こうした視点も考慮すべきと考えますが、見解を伺います。
○中村福祉保健局長 都はこれまでも、都保健所における応援職員の配置や会計年度任用職員等の活用、業務の委託化などの体制強化や負担軽減に取り組み、感染状況に応じた体制を確保してまいりました。
現在実施しております都保健所の感染症対策業務に関する調査分析を踏まえ、都保健所の感染症対応の在り方を検討することとしております。
○中村委員 ぜひ早急に検討していただきたいと思うんですが、特に今、やはり保健所に関しては統廃合の影響が出てきているんだと思います。
保健所の所管人口は、地域保健法に基づく指針によると、都道府県が設置する保健所の所管区域は二次医療圏に一つを設置することが原則で、二次医療圏の人口が平均的な二次医療圏の人口を著しく超える場合には、地域の特性を踏まえて複数の保健所を設置できることを考慮すると指針に定めています。
全国の二次医療圏の平均人口は約三十七万九千人で、多摩府中保健所の所管人口は約百七万人で、これは、平均的な二次医療圏の人口を著しく超え、指針に当たるということは昨年十月の我が会派の五十嵐えり議員の一般質問でも指摘をしました。
そこで、私は、多摩地域の二次医療圏において、都が複数の保健所を設置することなどについても積極的に検討すべきと考えますが、見解を伺います。
○中村福祉保健局長 住民に身近な保健サービスは市町村が、より専門的なサービスは保健所が実施するという地域保健法の考え方に基づき、都保健所は、二次保健医療圏に一か所設置しておりまして、広域的、専門的、技術的拠点として、地域の感染症対策の重要な役割を担っているところであります。
なお、今後、新型コロナウイルス感染症の感染拡大から終息に至るまでの都保健所の取組を検証した上で、改めてその在り方を検討していくこととしております。
○中村委員 保健所の対象人口が多ければ、人もそれなりには配置はしていると思うんですけれども、やはり一つの保健所の所長が、例えば多摩府中保健所でいえば六市の市長とやり取りしていれば、なかなか大変なところもあると思っています。
東京都が実際、二十三区と町田、八王子を除いたら、多摩と島しょで約三百万の人口を都が所管しているわけでしょうけれども、そのうちの三分の一を多摩府中保健所一か所で見ていることにもなります。まだまだこれから感染症がどうなるか分かりませんので、この保健所の取組についての検証ということをしっかりやっていただいて、私は早急な対応の見直しをしていただきたいということを求めたいと思います。
次に、都立、公社病院の独立行政法人化について伺います。
本会議の代表質問で、都立、公社病院で働く職員への説明状況を質問したのに対し、都は、本年七月が近づく中、職員からの質問も増加するなど、勤務条件に関する職員の関心も高まってきたとの認識を示すとともに、本年一月からは、多忙な職員向けに制度のポイントを短時間で解説した音声つき資料の公開や、全都立病院の希望者を対象としたオンラインでの個別相談会などを実施してきたと答弁しています。
しかし、聞けば、個別相談会で対応した人数は二百人ほどでしかなく、職員四千人に対しては少ないようにも感じます。
そこで伺いますが、個別相談会ではどのような意見が多かったのか、職員の納得は得られているのか、今後とも、より一層丁寧な説明が必要であると考えますが、併せて見解を伺います。
○西山病院経営本部長 本年一月から実施した個別相談会は、これまで説明してきた新法人の人事給与制度案の理解をより深めてもらうよう開催したものでございまして、質問や意見を有する職員や、職場の代表として相談する職員などが参加しました。
移行後の給与や退職手当の取扱いや勤務制度に関する質問などがございました。一つ一つの相談に対し、職員の個々の状況に応じ丁寧に説明することで、それぞれ相談者の理解、納得は得られたものと認識してございます。
今回、相談会に参加していない職員も含め、より多くの職員が新法人の制度理解を深め、疑問や不安を解消し、働きやすさや働きがいを感じられるよう、今後も一層丁寧な説明を行ってまいります。
○中村委員 また、本会議の代表質問で、現場の医療人材、スタッフと経営側とのコミュニケーションを密にすべきだと主張したのに対して、都は、独法化後も病院幹部が院内各部門に出向いて職員と意見交換を行うとともに、職員満足度調査を実施するなど、職員の意見や要望を把握し、迅速に勤務環境の改善につなげるなど、現場の声を病院運営に反映するとの答弁がありました。
そこで、私は、例えば最低月に一回は病院幹部が院内各部門に出向いて職員と意見交換を行うことを明確にするなど、職員とのコミュニケーションをこれまで以上に取るべきと考えますが、見解を伺います。
○西山病院経営本部長 日頃から病院幹部と職員がコミュニケーションを取りながら、現場の声を病院運営に反映させていくことは重要でございます。
このため、独法化後も院長をはじめとした病院幹部が、毎月定期的に各病棟をはじめ院内各部門に出向き、職場の状況を確認しながら職員から意見を聞くなど、職員との意見交換を積極的に図ってまいります。
こうした取組によりまして、患者ニーズや職場環境等に関する意見、要望をきめ細かく把握し、迅速に改善につなげるなど、患者サービスの向上や勤務環境の整備を一層図ってまいります。
○中村委員 さらに、代表質問で、私たちは行政的医療の提供などに必要な費用は、これまでと同様、東京都が将来にわたり負担すべきと主張してきました。これに対して、小池知事からは、独法化後も行政的医療に必要な経費は、これまでと同様に都が確実に財源を措置すると答弁がありました。
その上で、私たちが反対した地方独立行政法人東京都立病院機構定款では、その第一条で、同法人は行政的医療の安定的かつ継続的な提供をはじめ、高度、専門的医療などの提供及び地域医療の充実への貢献に向けた取組を推進することを目的にする旨記載しています。
しかし、私は定款で定める行政的医療の安定的かつ継続的な提供だけでなく、独法化によって行政的医療をより一層、充実強化していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
○小池知事 感染症医療や周産期医療など、民間医療機関だけでは対応が困難な行政的な医療の提供というのは、東京のセーフティーネットである都立病院の使命でございます。
都立病院は、超高齢社会の本格化や医療の高度化など、医療環境が大きく変わっていく中でも、こうした役割を確実に果たしていく必要がある。
このため、医療人材を安定的かつ機動的に確保することができる独法化のメリットを生かしまして、その時々の医療ニーズに的確に対応することで、行政的医療をさらに充実強化していくという考えであります。
○中村委員 行政的医療の充実強化は、今後、感染症対策をはじめ様々な分野で取り組まれることを期待したいと思います。
特に精神科医療に関しては、都立病院がセンター的役割を果たし、他の民間病院の底上げにも貢献できるよう取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
○西山病院経営本部長 精神科領域においても、病院完結型の医療から地域全体で治し、支える医療への転換が進んでおり、患者、家族が地域で安心して療養生活を続けていくための環境整備が求められてございます。
このため、都の精神科医療の拠点である松沢病院において、独法化のメリットを生かし、医師や看護師を地域の医療機関や訪問看護ステーションへ一定期間派遣して、病状や生活習慣などに関する指導助言を行うとともに、地域の医療従事者に対する専門研修を実施し、地域医療を支える専門人材の育成に貢献してまいります。
○中村委員 次に、災害対策の中でも噴火災害対策について伺います。
二〇二一年に富士山ハザードマップが十七年ぶりに改定され、火山被害がより速く、より広範囲にわたることが明らかにされました。
先日のトンガでの火山噴火も記憶に新しいところですが、噴石や火砕流だけでなく、火山灰が広範囲に降ることで、首都圏でも被害は甚大になるものと予測されております。
首都圏での降灰の評価は変更されていませんが、富士山の火山灰がどこまで飛ぶかを予想したハザードマップでは、首都圏には二から十センチメートルほど降り積もると予測されています。都への影響について伺います。
○村松総務局長 富士山の噴火の降灰が及ぼす影響について、国は、中央防災会議のワーキンググループにおいて、令和二年四月に報告書を取りまとめております。
この報告書によりますと、富士山の噴火に伴う降灰によって、都内でも鉄道の運行停止、停電や通信障害、上水道の原水の水質悪化、下水管路の閉塞、住民の健康被害などが発生する可能性があるとされております。
○中村委員 今年は都内でも何度か積雪がありました。雪ならば解けてなくなりますが、そうではない火山灰が二センチから十センチも積もるというのは大変なことです。
アイスランドの火山噴火で長期間、ヨーロッパ各地の空港が閉鎖となりました。火山の噴火では、長期にわたって社会経済活動が大きな制約を受けます。私たちの生活も直撃し、首都機能が麻痺をするものと考えられます。
そこで、課題となるのが迅速な灰の除去ですが、住宅地や幹線道路に積もるのは四億立米以上の火山灰であり、東日本大震災の瓦礫の十倍以上とされます。除去には長い時間がかかりますし、火山灰は燃やせないため、撤去場所の確保、処理は都内だけでは不可能と考えられます。誰が、いつ、どこへ運んで処分するのか、火山灰の除去、処分について早急に具体化しなければなりません。
また、富士山には緻密な火山観測網が展開されており、大噴火の前兆を捉えることができる可能性が高いといわれています。富士山噴火の危険性が高まった際に、いかに被害を最小限に抑えることができるか、避難計画をあらかじめ立てておくなど備えを万全にしていくことが必須と考えますが、知事の見解を伺います。
○小池知事 富士山は、一七〇七年の宝永噴火を最後にしまして、これまで約三百年間噴火していないという歴史がございます。
しかし、一たび噴火いたしますれば、降灰に伴う健康被害、停電、通信障害など、社会経済活動への影響が広域にわたって生じることが想定される。
そこで、都は、地域防災計画で富士山の噴火を想定して、各防災機関の役割を定めているとともに、国に対しましては、ほかの県にまたがる大量の火山灰の処分方法などについて、指針の策定を求めてきたところであります。
国は、中央防災会議のワーキンググループの報告書を受けまして、関係省庁で構成する検討会を立ち上げて、現在、具体的な対策について議論を進めております。
今後、国の動向等を踏まえまして、都として必要な対策を検討してまいります。
○中村委員 なかなかこれだけの大量の火山灰が降ると、都だけというところでは難しいので、国の動向を当然見ていくことになると思いますけれども、本当にこういった災害はいつ起こるか分かりません。
間もなく三・一一から大分、十一年になるわけですけれども、本当によもやと思っている想定外のことが起こるということになります。火山の噴火も、私も何年か前に初めて議会で質問されたときにはまさかと思っていたんですが、本当に何が起こるか分からないご時世だと思っています。
ぜひとも、こういったことも今起きてもおかしくないというつもりで、国の方の動向を見ながらということなんですが、ぜひ国とも協議しながら、迅速な対応をしていただくよう求めたいと思います。
次に、経済、雇用対策について伺います。
コロナ感染対策の蔓延防止など重点措置延長の影響を受けて、首都圏の飲食店の約八割が現在の業況を悪いと答えています。
製造業では、原材料価格や物流費の上昇で、約七割が本業に影響があると述べています。
サービス業にとっても厳しい環境が続き、国の事業復活支援金の条件緩和を求める声があります。
新型コロナ感染の長期化でダメージを受けている内需型企業が、今回のロシアによるウクライナ侵攻を受け、輸入原燃材料価格の上昇や円安などでさらなる影響を受けているため、都においても資金調達手段を含めた事業継続対策を求めるものです。見解を伺います。
○坂本産業労働局長 都は、原油の価格の高騰などにより、売上げに影響の出る中小企業の資金繰りを支援するため、制度融資に新たなメニューを創設いたします。
また、製造業種の中小企業の固定的なコスト削減や、幅広い業種の会社の省エネなどの取組に対して、専門家による助言や設備等の導入への助成を行います。
これらによりまして、中小企業の事業継続を後押ししてまいります。
○中村委員 国際情勢による資源価格の高騰が長引く予測もありますので、事業継続策をお願いしたいと思います。
一方、コロナ禍が男女平等参画を妨げる状況を生じさせています。二〇二一年度、都の調査によると、女性の家事、育児関連時間が二十分増して、男性との差は五時間二十分になっています。
また、男性の育休取得率は一二%、業種によっては五日未満で、この点でも改善の必要があります。
女性が能力を発揮できるための男性や企業の意識改革の推進が必要ですが、都の見解を伺います。
○武市生活文化局長 男性の家事、育児参画を進め、女性が能力を発揮できる環境を整備するためには、社会全体の意識を変えることが必要でございます。
このため、都は、子育て中の夫婦、企業経営者、マネジメント層など、あらゆる都民に向けたサイトにおきまして、夫婦で楽しく家事、育児を実践する工夫や、男性の育児休業取得促進に関する企業の先進事例等を発信しております。
また、家事、育児の分担を考えるきっかけとなるようなシンポジウムも開催しているところでございます。
来年度は、プロスポーツチーム等と連携いたしまして発信力を高め、より幅広い世代の都民に訴えかけるなど、さらなる意識改革に取り組んでまいります。
○中村委員 二〇二〇年からのコロナ感染の影響で、テレワークが一気に広がりました。実施率は六二・七%、中長期的にはこの働き方が広がることは確実です。
一方で、テレワークが進んでいない対面サービス業種は感染症対策の中心で、行政からの休業、時短要請などによって働きにくくなっています。
これらのサービス業の人々でテレワークが可能な部署、業務によってはテレワークを進めることも可能です。
コロナ禍でのテレワーク推進の一方で、課題があるため、それらの検証と導入が難しい業種への支援が必要だと考えますが、見解を伺います。
○坂本産業労働局長 都は、来年度、テレワークの実施が十分に進んでいない業種の企業に対して、伴走型の支援を開始いたします。
具体的には、三百社の中小企業等に対して専門家を派遣し、テレワークで実施できる業務の洗い出しなどを助言いたします。
また、社外からリモートで事務処理のできるソフト等を購入する経費について助成を行います。
こうした支援によりまして、テレワークの一層の普及を図ってまいります。
○中村委員 二〇二〇年の雇用者に占める非正規労働者の割合は、男性二二・一%、女性五四・四%と、解雇などによりそれぞれ減少に転じ、コロナ禍にあって非正規労働者の雇用調整弁としての不安定な環境が現れました。
また、希望退職を募った上場企業も、二〇二〇年は九十三社、二〇二一年も八十四社と高水準で推移し、正規労働者を減らす企業も増えています。
昨年四月、都は、コロナ禍による解雇や雇い止めを余儀なくされた人々への支援として、東京版ニューディール政策、雇用創出・安定化支援事業など、二万人の雇用創出の取組を始めました。
コロナ禍における都の雇用対策の取組効果について見解を伺います。
○坂本産業労働局長 都は、今年度、雇用対策である東京版ニューディールにおきまして、職業訓練や派遣就労を通じたマッチング支援などの取組を行っております。
一月末までに約二万一千人の就職のサポートを実施しており、着実に支援を進めているところでございます。
○中村委員 今年度のこの支援は、目標には届いてはいますが、今年一月の連合東京における労働相談の状況を伺いましたが、解雇、退職強要などの雇用や退職関係の相談が全体の三割近くとなり、派遣や契約社員からの無期雇用転換前の雇い止めの相談も行われているとのことでした。
相談担当者からは、現在は雇用調整助成金によって雇用維持が行われている、その後はどうなるのかとの話がありました。国では、六月末までの雇用調整助成金の特例延長を検討しています。
コロナ禍が長期化する中での雇用状況についての認識と、今後の雇用対策の充実の必要性について、知事の見解を伺います。
○小池知事 感染症の影響が長期化いたしております。そして、非正規で働いていた多くの方々が離職も余儀なくされているという状況でございます。
そうした方の再就職の支援に当たりましては、成長が見込まれるIT産業等への人材シフトを促進する視点が重要です。
このため、都は、東京版ニューディールに加えまして、来年度は、デジタル分野の職業訓練を拡充するほか、IT分野でのマッチングの機会を増やしてまいります。
これらの取組によって、人材シフトにつながる雇用対策を充実してまいります。
○中村委員 冒頭も格差や段差の話もしたんですけれども、大きな企業の業績がよくなってきて税収が上がっているということなんですけれども、やはり働く人にとっては不安定な状況が続いています。
やはり、生活の基本は雇用にあるわけですから、その雇用が安定することが必要かと思っています。特に経済の回復に向けてという意味合いもありますが、雇用の改善、維持をしていくために、さらなる支援の強化を求めたいというふうに思います。
そういった点では、次に、困難を抱える人への支援について伺いたいと思います。
予算案では、私たちがこれまで求めてきた受験生チャレンジ支援貸付制度の対象の拡大などで、予算額も十一億円から五十七億円と大きく増えました。
私たちが生活保護世帯の一・一倍であった収入要件の拡大を求めたのは、二〇一〇年三月二日の代表質問でしたので、ようやくの感もありますが、これを生活保護世帯の一・五倍までに拡大したことは前向きに捉えています。
引き続き、対象の拡大をはじめ、利用者が申請しやすい工夫などを期待するものですが、四年度予算の考え方について伺います。
○中村福祉保健局長 コロナ禍にあっても、より多くの子供たちが目指す道に挑戦できるよう、区市町村における就学援助事業の実施状況を参考に、来年度、受験生チャレンジ支援貸付事業の世帯収入要件を緩和して対象を拡大いたします。
こうした取組に必要な貸付原資や区市町村等への支援に係る経費を令和四年度予算案に計上しておりまして、区市町村等と連携し、広く事業の周知を図ることといたしております。
○中村委員 収入要件の緩和は評価するものの、十分とはいえません。そもそも私たちは、私立学校も含めて教育の無償化を訴えていましたし、今答弁のあった受験生チャレンジ支援貸付制度や児童手当をはじめとする各種手当についても、所得制限を設けることなく、全ての子供が例外なく給付やサービスを受けられるようにすべきと考えます。
そして、その財源は負担能力のある方に適切に負担をお願いすることで、社会全体で子育てを支えていくべきだと考えています。
今後、全庁横断的に取り組んでいく子供政策においては、段差や格差を設けることなく、子供一人一人に光を当てていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
○小池知事 子供は東京の未来を担うかけがえのない存在でございます。全ての子供が、将来への希望を持って、健やかに育っていく環境を社会全体でつくり上げていかなければなりません。
そのため、未来の東京戦略のバージョンアップでは、子供が抱える様々な困難に寄り添って、誰一人取り残さないという視点から、子供へのサポートを強化してまいります。
低所得者への教育費などの支援に加えまして、いじめや不登校、虐待など困難を抱える子供に対して、一人一人に寄り添いながら政策の垣根を越えた支援を重層的に展開をしてまいります。
全庁を挙げて子供に係る諸課題に対応して、子供が光輝ける未来の東京を実現してまいります。
○中村委員 四月から新しい子供に関する部署もできることでございますので、ぜひ子供に関する施策のより一層の強化をお願いしたいと思っています。
さて、この子供政策に関して、高校生への医療費助成について伺います。
小池知事は、三月三日のモニタリング会議終了後の記者へのぶら下がりで、全ての区市町村で早期に実施されるように、令和五年度からの三年間、都の負担十分の十で区市町村を支援すると述べました。
予算審議の最中で、多くの会派から代表質問で質問が出たにもかかわらず、その質問には真摯に答えようとしなかったことは、議会軽視も甚だしいと考えます。
知事は、二月二十二日の都議会本会議では、今後、子供の医療費助成の実施主体である区市町村と丁寧に意見交換等を実施していく予定であると答弁していました。
なぜ先週公表したのでしょうか。二月二十二日の答弁以降、具体的にどのように意見交換をしてきたのか、また、市区町村から具体的にどのような意見が出たのか、併せて見解を伺います。
○中村福祉保健局長 都は、令和四年度予算案を発表した後、区市町村長等との会議において、予算案の内容や今後の進め方について説明いたしました。そうしたところ、事業の実施主体である区市町村から早期に都の考え方を示すべきとの意見もあり、先週、都として基本的な枠組みをお示しいたしました。
○中村委員 市区町村とも丁寧に意見交換してほしいということではあるんですけれども、議会で質問しています。ちょうど代表質問でも本当に質問したばかりだったわけですから、その後、私たちもこれを聞いたのが、報道で見たわけですから、知らせていただいてもよかったんではないかと思っています。
どういう意図で、このモニタリング会議終了後の記者へのぶら下がりで発表したのか意図は分かりませんが、今後、引き続き議会への丁寧な説明を、対応を求めたいと思います。
そして、私たちは代表質問で、市町村からは財政力の違いなどによるサービス格差を指摘する声もあるとして、納得感のある公平な制度設計が求められると主張してきました。所得制限を設けながらも、十分の十で市区町村を支援することでサービス格差は解消するのか、見解を伺います。
○中村福祉保健局長 都では、子育てを支援する福祉施策の一環として、区市町村が実施する子供の医療費助成事業に対し、一定の基準の下で補助することとしております。
○中村委員 次の質問に移ります。
物事を光のスピードで進めることは困難ですが、人に光を当てることは可能です。とりわけ光がなかなか当たりにくい路上生活者について、この間、私たちは、都の目標である二〇二四年度末を少しでも前倒しをし、自立の意思を持つ全てのホームレスの方が地域生活に移行すべく取り組むとともに、夜間に調査を行い、より正確な実態を把握すべきだと主張してきました。
そこで、都の取組及び夜間調査の実施について、改めて見解を伺います。
○中村福祉保健局長 都は、ホームレスの方の就労、自立と地域生活への移行を促進するため、特別区と共同で自立支援センターを設置し、緊急一時保護から職業紹介までの一貫した支援を行っております。
また、路上生活期間が長期化し、高齢等により就労が困難な方に対しては、巡回相談を行い、生活保護の受給等による安定した居宅生活ができるよう支援しております。
夜間の実態につきましては、これまでも巡回相談等において把握してきておりますが、今年度実施している国からの委託事業である生活実態の聞き取り調査結果と併せて概数を公表してまいります。
○中村委員 これ、質問したのは、ずっと私も夜間の調査はしないと実態が分からないんではないかということをいっていました。都の方では、国の基準があるので、昼にずっと調査をするということだったので、本当に実態を現せているのかというところは不安はありました。
今回、ようやく国の聞き取り調査に併せて夜間での調査もするということで、まあ、まだ集計中ということなので、今後、概数ではありますけれども、数値も公表されてくると思っています。ぜひ支援の強化をお願いしたいと思います。
特に私自身も、年末年始の炊き出しなども状況を見させていただきましたが、やはりコロナ禍、厳しい状況にある路上生活の方が本当に大勢いらっしゃるんだと思っています。
恐らくこれまでの昼の数字よりも夜の数字の方が多いのではないかと、推測ではありますけれども、数字が出てくると思いますので、今後そういった正確な実態把握をしていただいて、その上での適切な支援の方をお願いしたいというふうに思っています。
そういったことも含めて、コロナ禍での長期失業者は再就職をますます難しくしています。
総務省が行った労働力調査によれば、働く意欲はあるのに仕事が見つからない完全失業者は、去年は月の平均で百九十三万人と前の年より二万人増え、また、完全失業者のうちの長期失業者の割合は三四・二%で前の年より六・五ポイント高くなりました。
長期失業者に対する再就職支援に積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
○坂本産業労働局長 長期にわたり失業が続く方の再就職に向けては、コロナ禍でも採用意欲の高い企業とのマッチングを支援することが効果的でございます。
このため、都は、ITや介護などの業界の求人を重点的に開拓して、派遣就労を通じて業務スキルを身につける機会を提供し、派遣先での正社員就職ができるようサポートをしているところでございます。
来年度も引き続き、こうした取組によりまして、再就職の支援を進めてまいります。
○中村委員 長期の失業者は増えていますので、ぜひとも積極的な対応をお願いします。
コロナ禍では、ひきこもりが増加し、八〇五〇問題も深刻化したといわれています。私は、昨年十二月の代表質問でも、このひきこもり問題を取り上げ、市区町村での相談窓口設置支援などを求めてきました。都からは前向きな答弁があったと認識していますが、やはり当事者や、その家族を直接支援するのは人であり、現場の支援員や相談員です。
そこで、改めて全ての市区町村での相談窓口の設置促進をはじめ、相談支援する人のスキル向上を図るなど、ひきこもり対策を拡充すべきと考えますが、見解を伺います。
○中村福祉保健局長 都は、昨年、ひきこもりに係る身近な地域での支援体制の充実に向け、都と区市町村による支援推進会議を設置し、区市町村における相談窓口の設置を推進しております。
また、相談対応力の向上を図るため、区市町村等の職員を対象とした研修を実施するとともに、支援方法等を掲載したリーフレットを作成、配布しておりまして、来年度は民生児童委員向けに研修を実施してまいります。
○中村委員 ひきこもりの問題も、なかなか実態が分かりづらいところもあって、今までも国の調査の中で、多分割合で都はこのくらいじゃないかという推測だったと思います。これから市区町村全部に窓口が置かれていくようになれば、より身近なところで状況も把握できるようになってくると思っていますので、ぜひそれに合わせた対応の強化ということをお願いしたいと思います。
さて、困難を抱える人への支援として、私は、四十代、五十代の独身男性に着目しています。
また、幸福度を国別、男女別に見た別の調査では、先進国や発展途上国を含むほとんどの国は、女性の方が男性より幸福度が低い一方で、日本は逆に男性の方が幸福度が低いそうです。
さらに、四十代、五十代未婚男性の幸福度の低さは際立っているという別の調査もありました。痛い、苦しい、お金がないなどと声を出して助けを求めない分、支援の手が届きにくくなっているのではないでしょうか。
例えば、自殺についても、厚労省が発表している令和二年中における自殺の状況によれば、男性の自殺者数は女性の二倍です。国内の男女別、年齢階級別の自殺者で二千人を超えているのは、四十代、五十代の男性だけです。
四十代、五十代男性の自殺の原因、動機は何なのか、また、この世代の自殺防止対策を推進していくべきと考えますが、見解を伺います。
○中村福祉保健局長 四十代、五十代男性の自殺の原因、動機の最多は健康問題でございますが、そのほかにも、自殺の背景には経済問題など様々な要因が複雑に絡まっております。
このため、都は、関係機関や区市町村等から成る自殺総合対策東京会議を設置し、幅広く施策を推進しております。
また、相談行動を起こしづらいとされる男性を含め、悩みを抱える方を早期に適切な窓口につなぐため、相談窓口の一覧を掲載したリーフレットの作成、配布、ホームページ等での情報提供、インターネットを活用した検索連動広告などを実施しております。
○中村委員 いろんな要因もあったりしますので、いろんなところにこういった窓口とか相談できるものとか、チラシがあったりとか、どこかでこういった相談につながるようにしていただければと思います。
今、自殺ということで答弁をいただきましたが、ぜひ四十代、五十代の未婚男性が抱えている課題に光を当てて、低い幸福度という段差解消にも取り組んでいただきたいと要望いたします。
また、私は、昨年の第四回定例会で、孤独、孤立担当部門を設置するなどして、孤独や孤立への対策を行う必要があると述べてきました。
女性や子供やひとり親などは、それぞれの担当部署があっての取組ですが、今申し上げたような四十代、五十代の男性、身寄りのない人など、都庁に担当部署がない人たちには行政からの光が当たりません。
そこで、私は改めて、都においても孤独、孤立担当部門を設置するなどして、孤独や孤立への対策を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
○中村福祉保健局長 社会環境の変化やコロナ禍の影響により、あらゆる世代の人が孤独、孤立の状態に陥りやすい状況にあります。
都では、ひきこもりの方や、その家族に対する相談支援の拡充や動画を活用した自殺防止対策に係る広報など、様々な取組を強化してきております。
引き続き、各局が連携し、様々な不安や困難を抱える方の状況に応じたきめ細かな支援を実施してまいります。
○中村委員 せんだって代表質問したときも申し上げたと思うんですが、イギリスでも担当大臣がいたり、日本でも今、国の方でも担当大臣を置かれてもいます。なかなか今、地域の中で孤立、孤独をしているご高齢の方の方が平均寿命が短いんではないかというようなデータもあるようですから、ぜひこういったところも積極的に取り組んでいただきたいと思っています。
今後、福祉保健局には、新しく企画部も新設されるなど組織の改正もあるようですが、ぜひとも全庁的な取組を要望したいと思っています。
次に、高齢者施策について伺います。
団塊の世代が後期高齢者の年齢に達するいわゆる二〇二五年問題への対応は急務です。都は、高齢化により社会保障関連経費が対前年度比で毎年三百億円ずつ増え、今後、三十年間で累計約十四兆円増加するとしていますが、医療費をはじめ、社会保障費の抑制は容易ではありません。
医療費などの費用面だけでなく、高齢者がいつまでも健やかに生活していけるよう、健康増進や介護予防などに積極的に取り組んでいく必要があります。
この間、都は、三つのCとして、Children、Choju、Communityといって、Chojuを重点の一つとする考えを述べていましたが、コロナの対応もあってか、四年度予算では新たな踏み込みが見られません。
来るべく高齢社会に向けてどのように対応していくのか、知事の見解を伺います。
○小池知事 都は、未来の東京戦略におきまして、Choju、これを戦略の核の一つに据えまして、人生百年時代でも、誰もが幾つになっても元気に活躍する、心豊かに暮らせる社会の実現を目指しまして、介護サービス基盤の整備や人材確保、高齢者の社会参加の促進など、様々な施策を展開いたしております。
さらに、来年度からは、高齢者にスマートウオッチなどを装着いただいて、健康状態を可視化できる取組を開始し、高齢者の健康の維持増進につなげてまいります。
また、介護人材の確保に向けましては、インターンシップから就業先のマッチング、その後の定着までの一貫した支援を開始いたします。
今後とも、世界に誇る長寿社会の実現に向けまして、高齢者施策を積極的に展開してまいります。
○中村委員 私もかねがね都議会の中で、やはり都政の最大の課題の一つが高齢者の課題だという話をしていました。ぜひ世界に誇れる長寿社会になっていただけるよう、取組を重点的に進めていただきたいというふうに思っています。特にコロナ禍において、なかなかこの辺りが目立たなくなってきてしまったんですが、さらに施策に重点的に取り組んでいただきたいと思っています。
さて、この高齢者の問題の中で、先ほど孤独や孤立の対策を聞きましたが、その重点はやはり高齢者であると考えます。
今やスマートフォンの普及によって、私たちは世界中の人たちと簡単につながることが可能となりましたが、一方で、身近な地域や空間でのつながりは、かえって希薄になったと感じます。
スマートフォンを操作して歩いてる人は周りを気にする気配もありません。昔は挨拶していた近所の人も、こちらに気づかず通り過ぎます。同じ場所や空間にいながらも、目を合わすことさえしないのです。私は、こうしたことの積み重ねが人々、とりわけ高齢者を孤立させる一因になっているのではないかと考えます。
そこで、私は、高齢者の孤立、孤独対策の一つとして、高齢者に対する声かけ運動、挨拶運動を提案するものですが、見解を伺います。
○中村福祉保健局長 区市町村では、地域の高齢者の状況を把握し、相談や支援につなげるため、地域包括支援センターを拠点とする見守り体制を構築しております。
都は、センターと連携して、独居高齢者への訪問などを行う高齢者見守り相談窓口の設置や、見守りサポーターの養成、自治会等による見守り活動に取り組む区市町村を支援しております。
また、老人クラブの訪問活動等を支援するほか、民生委員による訪問、声かけなども実施されており、こうした取組を通じ、高齢者の孤独、孤立防止に努めてまいります。
○中村委員 見守りということになると、見ているだけということになってしまいがちです。いろんな関係をつくっていくということだと思うんですが、積極的な挨拶や声かけというのも、簡単なようでなかなかできていないところもあります。
いろんな地域の中に積極的に参加されていらっしゃる方はいいんですけれども、そうでない方も多くいらっしゃる中で、積極的にこういった高齢者の孤立、孤独対策について進めていただきたいというふうに思います。
さて、高齢者の孤立、孤独の防止という観点から、地域における居場所づくりが重要です。
令和二年度予算では、都営住宅の集会所などを活用した東京みんなでサロンを打ち出し、私も当時、都市整備委員会などで質問してきました。しかし、その後、コロナ禍もあって、食事などを楽しみながら交流を深めるという事業は難しくなったと危惧するものです。
そこで、改めて都営住宅における東京みんなでサロンの現在の進捗と四年度予算案での対応について見解を伺います。
○榎本住宅政策本部長 都営住宅の集会所等を活用し、様々な人々の交流の場として地域の居場所づくりを進めることは重要でございます。
今年度、区市等と連携しまして、東京みんなでサロンを五か所で先行実施し、高齢者のフレイル予防教室や子供の居場所づくりなど、多様なニーズ等が明らかとなりました。
今後、都では、この成果を踏まえまして、区市町やNPO等の地域の様々な主体と連携し、多彩なプログラムを通して参加者が交流できる事業を本格化いたします。
来年度は、東京みんなでサロンを二十か所程度で実施しまして、居場所の創出を図ってまいります。
○中村委員 少しコロナでスタートが遅れた感はあるんですが、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
特に、なかなか都営住宅にお住まいの方も、その周りの地域の方と交流がない場合もあったり、逆にその地域の中に集まる場所がなかったりするときに、都営住宅の集会所は非常にいい場所だったりするんですけれども、自治会によってはなかなか貸せないとかというところもあったりします。
都がこういった施策をやることで、きっかけによって、都営住宅の方とその近隣の方とうまく融合するようにしていただいて、よりよい居場所ができるようにしていただければと思います。
さて、高齢者の孤立化対策での居場所づくりというのは重要ですが、それを支える地域のコミュニティが重層的であればあるほど、緊急時など、いざというときにはより機能を発揮するものと考えます。
地域による世代間交流は、いわれて久しい課題でしたが、この間、小池知事が進めてきたテレワークによって、子育て世代など、働く人が地域にいる時間が増えています。
四年度予算案では、町会、自治会活動の推進に向けて、新規事業も見られ、これら取組を通じて、テレワークなどによって地域で過ごす時間が増えた人たちを地域コミュニティにつなげていくべきと考えますが、見解を伺います。
○武市生活文化局長 町会、自治会は、高齢化に伴う役員の減少や新規居住者の未加入といった課題を抱えており、新たな担い手を確保していく必要がございます。
来年度、新たに実施する防災対策普及啓発事業助成では、住民の防災意識を高めるため、町会、自治会が地域の防災情報を掲載した啓発チラシ等を配布します。
さらに、区市町村と連携して、町会、自治会における導入を支援する地域交流アプリでも魅力的なイベント情報を発信します。
こうした取組を通じまして、地域で過ごす時間が増えた働く世代を含め、これまで町会、自治会活動に参加してこなかった方々にも町会、自治会の活動に気づいていただき、理解や加入促進につなげてまいります。
○中村委員 地域コミュニティの活性化について、町会、自治会は、大変役割は重要です。市区町村の役割になるところもあると思うんですが、都も連携して取り組んでいただければと思っています。
特に、やはりテレワークになってから、コロナになってから、今まで地域で見なかった方々が意外と地域にいたりとか、ずっと家でお仕事をしていてもということがあって、外に出られているんですけれども、その方々もまた行き場がないというところもあります。
ある意味で、こういった新しい地域コミュニティをつくっていくチャンスの時期でもありますから、積極的にそういった方々が地域で活動できる場所ができればと思っています。
ただ、もちろん町会、自治会の側でもイベントの情報を発信していくといっても、そもそもイベントがなければ発信するものはないでしょうから、そういったイベントが企画できるようなところも市区町村と連携しながら、町会、自治会の活動も活性化させていただければというふうに思っています。
また、私の地元の三鷹市では、高齢者社会活動マッチング推進事業として、専門的な知識や経験を地域で発揮したい高齢者と、サポートを必要とする個人や団体とを結びつけるため、IT等を活用してマッチングし、高齢者の社会活動への参加を進めています。地域には、まだまだ地域のために役立ちたい、人のために役立ちたいと思っている高齢者が多くいます。
そこで、私は市区町村の区域を越えて、都域においても、やりたいことをマッチングするなどして高齢者の社会参加を積極的に進めるべきと考えますが、見解を伺います。
○中村福祉保健局長 都は、来年度から高齢者が意欲や関心等に応じて社会参加できる環境づくりに向け、高齢者等に社会参加に関する情報提供や紹介等を行う相談窓口の設置や、活動等の場になる地域資源の掘り起こしに取り組む区市町村への支援を開始いたします。
あわせて、有識者や区市町村等からも意見を聞きながら、高齢者等の意欲や希望に応じた幅広い分野における社会参加のきっかけづくり、マッチングを広域的に支援するための施策を検討し、実施してまいります。
○中村委員 高齢者といっても、孤立、孤独ばかりではなくて、元気な高齢者もむしろ大勢いらっしゃるかと思っています。その高齢者の方々が元気でずっといていただくためにも、そういった方々が活動する場をつくるというのは大事なことだと思っていますし、IT等の活用で新たなこういった取組もできるようになってきましたので、積極的にこういった事業を行っていただきたいというふうに思っています。
さて、高齢者施策の最後の質問ですが、介護離職ゼロについて伺います。
昨年の未来の東京戦略には、二〇四〇年代までには介護離職という言葉が死語になっているという記述がありましたが、バージョンアップされた今年の未来の東京戦略には、介護離職という言葉が見当たりません。介護離職ゼロは知事の選挙公約にもあった七つのゼロの一つです。
そこで、介護離職ゼロに向けて、知事の認識と取組について見解を伺います。
○小池知事 介護離職ゼロへ向けての質問でございました。超高齢社会が進展する中で、介護と仕事の両立というのは多くの都民が直面する課題であります。
また、働き盛りで業務の中核を担う社員の方が介護によって離職を余儀なくされるということは、企業経営にとりましても大きな問題になっているわけです。
昨年公表いたしました未来の東京戦略で、二〇四〇年代のビジョンとして、介護離職が死語になっているという、これを目指す姿に掲げておりまして、既に介護サービスの基盤や介護と仕事の両立に向けました職場環境の整備などの取組を進めております。
今般公表した政策のバージョンアップでございますが、さらなる取組の推進を図ってまいります。例えば、さきにも申し上げましたけれども、職員宿舎の借り上げ支援、民間ノウハウを活用した入職や定着の支援などなど、介護人材の確保対策を強化いたしてまいります。
また、加えましてテレワークの推進など、両立に取り組む企業への支援を充実しまして、誰もが安心して暮らせる長寿社会を実現してまいります。
○中村委員 介護で厳しい状況にある方は大勢いらっしゃいますので、介護離職ゼロということには期待していた方も多かったんだろうと思っています。
職場環境の整備と、また介護人材の確保とか、いろんな側面から取り組んでいかなければいけないと思っているんですが、特に今、介護の中で、老老介護とまではいかないまでも、比較的中高年の方で、これから会社等で活躍する方や収入が増えていくという方々が、高齢者の介護のために離職をして、親の年金等で生活をしていくということになると、介護されている方が亡くなると、今度その介護してきた人の生活が、そこから再就職が大変厳しいという状況になってしまいます。
できれば、やはり仕事と介護が両立できるようにしていかなければならないと思っていますので、大変いろいろ課題は多いと思うんですが、介護離職ゼロというのは、私は本当に大変重要な施策だと思っていますので、ぜひ積極的に都としても取り組んでいただければというふうに思っています。
次に、交通弱者対策についての質問に移りたいと思っています。
まず、ホームドア設置の促進についてです。
ホームドアは多くの場合、後から付け足すものであり、構造上の制約が生じることは否めません。また、近年進んでいる相互乗り入れで車両のドア位置が異なるなど、物理的制約が多いのも事実です。工事も大規模になるため、進捗にも時間がかかっています。
しかし、あらゆる都民が安心して外出でき、電車との接触事故などのない東京を実現するためには、ホームドアの設置をスピードアップする必要があります。
そのため、私たちは利用者十万人以上やオリンピック会場最寄り駅といった条件のほかにも、ホームの狭さや混雑度、転落事故の危険性、ベビーカーや高齢者、障害者などの利用数も加味して、ホームドア設置の整備助成対象を拡大するべきと提案しました。
その結果、都は、優先整備の考え方をまとめ、利用者十万人未満の駅にも補助対象を拡大して設置を促進してきました。
新たな補助対象による整備の実績とスピードアップに向けての今後の取組について伺います。
○上野東京都技監 ホームドアの整備を促進するには、鉄道事業者の積極的な取組が不可欠でございます。
都は、令和元年に取りまとめた優先整備の考え方も踏まえ、事業者に整備計画の策定を求めるとともに、令和二年度から利用者十万人未満の駅へ補助対象駅を拡大しており、今年度まで十二駅が補助対象となっております。
狭隘なホームでの設置スペースの確保など、技術的な課題に対応するため、来年度、事業者との検討会における技術的な方策を取りまとめてまいります。
その検討状況も踏まえながら、さらなる整備対象駅の追加など、整備計画の見直しにつきまして、事業者と個別に調整を行ってまいります。
こうした取組を通じて、ホームドアのより一層の推進を働きかけてまいります。
○中村委員 私は、連続立体交差化などで駅を新しくする際に、ホームドアの設置も併せて進むことを期待しておりましたが、新しい駅にホームドアが設置されないこともあります。様々事情があるとは思いますが、私は一日も早くホームドア設置をしていただき、一人でも命を失う方がいないようになってほしいと考えています。
ホームドアが設置されるまでの間にも、命を落とす方のないようにするための対策として、転落を感知して電車を非常停止させる仕組みといった代替措置に対しても導入を支援し、転落による事故などを一つでも減らすようにすべきと考えますが、見解を伺います。
○上野東京都技監 鉄道事業者は、ホームからの転落防止効果の高い対策といたしまして、都の支援も得てホームドアの設置を進めておりますが、物理的な制約などがあることから、当面の策といたしまして、駅構内カメラの映像をリアルタイムに解析し、ホームからの転落などを自動検知するシステムを運用している駅もございます。
都は、事業者による視覚障害者等の転落防止に関する取組を後押しするためにも、今年度の都民からの事業提案を受け、さらに便利で安全に利用できるよう、令和四年度に鉄道事業者と連携いたしまして、スマホアプリや先進技術を活用した案内誘導などに取り組んでまいります。
○中村委員 技術革新によって転落をいち早く検知して電車を止める仕組みも導入されているとのことですから、これを進めていただきたいと思います。
私は、中でも視覚障害のある方がホームから転落された事故の報に接するたびに心を痛め、都にも度々要請してきました。ぜひホームドア設置のスピードアップ、そして、設置までの間に命を守るための措置に対しても、都としての積極的な支援をお願いしたいと思います。
特に鉄道事業者によって考え方も違うところもあるとは聞きますけれども、ホーム上で物すごい勢いで特急電車等通過していくと、私も怖い思いもするところもありますし、いろいろやはり立場の弱い方、障害のある方、本当に不安だと思います。ぜひ都としても、より一層、これからも積極的に働きかけをしていただきたいと思います。
さて、次に、コミュニティバスについて質問します。
多摩地域の広域拠点を走るコミュニティバスは、例えば小児病院の最寄りバス停名を掲示案内したり、市役所前には平日の開庁時間のみ停車するなど、地域に根差した運行を行っているところもあります。
コミュニティバスは、地域の希望が高く環境負荷の低い移動手段である一方で、黒字運営になりにくく、コロナ禍で乗客が減ったことで、運営が一段と厳しくなっているとも聞きます。
誰もが移動しやすい都民の足、コミュニティバスへの支援をさらに取り組むべきだと考えますが、見解を伺います。
○上野東京都技監 コミュニティバスは、既存の路線バスや鉄道などでは補えない交通需要に対応する地域の公共交通でございまして、地域ごとのニーズを踏まえ、区市町村が交通事業者などの関係者と連携し、主体的に運行しております。
都はこれまで、区市町村に対しまして、コミュニティバス導入に当たっての車両購入や運行経費などへ支援を行ってきております。
利用ニーズの変化に的確に対応し、利便性向上を図るとともに、持続可能な移動サービスを提供するため、既存路線の見直しや環境性能に優れた車両の導入につきましても、支援の対象として追加してまいります。
○中村委員 なかなかコミュニティバスの性格上、黒字になりにくいところはあります。黒字であれば民間がやっているというところもありますし、そういった問題もあるんですけれども、どうしても市区町村の業務だということにはなるんですが、都として積極的に支援していかないと、初期投資のところはお金を出すんですが、自治体としてはずっと運行経費も負担し続けることになってしまいますので、何らかこういったものが、これからますます高齢化が進んでいって必要性が高まっていくのであれば、支援の枠組みというのも広げることもあってもいいのではないかというふうには思っています。
いずれにしても、こういった、ますます高齢化が進む中でのコミュニティバスの導入に当たって、市区町村への支援をさらにしていただきますよう要請したいと思います。
さて、次に、自転車の通行についても質問していきたいと思っています。
私の地元の三鷹市は、自転車活用推進重点地区となっておりまして、推進をさらに期待するものです。
長期に道路整備が行われる中で、歩行者と自転車がともに行き交う通行帯があります。メインの通路と脇道とが交差する箇所では、車椅子やベビーカーが通るたびに、ガタンと音を立てる場面も見受けられます。この段差は自転車にも同様な差し障りがあります。
そこで、歩車道の段差をなくし、安全でスムーズな歩行空間の創出にさらに取り組むべきだと考えますが、見解を伺います。
○中島建設局長 歩行者の通行動線上における歩道と車道との段差につきましては、東京都福祉のまちづくり条例による施設整備マニュアルにおいて、車椅子利用者の利便と視覚障害者の安全な通行の双方を考慮し、二センチメートルが標準となっております。
一方で、区市町村が利用者の意見を踏まえて定めた場合には、より段差の小さい構造の縁石についても採用できるとされております。
例えば、江戸川区は段差のない構造を標準としており、都も同区内の都道では溝を入れた縁石を使用することで段差をなくしております。来年度は、環状七号線における無電柱化事業等に合わせて整備いたします。
今後も、区市町村からの要望があった際には都道への適用について検討するなど、安全で快適に利用できる歩行空間の創出に取り組んでまいります。
○中村委員 なかなか視覚障害者の方が一番大変だということで、そこに合わせられてということなんですけれども、車椅子の方、ベビーカーを押す方もいろいろ大変な状況もあるかと思っています。全ての方にとって安全になってくれればいいと思うので、何とかうまくこういったところを調整していただいて、誰にも通行しやすいようにしていただければと思っています。
さて、自転車なんですが、以前は歩道をよく走っていたんですけれども、原則どおりということで、最近は車道にということになっていますが、ただ、自転車は歩道ではなく車道に安全な走行空間を整備することが必要であって、自転車通行空間の創出に取り組むべきですが、見解を伺います。
○中島建設局長 昨年五月に策定いたしました東京都自転車通行空間整備推進計画では、自転車レーンなど車道を活用した形態を基本としつつ、車道での整備が困難な場合においては、暫定形態として歩道を活用し、早期に連続した自転車通行空間の整備を進めることとしております。
来年度は、井ノ頭通りなどで自転車レーン等の整備を予定しておりまして、今後とも誰もが安全で安心して利用できる自転車通行空間の整備を推進してまいります。
○中村委員 交通において一番立場の弱い歩行者を守るために、自転車が原則どおり車道ということになったんですが、そのときに道路の構造を何も変えていないと、結局、自動車に比べればさらに自転車は弱いわけなんですが、本当にそういう意味では車道を走っていると大変怖い思いもしています。
ただ、一方では、車は車の方で自転車が車道を走っていると大変危ないところもあって、なかなか幅の拡幅が難しい中で、歩行者と自転車と自動車をどううまくやるかというのは大変難しいところがあると思っています。
できれば必要なところは拡幅していただきたいと思うんですが、歩道の在り方等の見直しとか、レーンを造るとかしながら、やはり守るべき順番としては、歩行者がいて、次は自転車、自動車だと思いますから、今の構造のままということでは大変危ない思いをすることもありますので、ぜひこういったところも、国の方で道路構造令で決まっているところもあるかもしれませんけれども、ぜひ検討していただければ、また、箇所箇所によって違うところもあると思っていますので、見ていただいて、安全な運行ができるようにしていただきたいと思っています。
さて、このテーマの最後に、知事にバリアフリーのまちづくりについて伺います。
バリアフリーというと、どうしても駅エレベーター設置や駅周辺の段差をなくすといったことがイメージされがちです。しかし、ワンルート確保が進んできた現在、車椅子がゆえに大回りして電車にアプローチするのではなく、ツールート目に対する要望も強くなっています。
また、タクシー乗り場は、多くが駅前ロータリー等の外れにあり、子供連れや疾患、障害のある方、大きな荷物を持った方などが利用するのに、なぜあんなに遠くにあるのかという都民の声も多く出ます。
ここまで伺ってきたように、自宅から目的地に行って帰るまで、一貫して移動のバリアがなくなり、安全・安心にならなければ、一人一人にとってのバリアフリーは実現しません。
知事の考えるバリアフリーのまちづくりへの取組について見解を伺います。
○小池知事 東京二〇二〇大会を機に進展したまちのバリアフリーを加速いたしまして、都市のレガシーとして発展をさせていく。道路の段差解消、勾配の改善、主要駅でのホームドアやエレベーター設置などの取組に加えまして、令和四年度は地理情報システムを活用した整備状況の見える化を推進するなど、区市町村と連携を深めながら、さらなる面的拡大を図ってまいります。
まちの段差を取り払い、誰もが移動しやすい環境を整備し、ユニバーサルデザインのまちづくりを都内全域で展開してまいります。
○中村委員 ぜひ、誰にとっても移動しやすいまちづくりについて、しっかり取り組んでいただければと思っています。
さて、次に、多摩地域での児童相談所の増設について伺います。
昨年十二月の代表質問で、私は、現在多摩地域の児童相談所が抱える課題を解決する意味でも、新たな都立児童相談所を設置するなどの適正配置が必要だと訴えてきました。
都立児童相談所の設置に当たっては、人口や地域性はもとより、面積が広範囲になり過ぎないこと、すなわち区域内に目が行き届き、効率的に業務が遂行できるよう、交通事情も勘案するなど、新設も含めて適正な配置を実現すべきと考えます。
四年度予算案及び今後の取組について見解を伺います。
○中村福祉保健局長 国は昨年七月、児童相談所の設置基準を政令等で新たに設定しておりまして、管轄人口が百万人を超える児童相談所は、新設等による管轄区域の見直しが求められております。
都は来年度、練馬区に設置する児童相談所の設計に着手するほか、多摩地域での新たな児童相談所の設置に向けて、施設規模や設置場所、設置形態等に関する調査を実施いたします。
こうした取組などによりまして、法令等を踏まえ、児童相談所の管轄区域の見直しを図ってまいります。
○中村委員 国の基準でおおむね五十万というので、その五十万の解釈が二十万から百万ということだそうなので、もちろん最大で百万超えると見直さなきゃいけないということなんですが、標準的には五十万ということなわけでしょうから、私はもう少し身近なところに設置ができればというふうに思っています。
とりわけ二十三区の方が、これから順次、大半が区の方に移管されるとなると、東京都の方が担当するのは主に多摩地域になっていくと思っています。
保健所とはまた種類が違うとは思うんですが、そのことで大くくりになってしまって、またこういった相談の窓口と距離が遠くなるというのは少し困るんではないかというのを何となく保健所を見て感じてしまうところもあるわけですから、児童相談所についても、これからまだまだ児童虐待は増えていきますので、体制を強化していくという意味でも、ぜひ地元の自治体との意見交換等も丁寧にしていただいて、より身近なところに設置ができるようにしていただければというふうに思っています。
さて、児童相談所の増設もさることながら、何より重要なことは児童虐待を起こさせない、児童虐待という状況に陥る前の取組です。
そのためには、未受診妊婦をはじめ、被虐待の経験のある親など、ハイリスク家庭の把握や適切な支援はもとより、日常的に子供と家庭の接点を持ち、寄り添うことが可能な基礎的自治体の人への支援、おせっかいなくらいの支援が欠かせません。
都は来年度、妊娠期から就学前にかけての子供と家庭を支援するため、とうきょう子育て応援パートナー事業を創設するとしていますが、その取組について伺います。
○中村福祉保健局長 都は来年度、子育て家庭に寄り添い、様々な支援をコーディネートする人材を養成するため、とうきょう子育て応援パートナー事業を開始いたします。
具体的には、有識者や区市町村職員等で構成する検討ワーキングを設置し、この人材の位置づけや求められるスキル、支援プランの作成方法などについて検討いたします。
この検討結果を踏まえ、養成プログラムを取りまとめて研修に活用し、区市町村の人材育成を支援してまいります。
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