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都議会質問記録

2022/03/25 都議会で高齢者施策等について文書質問を提出しました

 2022年3月25日、定例会で都に対して文書質問を提出しました。本会議場で質問する機会を得られなかった議員に、文書で質問を提出した場合に本会議での質問と同じ扱いをするこになっています。毎議会、議場での質問か文書質問か必ずどちらかを行っています。次の定例会前に答弁書が出されますが、答弁作成にあたって所管と意見交換しました。
 今回は、高齢者施策を主にとりあげました。かねてから都政の最大の課題は高齢者施策として取り組んできましたが、コロナによって深刻さを増しています。老々介護対策、介護人材確保、施設整備などさらなる取り組みを求めて質問しました。その他にも、新型コロナ対策、下水道施設の整備、中国残留邦人の支援など質問しました。

1.高齢者施策について

問1:高齢者施策は都政における最大の課題の一つであり、とりわけ介護の課題については深刻で、新型コロナウイルス感染症により深刻さは増している。本来であれば長寿化は喜ばしいことであり、そのためにも地域で暮らし続けることができる施策が必要になる。
 そうした中で、老老介護が問題だと言われて久しい。60代、70代の高齢者が、90代、100歳以上の高齢者の介護をする事例も多い。家族で介護をすると、家族がいない場合に比べ施設への入所の優先順位が下がり、入るのが困難にもなる。高齢者の介護疲れも深刻になっている。都は、老老介護の現状をどのように把握しているか。また、必要な支援につながっていない場合もあるが対策を伺う。

答1:国が令和元年度に実施した国民生活基礎調査によれば、同居している要介護者等とその主たる介護者の組合せのうち、両者が共に65歳以上であるいわゆる老老介護は、全国で59. 7パーセントとなっています。また、都が令和2年度に実施した高齢者の生活実態に関する調査では、65歳以上の高齢者のうち、家族・親族等の介護・世話等をしている方の割合は14. 3パーセントとなっています。高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとして、必要な施設サービス及び在宅サービスを総合的・一体的に提供する介護保険制度が運営されており、都は、制度が円滑に運営されるよう、介護サービス基盤の整備、介護人材の確保等に取り組んでいます。また、地域での見守り、家族介護者への支援など様々な取組も実施しており、地域で支え合いながら、高齢者がいきいきと心豊かに、住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、引き続きこうした取組を着実に推進していきます。

問2:新型コロナウイルスにより、高齢者の外出控えが進み身体能力の低下が懸念される。また、人と接する機会が減ることで認知症が進むことも危惧される。新型コロナの感染が高齢者に与えた影響と対策について伺う。

答2:都が区市町村を対象に実施した介護予防に関する調査では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う外出自粛等の影響による高齢者の心身機能の低下、交流機会の減少などの事例が確認されています。都は、令和2年度に、高齢者が感染リスクに注意しながらの外出や適度な運動、十分な栄養摂取を行えるよう、動画やリーフレットによる普及啓発を行うとともに、令和3年度からは、オンラインで友人等と一緒に体操、趣味活動などを行う取組を支援する区市町村に補助しています。

問3:雇用情勢が厳しい昨今でも介護の仕事への求人は多く人手不足が深刻さを増している。処遇改善に取り組んでいるが、実際に働く人の給料に反映されていないこともあるという。介護事業としても介護職以外の事務職員等の待遇も考慮し、直接介護人材に処遇改善が行き届いていないことも一因と言われる。介護人材の処遇改善に対して、将来への不安なく働き続けることができるよう、実際に働く人の処遇が改善されるような仕組みが必要だが見解を伺う。

答3:介護サービス事業は、介護報酬等により運営されることが基本であり、都は、国に対し、事業者が人材の確保、育成、定着を図り、事業運営を安定的に行うことができるよう、大都市の実情を踏まえた介護報酬とすることを提案要求しています。介護報酬の介護職員処遇改善加算及び介護職員等特定処遇改善加算は、加算額の全額を介護職員等の賃金改善に充てることとされています。都は、令和4年2月から、国の新たな経済対策に基づき、介護職員の収入を3パーセント程度(月額9千円)引き上げるための措置を実施しています。

問4:介護人材不足への対応として若い世代への介護職への関心を高める必要がある。福祉系の学校を卒業しても、介護職に就かない人もいるなど問題は深刻になっている。介護職についてはむしろマイナスのイメージが強い中、やりがいをもって働ける職場になるよう改善をし、若い世代の関心が高まるよう取り組むことが必要だが見解を伺う。

答4:都は、若年層向けにSNS広告等を活用して福祉の仕事の魅力を発信し、福祉の仕事への興味・関心を高めるとともに、福祉業界全体のイメージアップを図り、福祉人材の確保に努めています。また、働きやすい職場環境の整備に取り組む事業所をTOKYO働きやすい福祉の職場宣言事業所として公表するほか、介護事業所を対象に、人材育成の仕組みづくり及び働きやすい職場づくりに向けたセミナーを開催するなど、福祉事業所の職場環境の向上を支援しています。

問5:住み慣れた地域で住み続けることが理想だが、施設整備も一定必要になる。高齢者によって、要介護度、家族の構成、経済状況など様々なニーズがあるがゆえに、本来必要な支援ができていないこともある。高額の有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅の建築が進む一方で、特別養護老人ホームの待機者は多く存在する。特別養護老人ホームは原則、要介護度3以上しか入れなくなったが、認知症の場合には介護度が低く出ることで、家族が困っていても入所できない例もある。都は施設介護に対する様々なニーズに応え、必要な人が入所できるようにする必要があるが、都の取り組みを伺う。

答5:特別養護老人ホームの入所対象は、原則として要介護3以上であるが、国が技術的助言として示している指針では、要介護1又は2であっても、認知症で日常生活に支障を来すような症状等が頻繁に見られるなど、やむを得ない事情により特別養護老人ホーム以外での生活が困難な方については、特例的に入所が認められることとなっており、都は、この内容を区市町村及び施設に周知しています。また、高齢者が住み慣れた地域で希望する施設等に入所できるよう、特別養護老人ホーム、認知症高齢者グループホームなどの計画的な整備に努めています。

問6:都は福祉保健計画を改定したが、施設の整備の目標年次を、従前は平成37年(=2025年、令和7年)としていたが、今回は令和12年、2030年度末に繰り下げることで、大幅に下方修正している。なぜ下方修正したのか理由を伺う。

答6:東京都高齢者保健福祉計画における特別養護老人ホーム等の整備目標は、高齢者人口の将来推計、区市町村のサービス見込量等を踏まえ、中長期的な目標として設定しています。令和3年3月に策定した第8期の計画では、同時期に策定した東京都の総合計画である「未来の東京」戦略との整合を図り、目標年次を令和12年度とした上で、計画策定時点の整備状況等を踏まえ、特別養護老人ホームを6万4千人分、介護老人保健施設を3万人分、認知症高齢者グループホームを2万人分確保することを目標としています。

問7:高齢者施設の整備については、むしろ早急な整備が必要になる。入所の待機者はどのくらいいるか伺う。また、計画を前倒しし、整備を急ぐ必要があるが、取り組みを伺う。

答7:都が実施している都内の特別養護老人ホームヘの入所申込者等に関する調査では、平成31年4月1日時点の入所申込者数は29、126人、このうち、入所の必要性が高いと区市町村が判断した方は3、820人となっています。都は、高齢者保健福祉計画で特別養護老人ホーム等の整備目標を定め、都有地の減額貸付け、土地賃借料の負担軽減、整備率が低い地域への補助単価加算、建築価格高騰に対応する補助加算など、様々な取組を実施しており、令和3年度からは、整備率が低い地域への補助単価の加算を拡大するなど、整備を促進しています。

問8:急速に進む高齢社会において、介護サービスを受けるには、市区町村での介護認定が必要になる。しかし、介護認定に時間がかかるため、急病や転倒などにより、緊急で介護が必要になる場合に対応できない。介護認定の体制強化が必要であり、都として市区町村を支援する必要があるが見解を伺う。

答8:新規に要介護認定を申請し、認定結果が出るまでの間も、保険者が必要であると認めた場合には、暫定ケアプランを作成して介護サービスを利用でき、認定結果が出た時点で、申請日に遡って介護給付の対象となります。都は、要介護・要支援認定に関わる認定調査員、主治医、認定審査会委員及び区市町村職員を対象に、必要な知識及び技能を修得並びに向上させるための研修を実施するほか、区市町村に対し、疑義照会への対応、情報提供、訪問等による助言を行うなど、要介護・要支援認定を公平・公正かつ適切に実施できるよう支援しています。

問9:高齢者が健康を保つため、散歩など適度な運動が必要になる。外出した際にはトイレが必要になるが、コンビニエンスストアなど民間施設を借りる場合も多い。公共トイレの整備について、都として市区町村と協力して一定範囲に一定数の車いす使用者対応トイレを整備するよう、計画的に取り組む必要があるが見解を伺う。

答9:東京都福祉のまちづくり条例の整備基準では、施設を新設又は改修する際は、不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高齢者、障害者等が利用するトイレのうち、1以上は車椅子使用者に対応するトイレを設けることとしています。また、都は、トイレのバリアフリー化及びトイレの情報等を含むバリアフリー情報の発信に取り組む区市町村に補助しています。

問10:高齢化が深刻化する中で、少子高齢化問題とも言われるが、長期的に見て解決を図るには、少子化対策が必要となる。このままの人口構成が推移すると高齢者を支える若年層にとっての負担増は深刻になる。高齢者施策の対策として若年人口の増加が必要になるが見解を伺う。

答10:高齢化の更なる進展とともに少子化か続く人口減少社会では、担い手の不足や社会活力の低下、社会保障費の増大など、様々な面で大きな影響を及ぼします。そのため、「未来の東京」戦略では、2040年代に向けて目指す姿として、合計特殊出生率が2. 07となり、少子化からの脱却に成功していることを掲げ、戦略1子供の笑顔のための戦略に基づき、待機児童解消に向けた保育サービスの拡充や、妊娠・出産・子育ての切れ目ない支援など、多面的な取組を精力的に推進しています。また、今回の政策のバージョンアップでは、総合的な子供政策の推進を掲げたところであり、子供や子育て家庭に寄り添った様々な政策を全庁を挙げて進めていくこととしています。

2 新型コロナウイルス対策について

問1:オミクロン株によるいわゆる第6波としての、まん延防止等緊急措置期間は3月21日に終了した。しかし、今後、第7波、第8波が来る可能性もある。デルタ株の強毒性とオミクロン株の感染力の両方の特徴を備えたようなウイルスが出てくれば、大変な事態になる。危機に対し最悪の事態を想定して対策することだが、そうした場合に備えて、病床の確保をする必要があるが、見解を伺う。

答1:都は、オミクロン株による第6波の感染が急拡大する中、先手先手で病床確保レベルを引き上げたほか、重症化リスクの高い高齢者の方を受け入れる臨時の医療施設などを開設してきました。今後とも、感染状況及びウイルスの特性に応じ、医療提供体制を確保していきます。

問2:新型コロナウイルスに関して、精神疾患のある方の入院について不安の声がある。もとより、身体合併症などの場合に入院が困難であったが、コロナの場合はさらに困難であり、また、そのことが不安を増幅させている。都として新型コロナにおける精神疾患の方の入院枠の拡大に取り組むべきと考えるが見解を伺う。

答2:都は、精神疾患を有する新型コロナウイルス感染症の患者が円滑に入院できるよう、専用の病床を確保しています。なお、入院先の調整に当たっては、精神疾患の程度、その他の疾患の有無など、個別の状況に応じた配慮すべき点等を把握し、かかりつけ医の意見も参考にしながら、一般病床への入院も含めて適切に対応しています。

3 下水道事業について

問1:包括外部監査で、三鷹市単独処理区の流域下水道への編入について取り上げられた。監査人として、事業効果は高いとし、編入は行われるべきであるが、あまり進んでいないように見受けられる旨の意見があった。これまでもたびたび都議会で取り上げてきたが、あらためて、現状について伺うとともに、計画通りに進んでいない原因を伺う。

答1:三鷹市単独処理区を流域下水道の野川処理区に編入することについては、多摩川・荒川等流域別下水道整備総合計画において定められています。編入に必要となる野川水再生センター(仮称)を建設するには、都市計画法や下水道法などに基づき関係市の同意を得るなど、定められた手続を進める必要があります。この編入には、6市という多くの市が関係しており、編入に関する課題今野川水再生センター(仮称)の施設計画等について、公共下水道の単独処理場である東部処理場を有する三鷹市と関係市の間で課題整理が必要であることから、現在、流域下水道本部と関係市により意見交換を行っています。

問2:監査人の判断として計画の実行があるが、一方では、計画時からの状況の変化などにより、他の処理場への編入の可能性も検討する必要がある。現在、三鷹市単独での処理施設は老朽化しており、早期の対応が求められる。そのための最善の方法を模索すべきであり、さまざまな検討が必要だが、見解を伺う。

答2:三鷹市は、ストックマネジメント計画に基づき東部処理場の老朽化対策を行い、延命化を図っており、当局のノウハウを踏まえた必要な技術支援を実施していきます。三鷹市単独処理区を流域下水道の野川処理区に編入することについては、多摩川・荒川等流域別下水道整備総合計画(流総計画)において定められており、当局はその計画に基づき、関係市と意見交換を行っています。現在、流総計画の基本方針となる東京湾流域別下水道整備総合計画について、国が見直しを行っており、その動向や内容なども注視していきます。

4 中国残留邦人への支援について

問1:中国残留孤児や中国残留婦人及びその家族について、帰国後の支援についてたびたび質問したが、戦後77年近くが経ち、当事者のみならず、いわゆる2世と言われる、子どもの世代も高齢化を迎えつつある。現在の支援法では2世については本人の帰国の際の同伴家族のみが支援の対象となっており、呼び寄せ家族は対象となっていない。自治体の現場での相談などについては2世まで拡大して行われている事例も多く、自治体での取り組みは評価する。しかし、根本的には国の責任であるため、国による支援対象の拡大が必要である。現在、2世については何名居住しているのかの実態すらわかっていない。都として2世の実態をどのように把握しているか認識を伺う。

答1:中国帰国者等の世帯状況等は、国が必要に応じて実態調査を実施しており、その結果が公表されています。都は、独自に相談窓口の設置、生活相談員の区市町村への派遣などを実施しています。

問2:都として高齢化しつつある2世の課題への取り組みについて、国に支援対象の拡大を求めるべきだが見解を伺う。

答2:毎年、二十二都道府県中国帰国者対策協議会が中国帰国者等への支援について国に提案しており、令和4年2月には、援護対象外である2世も高齢化が進んでいるため、十分な介護と医療が受けられるよう措置を講じることなどを提案しています。

問3:2世の住宅問題への対応として、都営住宅の入居がある。国が支援の対象を拡大することで2世本人が優先入居の対象になることが本来ではあるが、それまでの間、使用承継を認めて、1世が亡くなっても住み続けられることが必要である。残留邦人の援護の所管は厚生労働省だが、公営住宅を所管する国土交通省の判断では、自治体が入居要件を決められるとしている。本来、厚生労働省が対象を拡大すべきだが、それまでの間、2世について、都営住宅の優先入居を認めたり、使用承継を認めるべきと考えるが見解を伺う。

答3:都営住宅は公営住宅法に基づき、真に住宅に困窮する低所得者に的確に提供していくこととしています。国の通知に基づき、高齢者世帯や心身障害者世帯、ひとり親世帯などは、特に居住の安定確保が必要な者として優先入居の対象としています。お尋ねのいわゆる2世の方についても、高齢者世帯等の資格基準を満たす方については、優先入居の対象としています。また、使用承継の範囲は原則配偶者としていますが、特に居住の安定に配慮すべき者として、高齢者、障害者及び病弱者には使用承継を認めることとしています。2世の方についても、高齢者等に該当する方については、使用承継の対象としています。

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