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都議会質問記録

2022/06/10 財政委員会で物価高から都民生活を守るよう質問しました

2022年6月10日、都議会の財政委員会で知事から提出された議案や報告事項に対して質疑を行いました。補正予算については物価高から都民生活を守るため、より厳しい状況にある方々への施策の充実を求めました。また渋谷区の青山において国から買収した旧こどもの城の跡地利用について、都が「都民の城」として134億円の改修工事を見送ったことは一定の理解を示しつつも、コスト感覚を持った跡地利用の方針決定を迅速に行うよう求めました。以下は質問の全文と答弁の要旨です。

1 補正予算案について

○中村委員 それでは、最初に、補正予算案について質問します。
 今年度が始まってまだ二か月余りしかたっていませんが、早くも今回の第二回定例会での補正予算の編成となりました。
 今年の第一回定例会の財政委員会でも質問しましたが、補正予算は、地方自治法において、予算の調製後に生じた事由に基づいて、既定の予算に追加や変更を加える必要が生じた場合に編成できることとされており、都においても、この規定に基づき対応しているとの答弁がありました。
 今回の補正予算の柱立てを見てみると、新型コロナウイルス感染症対策は、感染状況が予測を立てにくいため、感染状況に応じた医療資源の確保のために、定例会ごとに補正予算を組むのは必要なことだと思います。
 また、ウクライナ情勢による原油、原材料価格、物価高騰等対策は、これは、あってはならないロシアのウクライナ侵攻が原因となっているため、当然予測ができず、中小企業や都民生活への緊急での支援策は必要です。
 しかし、この原油、原材料価格、物価高騰等対策の項目の中に、さらなる省エネ、再エネ等に向けた取組が含まれているのは違和感があります。
 省エネ、再エネの推進は当然必要なことですが、当初予算において環境施策は大幅に強化されており、今年度の既定の予算に変化や変更を加える必要があるのか、必要があるなら当初予算に入れるべきではなかったのかと疑問が残ります。
 また、必要だとしても、確かに、原油価格高騰と省エネ、再エネの関連はあるかもしれませんが、気候変動への喫緊の対策として別の柱立てで打ち出して、都民に明確に示すべき項目ではなかったでしょうか。
 そこで、今回の省エネ、再エネ等に向けた取組を補正予算で対応しなければならなかった理由と、原油、原材料価格、物価高騰等対策の一環として取り組むとした考え方について見解を伺います。

○山田理事 今回の補正予算では、ウクライナ危機を発端とする原油価格や物価の高騰に加えまして、電力の需給の逼迫など都政を取り巻く状況を踏まえ、東京の経済と都民生活を守る取組や、さらなる省エネ、再エネ等に向けた取組を実施するために編成したものでございます。
 このうち、省エネ、再エネ等に向けた取組につきましては、昨今の深刻化するエネルギー危機を克服するために、電力を減らす、つくる、ためるの観点から、事業部門、家庭部門の両面において、当初予算から一歩踏み込んだ対策を講じることとしたものでございます。
 補正予算に盛り込んだ施策を当初予算に計上した対策と一体的に実施することで、省エネ、再エネの推進と脱炭素社会の実現に向けた取組を一層加速させていきたいと思います。

○中村委員 繰り返しになりますが、省エネ、再エネの取組は極めて重要だと思っています。
 以前、昨年の第四回定例会での補正予算の際に、脱炭素の取組が計上された際にも、原油高などにかかわらず取り組むべき事項であり、抱き合わせにすべきではないと指摘をさせていただきました。ただ、新型コロナウイルスの感染が始まってから二年、繰り返し補正予算が編成され、異常な状況に慣れてしまってはいないのかということです。
 当初予算でしっかりと財政フレームの中でも議論することが重要です。原則はきちんと踏まえた上で行うとともに、都民に誤解のないような打ち出し方をしていただきたいと思います。
 さて、コロナの長期化やウクライナ危機により、立場の弱い方々がさらに厳しい立場に追い込まれており、対策を講じていくためには、そのような方々に手を差し伸べるような、誰一人取り残さない視点が重要だと考えます。
 その観点からこの補正予算を見てみると、経済対策や都民生活を守る取組への配分が少ないのではないかと感じます。総額四千二百八十三億円の予算のうち、新型コロナ対策が三千五百五十九億円と大半を占め、残り七百二十三億円のうちの省エネ、再エネが二百九十一億円で、経済対策は二百八十四億円、都民生活の支援は百四十八億円となっています。
 同様に財源配分を見ても、財政調整基金を千百二十億円取り崩していますが、そのうち省エネ、再エネの取組については、二百六十四億円を活用する一方、都民生活を守る取組は九億円にとどまっています。
 より立場の弱い方々を支援する取組に財源を配分すべきと考えますが、見解を伺います。

○山田理事 今回の補正予算では、生活必需品や光熱水費など物価高騰の影響を踏まえ、都民の生活への支援を充実するとともに、雇用情勢の悪化も見据え、就労支援を拡充しております。
 具体的には、キャッシュレスによるポイント還元などの取組を行う区市町村への支援や、都立学校における給食費支援、ひとり親の就業の支援、求職者に対する短期集中型の資格取得訓練など、都民生活を守るための取組を幅広く盛り込んでおります。
 これらの財源には、財政調整基金に加えまして、物価高騰の影響を受けた生活者等の負担軽減に向け、新たに措置された国の地方創生臨時交付金を活用し、積極的に事業化を図っているところでございます。
 今後とも、都民が安心して暮らせる社会の実現に向け、必要な施策に的確に財源を振り向けてまいりたいと思います。

○中村委員 今回の定例会は、物価高から都民の生活を守るのが最大の論点だと思います。
 こうした状況は、必ずしもウクライナ情勢だけによるものではなく、政府による大幅な金融緩和策と雇用の非正規雇用化により、物価だけが上がり賃金が上がらないという悪循環に陥ってしまったことにもよるものです。もとより、政治がつくり出してきた格差や貧困等、立場が厳しいところに、より一層しわ寄せが行っています。都政においても、さらに都民に寄り添った施策が必要になります。
 今後も、変化に対応した迅速な対応を求めて、質問を終わります。

2 都民の城及び周辺都有地について

○中村委員 私からも、都民の城及び周辺都有地について質問いたします。
 質問に当たり、今週の日曜日に改めて現地を訪問してみました。渋谷駅からそれほど遠くもなく、また、国連大学の前ではバザーで多くの人でにぎわっていて、改めて立地のよさというのを認識もしてまいりました。
 さて、都民の城については、現在、新型コロナ対策として、酸素・医療提供ステーションとして活用されています。当初の計画と変更せざるを得なくなったため、これから都民の城として活用するために百三十四億円で改修工事を行ったとしても、利用可能な期間は数年にとどまるということであれば、中期利用をやめるという判断を行ったことは一定の合理性があると思います。
 しかし、本来問われるべきは、都民の貴重な財産をいかに活用するかという視点です。
 例えば民間企業であれば、土地建物を保有しておいて活用がなされなければ、現金は出ていきませんが、実質的なコストとして考えることになります。行政も同じように、もし活用していれば便益が得られたにもかかわらず、活用せずにいたとするのであれば、それは事実上のコストであり、こうしたコスト感覚が求められていると考えています。
 今日はそうした観点から質疑を行いますが、まずは何点か購入当時のことを確認したいと思います。
 まず、国が運営していた旧こどもの城について、都はどのような目的で購入したのか伺います。

○佐藤運営・調整担当部長 旧こどもの城の土地建物等につきましては、取得することが東京の未来にとって重要な投資であると考えたことから、将来的な周辺都有地との一体的な活用を前提に取得したものでございます。

○中村委員 購入したのは土地と建物と併せて購入したわけですが、老朽化も進んだ旧こどもの城の建物でもありますので、私は土地にも着目しています。
 近年、官公庁では、厳しい財政状況への対応として公有地の売却を進める流れにありますが、この旧こどもの城の立地が、青山病院跡地、国連大学、土地信託をしているコスモス青山と都有地に囲まれた土地であることから、将来を見据えて都心の一等地に残る貴重な土地を一体として有効活用するために確保したことは一定の意義はあると思っています。
 次に、どのような過程を経て、総額幾らで購入したのか伺います。

○佐藤運営・調整担当部長 旧こどもの城につきましては、外部の不動産鑑定機関による鑑定評価を実施し、令和元年八月に東京都財産価格審議会による評定を経て価格を決定し、令和元年九月に国から土地建物等を合わせて五百二十五億円で取得したところでございます。

○中村委員 都は、旧こどもの城を、公共利用の目的で五百二十五億円もの費用をかけて購入したことを改めて確認しました。これだけの費用で購入したわけなので、これから貴重な都民の財産としてしっかり活用しなければなりません。
 これまで開催されてきた神宮前五丁目地区まちづくりに向けた有識者会議においては、四つの敷地の一体活用による便益や、大通りに面していない青山病院跡地の未利用期間が長くなることの機会損失、立地がよいのにもったいないとの意見が見られていました。
 この四つの敷地を一体として活用できれば利用の幅が広がると思われますが、その方策はどのように考えているのか伺います。

○佐藤運営・調整担当部長 新たに設置する検討会におきましては、これまでの有識者会議における議論も踏まえつつ、旧こどもの城及び周辺都有地の将来像や用途、空間形成などについて議論を行っていく予定でございまして、今後、その議論も参考にしながら、都有地の一体的な活用に向けて検討を進めてまいります。

○中村委員 都は、都有地の一体活用に向けて検討を進めていくとプレスもしていましたが、その方策はこれからとのことでした。一体活用の検討に当たっては、まちづくりに要する費用と、それにより生じる効果をしっかり見定めながら進めていただきたいと思います。
 冒頭、私は、行政における民間と同様のコスト感覚の必要性について申し上げました。
 今回、一体活用は最短で令和十一年がターゲットとされており、それまでの間についても、都有財産を活用していくことは都民の求めるところだと考えます。
 そこで、一体活用できるまでの間、暫定的にでも活用を図るべきと考えますが、見解を伺います。

○佐藤運営・調整担当部長 現在、旧こどもの城につきましては、新型コロナウイルス感染症対策として酸素・医療提供ステーションで活用しているところでございます。
 また、青山病院跡地につきましては、今後、渋谷区の行政需要に応じ、区立学校施設整備のための仮校舎用地として貸付けを行う予定となっております。
 今後とも、状況に応じながら適切に対応してまいります。

○中村委員 現在は酸素・医療提供ステーションで活用しているとしても、その活用が終了した後について何も考えがなければ、結果としてコストがかさんでしまうという可能性もあります。一体的活用は最短でも令和十一年とのことですから、旧こどもの城の建物を長期間そのままにしておくのでは、土地の価値を生かすことができません。旧こどもの城と土地の利活用について、早急に方向性を定めるよう求めます。
 四つの敷地の一体的活用については、相手もある話なので、令和十一年より遅れる可能性もあるのですが、むしろ都として、いつまでに、どのような目的で利用するかを早急に検討し、その期限までに利用できるように取り組むべきと考えます。
 民間では当然のコスト感覚を常に意識しながら、どのようにしていけば最も都民の利益となるか、今後、検討を進めていくことを求めて、質問を終わります。

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