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都議会質問記録

2022/10/05 文書質問でコロナ対策、教育、子どもの医療費、介護を質問

2022年10月5日、都に対して文書質問を提出しました。本会議場で質問する機会を得られなかった議員に、文書で質問を提出した場合に本会議での質問と同じ扱いをすることになっています。毎議会、議場での質問か文書質問か必ずどちらかを行っています。
 今回は、1)新型コロナウイルス感染症対策について
2)教職員の採用について、3)18歳までの子どもの医療費完全無償化について、4)ケアラーへの支援について、4つのテーマの質問を提出しました。答弁書は次回定例会までに出されることになります。今後とも機会を生かして都民の声を都政に届けていきます。

1 新型コロナウイルス感染症対策について

問1:新型コロナの第7波はおさまりつつあるとはいえ、特効薬がなく後遺症もあることから依然として風邪やインフルエンザとは扱いが異なり、変異し強毒化する恐れも否めないため、引き続きの警戒と第8波への備えが必要になります。立憲民主党としては繰り返し検証するよう求めていますが、依然として都は「振り返り」にとどまっています。一方、社会経済の両立も図る必要があるためメリハリのある取り組みが必要です。これまでも大きな波が来るたびにその流行の兆しを的確にとらえていたとは必ずしも言えず、対応が後手に回った部分もありました現在、感染者の全数把握を見直した中で、第8波への兆しをどのようにとらえるのか、スピード感のある対応がとれるのか、見解を伺います。

回答1:都は、令和4年9月26日から全国一律で実施された新型コロナウイルス感染症の発生届の全数届出の見直しを受け、感染状況等の分析の意義や精度を整理した上で、重症・中等症の患者数のモニタリングを一層重点化するなどの見直しを行い、モニタリング分析を継続しています。
 専門家からは、全数届出の見直し前後でデータの継続性は確保されているとの意見を頂いており、引き続き、次の感染拡大に向けた政策判断の参考としていきます。
 また、この冬は、新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行の懸念があることから、令和4年9月30日に開催したモニタリング会議において、「今冬の感染拡大に向けた課題と対応の方向性」の骨子を示しており、今後とも、専門家の意見や海外での感染動向などを踏まえながら、先手先手で万全の備えを講じていきます。

問2:先の代表質問でも質問しましたが、第7波がおさまっている今こそ、体制の抜本的な強化が必要です。万一、これまで以上に感染力が強く、強毒性が強くなった場合まで想定すると、医療資源の確保についてはより一層協力を求める法的枠組みが必要になります。また、保健所の再配置も必要です。コロナだけではなく未知のウイルスへの備えも考えると、国への要望も含め、抜本的な体制の強化が必要と考えますが、見解を伺います。

回答2:都は、国に対し、これまでの新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、新たな感染症危機にも対応できるよう、医療機関の抜本的拡充や、医療人材の迅速な広域派遣に向けた仕組みの整備など、体制強化に関する要望を行っており、その一部は令和4年10月7日に閣議決定された感染症法等の改正案に反映されています。
 引き続き、今冬の感染拡大に備え、保健・医療提供体制の強化に取り組むとともに、新たな変異株の発生状況を迅速に把握し、重症化リスク等のウイルスの特性や国の動向などを踏まえながら、適切に対応していきます。

問3:感染者の全数把握の見直しは、感染症の扱いが変わったわけでもないため、あくまで緊急避難的な措置です。必要であれば把握しなければならい時も来る恐れがあります。この時期に、ICT化を進めるなど、入力の負担が重いので全数把握を止めるのではなく、件数が増えても全数把握ができるような体制を構築することこそが必要と考えますが、見解を伺います。

回答3:国は、新型コロナウイルス感染症対策について、社会経済活動との両立をより強固なものとした新たな段階へ移行することとし、その一環として、発生届の全数届出の見直しを令和4年9月26日から全国一律で実施しました。
 一方、全数届出の見直し後も、発生届の対象外となる方を含め、陽性者の全数把握は継続することとされており、都は、医療機関から報告を受けた患者数と、自主検査等で陽性が判明し、陽性者登録センターで確定診断を受けた患者数を日々集計し、公表しています。
 また、患者対応の進捗管理のシステム化など、保健所業務のデジタル化を進めているほか、医療DXの推進について、国に対し、医療機関における電子カルテシステムの導入を支援することや、電子カルテ情報とHER-SYSとの連動性を図ることなどを要望しています。

問4:感染がおさまるとワクチン接種の動きが進まなくなることが懸念されます。いたずらに不安をあおる必要はないものの、科学的見地に基づいた、的確な広報を行い、接種が促進されるようにすることが必要ですが、見解を伺います。

回答4:都は、新型コロナウイルス感染症のワクチンの効果や副反応等に関して、国が発表しているデータに加え、独自に調査したワクチン接種後の中和抗体価の推移や年代ごとの感染率と3回目接種率との関係等のデータをモニタリング会議の場などを活用して公表するとともに、ポータルサイト等の様々な媒体を通じて幅広く発信しています。
 引き続き、一人でも多くの方にワクチンを接種していただけるよう、ワクチンに関する様々な情報を都民に分かりやすく周知し、接種の促進に努めていきます。

2 教職員の採用について

問1:教員の多忙化が言われて久しいのですが、中でも副校長の多忙化は大きな問題になっています。その一つが、産休を取得する教員の代替教員の確保の膨大な時間と労力を要することが言われています。そもそも教員の採用や配置等の人事権を東京都教育委員会が担っているにも関わらず、その教員が休む場合にその代替教員を現場である学校が探さなければならないのは制度として問題があります。副校長の多忙の問題ではなく、業務分担の問題として見直しが必要です。産休代替職員の採用と配置については、学校ではなく、東京都教育委員会が責任を持って行う必要があると考えますが見解を伺います。

回答1:都教育委員会は、産休育休代替教員の選考を通年で行い、候補者となり得る者の名簿を作成しています。採用に当たっては、各学校がこの名簿から適任者を選び、直接面談を行って自らその資質や能力を見極めることにより、学校にとって真に必要な人材の確保につながっているものと考えています。

問2:教職員については東京都教育委員会が採用していますが、各区市町村においてはその判断で独自に非常勤職員などを配置することがあるため、各区市町村ごとに教員の負担軽減が異なっています。とりわけ、23区から市町村に異動になった教職員からは、その格差を嘆く声が聞こえてきます。各市区町村ごとに方針が異なることは自治として当然ですが、広域行政を担う東京都教育委員会として、自治体間の極端な格差を是正し、市区町村の教育の質を底上げすることは必要だと考えます。都として、市区町村の教職員の配置について、どのような実態であり、どのような要望があるか調べたうえ、市区町村を支援する必要があると考えますが、見解を伺います。

回答2:区市町村立小・中学校の教職員については、いわゆる「標準法」に基づく都の配置基準により、区市町村の意向も確認しながら、都が各学校の運営に必要な人員を適切に配置することで、義務教育の水準を確保しています。

3 18歳までの子どもの医療費完全無償化について

問1:高校生等医療費助成事業については、9月28日の都議会立憲民主党の代表質問において、市長会などから都の責任で恒久的に財源を負担することをはじめ要望が出されたため、都に対応を伺いました。その後、9月30日の三鷹市議会定例会において「18歳までの子どもの医療費完全無償化を求める意見書」が満場一致で可決され東京都に送付されることにもなりました。そこでは、23区と市町村との格差の是正も踏まえたうえで、「1.小・中学生及び高校生までの医療費助成について、東京都として、所得制限を撤廃し、完全無償となるよう、市区町村への財政支援を行うこと。2.高校生までの医療費助成について、実施主体の市区町村の負担分への助成を3年間と限定せず、その後も財政支援を継続すること。」が求められています。こうした要望の実現に向けて取り組む必要があると考えますが、見解を伺います。

回答1:都は、市町村が実施する子供の医療費助成事業に対し、子育てを支援する福祉施策の一環として、所得制限や一部自己負担など、一定の基準の下で補助しており、具体的な実施内容は、実施主体である自治体が、それぞれの地域の実情を勘案しながら定めています。
 また、高校生等医療費助成事業については、所得制限や一部自己負担を設けた上で、実施主体である区市町村との負担割合を2分の1とすることを基本的な枠組みとし、早期の事業開始を促進するため、令和5年度から7年度までの間は都の負担割合を10分の10としています。令和8年度以降の取扱いなどについては、今後、区市町村との間で協議の場を設置し、検討することとしています。

4 ケアラーへの支援について

問1:介護離職や老老介護、ヤングケアラーなどに代表される家族の過大な負担や社会的孤立、サービスへのアクセスなどが課題になっています。家族が介護するのは当たり前という根強い意識から脱却し、ケアラーを理解し支える社会に転換するためにも、ケアラー支援条例を制定して取組を進めるべきと考えます。
 中でも、年若い子供が家族のケアを担うヤングケアラーは、当事者や家族には日常であるため、相談したり支援を求める発想や情報が乏しくなっています。支援体制の構築と同時に、児童虐待と同じく、自分では声を上げられない子どもに、周囲の大人が気づく社会づくり、社会全体で見守る意識の醸成が必要です。ケアラー支援条例が必要と考えますが、見解を伺います。

回答1:都は、高齢者保健福祉計画や障害者・障害児施策推進計画を策定し、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、様々な施策に取り組んでおり、ケアラー支援としては、レスパイトに有効なショートステイなどの介護サービス基盤の整備を推進するほか、ケアラーの交流会開催など、地域の実情に応じた独自の取組を行う区市町村を包括補助で支援しています。
 また、令和4年度から、ヤングケアラーやその家族への相談支援等を行う民間団体を支援しているほか、有識者や関係機関等で構成する委員会を設置し、ヤングケアラーを把握するポイント、各機関の役割、連携方法などを盛り込んだ支援者向けマニュアルを検討しています。

問2:ヤングケアラーの支援について、まずは実態を把握する必要があります。都として調査を行う必要がありますが、見解を伺います。

回答2:都は令和3年度、国が実施したヤングケアラーに関する実態調査の都内分を独自に集計したほか、区市町村や学校へのヒアリングを通じて具体的な事例等の実態把握に取り組みました。 
 令和4年度は、ヤングケアラーを把握するポイントや、各機関の役割・連携方法などを盛り込んだ支援者向けマニュアルを作成するため、有識者等で構成するヤングケアラー支援検討委員会を設置し、区市町村への調査や支援者団体へのヒアリングなどを実施しています。

問3:行政において支援施策を策定する場合には、その決定の場への当事者の参加が必要です。ヤングケアラーも同様であり、子どもだからと意見を聞かないことはあってはなりません。都としてヤングケアラー支援の施策を策定する際に、当事者の意見を聞く必要があると考えますが、見解を伺います。

回答3:都は令和3年度、関係局で構成する連絡会において、有識者や元当事者、支援者団体から必要な支援等について意見を伺いました。
 令和4年度は、ヤングケアラー支援検討委員会に元当事者も参加しており、委員会での意見を踏まえながら、支援者向けマニュアルの内容を検討しています。

問4:ヤングケアラーの状況を発見、把握するには学校の役割が大きく期待されています。学校において教員が問題を理解し対応することが必要です。一方、教員の多忙化が問題になっているため、多忙化の解消のための少人数学級の推進とスクールソーシャルワーカーなどの専門家の配置も必要です。ヤングケアラーについて、学校で対応することが必要であり、そのための体制強化も同時に必要になると考えますが、見解を伺います。

回答4:都教育委員会は、区市町村におけるスクールソーシャルワーカーの活用を促進するとともに、都立学校において主任職のユースソーシャルワーカーの増員を令和4年度から行い、教員と連携して対応できるようにしています。

問5:先般、都は子供政策連携室を設置し、「チルドレンファースト 子供政策の加速に向けた論点整理」を発表しました。この中で、ヤングケアラーについて「子供たちが直面する実情に寄り添ったきめ細かい支援を展開」とあることは前進として受け止めています。一方、子どもの支援は必要ですが、ヤングケアラーは大人になっていくことから、全世代のケアラーを対象にした包括的なケアラー支援条例が必要です。すでに先行する10以上の自治体がケアラー支援を条例を制定していますが、そのほとんどは全世代のケアラーを対象とした条例になっています。子どもの政策を重点化することは必要と考えますが、一方、介護という切り口から見れば、全世代を通した支援が必要になると考えます。
 昨今ではヤングケアラーの問題が注目されていますが、超高齢社会を迎える東京都としては介護全般が最重要課題の一つであることは言うまでもありません。知事の所信表明演説でも高齢化の問題についてはあまり取り上げられることがなく、今定例会でも同様でした。とりわけ、ダブルケアー、介護離職など深刻な状況は解決するどころか厳しさは増しています。ヤングケアラーの問題が社会的に注目されていることを契機として、あらためて都としてケアラー全体のより一層の支援を行う必要があると考えますが、見解を伺います。

回答5 これまで主に家族が担ってきた高齢者や障害者の介護を、社会全体で支え合うという介護保険法や障害者総合支援法の理念を踏まえ、都は、高齢者保健福祉計画や障害者・障害児施策推進計画を策定し、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、様々な施策に取り組んでいます。
 ケアラー支援としては、レスパイトに有効なショートステイなどの介護サービス基盤の整備を推進するほか、ケアラーの交流会開催など、地域の実情に応じた独自の取組を行う区市町村を包括補助で支援しています。
 今後とも、こうした取組を着実に進め、ヤングケアラーをはじめとする全てのケアラーを支援していきます。

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