2022/12/07 都議会で小池知事に代表質問を行いました
2022年12月8日、都議会本会議が開かれ、立憲民主党を代表して小池都知事に質問しました。1 オリンピック汚職事件への対応、2 人権プラザでの企画展における忖度、3 コロナ対策、4 低所得者対策、5 高齢者施策、6 同性パートナーシップ制度、7 英語のスピーキングテスト、8 子ども政策、9 太陽光パネル設置義務化条例、10 賃上げと格差是正に向けた環境整備について質問しました。人権施策では知事が答弁に立たなかったため本会議ではあまり行われない再質問を都議会議員になってから初めて行いました。残念ながらそれでも知事は答弁に立たず、職員の忖度と知事の消極的姿勢がより一層浮き彫りになりました。
以下は質問の全文です(実際には質問と答弁をまとめて行っていますが、1問1答に並べ替えています)。
○中村ひろし 私は、東京都議会立憲民主党を代表して、都政の諸課題について質問いたします。
初めに、知事の基本姿勢について伺います。
五輪汚職事件に関し、小池知事は十一月十四日、今後の国際スポーツ大会の成功に向けた有識者会議を立ち上げると発表しました。大会のガバナンス、情報公開、都の関与の在り方など、都民、国民の信頼を得るための基盤を強化していくとの観点から、東京二〇二〇大会の経験も踏まえて、有識者会議で議論してもらい、その成果をガイドラインとして取りまとめると聞いています。
しかし、五輪汚職事件の総括なくして再発防止はあり得ません。
なぜ、談合では調査チームを立ち上げ、汚職事件は調査をしないのか。改めて五輪汚職事件を調査し、その総括を求めるものですが、知事の見解を伺います。
○知事(小池百合子君) 中村ひろし議員の代表質問にお答えいたします。
東京大会に関する調査についてのお尋ねでございます。
東京二〇二〇大会に関しまして、組織委員会が発注した業務の契約をめぐって司法当局による捜査が及びましたことは誠に遺憾でございます。
都は、潮田副知事をトップとする調査チームを立ち上げており、当該契約に係る手続、意思決定過程などについて必要な調査を速やかに実施しております。
元理事の事件につきましては、既に起訴されており、捜査により事実関係が明らかにされるものと考えております。
有識者会議では、国際スポーツ大会のガバナンスや情報公開、都の関与の在り方などにつきまして、東京二〇二〇大会の経験も踏まえ、将来の国際大会に向けました改善を議論いたしまして、ガイドラインを策定することといたしております。
○中村ひろし 汚職事件の次は、談合事件です。
小池知事は、十一月二十四日、潮田勉副知事をトップとする調査チームを庁内に設置し、年内にも中間まとめを公表すると発表しました。
しかし、副知事が調査チームのトップとはいえ、内部での調査では限界があります。組織委員会の副会長であった人による調査では、都民の共感も納得も得られません。
第三者委員会を設置するなど、真相究明を徹底すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
○知事(小池百合子君)テストイベントに係る都の調査についてでございます。
都は、清算法人に対しまして、捜査に全面的に協力するよう求めるとともに、当該契約の手続などの適正性などを確認いたしております。
調査につきましては、捜査に支障を来さない範囲で確認を行い、関係局で連携しまして、必要に応じてコンプライアンスや契約調整の担当部署などからの助言も得ながら確認を進めてまいります。
○中村ひろし 次に、人権施策について伺います。
十二月十日は、七十四年前に国連で世界人権宣言が採択された人権デーです。東京都も十二月四日から十日の人権週間に合わせて、人権について私たち一人一人が認識を深めるための取組を行っています。
そんな中、東京都人権プラザで、関東大震災での朝鮮人殺害に触れた映像の上映が認められなかったことが問題になっています。
事の発端は、小池知事が関東大震災の朝鮮人追悼式典への都知事による追悼文を出すのをやめたことであり、知事の政治姿勢への忖度ではないかと考えます。これでは、人権施策を推進していく上で、大きな差し障りを生み出すといわざるを得ません。
そこでまず、関東大震災の際、朝鮮人虐殺、流言飛語に基づく朝鮮半島出身者に対しての殺傷行為についてどのように認識しているのか、知事ご自身の歴史認識を伺います。
○知事(小池百合子君)関東大震災時の朝鮮人殺傷事件についてでございます。
私は都知事として、毎年三月と九月に横網町公園内の東京都慰霊堂で開かれます大法要におきまして、東京で起こった甚大な災害と、それに続く様々な事情で亡くなられた全ての方に対しまして哀悼の意を表しているところでございます。
○中村ひろし 知事の政治姿勢を忖度している東京都の状況をどのように考えるか、知事としての責任をどう考えるか、見解を伺います。
○総務局長(野間達也君) まず、東京都人権プラザにおける企画展についてでございますが、今回の企画展は、子供を含めた幅広い都民に精神障害への理解を深めていただくことを目的に、都の委託事業として実施したものでございます。
当該映像作品は、そうした観点からは分かりづらく、今回の事業趣旨と合わないと判断したものでございます。
○中村ひろし 次に、コロナ対策について伺います。
現在、国において、新型コロナウイルスの感染症法上の扱いを五類にするかどうか議論がされています。
しかし、仮に五類になったとしても、国に必要な財源の確保を求めるとともに、都としても、ワクチンの公費負担の継続を初め、医療病床の確保や高齢者施設などの確保など、引き続きコロナによる脅威から都民の命を守るべく、万全を期すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
○知事(小池百合子君)新型コロナの感染症法上の位置づけについてであります。
都は、かねてから国に対しまして、重症化リスクなど他の感染症との比較や科学的エビデンスに基づきまして、速やかに見直しの議論を進めるよう求めてまいりました。
今般の感染症法の改正に当たりましては、新型コロナウイルス感染症の位置づけにつきまして速やかに検討する旨の規定が加えられ、議論が開始されたところでございます。
都は、保健、医療提供体制の在り方などの論点につきまして、自治体や医療機関等の意見を十分に聞いて検討を進めるよう国に求めてまいります。
○中村ひろし 小児診療体制の確保も重要です。都内には小児科を標榜している医療機関は二千八百あり、都はこのうち千七百ある診療・検査医療機関に対して、休日診療の促進のため支援しています。補正予算では、診療・検査医療機関以外の残り千百の小児科にも支援を拡充するとしています。
そこで、私は、地域の医師会との連携はもとより、医療機関等への直接の働きかけなど、より多くの小児科が休日診療を実施するよう取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 小児科の休日診療に関するご質問にお答えいたします。
新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行が懸念される今年の冬は、発熱などの症状がある小児患者が速やかに受診できるよう、とりわけ医療機関が手薄となる休日の体制を強化することが重要でございます。
このため、都は、診療・検査医療機関が小児患者を休日に診療した場合に謝金を支払う対象を小児科を標榜する全ての医療機関に拡大しており、東京都医師会とも連携をして事業の周知を図るなど、より多くの医療機関の協力が得られるよう働きかけてまいります。
○中村ひろし 都内で新型コロナウイルス第八波の流行となっている中、忘年会客の予約キャンセルがあり、売上げが厳しい状況にあります。飲食業界では値上げが一段と広がっていますが、値上げができにくい飲食店もあります。
仕入価格の上昇を踏まえ、販売価格への転嫁を円滑化するため、個人飲食店に専門家を派遣するとともに、個人飲食店がグループをつくって仕入価格の高騰対策での共同購入などに対応できるよう支援すべきと考えますが、見解を伺います。
○産業労働局長(坂本雅彦君) まず、飲食事業者への支援についてでございますが、仕入価格の上昇などにより、中小企業の経営に影響が生じております。
このため、都は、厳しい経営環境に直面する飲食事業者に対し専門家による助言を行い、必要となる経費に助成を行っております。また、仕入れのコストを抑えるため、共同で原材料を確保する取組に支援を行います。
こうした取組により、引き続き飲食事業者の経営を下支えいたします。
○中村ひろし 次に、低所得者対策について伺います。
補正予算で盛り込まれた東京おこめクーポン事業は、マスコミ等の耳目を集めがちですが、真に低所得者が必要とするものになっていません。
日々、家事や育児、仕事に追われている方たちは、なかなか料理する時間が取れません。調理器具などを持っていなかったり、高齢者や食事制限がある方は、配食サービスを利用している人もいます。
低所得者の支援は重要ですが、独善となってはなりません。現金給付の選択肢を排除せず、上下水道料金の支払いも可能にするなど、それぞれの状況、ニーズを踏まえた施策の構築を求めるものですが、見解を伺います。
○福祉保健局長(西山智之君) まず、東京おこめクーポン事業についてでございますが、都は、今回の補正予算案において、物価高の影響を受けやすい低所得世帯へ米や野菜などの食料品を配布するために必要な経費を計上しております。
本事業では、高齢者等の買物に係る負担を軽減するため食料品を自宅に配送するほか、対象世帯の生活状況等に応じ、米や野菜等の複数のメニューから選択できる仕組みを検討することとしております。
○中村ひろし 補正予算では、生活困窮者自立支援の機能強化が盛り込まれましたが、生活困窮者の支援団体からは、十二月二日に都に緊急要請が出されました。
特例貸付の返済免除を求める申請が三割超に上るなど、困窮が浮き彫りとなっていますが、とりわけ住む家がない人には手厚い支援が求められます。
そこで、私は、就労しているものの住む家がない方に、住居の借り上げに必要となる資金を償還免除つきの無利子貸付制度を新設することを求めるものですが、見解を伺います。
○福祉保健局長(西山智之君) 次に、生活困窮者の住宅支援についてでございますが、生活困窮者自立支援法に基づく住居確保給付金では、離職等で住居を失うおそれがある方を対象に家賃相当額を支援しています。
現在、国の社会保障審議会で、居住支援の在り方も含め生活困窮者自立支援制度の見直しが議論されており、都はその動向を注視してまいります。
○中村ひろし また、居所を喪失した人が生活保護を申請した場合、無料低額宿泊所や施設入所を強要されることがあるとのことですが、この場合、劣悪な施設から失踪し、再び路上に戻ってしまうとの指摘もあります。
そこで、私は、ビジネスホテルを提供するとともに、TOKYOチャレンジネットのノウハウを広げた借り上げアパートの提供などを求めるものですが、見解を伺います。
○福祉保健局長(西山智之君) 次に、生活保護申請者への住居支援についてでございますが、住居を失った方から生活保護の相談、申請があった場合は、国の通知により、アパート等において独立した日常生活が可能か判断できるまで、住宅扶助基準の範囲内で無料低額宿泊所や簡易宿泊所等を紹介するなどの支援を行うこととされています。
都は、福祉事務所に対し、相談者の個別の状況に応じて適切に対応するよう周知しております。
○中村ひろし 次に、高齢者施策について伺います。
小池知事が「未来の東京」戦略で掲げていた三つのCはどこに行ったのでしょうか。
Cの一つ、Childrenは子供政策連携室という形ができましたが、もう一つのCであったChojuは影も形もありません。
国の介護保険制度見直しの議論を見ても、今後、利用者負担の増加や市区町村への事業移管が進めば、家族介護に頼らざるを得なくなることが想定されます。そうなれば、介護離職はゼロどころか、ますます増える可能性があります。
改めて、今後の都政運営においても、このChojuを戦略の核の一つに据えて、様々な施策を展開していただきたいと思いますが、知事の見解を伺います。
○知事(小池百合子君)長寿の施策についてであります。
人生百年時代を迎える中、高齢者が自らの希望に応じて、経験を生かしながら、いつまでも活躍できる環境を整えることが重要でありまして、これまでも「未来の東京」戦略において、長寿を戦略の核の一つに据えているところであります。
政策のバージョンアップにおきましても、デジタルデバイド対策の推進や高齢者の社会参画の促進、介護人材の確保、定着支援など施策の強化を図っております。
引き続き、コロナ禍で活用してまいりましたデジタル技術などを生かして、高齢者のQOLの向上や介護と仕事を両立できる環境の整備に加え、区市町村の先駆的取組を支援するなど誰もが安心して暮らせる長寿社会を実現してまいります。
○中村ひろし 老人福祉、介護事業の倒産が急増しています。東京商工リサーチによれば、今年一月から九月の倒産は百件、前年同期の五十一件から倍増し、過去最多です。
倒産はこれから本格化する可能性が高いとも指摘されており、介護事業所などが倒産すれば、必要な介護サービスを受けることができない介護難民が多数発生し、それこそ介護離職ゼロどころではなくなる事態が危惧されます。
そこで、私は、掛かり増し経費の補助をはじめ、介護事業所などへの支援を強化するとともに、市区町村と連携して、万が一の場合でも、介護難民が生じないよう取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
○福祉保健局長(西山智之君) 次に、介護事業所への支援についてでございますが、都は、コロナ禍にあっても介護事業所がサービスを継続できるよう、掛かり増し経費の補助や応援職員の派遣など、様々な支援を実施しています。
本年十月からは、今般の物価高騰を踏まえ、介護事業所の負担軽減に向けた緊急対策にも取り組んでおります。
また、やむを得ず事業所が廃止となる場合は、事業者に対し、担当ケアマネジャーや地域包括支援センターと連携して、他の事業所の利用を調整するよう指導するなど代替サービスの確保に取り組んでおります。
○中村ひろし また、介護現場のマンパワー不足が解消しない中で、独居高齢者が増えていきます。在宅、施設ともに、二十四時間の完全な見守りは難しく、転倒などの危険と常に隣り合わせであり、AIによる見守り、蓄積したデータによる事故発生防止策など、DXによる介護の質向上を一層図る必要があります。
東京都も既に介護現場のDXに取り組んでいますが、私はさらにDXを加速させ、介護現場の質の向上に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
○福祉保健局長(西山智之君) 次に、介護現場のDXの取組についてでございますが、都は、介護事業者に対し、業務を効率化し、サービスの質を高めることを目的として、介護記録の作成に要するタブレット端末や移乗介護機器、見守り支援機器等の導入経費を補助しています。
また、専門家の助言の下に機器を体験利用できる展示スペースを設置するほか、導入事例を紹介するセミナーなども開催しております。
引き続き、介護現場でのデジタル技術の活用を進めてまいります。
○中村ひろし 次に、パートナーシップ制度の推進について伺います。
十一月三十日、東京地裁でパートナーと家族になって法的保護を受けることは、個人の尊厳に関わる重要な利益であり、同性カップルにとっても同様とする判決が出ました。
東京都では、パートナーシップ宣誓制度が十一月一日よりスタートし、十二月五日現在、三百九組に交付したとのことです。東京都の制度スタートを、当事者の皆さんをはじめ評価する声を聞いています。
都内では十六自治体が独自の制度を導入しています。東京都の制度はもとより、法的拘束力を持つものではありません。そのため、各自治体の制度があることで、より効果的になると考えます。
制度をより効果的なものにしていくため、日常生活の様々な場面での手続や、サービスに係る基礎自治体や事業者との連携、相互利用をより一層進めることが必要と考えますが、見解を伺います。
○総務局長(野間達也君) 次に、パートナーシップ宣誓制度の推進についてでございますが、都はもとより、都内自治体や民間事業者等様々な主体で制度が活用されていくことが重要でございます。
都は、既に制度を導入している都内十六の自治体と証明書の相互利用に関する連携協定を締結いたしました。未導入の都内自治体とは協議を重ね、都の証明書を活用した行政サービスの提供が順次実施されてございます。
また、民間事業者に対しましては、顧客向けサービスや社内福利厚生において、都の制度の活用が広がるよう協力を呼びかけております。
引き続き、当事者の困り事の軽減につなげるよう、制度の周知や啓発に取り組んでまいります。
○中村ひろし 次に、英語スピーキングテストについて伺います。
十一月二十七日に実施された英語スピーキングテストは、都教育委員会が、義務教育英語教育課程のスピーキング力アチーブメントテストとして、都内の全公立中学校三年生に行うとのことでした。
しかし、結果的には、当日受験者数は対象者の九割を下回りました。日曜日に都教委が決めた会場で実施したため、交通費を自己負担し、一時間以上かかった生徒も多数いる一方、急遽都教委が手配したバスで無料送迎の生徒もいました。
入学試験ではないテストで、一部の生徒に交通費が生じることは公平ではなく、各中学校の授業の範囲で行うべきだったのではないでしょうか。
都教委はこれまで、このテストの実施運営が適切であると答弁してきましたが、この不公平な適用も適切であったと捉えているのでしょうか、見解を伺います。
○教育長(浜佳葉子君) まず、スピーキングテストの実施運営についてでございますが、英語スピーキングテストの会場については、同じ中学校の生徒は同じ会場で受験することができるようにするとともに、生徒が在籍する中学校からおおむね六十分以内で移動できることを目安に決定しております。
また、テスト会場までの交通費については、通常の校外学習等における取扱いと同様に原則受験者の負担といたしましたが、公共交通機関の運行状況等からやむを得ないと判断した一部の学校の生徒に対しては、臨時バスを準備したものでございます。
都教育委員会としては、全ての生徒が安心してテストを受験でき、持てる力を発揮できるよう適切な配慮を行った上で実施したものでございます。
○中村ひろし スピーキングテスト、ESAT-Jの実施体制については、これまでも様々な問題を指摘し、プレテストではイヤーマフをしても隣の席のほかの方の発声が聞こえる問題について改善を求めてきました。
十一月二十七日に受験をした生徒からは、これだけではなく、出入口のドアが開放されていたことから、前半実施のテスト会場の隣の部屋で待機をしていた後半実施の生徒たちに、前半の生徒の回答が聞こえたという報告が多数寄せられています。
後半に受験した生徒に有利となる可能性もあり、公平性が担保されているとはいえません。都教委は適切に実施をされたと捉えているのでしょうか、見解を伺います。
○教育長(浜佳葉子君) 次に、スピーキングテストの実施状況についてでございますが、テストではイヤーマフやホワイトノイズで周囲の音声を聞こえにくくする処理をしています。
都教育委員会は、テスト終了時に、事業者及び配置した都職員からの報告により、待機教室等では音声が聞こえても発言内容を聞き分けることはできず、解答に影響を与えることはなかったことを確認しております。
さらに、区市町村教育委員会から状況を聞き取った結果、解答に影響を与えるような事例の報告を中学校から受けていないことを確認しており、テストは適切に実施されたものと認識しております。
○中村ひろし 公平性に疑義がある以上は、このテスト結果を都立高校入学試験に反映させることは、入試制度の根幹を揺さぶる大問題であると考えます。改めて、今年度の都立高校入学試験に、このテスト成績を取り入れることはやめるべきと考えますが、都教委の見解を伺います。
○教育長(浜佳葉子君) スピーキングテストの都立高校入試での活用についてでございますが、先月行ったスピーキングテストは適切に実施されており、都教育委員会は都立高校入試においてその結果を活用してまいります。
○中村ひろし 次に、子供政策について伺います。
子供の死亡原因の上位である不慮の事故を減らすために、あらゆる手段を講じていかなければなりません。
事故は、どの部署が責任を持つ課題なのか明らかでなかったり、各種基準や規制で事故が起き得ない状況をつくることができるケース、教育、啓発によって防ぐことができるケースなど様々です。
ケース・バイ・ケースの事例について、分野横断での連携した対応が求められます。まさに連携室の出番と考えます。子供の事故防止に関しては、子供政策連携室に情報を集約し、一元的に対応する体制と改めるべきと考えますが、見解を伺います。
○子供政策連携室長(山下聡君) 子供の事故予防についてでございますが、子供の年齢や発達に応じて事故種別は変化することから、子供を主体として捉えた実効性のある対策を講じていくことが必要でございます。
このため、子供の安全・安心をテーマとした組織横断の推進チームを組成したところでありまして、子供の事故に関する情報を一元的に収集し、最新の技術を活用して行動特性を分析するなど、エビデンスに基づいた事故予防の取組を展開してまいります。
こうした各局と連携した取組を通じて、子供の安全・安心の確保を図ってまいります。
○中村ひろし 乳幼児期の集団生活は、子供政策連携室の政策の柱に位置づけられています。三歳までは母親が子育てに専念すべきとする三歳児神話が長くいわれてきました。
しかし、最近は、三歳未満のいわゆる未満児が、同年齢や異年齢の子供同士の関わりや集団での活動を多く経験することは、発達によい影響を与えるといわれています。
少子化、核家族化はもとより、コロナ禍で子供や保護者の孤立、地域の人間関係がますます希薄化していることが危惧されており、早急に取組を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
○知事(小池百合子君)乳幼児期の集団生活についてのお尋ねがございました。
乳幼児期は、健やかな成長、発達の基礎となる重要な時期でございます。
子供政策の加速に向けた論点整理におきましては、全ての乳幼児の最善の利益につながる環境の創出を政策の柱の一つに掲げたところでございます。
今後、この取組の方向性に基づいて、乳幼児期の集団生活をはじめ、全ての乳幼児の伸びる、育つをサポートする取組にチャレンジしてまいります。
○中村ひろし 児童虐待の増加、子供の命が失われる事件が続く中、私たちは、児童相談所の児童福祉司などの増員や発生予防からの切れ目ない対応など、対策のさらなる強化を一貫して求めてきました。
令和四年度に行う都区協議会では、特別区の児童相談所の設置に関わる都区財政調整の配分見直しが焦点の一つとなります。
東京全体の虐待対応力が、より一層強化されることが必要であり、都においても、児童虐待、虐待死ゼロ、東京の虐待対応力向上に向けてしっかりと協議に臨んでいただくよう求めるものです。
また、子供の最善の利益を保障するためには、都と特別区が連携協力して子供と家庭を支援する拠点を増やし、取組を進めることが必要です。特別区児童相談所開設に当たっては、これまで以上に支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。
○福祉保健局長(西山智之君) 次に、区立児童相談所についてでございますが、都は、児童相談所の開設を予定している区に対して、区が策定した児童相談所設置計画案を確認するとともに、区の職員を派遣職員として都の児童相談所に受け入れています。
区の児童相談所が開設した後は、広域的観点から一時保護所や児童養護施設等を都区で利用するほか、専門的観点から区の児童相談所が担当する家庭を都の児童相談センターの医師や児童心理司等が支援しており、こうした取組を通じて、区と連携して児童相談体制を強化しております。
○中村ひろし 児童相談所について、私は昨年十二月の代表質問でも、多摩地域の児童相談所が抱える課題を解決する意味でも、新たな都立児童相談所を設置するなどの適正配置が必要だと訴えてきました。
四年度予算では、施設規模や設置場所などの調査費が計上されましたが、多摩地域での新たな児童相談所の設置について見解を伺います。
○福祉保健局長(西山智之君) 最後に、多摩地域の児童相談所についてでございますが、昨年七月に公布された政令等により、管轄人口が百万人を超える児童相談所は管轄区域の見直しが求められており、都は、多摩地域における見直しに向けて、今年度、調査を実施いたしました。
今後、調査結果や市町村の意見等を踏まえ、新たな児童相談所の設置を含めた管轄区域の見直し素案を作成することとしております。
○中村ひろし 次に、脱炭素社会の実現について伺います。
まずは、環境確保条例の改正です。
二〇三〇年カーボンハーフの実現に向け、都は、気候変動緩和策として、都内建築物に関する環境性能を高める制度の新設などを行います。我が会派も、脱炭素社会に向けた取組を積極的に進める立場にあり、推進を求めるものです。
今回の条例改正は、都内温暖化ガス排出量の七割を占める業務部門と家庭部門の脱炭素化に向けた対策の強化です。この制度強化によって、どの程度転換が進むのかの効果が示されることが必要です。
また、都は、産業部門や運輸部門、廃棄物部門でも取組を進めるべきであり、先週、知事は水素供給の仕組みづくりやZEVの普及拡大といった転換策を実施すると表明されましたが、それらの施策による効果についての詳細が分かりません。
条例改正を契機に、都民の共感を得る取組を推進するなど、脱炭素化に向けてさらに取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
○知事(小池百合子君)東京の脱炭素化に向けた取組についてでございます。
ゼロエミッション東京を実現していくためには、あらゆる主体におきましてエネルギーを減らす、つくる、ためるの取組が標準となる社会の実現が必要です。
都は、本年九月に策定しました環境基本計画において、産業、家庭、運輸などそれぞれの主体が果たすべき役割と責任を一層明確化すべく、カーボンハーフに向けました部門別のCO2やエネルギー消費量削減の新たな目標水準を示したところであります。
その実現のため、住宅などの建物対策に係る条例制度の整備やZEVの導入支援など運輸部門の対策を強化するとともに、プラスチックの水平リサイクルを促進するなど、抜本的な施策強化を図ってまいります。
脱炭素社会の実現を確かなものにしていく上で、二〇三〇年までの行動が我々の未来を形づくる。都民、事業者、国、区市町村などとの連携、協働によりまして、あらゆる主体の取組強化策を結集して横断的、総合的に政策を推し進めてまいります。
○中村ひろし 次に、太陽光発電設備設置における懸念解消に向けた取組です。
知事や都からの条例改正に向けた説明が必要です。太陽光発電パネルを設置するに当たっては、事業者がコスト削減のために安価な太陽光パネルを載せて、後日クレームや不具合が起こることがないか懸念がされます。
また、パネル設置後に日照が遮られることも考えられ、設置費用の回収などにも差が出ると予想されます。さらに、パネルを設置できる環境になく、高い電気料金を払い続けることになる既存住宅や賃貸住宅に住む人々との格差につながることはないのかといったことも課題です。
条例施行に向けて、こうした様々な都民の懸念を払拭するため、より丁寧な説明が必要と考えますが、見解を伺います。
○環境局長(栗岡祥一君) まず、条例施行に向けた都民への説明についてでございますが、新制度の導入に向け、都民の理解と納得を得るためには、丁寧かつ分かりやすい説明を行うことが重要でございます。
これまで都は、見やすさに配慮した太陽光ポータルサイトや一問一答による簡潔なQ&Aを作成するなど、都民の理解しやすい情報発信に努めるほか、先日、大型商業施設で幅広い都民を対象に太陽光発電の理解促進イベントを開催いたしました。
今後、総合相談窓口を年明けに開設し、新制度の仕組みや太陽光パネルのメリット、再エネ設備等に係る支援策など、様々な情報をワンストップで提供してまいります。
こうした取組を継続的に行うことで、都民の共感を得ながら円滑な制度執行につなげてまいります。
○中村ひろし 一方で、今回の条例改正の目玉でもある建築物環境報告書制度については、施行時期の前倒し、早期実施など、脱炭素化に向けて、より積極的な取組を求める声も聞きます。
そこで、私は、前回の代表質問でも取り上げた義務化を伴わない事業者も含めて、報告書の提出を条例施行前でも認めるなど、事業者の早期取組を促し、積極的な太陽光パネルの設置に向けて取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
○環境局長(栗岡祥一君) 次に、事業者の取組の促進についてでございますが、建築物環境報告書制度は、今定例会での審議を経た後、条例改正後から二年余りの準備、周知期間を設け、令和七年四月の施行を予定してございます。
また、補正予算により、条例改正後速やかに本制度への準備に着手するための任意提出者も含めた事業者への支援を実施するとともに、都民等の理解促進に向けた取組も推進いたします。
施行までの期間においては、これらの支援策等を通じて先行的に取り組む事業者を積極的に後押しし、太陽光パネルの標準設置に向けたムーブメントを醸成してまいります。
○中村ひろし 次に、既存住宅の活用です。
今回の条例改正案では、新築住宅を中心とした制度となっていますが、東京における住宅の脱炭素化を進める上では、既存住宅への対策を進める必要もあります。
既存住宅をリフォームして長く使う方が、取り壊して新築するよりも大幅に廃棄物などを削減でき、脱炭素化につながるともいわれています。
そこで、既存住宅の断熱性能をアップするためのリフォームや、再生可能エネルギー設備導入への支援、省エネ家電への更新などにより、住宅に係る脱炭素をより一層進めるべきと考えますが、見解を伺います。
○環境局長(栗岡祥一君) 最後に、既存住宅の脱炭素化に向けた対策についてでございますが、都内に存在する膨大な住宅ストックにおいて、窓に高断熱な複層ガラス等を用いた住宅は二割程度、また、太陽光発電設備の設置率は四%程度となってございます。ゼロエミッション東京の実現に向けては、これら既存住宅の省エネ、再エネ化の加速も重要でございます。
そのため、都は、既存住宅に対する窓等の断熱改修のための助成のほか、太陽光パネルや蓄電池等の設置に向けた支援の拡充や省エネ家電の買換えの推進など、住宅におけるCO2削減の取組を強化してきてございます。
今後とも、住宅関係団体等と連携した省エネ・再エネ住宅推進プラットフォームを通じまして、これらの支援策の活用を働きかけるなど、既存住宅の脱炭素化を後押しし、二〇三〇年カーボンハーフを実現してまいります。
○中村ひろし 次に、税制のグリーン化です。
脱炭素化をどのように実現するのか、その実効性が厳しく問われる時代となっています。知事が真に住宅など建築物の脱炭素化を進めようとするならば、税による脱炭素化促進も併せて実施すべきと考えます。
先日、知事に手交された東京都税制調査会報告では、環境性能が高い住宅の普及を図るため、住宅に係る税制全般について、軽減措置を環境性能の高い住宅に重点化するべきとの指摘がありました。
私たちは、住宅の脱炭素化は待ったなしの課題であり、あらゆる方策を多方面に推し進めるべきとの立場から、税制面から脱炭素化促進を後押しする税のグリーン化を推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
○知事(小池百合子君)税制のグリーン化についてのご質問でございます。
脱炭素社会の実現に向けましては様々な政策手法を組み合わせて取り組むことが重要でございまして、税制の活用も有効な手段の一つであると認識いたしております。
都は、住宅の脱炭素化を税制面からも後押しするため、今年度、都独自に太陽光パネル付きゼロエミ住宅導入促進税制を創設いたしましたほか、今般、東京都税制調査会からは、住宅の脱炭素化をはじめとした様々な提言をいただきました。
今後とも、都独自の税制措置を効果的に活用しながら、都税調からの提言も踏まえまして、国への積極的な働きかけを行うなど税制のグリーン化に向けた取組を推進してまいります。
○中村ひろし 次に、賃上げと格差是正に向けた環境整備について伺います。
国の調査では、賃金を上げると回答した企業が三年ぶりに上昇しましたが、派遣など有期雇用者の賃金水準は正規に比べて低く、引上げが遅れています。
物価上昇が続く環境下では、それを補う賃上げが目指されるべきであり、私たちは、さらに労働者の賃金水準を上げていく必要があると考えています。
国は、五年間で一兆円を超えるリスキリング等の人的投資を行うとしていますが、都も、知事出席の公労使会議で人材確保、育成をテーマに議論しているところであり、所得向上に結びつく施策の拡充に取り組むべきです。
賃上げに向けた環境整備の一環として、中小企業を対象としたDXやGX人材の確保、育成策、人手不足の業種、職種の人材確保策を大きく拡充すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
○知事(小池百合子君)中小企業の人材の確保と育成について、最後のお尋ねでございました。
将来の成長が見込まれるデジタルや脱炭素の産業分野で人材を確保するため、リスキリングを着実に進めることは重要でございます。このため、都は、中小企業の社員がデジタルのスキルを習得する機会を増やす後押しを進めております。
また、環境関連の産業や人手不足が続く分野への就職を目指す方と中小企業をマッチングする取組も行っております。
これらによって、中小企業の人材の確保と育成をサポートいたします。
○中村ひろし 次に、取引適正化の推進について伺います。
中小企業が賃上げを行うための資金を確保するためにも取引の適正化を図る必要があります。中小企業は、原材料価格の高騰などコスト上昇分を転嫁できず、価格交渉で厳しい立場に置かれています。
中小企業団体やものづくり労働組合では、サプライチェーンのゆがみ解消が必要であると述べ、国も、中小企業に賃上げが着実に広がるよう価格転嫁を促すとしました。
都においても、下請中小企業における製品、サービスの価格転嫁が進むよう、取引の適正化策の強化に取り組むべきですが、見解を伺います。
○産業労働局長(坂本雅彦君) 次に、中小企業の取引の適正化についてでございますが、中小企業が事業を継続する上で、適正な価格で取引を行うことが必要でございます。
このため、都は、中小企業振興公社に専門組織を設置し、企業同士の取引に係る相談への対応を行うほか、取引の実務に精通した相談員を中小企業に派遣し、値引き要請への対応方法などについて助言をしております。また、下請企業との間で適正な取引を行うことを宣言した会社に対し、国の優遇の仕組みなどを伝えております。
引き続き、中小企業の現場での実態を踏まえ、適正な取引が行われるよう支援を行ってまいります。
○中村ひろし 次に、ギグワーカー、フリーランス対策です。
先月、東京都労働委員会は、ウーバーイーツの運営会社などに対し、配達員らの労働組合と報酬や事故の補償などに関する団体交渉に応じるよう命令しました。仕事を請け負うギグワーカーも、働き方の実態に即して団体交渉ができる労働者とする国内初の判断です。
働く人が企業と対等の立場で交渉できる団体交渉は、賃金水準や労働環境を改善していく上で非常に重要です。ICTの発達で、新しい働き方、働かせ方が生み出され、国内でも注目されているギグワーカーやフリーランスの議論を進めるために、都内での実態把握やフリーランストラブル専門の相談窓口設置など、都として着手可能なことに取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
○産業労働局長(坂本雅彦君) 最後に、フリーランスの方への対応についてでございますが、フリーランスの方が安心して業務を担うためのサポートは必要でございます。
このため、都は、発注者との契約上のトラブル等で支援が必要な場合、専門の相談員が解決に向けたサポートを行っております。
○中村ひろし 人権施策について再質問します。
人権施策を進める上で重要な質問に知事が答えず、局長の答弁も忖度そのものでした。知事に聞いたにもかかわらず、局長が答弁に立つ、そのことそのものが忖度にほかなりません。
私の歴史認識に関する質問への知事答弁は、過去の発言の繰り返しの曖昧なものでした。ご自身が判断され、追悼文を出すのをやめられたのですから、その判断根拠となる歴史認識をきちんと答弁すべきだと申し上げておきます。
こうした知事の曖昧な発言と追悼文中止の事実が相まって現在の状況を生み出している、それを是正する必要があるからお聞きをしているのです。
知事の政治姿勢を忖度している都の状況をどのように考え、知事としての責任をどう考えるのか伺うとともに、この状況を是正するために、やはり追悼文を出すべきと考えますが、知事ご自身の見解を伺い、再質問とします。
○総務局長(野間達也君) 先ほどもご答弁いたしましたが、人権プラザにおける企画展については、子供を含めた幅広い都民に精神障害への理解を深めていただくことを目的に都の委託事業として実施したものでございまして、当該映像作品は、こうした観点からは分かりづらく、今回の事業趣旨とは合わないと判断したものでございます。
なお、追悼文につきましては、先ほど知事がご答弁したとおり、毎年、大法要において、東京で起こった甚大な災害と、それに続く様々な事情で亡くなられた方々に対して哀悼の意を表してございます。
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