2022/12/12 都市整備委員会で都営住宅、再エネ促進について質問
2022年12月12日、都議会都市整備委員会に出席し、知事が提案した議案のうち、所管の都市整備局と住宅政策本部が担当するものについて質疑を行いました。水害が発生すると最悪の場合に浸水する可能性が高い江東5区での都営住宅の建て替えには避難スペースを設けること、マンションの大規模改修に際して省エネ再エネを促進するよう都として目標設定を行うことなど質問を通じて求めました。
1 都市整備局への質問
(1)補正予算について
質問1:補正予算に計上された東京高速道路いわゆるKK線について伺います。
今回の補正予算では、「新型コロナウイルス感染症対策等」の項目に「事業執行の迅速化に向けた取組等」として、KK線再生に向けた情報発信等業務委託について、債務負担行為1億8千万円が計上されました。小池知事の所信表明演説でも、夏にニューヨークのハイラインを視察したことを述べていましたので都として注力しているようです。とはいえ予算の原則は年度予算ですが、債務負担行為とはいえ補正予算で提出されました。また、都の予算全体からすれば一部とはいえ、単発のイベントで1億8千万円というのはかなり大きな金額でもあります。
まず、補正予算として、来年の春に実施予定のKK線上部空間でのイベントの内容について伺います。
答弁1概要
・ 今回のイベントは、KK線再生の取組について、計画段階から幅広く都民に知っていただき、事業の重要性や将来のKK線の姿を理解していただくことなどを目的としており、KK線の上部空間を歩いて楽しめるウォーキングガイドツアーや、再生後の上部空間を感じられる交流体験イベント、PRパネルの展示などによる情報発信などを予定
答弁1への意見:将来のKK線の姿を理解していただくとのことでしたが、必要な関係道路が整備されてからの上部空間の利用ですから、実際にはかなり先のようですので、補正を組んで、このタイミングでの実施については疑問が残らなくもありません。
質問2:少なくともまだKK線は自動車専用道路として利用されているので、それを止めてまでイベントを行うとすると交通に影響がある可能性があります。
KK線の通行止めにより、KK線を利用していた交通が首都高へ転換することが予測されます。首都高への交通影響について伺います。
答弁2概要
・ イベントの開催については、首都高の交通量が少ない休日など、影響が小さい日程で検討
・ 現在、首都高などの関係者と開催日程や交通対策などの協議を進めており、今後、こうした取組を踏まえて、適切に対応
答弁2への意見:影響が少ないとのことではありましたが、日々利用するドライバーへの周知が必要であり、予算のうち、一定の金額が広報のために計上されているようです。少ないとはいえ、利用されている方々に漏れのないよう周知していただきたいと思います。
質問3:金額も大きく、交通にも少なからずは影響があるわけですから、ただ単にイベントだけやって終わらせてはならないと思います。すでに昨年3月に再生方針を策定していますが、あくまでまだ机上の計画でしかありません。普段は車両しか通行できないのですから、誰も歩いたことはないわけですし、そういう意味では貴重な機会にはなります。実際に都民が歩いてみたら、再生方針とは違った反応を示すかもしれませんし、新たな課題も見つかるかもしれません。
せっかくイベントを開催するのですから、イベントだけで終わらせず、イベントの実施により得られた経験を今後どう役立てていくのか伺います。
答弁3
・ 今回のイベントは、KK線を再生する取組をアピールするほか、参加者の意見や要望などを聴取することも重要と認識
・ 歩行者の流れや管理上の課題など、イベントを通じて得られる実証的な情報の収集・分析を行い、関係者と調整しながら、上部空間の整備や管理運営の検討などにいかしていく
答弁3への意見:KK線は周辺のまちを歩いていてもかなり上にあるため、現時点では、普通にまちを歩いていればそこに道路があることは分からず、すれゆえに歩いてみたいと思うこともありません。予算の原則は年度予算であり、金額からも交通状況からも頻繁にできるイベントでもありません。交通を止めてしか得られない貴重な情報を収集して今後のまちづくりに活きるようにすることが必要です。以上述べて質問を終わります。
2 住宅政策本部への質問
(1)契約議案について
質問1:契約議案について伺います。今回3件の都営住宅の建て替えが提案されていますが、そのうちの2件は江戸川区に所在しています。私は11月のこの委員会で都市整備局への質問で江戸川区を含むいわゆる江東5区と言われる東部低地帯についての水害対策を質問しました。水害が発生すると最悪の想定で250万人の居住地が浸水すると予想されます。以前は、250万人がこの5区から外へ避難するという不可能に近い方針が示されましたが、最近になって垂直避難という現実的な方法に変わってきました。すでにある多くの住宅をすぐに高層化するのは困難ですが、少なくとも当該地域にある都営住宅を建て替える機会を活かして、より垂直避難ができるような構造にしていくことは、都が率先して取り組むべきことだと思います。
そこで最初に伺いますが、議案にある江戸川区の平井三丁目第2団地と下篠崎町団地は、ハザードマップで何メートル浸水すると予想されているのでしょうか、伺います。
答弁1概要
・ 江戸川区水害ハザードマップによると、想定最大規模の洪水や高潮が発生した場合、平井三丁目第2団地は、3メートルから5メートル未満で浸水
・ 下篠崎町団地は、0.5メートルから3メートル未満で浸水
答弁1への意見:全域が浸水するので両方とも浸水するのですが、とりわけ平井三丁目第2団地は3メートルから5メートル未満で浸水ということがあらかじめ予想されているわけです。建て替える機会に対策を立てるのは当然だと思います。
質問2:この江戸川区の2団地について、2階以上に避難スペースとして集会室を設置する考えはなかったのか伺います。
答弁2概要
・集会所は、居住者及び周辺住民の利用に便利な位置に、原則として独立して設ける
・上層階への集会室設置は、規模の制約や隣接住戸への騒音等の課題もあるが、地元自治体の要望に応じ、団地自治会とも調整のうえ、協議
・平井三丁目第2団地及び下篠崎町団地では、計画策定にあたり、要望はなく、集会所は、議案のとおり敷地内に平屋建て独立棟として整備
・なお、地元区とは、大規模な水害発生の際、廊下など共用部分を緊急避難先とする覚書を締結
答弁2への意見:私も普通であれば、集会場は便利な場所に設置した方がよいと思いますし、上層階に設置した場合の課題も想定はできます。ただ何より命が大切ですから、何を優先するかだと思います。
また、大規模な水害発生の際に、廊下などを緊急避難先にするとのことです。まずは命が助かるためにというのはそうですが、どのくらいで水が引くかわかりませんが、それなりの期間を廊下で過ごすには限界があります。廊下のコンクリートの上にそのまま眠ることもできません。そもそも低層階の住民がまずは上に逃げて来るので、さらに周辺住民も受け入れるとすれば、廊下などのような狭い場所だけでは足りなくなります。今回は地元自治体の要望がなかったとのことですが、逆に言えば、要望があればできるということでもあります。
質問3:今後、水害のおそれがある地域については、積極的に集会室を上層階に設置すべきと考えるがいかがでしょうか。
答弁3概要
・上層階への集会室設置について、規模の制約や隣接住戸への騒音等の課題もあるが、地元自治体の要望に応じ、団地自治会とも調整のうえ、協議
答弁3への意見:団地の自治会からすれば住民ではない方々が避難してくる前提になるので調整が難航することも予想されます。最悪の事態において対策の必要性を丁寧に説明していただきたいと思います。
あらためて述べますが、何を優先して整備するかですから、私は命を守ることを最優先にしていただきたいと思います。今回の契約議案についてはすでに設計が終わった議案として賛成しますが、今後、江東5区に整備する場合については水害対策を踏まえた整備を検討することを求めて質問を終わります。
2 補正予算について
問1:次に補正予算について質問します。今回、大規模修繕工事の機会を捉えたマンション管理組合等への省エネ・再エネの普及啓発事業として2千万円の債務負担行為が計上されました。
今定例会では環境局から新築の住宅に太陽光パネルの設置を義務化する条例が提案され注目されています。地球温暖化を防ぐための取り組みは既存のマンションにおいても必要です。
今回の補正予算案を執行するにあたり、既存マンションにおけるCO2削減の目標値を設定し、目標に向けて取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
答弁1概要
・今定例会では、大手住宅供給事業者等に新築住宅への太陽光パネルの設置等を義務付ける条例改正案が提出されており、波及効果等も含めると、都内の住宅に2030年までに新たに100万キロワット程度の導入が期待できるとしている。
・この発電量は家庭部門の電力消費量の約6パーセントに相当し、そのCO2削減効果は、2030年カーボンハーフの実現に必要な家庭部門の削減量の約5パーセントに貢献するものである。
・今回の補正予算に基づく既存マンションに対する太陽光発電設備の設置促進の取組は、こうしたCO2削減に寄与する取組の一つであると認識している。
答弁1への意見:家庭部門におけるCO2削減の貢献について答弁がありましたが、既存マンションの貢献もその内数だとは思いますが、細かく目標設置を行い、達成に向けて取り組むことが重要です。
問2:今回の取り組みを既存マンションの太陽光発電設備の設置に着実につなげていくことが重要であると考えますが所見を伺います。
答弁2概要
・今回の取組では、数年のうちに大規模修繕工事を迎えるであろうマンションに向けて、省エネ・再エネガイドブックのほか、太陽光発電設備の設置促進に向けた都の支援制度等を記載したリーフレット等を届ける予定である。
・関心を示した管理組合等には、専門家を派遣しアドバイス等を行うほか、太陽光発電設備に対する補助事業を実施している環境局など、関係局とも連携し、設置を後押ししていく。
答弁2への意見:今年2022年3月に改定された「東京マンション管理・再生促進計画」において、「マンションの省エネ化、再エネ活用の促進に向けた支援策の構築」として、今年度は「支援策検討」とあり2023年度に「支援策構築」とあります。
しかし、具体的な政策指標が定められているかどうかを見てみると、例えば、「全部又は一部の窓に二重サッシ以上又は複層ガラスの窓を使用しているマンションストックの比率」として2018年度末29.50%との数値が、観測実況指標に挙げられているのみです。観測実況指標は、行政が要因分析や対抗策の検討に必要なものとして継続的な把握が必要になる指標に過ぎず、行政が達成すべき政策指標ではありません。
今後、既存マンションにおけるCO2削減において適切な政策指標を設定するなど、都としても具体的に取り組んでいくよう求めて質問を終わります。
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