2022/10/24 決算で耐震化、農地の買い取り、治水を質問しました
2022年10月24日、都議会の決算特別委員会の第三分科会に出席しました。担当の都市整備局について質問しました。緊急輸送道路沿道建築物の耐震化、農地の買い取り制度、治水対策を取り上げました。
○中村委員 それでは、都市整備局の令和三年度、二〇二一年度決算について、最初に耐震改修促進事業について質問します。
地震が多い日本においては、常にこの地震の対策というのが急務になっております。阪神・淡路大震災で、緊急輸送道路沿道の建物が倒壊して道路を塞ぎ、緊急車両が通行できなくなって以来、ずっと最重要課題としてあり続けました。
そこで、都では緊急輸送道路の沿道建築物については、民間建築物であるにもかかわらず、耐震診断を義務化し、耐震改修を努力義務化としました。その代わりに、民間建築物であるにもかかわらず、その費用の多くを補助するという枠組みをつくってきました。
制度創設以来、相当な時間も経過し、本来であれば早々に一〇〇%の耐震化が達成するはずでしたが、なかなか達成はしていません。もちろん、所有者の合意形成が大切であり、都の取組だけで進むのではないことは承知をしながらも、緊急時に一か所でも塞がれてしまえば、その道路が使えなくなるわけですから、一〇〇%の達成は必要不可欠です。
そこで、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について、当初の計画以降、決算年度までの実施状況を伺います。また、当初の計画であれば既に一〇〇%を達成していたはずですが、当初計画を策定して以降、何度も計画を改定し、いまだに完了していません。計画の変更の経過と遅れている理由を伺います。
○青木耐震化推進担当部長 特定緊急輸送道路沿道建築物については、平成二十三年度から耐震診断の義務づけと併せて改修等への助成を行っており、令和三年十二月末時点の耐震化率は八七・一%です。
平成二十四年三月に定めた耐震改修促進計画では、平成二十七年度末までに耐震化率を一〇〇%とする目標としていましたが、平成二十七年度末に目標の見直しを行いました。その後、特定緊急輸送道路の通行機能を的確に表すため、令和元年度末に総合到達率や区間到達率という新たな指標により目標を設定し、令和七年度末までに総合到達率九九%以上、かつ区間到達率九五%未満の区間の解消としました。
○中村委員 最初は、僅か四年で一〇〇%の計画なので難しかった部分があったかとは思いますが、二回計画を見直して延長もしていますので、早期に取り組むことを求めたいと思います。
緊急輸送道路には限らない住宅についても多くの戸数がありますが、その耐震化対策の進捗状況はどうなっているんでしょうか。
民間建築物なので、自らの責任で行うべきものかもしれませんが、経済的理由で耐震化したくても耐震化ができない場合も当然あります。その場合に、選択肢がないままに、耐震化されない住宅に住み続けざるを得ず、地震が発生した際に建物が倒壊して命を落とすという事態は未然に防がなければなりません。経済的格差が命の格差にならないようにしなければならないと思います。
住宅の耐震化について、より一層の支援が必要ですが、見解を伺います。
○青木耐震化推進担当部長 ただいまのご質問に答弁する前に、先ほどのご質問において、経過と遅れている理由ということでご質問いただきましたので、そこの理由についての部分、私どもとしては、賃借人や区分所有者間での合意形成に時間を要する建物があることなどの課題があるというふうには認識しております。失礼いたしました。
ただいまのご質問にご答弁いたします。
住宅の耐震化率は、令和二年三月末時点で九二・〇%です。令和三年度からは、住宅耐震化の助成上限額を引き上げるとともに、防災都市づくり推進計画に定める整備地域内のみを対象としていた除却への助成を都内全域に拡大しており、引き続き住宅の耐震化を進めてまいります。
○中村委員 いろいろと支援の枠も拡大していただいているようですが、この住宅の耐震化についてもより一層進めていただきたいと思います。
また、これ建築士事務所協会の方々から要望もあったのですが、新耐震基準の建築物でも改修が必要な場合もあるということですので、ぜひ新たな課題として、こちらの方も取り組んでいただきたいと思います。また、先ほども述べましたが、経済的に厳しい方への支援というのが必要になるかと思っていますので、こちらの方も支援を求めたいと思います。
次に、生産緑地について伺います。
農業そのものの担当は産業労働局なので、先日のこの分科会でも都市農業の必要性や生産緑地の買取りの実績などを質問しました。その際に述べたのですが、都市における農地の多面的役割があり、単なる作物の栽培だけではなく、防災や景観、教育など様々な有益性があります。そして、都市においては地価が高いため、所有者が亡くなると高額な相続税が発生し、そのたびに農地が減っていきます。
農地が相続により減少すると、都市における貴重な緑が失われてしまいます。何とか守っていかなければなりません。これまであった生産緑地制度により、三十年間の税制特例措置を受けていましたが、その期限を迎えようとしています。
そこで、政府は新たに特定生産緑地制度を設け、さらに十年間、税制特例措置を継続することになりました。ただ、所有者の意向により市町村長が指定することになります。多くの方は意欲を持って営農に取り組んでいただいていますが、様々な事情もあります。
特定生産緑地への指定が進まないと、これを機に多くの農地が失われる可能性があり、それを防ぐには、都としても制度の推進をすることが必要です。改めて、特定生産緑地の制度ができましたが、これまでの実績について伺います。
○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 二〇二二年に指定から三十年を迎える生産緑地は約二千四百ヘクタールであり、令和三年度末時点で特定生産緑地の指定は、指定見込みを含め約九三%、二千二百四十七ヘクタールでございます。
○中村委員 東京都も市町村と協力して取り組んでいただいたので、九割を超える指定見込みとなったんだと思いますが、数%は意向がないため、これ近い将来、失われる可能性があります。
今後は、十年後にどういう制度になっていくのか、市町村の意見も聞きながら国との検討も始めていただきたいとは思っていますが、また、この生産緑地の制度というのは、やっぱり一般の方の理解も必要になると思っていますので、なぜこういった税の特例措置があるかということも含めて理解していただく必要があるかと思っていますので、広報等していただきながら、その必要性について都民の皆様へ理解を深めていただけるようにしていただければと思います。
また、この生産緑地は、売却する場合に所有者が自治体に買取り申出をすることになり、自治体による買取りがなされないという場合に初めて売却ができます。自治体の予算が無限にあれば、全て買い取って緑地の保全をしていただきたいのですが、当然限界はあります。
先般、産業労働局の事業として市区が買い取る場合の補助制度を持っているので、その実績を伺ったところ、昨年度はゼロ件でした。タイミングもあるでしょうし、市区の財政状況もあるとは思いますが、農地の減少を止められないのは残念です。
一方では、都市整備局が担当する制度として、都市計画公園、緑地内の生産緑地を市区が買取りを行う際の補助制度があります。こちらの制度を推進することで、少しでも都市における貴重な緑地を残していただきたいと思います。
そこで、令和三年度に市区が補助を申請した箇所数及び申請額と都の補助実績について伺います。
○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 令和三年度の申請箇所数は八か所で、区市からの申請額は約十四億八千万円であり、執行額は十億円でございます。
○中村委員 産業労働局の方の制度とは違って、こちらは十億円の予算に対して十四億八千万円ということで、予算を超える申請申込みがあったとのことでした。全部買い取れなかったのは残念ですが、来年度は予算の拡充等が必要になるかと思いますので、よろしくお願いいたします。
こちらの方は、産業労働局の方と違うというのは公園の土地になるわけですから、農地として残る制度ではないんですが、一度緑地でなくなって宅地化をすると、再び緑地にするのには非常に困難が伴います。
都市に残る貴重な緑地を、できれば農地として残したいのですが、相続があったりするようであるので、せめて公園として、どういう形であれ、緑地が維持されればというふうに思っていますので、この制度の拡充の方をお願いいたします。
次に、治水対策について伺います。
都市整備局では、治水対策として市区が行う個人住宅における雨水浸透ますなどの設置に関する雨水流出抑制事業補助を行っています。治水対策は、堤防の整備や調整池の整備など大きな事業もありますが、都民の皆様にもご協力をいただき、個人宅にも雨水浸透ますなどを設置していただくことは重要です。
もちろん民間住宅でもあり、建築費が多くかかるわけですが、趣旨を十分理解いただき補助を行うことで設置促進を進めることが重要です。
そこで、決算年度である令和三年度の実績及び前年度からの増減について伺います。
○朝山都市基盤部長 令和三年度は四百二件でございまして、令和二年度に比べ十三件増加しております。
○中村委員 ここ五年ぐらいの推移で見てみると、おおむね四、五百件で推移をしているようで昨年度も微増ということではありました。ただ、今の都市型水害が激甚化をするので、これが本来であればもっと急拡大していただければいいというふうには思っていますので、取組をお願いしたいと思います。
特に、この雨水流出抑制事業補助については、取り組む市区町を支援するものとなっていますが、自治体ごとの取組に温度差があるようです。もちろん自治なので、どの事業に力を入れるかは、それぞれの自治体の判断ではあります。しかし、雨水流出抑制事業により流域対策を促進することは、取り組んでいる自治体だけではなく、その下流の自治体にも効果があることから、都として広域的な観点から取組を後押ししていくべきと考えます。
そこで、令和三年度の取組について伺います。
○朝山都市基盤部長 都は、総合的な治水対策を推進するため、地元自治体と共に東京都総合治水対策協議会を設けており、その中で雨水浸透ます等の設置促進を働きかけております。
また、別途、関係区市町に対して補助制度に対する説明会を実施しており、制度への理解を深めてもらうとともに、制度に対する意見や要望を聞く機会として活用しております。加えて、地元自治体と連携して、個人住宅向けのパンフレットを作成いたしました。
○中村委員 都市型水害は短期集中的な雨量が原因とはいえ、宅地化によりコンクリートで敷き詰められると、本来浸透していくべき隙間面積が減っていて、雨水が浸透しなくなっていくのももちろん原因の一つではあります。
そのことは、都市部に住む都民一人一人で問題を共有化していかなければならないと思います。個人住宅向けのパンフレットも作成をされるということですが、そういったことも含めて都民の皆様に普及啓発していただき、より一層取り組んでいただくことを求めて、質問を終わります。
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