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都議会質問記録

2023/03/15 都市整備委員会で建物耐震化やホームドア設置を質問

2023年3月15日、都議会の都市整備委員会が開かれ都市整備局の来年度予算案等について質問しました。耐震改修促進計画、築地市場移転後のまちづくり、多摩地域の振興、鉄道駅のホームドアの設置、建築物バリアフリー条例改正について質問しました。災害時への備えや車椅子の方の移動の確保など質問を通じて求めました。

1 耐震改修促進計画について

Q1 最初に報告事項である東京都耐震改修促進計画の改定について伺います。

地震が多い日本において、ハード、ソフト両面から様々な対策をする必要がありますが、発生した瞬間に建物が倒壊して命を失うことを避けるには、建物の耐震化を図るしかありません。

都では阪神・淡路大震災で幹線道路沿道の建築物が倒壊して道路が塞がれ緊急車両が通れなかったことを教訓として、緊急輸送道路の沿道建築物について耐震診断を義務化、耐震改修を努力義務化する条例が制定されました。今でも覚えていますが、2011年3月11日に条例が可決し、石原知事が4選目の出馬を宣言して2時21分に本会議が閉会した直後の2時46分に東日本大震災が発生し都議会も大きく揺れました。当時は条例をもとに平成27年度末、2015年度末に耐震化率100%の目標達成を目指していたのですが、達成できず、当時委員長をしていましたが、平成28年、2016年の3月のこの都市整備委員会で計画の改定の報告への質疑が行われ、いまだに100%の耐震化の完了はしていません。その後、総合到達率への指標が変わりましたが、まずは早期に目標を達成するよう求めてきました。

あらためて緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について、早期に目標を達成するべく取り組みを進めるべきと考えます。ただ、建物の老朽化とともに居住者の高齢化により、もともと困難であった合意形成がますます困難な状況になっています。

そこで、耐震化をする上での課題となっている区分所有権等の合意形成をどのように進めるのか、見解を伺います。

Q2 耐震化助成は市区町村とともに行っているため、先月質問した今年度の最終補正予算で当初予算の42億円から27億円へと約2/3へと減額しましたが、所有者から市区町村への申請が見込みより少なかったとの答弁でした。すなわち、都の事業でもありますが、窓口になる市区町村の役割が大変大きい事業でもあります。

すなわち、沿道建築物への耐震化助成は、市区町村によって所有者に対する助成額等が異なっています。それぞれの自治体での選択でもあり、まさしく自治ですが、財政力の差などによって取り組みの状況が異ることも考えられます。緊急輸送道路は広域的な道路ですからどこか一ヵ所が塞がっても意味をなさなくなってしまうので、広域自治体である都が積極的に支援していく必要があります。

 地域によって進捗の差を生じさせないようにどのように耐震化に取り組んでいくのか、見解を伺います。

Q3 住宅の耐震化は、昭和56年、1981年以前の旧耐震基準の建物への対策が中心です。しかし、2016年の熊本地震で新耐震基準の建物でも2000年に基準が変更する以前の建物は、それ以後の建物よりも倒壊する事例が多くみられたことから、この期間に建てられた住宅の耐震化助成が行われています。

 しかし、制度はあってもこうした問題がどのくらい広まっているのでしょうか。多くの方は新耐震基準だから大丈夫だと思うものです。同じ新耐震基準の建物と言っても基準が違うのですから、まずは認識してもらうことが大切で、注意喚起という意味では、違う名称をつけるくらいしてでもよいと思います。

新耐震基準の木造住宅への耐震化支援について、耐震化の必要性をどのように都民に周知していくのか見解を伺います。

2 築地のまちづくりについて

Q4 次に築地のまちづくりについて伺います。

築地市場の移転は東京都のみならず首都圏3千万人の台所の移転として、都政を大きく揺るがす事件となりました。その跡地のまちづくりが注目されましたが、オリンピック・パラリンピックの延期に伴い、それまで公表していた計画を見直すなどの経緯があり、昨年11月に築地地区まちづくり事業の事業者募集要項が示されました。

そこで、まず、築地まちづくりについて、今後のスケジュールを伺います。

Q5 市場移転までの経過では今後のまちづくりで守られなければならないいくつかの約束事があります。

その一つが、都が平成24年、2012年2月7日に中央区と締結した「築地のまちづくりに関する合意」があります。そこでは、食文化の拠点として築地が育んできた活気とにぎわいの継承や場外市場など周辺との関わりを引き継いでいくことなどを検討することで移転が合意されました。

その後の3月27日の予算特別委員会で決定した「中央卸売市場会計予算に付する付帯決議」には、「築地のまちづくりについては、中央区との合意を踏まえ、築地での食文化の拠点が継承されるよう最大限協力すること。」とされています。

その後、知事が短期間で次々と変わり、2016年、小池知事は選挙公約で「築地は守る、豊洲はいかす」をスローガンに掲げ、築地市場の跡地は「食のテーマパーク機能を有する新たな市場として、東京をけん引する一大拠点とする」という基本方針を明らかにしました。しかし、その後、「食のテーマパーク」について「1つの考え方」と述べトーンダウンしました。

しかし、先ほどの合意や付帯決議は築地市場移転という都政における大きな問題の中で生まれた約束事であり、移転後の築地のまちづくりにはこれに沿ったものでなければなりません。

そこで、都と中央区が締結した合意にある、食文化や場外市場とのつながりについては、募集要項にはどのように位置づけられたのか伺います。

Q6 現在の豊洲市場の場所から以前発見されたほどの土壌汚染ではないとは言うものの、築地市場跡地も土壌汚染が見つかっています。当然、新たなまちづくりの前に法に基づいて適切に対応されなければなりません。

 築地地区の土壌汚染の状況と、それに対する対策について伺います。

3 多摩振興について

Q7 次に多摩振興について伺います。

来年度予算委で策定するとしている「多摩のまちづくり戦略」に関して質問します。

都は、「多摩・島嶼」とひとくくりにしますが、多摩と島嶼は全く状況が違います。この言葉遣いは23区とそれ以外という差別的なニュアンスしか伝わってきません。しかも、「多摩」というと豊かな自然環境と観光と言われますが、それもごく一部を表しているに過ぎません。本質は、都道府県にすれば第8位という400万人の人口が住まう住宅地であり、産業が都外に移転する一方、大学等が都心回帰し、都心部に比べて高齢化が早く進展するなど課題は山積をしています。だからこそ小池知事が「多摩格差ゼロ」と言ったのは期待したのですが、残念ながら格差は縮まるどころか開くばかりです。

多摩地域は区部と比べてまちづくりにおいても格差があると考えています。この格差解消のために多摩の魅力を活かしたまちづくりを促進していくことが必要と考えていますが、都はどのように考えているのか伺います。

Q8 都は、かつての道路や上下水道のような社会インフラの整備率の差が縮まったとして、昨今では「格差」そのものの存在すら認めようとしていません。むしろ財政力の差から社会インフラよりもむしろ行政サービスの方で差が出てきています。格差があるという認識がなければ、適切な対応はできません。事実を見据えながら多摩地域の振興を図っていただきたいと思います。そこでそのための施策としてこれまでの取り組みと今後の取り組みを伺いたいと思います。

都は、平成21年、2009年8月に「多摩の拠点整備基本計画」を策定して以降、都は多摩のまちづくりにどのように取り組んできたいのか伺います。

Q9 先ほど築地のまちづくりを質問しましたが、築地だけではなく、昨今では都心部で新宿や渋谷の変化は著しく、国際的にも魅力を高めるためとはいえ、より一層都心の開発に注力しているように見て取れます。一方、注力されているところ以外はどうなっていくのかと不安があり、多摩地域に住む一人としては心配にもなります。

都は「多摩のまちづくり戦略」の策定に取り組んでいることのことですが、都は市町のまちづくりをどのように促進させていくのか伺います。

Q10 次に、来年度新規事業として予算が計上された「多摩地域の交通ネットワーク」について伺います。

 先ほども交通ネットワークが大切だとの答弁がありましたが、拠点を整備するだけではなく、拠点にどうアクセスするかも重要であり、さらには拠点と拠点をいかに結ぶかが大切です。

 多摩地域の発展のためには、多摩地域と都心部のつながりを一層高めることが重要です。しかし、多摩地域は都心に向かう東西の交通は発達していますが、南北の移動は本当に不便な状況です。今回、多摩モノレールは延伸されますが、大江戸線と武蔵野線の間は鉄道路線が十分とはいえません。

 例えば、新たに整備された都道である調布・保谷線を活用してLRTを整備すると、多摩南北の交通軸が一層強化されるとの議論が地元の三鷹市議会でも行われています。

 多摩地域に住む人々にとって、利便性を向上させるような鉄道網の充実は、地域の活性化に大きく寄与するものと言えます。

 そこで、多摩地域を支える交通ネットワークについて、都として検討を行うべきと考えますが、見解を伺います。

4 鉄道駅のバリアフリー化について

Q11 鉄道駅のバリアフリー化について伺います。

 多くの方が使う鉄道駅においてバリアフリー化は急務です。特に安全に関わるホームドアの整備は緊急の課題です。景気が悪く社会が不安になると自殺、事件、事故も起きます。電車が止まると多くの方に影響が出でしまいます。都営地下鉄は100%設置で当然のことながら転落事故は無くなりました。

来年度予算ではホームドア整備までの当面の措置として先端技術を活用した対策に関する調査費も計上されています。センサーなどで線路に落下した場合に電車を止めるシステムを設置すれば何もないよりはよいと思いますが、そもそも安全が標準と考えるべきで、いくら経営上の判断と入っても、ホームに柵も何もないのに無人であることは危険であり、人の配置をすべきです。鉄道事業者には、何より大切なのは乗客の安全を守ることだという認識をもっていただきたいと思います。

 先の代表質問でホームドアの100%を目指した取り組みを求めたところ、整備の一層の推進をはたらきかけていくとの答弁がありました。

そこで、JRや私鉄駅のホームドアの整備に係る補助事業について、令和5年度は、どのくらいの規模及び予算額を見込んでいるのか伺います。

Q12 JR中央線は残念ながらなかなかホームドアの設置がされません。特急があり停車位置が違うと言いますが、停まるのは、東京、新宿、立川、八王子と主要駅だけであとは停車しないので影響はないはずです。連続立体交差事業で武蔵境駅から国立駅までの駅では工事と同時に設置されなかったのは今思えば残念です。今後、他の路線で連続立体交差事業等で駅を立て直す際には必ずホームドアの設置を必ず行っていただきたいと思います。

改めて伺いますが、JR中央線は、ホームドア整備が進んでいません。JR中央線における、ホームドア整備に向けて鉄道事業者の方針及び検討状況について伺います。

5 建築バリアフリー条例について

Q13 最後の項目として「高齢者、障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例」いわゆる「建築物バリアフリー条例」の改正案について質問します。

 今回の改正は、宿泊施設の一般客室で車椅子の方が利用しやすいように段差の解消や浴室などの出入り口幅を75cm以上、出入り口に接する通路の幅を100cmとする基準を定めたものです。車椅子の方が移動しやすくなる改正であり、高く評価したいともいます。もちろん、様々な障がいの方やいろいろな考え方があるので、障がい当事者の声を聴き、それを反映させることが重要です。

 まず、今回の改正にあたり、障がい者団体からどのような意見があり、どのように調整してきたのか伺います。

Q14 今回の改正により、障がい者の方からは宿泊施設の浴室等が使い易くなり、ありがたいという声を聴いていますが、ホテルの浴室に手すりがない場合や、床がすべり易い場合もあり、こういったことへの改善を求める声も聴いています。今後の対応について、都の見解を伺います。

意見:今回、何人かの車椅子利用者からお話を伺いました。条例改正は賛成し、さらに手すりなどをつけてほしいとのことでした。さらに言われたのは、これまでも不便なことはあったそうですが、不快感を示す従業員がいて困ったこともあれば、快く支えてくれて施設的には不十分でも随分楽になったとも聞きました。今回、都市整備局の建物の構造を少し飛び越えて、福祉保健局の範囲になる手すりなどのバリアフリーのことまで質問しましたが、意図をよく組んでいただき、縦割りで終わらせず、組織の壁を越えた答弁をいただいたことに感謝します。建物や手すりは必要ですが、さらに大切なのは心のバリアフリーであり、その気持ちで今後とも政策に取り組んでいただければ、今後、もっとよい施策が生まれ、誰にとっても暮らしやすいまちになることを願っています。今後の取り組みに期待し、質問を終わります。

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