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都議会質問記録

【18】2010/10/27 救急搬送時間の短縮や都の基本計画について質問

2010年(平成22年)10月27日、東京都議会 平成21年度各会計決算特別委員会 第1分科会において局別審査(東京消防庁、警視庁、知事本局)に関する質疑を行いました。以下に質問と答弁を掲載します。

◆東京消防庁への質疑

〇中村委員 都政における重要な課題として、救急搬送時間の短縮のための施策について伺います。都内では、119番通報から病院に引き継ぐまでの平均時間が全国の都道府県で最も長く、都政においても大きな課題になっています。救急搬送時間がかかってしまう要因は、搬送そのものよりも、病院の選定など医療の側に多くの課題があるんですが、実際にその搬送を行っている消防庁から現状を伺いたいと思います。東京消防庁では、データのとり方が、年度ではなく1月から12月の歴年とのことですので、平成20年と平成21年の救急搬送時間について伺います。また、東京消防庁は、救急医療の東京ルールにも福祉保健局や東京都医師会とともに取り組まれていますので、東京ルールの導入による効果について伺います。

〇荒井救急部長 東京消防庁におけます平成21年に救急隊が覚知から医師に引き継ぐまでの医療機関収容に要した平均時間は50分12秒であり、平成20年の47分48秒と比べ2分24秒増加しております。なお、医療機関到着までに要した平均時間では、平成21年が37分48秒であり、平成20年の36分48秒と比べ1分増加をしております。東京ルール導入の効果についてでございますが、本事業の対象となる中等症以下の事案における救急隊の現場滞在時間を、東京ルール導入前後の1年間で比較をしますと、60分以上の事案で現場滞在時間の平均値が減少しており、さらに、医療機関の選定に特に長時間を要した件数も減少しております。

〇中村委員 東京ルールでは、急な発病やけがの際に救急車を呼ぶか病院に行くか迷った際、#7119に電話をし、東京消防庁救急相談センターに相談することになっています。#7119が広く利用されれば、何かあればすぐに救急車を呼ぶのではなく、本当に必要な場合に出動できるようになると期待されました。そこで、平成20年と平成21年の救急相談センターの実績及び救急車の出動件数を伺います。

〇荒井救急部長 東京消防庁救急相談センターの平成20年の総受け付け件数は27万9,084件で、そのうち救急相談の件数は3万4,208件でありました。平成21年の総受け付け件数は31万3,908件、相談件数は5万2,940件であり、それぞれ12%、55%伸びております。一方で、救急隊の出動件数は、平成20年の65万3,260件に比較し、平成21年は65万5,631件と0.4%増加しておりますが、このうち搬送人員に占める軽症者の割合は、平成20年の58.3%から平成21年は56.7%と、1.6ポイント減少しており、同センターは救急車の適正利用に効果を上げているところでございます。

〇中村委員 1.6%の減少ということで、救急車の適正利用に効果が上がったということであればいいことだと思います。ただ、まだタクシーがわりに救急車を呼ぶようなケースが残念ながら起きていないとも限りません。そのために、緊急性がない場合には搬送しないという救急搬送トリアージを導入されています。そこで、平成21年の救急搬送トリアージの該当件数と、同意が得られずに搬送した件数について、また、そういったことで現場でトラブルがなかったのか伺います。

〇荒井救急部長 救急現場におきまして、緊急性が認められないと判断された事案について、傷病者の同意を前提に不搬送とする救急搬送トリアージの平成21年の該当件数は2,340件で、このうち、救急現場において傷病者の同意が得られず医療機関へ搬送した件数は428件、18%であります。この中には、結果として搬送したものの、不搬送の説明や説得に時間を要した事案もございます。今後とも、本制度の運用につきまして広く都民に普及啓発し、推進を図ってまいります。

〇中村委員 トリアージで2,340件ということで、効果も出ているとは思いますけれども、まだまだ現場でのご苦労もあると思いますので、より広報や普及啓発に努めていただきたいと思います。最後に、救急搬送についての課題と改善について、どのように考えているのか伺います。

〇荒井救急部長 救急搬送における課題は、救急車の適正利用の促進や救急活動の迅速化などであります。東京消防庁ではこれまで、救急車と同時に消防車を出動させるPA連携を初め、救急相談センターや救急搬送トリアージなどの施策を講じてまいりました。さらに、今年度は、救急医療の専門家などで構成される東京消防庁救急業務懇話会に対し、119番通報時における救急相談センターとの連携等について諮問し、検討いただいているところでございます。また、交差点において緊急車両を優先的に走行させる現場急行支援システム、通称FASTへの参画により、現場到着時間及び搬送時間の短縮を図ることとしております。これらの施策を通じまして、真に救急車を必要とする傷病者に対し迅速な対応を図り、救命効果の向上に努めてまいります。

〇中村委員 ご答弁ありがとうございます。救急業務懇話会での議論や現場急行支援システムに期待したいと思います。患者の生命を守るべく、日夜ご尽力いただいていることに敬意を表したいと思います。今後も、少しでも早く救急搬送ができ、都民の生命が守られるよう引き続きの取り組みをお願いして、質問を終わります。


〇中村委員 知事本局が担当している「十年後の東京」について質問します。「十年後の東京」は、平成18年に政策展開の方向性を都市戦略として発表されたとのことです。その翌年、19年度以降、施策の進捗状況を随時点検しながら、毎年度、実行プログラムが改定されていると記載されています。そこで、まずは実行プログラムの事業について、平成21年度の主な実績について伺います。

〇武市計画調整部長 実行プログラムの平成21年度におけます主な事業のうち、一つには、新型インフルエンザ対策では、都民の生命と健康を守る保健医療体制の整備を進めることとしておりまして、21年度におきまして、タミフル、リレンザといった抗インフルエンザウイルス薬を新たに百万人分ずつ備蓄いたしまして、合計6百万人分を備蓄したほか、医療従事者向けの個人防護具を都独自に3百40万人分備蓄しております。さらに、受け入れ医療機関を46カ所指定するなど、医療体制の整備を進めております。また、公立小中学校の100%耐震化に向けましては、目標を当初の27年度から24年度に3年前倒しすることといたしまして、助成制度を充実した結果、21年度単年度で一気に11ポイント進捗いたしまして、21年度末で88%に達しております。

〇中村委員 具体的な成果があった実績について伺いましたが、事業の内容を一概に同じ指標でははかりにくいのは承知しつつも、全体の項目で何%達成したかなどの指標を明らかにしたり、達成できた事業、過程にある事業、おくれている事業などを一覧に示していただけるとわかりやすいかと思います。さて、「十年後の東京」への実行プログラム2010の策定においては、その過程において、区市町村、住民の意見を反映させることが必要ですが、それらの声をどのように得て作成されたのか伺います。

〇武市計画調整部長 「十年後の東京」への実行プログラム201の策定に当たりましては、まず、あらかじめ都内全区市町村に対しまして意向調査を行いまして、意見、要望を受け付け、必要に応じてヒアリングを行ったところであります。また、都民からの意見を反映するため、世論調査及びインターネット都政モニターアンケートを活用いたしまして、「十年後の東京」の実現に向けた都の取り組みについて、幅広く意識調査を行っております。なお、こうした区市町村、都民の方々からどのようなご意見があり、それをどのようにプログラムの中で反映したかにつきましては、冊子の巻末に資料として掲載しているところでございます。

〇中村委員 全市区町村からは意見を受けているとのことでしたが、都民については、世論調査や都政モニターアンケートからの調査とのことです。都政の重要な計画ですから、広報などで積極的に意見募集するのが望ましいかと思います。 さて、実行プログラムは都全体の基本計画的な位置づけにありますが、掲載された事業の総事業費は掲載されていますが、都政全体の財源についてはなぜ触れていないのでしょうか。経常業務を圧迫するようなことはないのでしょうか、伺います。

〇武市計画調整部長 先ほどきたしろ委員へのご答弁の中で申し上げましたが、実行プログラムは、「十年後の東京」の確実な実現に向けました3カ年のアクションプランとして策定をしております。この中で、財政的な取り扱いといたしましては、その策定方針の中で優先的に予算措置をするということを定めております。財政当局とも十分な連携を図りながら策定をしておりまして、実行プログラム2101で申し上げますと、26施策、364事業に及びます幅広い分野にわたりまして、多様な事業を展開しているところでございます。

〇中村委員 一昨年のリーマンショック以来の景気の悪化が大幅な税収減になってしまいましたが、財政を見据えながらの進捗管理が重要になります。実行プログラム事業のおくれ、計画変更などは、PDCAサイクルの中でどのように反映をされているでしょうか、伺います。

〇武市計画調整部長 実行プログラムは、平成19年度に策定いたしました実行プログラム2008以降、各施策の進捗状況などを随時点検、検証した上で、毎年度改定をしております。したがいまして、事業のおくれでございますとか計画の変更などが生じた場合には、この改定作業の中で検証をすることとしております。施策の見直しでございますとか施策の再構築、こうしたことを通じまして、「十年後の東京」の確実な実施に向けた実行プログラムということで策定をしてまいります。PDCAサイクルの中で申し上げますと、私ども、検証をする作業がPDCAのC、チェックに当たると考えておりまして、その翌年度に向けて改定を行うことが、PDCAの中ではA、アクションであると考えております。

〇中村委員 ぜひ事業の進捗と成果の検証を行い、その結果も公表していただきたいと思います。また、毎年度改定するわけですが、新規に追加される事業は比較的容易にわかるんですが、終了や廃止した事業については、2年分を並べて見比べなければわかりません。わかりやすいような表示の工夫もお願いします。さて、実行プログラム事業の中には、各局の個別の事業計画や既定計画に従ったものもあると思います。しかし、それらを取りまとめるだけではなく、実行プログラム改定の中で見直す必要があるものについては、トップの政策スタッフとして、全庁的な視点から知事本局がリーダーシップを発揮していくべきだと考えますが、見解を伺います。

〇武市計画調整部長 計画を策定したり改定する場合には、当然ではございますが、目標の達成に向けまして、真に実効性が上がるものというふうにしていくべきでございます。その中で、今回の実行プログラムの改定に当たりましては、既定の計画の策定当時とどのような情勢の変化があったのかということでございますとか、どのようにすればより効果が上がるような施策になっていくのか、そういったことをしっかり検証しながら、私ども改定を行っているつもりでございます。そうした検証作業の中で、見直すべきと判断した事業につきましては、各局とも調整を行った上で事業の見直しを行っておりまして、知事本局としましては、今後とも、局横断的な取り組みなどを積極的に進めたり、各局との橋渡しをしていくなど、全庁的な視点に立って総合調整機能を発揮してまいります。

〇中村委員 行政計画である以上、ある程度長期のスパンを見通したビジョンに向けた実行プログラムであることは理解しますが、そもそも長期ビジョンも、知事の選挙時のマニフェストを実現するものであるはずです。したがって、都民から信任を受けた任期中の実行プログラムとすべきではないかと思いますが、所見を伺います。

〇武市計画調整部長 「十年後の東京」でございますが、これは目標の達成年度を2016年ということで私ども定めてございます。その2016年に向けまして、都市インフラの整備でございますとか、環境、安全、文化、観光あるいは産業など、さまざまな分野でより高いレベルの成長を遂げていく東京の姿と、それに向けました政策展開の方向性をこの中で示してございます。これもこれまで申し上げてございますが、実行プログラムはそれを具体化していくための3カ年のアクションプランでございまして、これを策定、実施していくことで、都の事業施策、事業展開を内外に明らかにいたしまして、都庁全体の行財政運営を先導しております。これまで、「十年後の東京」計画の実現に向けまして、進捗状況でございますとか成果を検証しながら、実行プログラムを毎年度改定してございますが、今後も、社会情勢の変化などをとらえて、最新の状況を取り入れた上で施策を推進していくということが、行政としての責務であろうと私ども考えてございます。先ほどのPDCAサイクルの中で申し上げますと、目標年次でございます2016年に向けましてPDCAを繰り返しやっていくと。途中で終わらせることなく継続をさせていくためにも、毎年度改定は必要であろうというふうに考えてございます。

〇中村委員 マニフェストについては、選挙後の先行の是非をめぐって議論が分かれるところでありますが、都民からの信託を実現させる上で重要なものであることは間違いがありません。都政において大切なのは、都民の信託を受けた知事と議会が議論し、都民の声を行政に反映させることです。政策の提案の過程おいてはボトムアップも大切ですが、いわゆる官主導から民主導の政治を実現するためには、側近政治にならないよう留意はしつつも、主権者の意思を受けた政治家はトップダウンで政策を示すことが大切です。長期計画と知事のマニフェストと任期との整合性をどのようにとっていくかは、だれがなるにせよ、次の都政においての大きなテーマになると予想されますので、今から調査研究をしていただきたいと思います。最後に、「十年後の東京」計画の目標実現に向けて、施策あるいは事業によっては複数の局が連携すべきものでありますが、そうした場合、トップの政策スタッフである知事本局が主導で連携を図るべきと考えます。そうした取り組みを通じて縦割り行政を変革していくべきと考えますが、見解を伺います。

〇武市計画調整部長 私ども知事本局は、これまでも、カーボンマイナス都市づくりでございますとか、緑の都市づくり、少子化対策など、全庁的な視点から総合的な対策が求められております課題でございますとか、「十年後の東京」の確実な実現に向けて、複数の局の協力、連携、そういったものを図りながら進めていく必要がある、そういった場合には、私どもが主導いたしまして、局横断的に都庁全体で政策展開を進めております。そうした取り組みの効果もございまして、各局におけます局を超えた連携を図るため、垣根というんでしょうか、意識というのは、これまでよりも低くなってきているのかなというふうに感じているところでございます。行政に限らずに、組織が大きくなればなるほど縦割りの弊害というものが目立ってくるわけでございますけれども、知事のトップマネジメントの補佐機能を担う知事本局といたしましては、そうした縦割り行政と指摘されることなく、各局が最大限の力を発揮できるように、総合的な調整を図ってまいります。

〇中村委員 ご答弁ありがとうございました。都政の責任は知事にあるのですから、局間で調整がつかない場合に、どちらも手を出さないという状況は本来あり得ないはずです。トップマネジメントの補佐機能を担う知事本局が局間を調整して、縦割り行政の弊害をなくすことに努めていただくことを要望して、質問を終わります。

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