2023/06/16 交通物流事業者への燃料費高騰緊急対策を質問しました
2023年6月16日、都議会の都市整備委員会に出席し、知事から提出された補正予算2,219億円のうち、16億円の運輸事業者向け燃料費高騰緊急対策事業について質問しました。エネルギー価格高騰のため、国の交付金を活用してバス、トラックに支援金を支給するものです。周知や手続きの簡素化を求めるとともに、今後も高騰が続くようなら国に引き続き要請することなど求めました。
補正予算の東京都運輸事業者向け燃料費高騰緊急対策事業について質問します。
Q1
ロシアのウクライナ侵攻以降、原油高になり、かねてからコロナ禍で厳しい状況にあった交通運輸の関係者の方々にとってはさらに厳しい状況に置かれました。それでもエッセンシャルワーカーとして感染のリスクがある中で交通運輸を担っていただき感謝します。
コロナの扱いが2類から5類に変わることで一区切りにはなりましたが、原油価格は依然として高い水準で推移しており、交通運輸事業者を支えていく必要があります。現状の原油高の状況、交通運輸事業者の状況はどうなっているのか伺います。
A1(都市基盤部長答弁)
・原油価格の高騰は、ピーク時からは落ち着いているものの、国の燃料価格高騰の激変緩和措置が継続するなど、燃料価格は依然として高止まり
・運輸事業者から支援継続を求める声いただいている。
交通運輸は社会全体にとって欠かせないため、その事業者からの支援継続の要請に応えていくことは、その事業者のためだけではなく、社会的にも必要なことです。
Q2
今回、16億円の補正予算が計上されました。昨年度の第3回定例会では30億円が計上されました。1台あたりに支給する金額の算定根拠は何でしょうか。燃料費価格は高止まりする中、コロナの落ち着いた状況で、走行距離も延びていると思われますが、同じ補助で足りるのか、見解を伺います。
A2(都市基盤部長答弁)
・今年度の補助額は、燃料価格が上昇局面となり始めた令和3年10月と令和5年3月との燃料価格の差に、平均的な走行距離や燃費を反映した一台当たりの燃料標準使用量を乗じて算定
・算定基準の本年3月時点と、昨年度事業の補助額算定基準となった昨年8月時点では、同水準で高止まりしており、同等の補助単価を算定
Q3
今回の支援では、様々な運輸事業者がいる中、どの事業者を支援対象とするのか改めて伺います。
A3(都市基盤部長答弁)
・今回の支援は、燃料費の高止まりが続き都民生活に大きな影響のある営業用貨物、営業用軽貨物、路線定期運行のバスを、昨年度に引き続き支援対象
車を使う事業は多種多様であり、燃料高騰は社会全体に影響を与えています。そうした中で、今回の支援対象は、貨物、すなわちトラックとバスとのことです。どこまで支援するかは難しいとは思いますが、交通物流という点ではタクシーも支援の対象にすべきではないかと思います。
実際、業界から都への要望という点では、トラック、バスだけではなく、タクシー業界からも支援の要望が出されています。タクシーは決して経済的に豊かな人だけが乗るものではなく、むしろ高齢者や障がい者等、いわゆる交通弱者が利用する社会インフラでもあります。私は、そもそも、都がタクシーを公共交通として扱っていないことが問題であり、地域の交通全体を考える上では、欠かせない存在です。たとえば、駅前の再開発においても、バス停だけが重要視される傾向にありますが、タクシーの乗り場も、交通弱者の観点から見てその配置は重要です。
今回は支給対象から除かれていますが、是非、交通全体を考える上でも、都市整備局としてタクシーを含めた政策に取り組むことを求めます。
Q4
都内のトラック、バスすべてが支援の対象になりようですが、全体の台数はどのくらいあるのでしょうか。そのうち申請する見込みはどの程度でしょうか。第3回定例会の時と比べてどうなるでしょうか。申請すればもらえるのに申請しないのは周知不足か申請の手間がかかるかではないかと推測されますが、改善を求めますが、いかがでしょうか、見解を伺います。
A4(都市基盤部長答弁)
・本事業の対象車両数は、関東運輸局公表のトラック、バスの車両数をもとに算定、トラックは営業用貨物、軽貨物併せて約12万7000台、バスは約4300台で、令和4年度実績を踏まえた申請台数を見込む
・制度活用を促すため、関係団体と連携した説明会実施や手続きの簡素化を検討
まだ、昨年度の決算前なので実績の正確な数値はないようですが、昨年度実績を踏まえて申請台数を見込んでいるということは、予算規模からすれば、全体の台数のうちの申請の実績は、半分強という感じです。もちろん補助なので全員が申請しなければならないものではないのですが、申請しさえすればもらえる補助なので、やはり周知と簡素化は必要ですので、あらためて要請します。
Q5
コロナのようにいつか収まるものと違い、ロシアのウクライナ侵攻が長引くと原油高が長期化する恐れもある。今後、継続的に支援を行っていくのか。
A5(都市基盤部長答弁)
・本年度も昨年度と同様に、国の臨時交付金を活用、国の燃料費価格激変緩和措置の終了時期である令和5年9月までを支援対象期間
最大の願いは、ロシアが早期に侵攻をやめ、戦争が終結し、燃料価格が落ち着いてほしいと思います。とはいえ、そうならない場合もあるため、支援は今年の9月までとのことですが、もし状況が変わらないようなら、引き続き国に支援を求めることが必要です。
一方、燃料費の高騰だけではなく、他の原材料も高騰しているため、物価上昇はすべての産業に影響が出ている問題です。むしろ物価上昇が、価格に転嫁されないことが問題であり、労働者の賃金が上がらないことも問題です。
交通関係でも運転手の高齢化が進み、深刻になっています。また、物流では残業時間の上限の設定による2024年問題が迫ってくる中で、本来は、働き方改革による働く人の待遇改善のはずが、かえって収入が減って生活が苦しくなったり、物流が滞ることなどの懸念が言われ始めました。
今回の議案は燃料費の補助についてですが、目的は交通物流という社会インフラを維持することですから、都市整備局としても、背景も踏まえ働く人を含めた産業全体について産業労働局だけの問題とせず、一緒になって取り組んでいただくことを求めて質問を終わります。
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