2023/10/19 東京都税制調査会で格差や貧困対策を求めました
2023年10月19日、東京都税制調査会の特別委員として、都議会からの推薦で都知事の委嘱を受けて出席しました。地方税制及び国・地方を通じた税制全体のあり方等の意見交換のため設置されたものです。「令和5年度東京都税制調査会報告(案)」について議論されました。政府の税制が公平公正にかけ所得の再分配機能が果たせず格差や貧困を拡大させていることを指摘し、金融所得課税、ふるさと納税、大企業への課税などについての見直しを求めました。意見の全文は以下の通りです。
意見を述べさせていただきます。昨今の社会情勢は様々な課題がありますが、特に都民生活を苦しめているのは、物価が高騰する中で賃金が上がらず、また、収入が一定の年金生活者や生活保護世帯は厳しい状況にあります。政府の政策が格差や貧困の対策をするどころか、逆にそれを深刻化させているとさえ言えます。税のあり方を国に提言するに際して、最も主張したいのは、公平公正な税制度の確立、給付付税額控除など所得の再分配機能の強化により、格差を是正し、貧困をなくしていくことです。また、地方自治体が独自に行う、子どもへの現金給付である018サポートやベビーシッターの利用利金への助成など子育て支援や低所得者対策等の給付の取り扱いについても適切な指針が必要です。
近年、所得税や法人税の累進性が弱められ、逆に、逆進性のある消費税が強化されています。政府のこうした高額所得者優遇の姿勢こそ改められるべきです。現在、税収増の見込みから政府は所得税の減税を検討しているようですが、将来的な財政のあり方としても疑問はありますが、何より公平なものになるのか懸念がされます。
また、不公平な税制の典型は金融所得課税です。分離課税となることで、1億円を境に税負担率が減少に減ずるいわゆる「1億円の壁」と言われる逆転現象が起きています。今回の報告書でも制度の見直しを検討すると記載されていますが、早期の見直しを政府に求めるといったより積極的な記載にすることを提案します。
また、地方法人課税の偏在是正措置のように都を狙い撃ちするような、税の根本をゆがめるような制度については、都も繰り返し見直しを求めていますが、さらに強く求めるべきです。同様にふるさと納税は制度としても問題がありますが、所得が高い方ほど返礼品で得をするという問題があることから、地方財政への支援や産業振興は別途行う前提で、報告書の記載を「見直し」程度ではなく「抜本的見直し」との記載にすることを求めるものです。
また、税収増の要因として大企業の収益改善がありますが、このことは国民生活の実感とはかけ離れています。収益改善を正社員の賃金に反映することに加えて、非正規社員、さらには取引の適正化を通じて中小企業の社員の賃金への反映も必要です。さらに、両立支援や介護離職防止など社会的責任を果たすよう促すことや研究開発や設備投資が積極的に行われるような税制度の構築が必要です。大企業への課税のあり方も政府に提言するよう求めます。以上、述べまして意見とさせいただきます。
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