2024/03/12 予算委員会で代表質疑を行いました
2024年3月12日、都議会予算特別委員会が開会されました。午前は副知事から予算案の説明があり、午後から各会派の総括質疑を行いました。都議会立憲民主党を代表して小池都知事等に質問しました。大会派順のため夜8時25分から56分間、多岐にわたる都政の課題について一問一答形式で質問しました。公正な労働と人材確保、高齢者施策、介護離職ゼロ、ケアラー支援、災害廃棄物、住宅政策、コロナ対策の検証等について質問しました。少子高齢化など多くの課題がある中で、都民生活に寄り添った取り組みを行うよう引き続き求めていきます。質問答弁は以下の通りです。
○中村委員 それでは、都議会立憲民主党を代表いたしまして、総括質疑の方を行います。
まず、令和六年度予算案について伺います。
令和六年度一般会計歳出総額は、前年度当初予算案に比べて五・一%、四千百二十億円増加をし、八兆四千五百三十億円となりました。堅調な税収を背景に、私たちが提案してきた重点政策については、私立学校の特別奨学金の所得制限撤廃、東京都版子供手当の継続、学校給食の無償化に向けた負担軽減補助にも新たに踏み出しました。
立憲民主党が求める教育の無償化などの政策により、その先にある格差是正の実現を見るには、息の長い取組を行っていく必要があると考えます。
代表質問でも、財政基盤を強固なものにするための取組である事業評価の実効性向上を強く求めたところです。
景気変動や大幅な税収減などの局面でも、必要な施策にきちんと財源を振り向けつつ、途切れることなく、重要な政策を継続的に実施できる健全な財政基盤が必要と考えます。
令和六年度予算における施策展開の考え方とそれを支える財政基盤の確保について、知事の見解を伺います。
○小池知事 令和六年度予算につきましてお答えいたします。
明るい未来の東京の実現に向けまして、人が輝く、国際競争力の強化、そして安全・安心、これらの三点を軸にいたしまして、都市力を磨き抜く大胆な施策を数多く盛り込んだところでございます。
同時に、施策の見直しや事後検証を一層促進することで、過去最高となります一千二百六十六億円の財源確保につなげております。
また、将来を見据えまして、一定の基金残高を確保して都債残高を減少させるなど、財政対応力にも目配りをいたしております。
今後も中長期的な視点に立ちまして、積極的な施策展開を支え得る強固で弾力的な財政基盤を堅持してまいります。
○中村委員 私たちも政策、様々提案させていただきましたので、しっかりと財政の方は見ていただければと思っています。
次に、公正な労働、人材確保策についても伺います。
都内中小企業の賃上げについてです。
代表質問でも、知事への予算要望でも、賃上げに向けた知事の率先行動を求めてきましたが、いまだに積極的な発信や行動が見られません。
中小零細企業では、賃上げの原資が確保できない状況から脱却できていません。取引先の大企業との価格交渉では、人件費の上昇分について、まず俎上にのせることが難しいという声もお伝えしてきました。
これだけ政府や経団連も賃上げ、労務費の見直しをいっている中でも、実際の現場では困難で苦しんでおり、声を合わせて機運を高めることが求められています。
三十年に及ぶデフレで、各企業も、入社以来、値上げの経験がない人ばかりの日本になってしまいました。都内の経済、産業を支える中小企業が細っては立ち行きません。賃上げできる環境整備、機運醸成、マインドチェンジが必要です。
何度でも申し上げますが、賃上げに向けて知事の率先行動を求めますが、政治家としての小池知事の決意を伺います。
○古谷政策企画局長 これまで知事がお答えしてきたとおり、東京が日本経済の復活に向けた牽引役を担うため、戦略的に取り組んでいるところでございます。
○中村委員 知事に聞いたんですが、残念ながら局長がお答えになりました。代表質問でも、知事は賃上げについて、私たちが質問したことに対して触れてはいただけなかったわけです。今も、再び賃上げの質問についても、知事はお答えをしませんでした。
これまでと同じことと局長はおっしゃいましたが、経済や社会の状況は物すごいスピードで変化をしています。十二月の議会のときの答弁と同じ認識でいいとは思いません。
あした十三日は春闘の集中回答日でもあります。二〇二四年度の賃上げ予定の調査では、大企業と中小企業で二極化が拡大していると報じられております。毎月勤労統計調査では、実質賃金指数が前年を二・五%下回り、低迷が長引く一方、四日に発表された法人企業統計では、経常利益が伸び、労働分配率が低下をしています。物価上昇を上回る賃上げで好循環を動かすことが求められています。
この成長機運を政治家である小池知事が後押しをしない理由は何なのでしょうか。私は、賃上げ機運を後押しをする知事の率先行動を求めています。改めて知事自身にお答えいただきたいと思います。賃上げについての率先行動を求めますが、ご見解を伺います。
○古谷政策企画局長 繰り返しの答弁になりますが、東京が日本経済の復活に向けた牽引役を担うため、戦略的に取り組んでいるところでございます。
○中村委員 この賃上げのムードが、本当に高めていかなければというところで、知事からお答えがなかったのは、大変残念なことだというふうに思っています。
今本当に働く方々が厳しい状況になる中で、私は改めて、知事には賃上げに向けての機運醸成に向けて取り組んでいただきたいと思っております。
さて、会計年度任用職員の処遇改善についても申し述べます。
これは先ほどの賃上げの話にも関連するんですが、足元の東京都の賃金がどうなっているかということですが、改善に努力は重ねているものの、東京都の会計年度任用職員は、時給千百十三円の最低賃金にかなり近い、千百三十円ということでしょうが、募集も見受けられました。最低賃金はこの金額を下回った契約が無効になり、雇用主が罰則を受ける本当のミニマムです。
近年、持続可能な社会を目指していく上で、企業が人権や環境分野において、サプライチェーンも含めた責任ある行動を取るための課題の評価特定、計画策定、公開、デューデリジェンスが求められている中で、東京都が例外であってはならないとの観点から、代表質問でも都の社会的責任調達における生活賃金を含めた取組を求めたところです。
世界人権宣言は、生活賃金を基本的人権の一つとしております。物価高騰により生活費が高騰する中で、最低賃金に近い待遇で働く人がいないよう、会計年度任用職員の処遇改善をより一層図っていくことが急務と考えます。
会計年度任用職員の処遇改善について、知事の見解を伺います。
○野間総務局長 会計年度任用職員の報酬の額は、法律等に基づき、職員の職務の複雑性、困難性等に応じ、常勤職員の給与との均衡を考慮し、職ごとに適切に定めてございます。
なお、会計年度任用職員には、制度導入時より既に期末手当を支給してございまして、来年度からは、法改正等を踏まえ、常勤職員に準じて、新たに勤勉手当も支給するものでございます。
○中村委員 知事に考え方を聞きたかったんで、これも聞けなかったのは残念だと思っています。
さて、次に仕事と家庭の両立支援について伺います。
私は少子化も働く人を大切にしてこなかったこの三十年のツケだと感じています。まず、賃上げや雇用の正規化など、若い世代の生活基盤を安定させ、自由な選択を妨げないようにすることが必要で、いわゆる少子化対策はその上でのプラスアルファとして効果を発揮することは、出生率が上昇に転じたヨーロッパの事例が強く示唆をしています。
子育てをしながら仕事をするという前提で働き方を見直していくことが必要です。子育てを担う世代の方からは、産休、育休期間が終わっても子育ては続く、仕事の両立はとても困難との声を聞きます。
ヨーロッパでは、男女共に仕事をしながら、子育てができるように労働環境を変革し、少子化が改善されてきました。
産休、育休だけではなく、男女を問わず、子育てをしながらも働き続けられるように、仕事を続けることが子育ての妨げとならないように、日本的雇用を変革することが不可欠です。
生活と仕事の両立についての見解を伺います。
○坂本産業労働局長 育児と仕事の両立を図ることのできる職場環境を整備することは重要でございます。
都は、育児のために休業や休暇を取得できる制度の充実などに取り組む中小企業等に対し、専門家派遣や奨励金の支給を行っております。これらの両立について参考となる事例紹介をポータルサイトやイベントを通じ行うほか、長時間労働の見直しや柔軟な働き方の導入に役立つセミナーなどを実施しているところでございます。
今後とも、こうした取組を通じまして、働きやすい職場環境づくりを進めてまいります。
○中村委員 次に、高齢者施策について伺います。
小池知事就任以来、私は、知事は高齢者施策に関心があまりないではないかと懸念をし、機会があるごとに高齢者施策の推進を求めてきました。
一昨年十二月の代表質問で、私は「未来の東京」戦略で書かれていた三つのC、Chojuは影も形もなくなったと指摘しましたが、今回バージョンアップされた「未来の東京」戦略二〇二四版では、三つのCが復活をしました。
チルドレンに偏りがちだった都政の基本政策に、Chojuとして、高齢者施策が明確に位置づけられたことはよかったと思います。
そこで、高齢者が自分らしく活躍できる、不安なく生活できる社会の実現に向けて、知事の見解を伺います。
○小池知事 「未来の東京」戦略におきましては、策定をしました当初から、まず人に焦点を当てて、そしてChojuを含みます三つのCを戦略の核に据えて、施策を展開してまいりました。
今回の戦略のバージョンアップでございますが、世界に先駆けて進む高齢化への対策を先進モデルと捉えて、高齢者がいつまでも活躍できる取組を推進するために、アクティブChojuプロジェクトを始動させたものでございます。
高齢者が自分らしく活躍できる、不安なく生活できるという観点で施策を推進しまして、豊かに老い、自身の希望に沿って活躍できるアクティブなChoju社会の実現を目指してまいります。
○中村委員 ありがとうございます。子育てや教育のことも大事なんですが、高齢者の課題も大変大事な課題なので、引き続き積極的に取り組んでいただければと思っています。
さて、来年は団塊の世代の方々が全て後期高齢者、七十五歳以上になる二〇二五年問題とずっといわれてきましたが、その年を迎えます。
質、量ともに、今後急速に進展する高齢化社会に対応できるかどうか、深刻な問題です。
例えば、都内の介護職員は、二〇二一年の推計によれば、二〇二五年度には二十二万三千二十二人が必要になると見込まれますが、これに対して介護職員は十九万二千七十三人にすぎず、差引き三万九百四十九人の不足が予測されます。
これに対して介護職員の確保はどうでしょうか。六年度予算で、介護職員への支援として、新たに居住支援特別手当が創設されるとのことは評価いたしますが、これによってどの程度人材不足の問題解消に近づくのでしょうか。
介護職員が何人必要で、何人不足をしているかの現状も含めて、見解を伺います。
○佐藤福祉局長 令和三年三月に策定いたしました第八期高齢者保健福祉計画における介護職員の需給推計では、令和七年度に約二十二万三千人の介護職員が必要とされまして、約三万一千人の不足が見込まれております。
都は来年度から、国が介護報酬等について必要な見直しを講じるまでの間、介護職員等へ居住支援特別手当を支給する事業者を支援するなど、引き続き人材の確保に努めてまいります。
○中村委員 新たに創設して、制度をつくるのはいいと思うんですけども、この三万一千人というのは本当にもう再来年度になってくるわけですから、本当に現状大変だというふうに思っています。これで解決してくれればいいんですけれども、そんなに簡単ではないと思っていますし、実際、東京都自身が調べたこういった介護事業者の方々からは、既にもうヘルパーさんなり介護職員が不足しているというような声もたくさん出ているわけですから、改めて実態をよく見ていただいて、本当に足りないことにならないかどうかの施策をさらに検討していただければというふうに思っています。
さて、この居住支援特別手当について今質問もしましたが、職種が限定はされていますが、これまで私たちが求めてきた、ある種の家賃補助だともいえます。
この手当については、国の介護報酬見直しまでと注釈がついていますが、介護報酬の見直しは通常三年ごと、次は二〇二七年度です。介護報酬の十分な見直しがなければ、継続、拡充など、介護人材の確保に取り組むべきです。
また、これらの手当が対象となる全ての職員に行き渡るよう、就業規則等の全職員への周知、ホームページ掲載を通じた見える化、事業所への働きかけなどを実施すべきだと思います。
この居住支援特別手当についての見解を改めて伺います。
○佐藤福祉局長 都は、事業の実施に当たりまして、今月中に区市町村や事業者団体等と連携して、介護事業者を対象とした説明会を開催し、四月には事業に関する問合せ窓口を開設することとしております。
○中村委員 せっかく制度をつくっても使ってもらえないと意味がないわけですから、ぜひこういったことを周知していただいたり、使っていただいて、実際に賃金、待遇がよくなるように求めていただければというふうに思っています。
さて、高齢者の課題について、また引き続き質問いたします。
特別養護老人ホームの整備について、これ在宅介護が原則だということですが、施設も必要です。
現在策定中の第九期東京都高齢者保健福祉計画では、整備指標を令和十二年度末で六万四千人分と設定していますが、これは第八期の計画と同様です。しかし、現状は令和四年度末で五万三千九十六人分と、達成率は九四・五%にとどまる一方、第七期の計画で掲げてきた令和七年度末六万二千人の達成は、事実上困難な状況です。
特別養護老人ホームの待機者は現時点で何人いるのか、また、今般の建築価格の高騰や人件費の高騰、地域偏在への対応強化を含め、整備の推進を求めるものですが、見解を伺います。
○佐藤福祉局長 令和四年十月に都が実施した調査では、都内の特別養護老人ホームの入所申込者数は二万三千六百九十四人でございます。このうち、入所の必要性が高いとされる在宅の要介護三以上の方は三千十六人でございます。
都は、建築価格の高騰に対応する整備費補助の加算や整備率が低い地域の補助単価の増額を行っております。
○中村委員 今現在でも三千人もの方が入れていないということですから、本当これからまだまだニーズも高まっていくと思いますので、整備の方が着実に進むようにお願いしたいと思っています。
また、特に今、制度が変わって、要介護三以上しか入れなくなったんですが、認知症の方等で要介護一や二の方で特養に入れないという方がいらっしゃって、その問題というのは大変だというふうに思っています。
この認知症施策については、昨年十二月に、代表質問をはじめ、この間私たちは認知症施策の大幅な拡充を求めてきました。
六年度の予算案では、予算的には微増でしたが、東京認知症施策推進プロジェクトとして新たな事業を盛り込まれたことはよかったと思います。
私も昨年十一月、全国で開催されている認知症の方や家族、支援者がリレーしながらゴールを目指すイベント、RUN伴みたかの様子を拝見しましたが、まさに地域の取組が重要であると再認識をいたしました。
治療、研究も当然ですが、十二月の議会で私たちが主張した認知症当事者が尊厳を保ち、希望を持って暮らせる共生社会の実現に向けて、六年度予算での対応について伺います。
○佐藤福祉局長 都は、来年度、認知症検診の補助対象を拡大するとともに、希望する方が身近な地域で新たな抗体医薬による治療を受けられる体制の確保を図ることとしております。
また、見守りネットワークの構築など、本人や家族が安心して暮らせる地域づくりを進めていくこととしております。
○中村委員 地域の受皿づくり、体制づくりが大切だと思っていますので、市区町村と連携しながら、認知症の方々が地域で安心して暮らせるような社会をつくっていただければと思っております。
次に、また高齢者の関係で、ケアラーの支援について伺います。
私たちが昨年、知事宛てに提出をした立憲ビジョンということの中には、ケアラー支援条例、ケアする人に優しい社会へとして、心や体の不調など、ケアの必要な家族や近親者、友人、知人などを無償でケアするケアラー、特にヤングケアラーに気づき、支える体制をつくる条例を求めますとしました。
介護保険制度が導入されましたが、特養や介護職員の不足、費用などの問題などから、在宅介護を選ばざるを得ない介護者が社会から孤立をしています。
既に埼玉県をはじめ、茨城県や北海道、長崎県、栃木県などで、ケアラー支援条例が制定をされています。家族が介護するのは当たり前という根強い意識から脱却をし、ケアラーを支援し支える社会に転換するためにも、私は、都がケアラー支援条例を制定して、ケアラー支援に積極的に取り組んでいくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
○佐藤福祉局長 これまで主に家族が担ってきた高齢者や障害者の介護を社会全体で支え合うという介護保険法や障害者総合支援法の理念を踏まえまして、都は、高齢者保健福祉計画や障害者・障害児施策推進計画を策定いたしまして、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、様々な施策に取り組んでおります。
○中村委員 出産年齢の高齢化が進む東京都においては、ダブル以上のケアを担う人たちを率先して支援していく必要があります。狭い意味でのダブルケアは育児と介護の同時進行を表しますが、がんや鬱病などを抱えた配偶者のケア、障害を持つ兄弟や姉妹のケアなど、場合によってはトリプルケア、多重ケアを抱えている例もあるようです。
これ、一足す一は決して二ではなくて、精神的、肉体的、経済的負担からもその苦労の大きさは計り知れません。介護を担っているのは依然女性が多いものの、近年男性の割合も増えており、仕事一筋できた男性は、突然の家事や介護に悩みやすいとの指摘もあります。
とりわけ、ダブル以上のケアラーの人たちに対しては、緊急かつ積極的に支援していく必要がありますが、都の見解を伺います。
○佐藤福祉局長 都は高齢者保健福祉計画や障害者・障害児施策推進計画を策定し、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、様々な施策に取り組んでおりまして、ケアラー支援といたしましては、レスパイトに有効なショートステイなどの介護サービス等の基盤整備を推進するほか、ケアラーの交流会の開催など、地域の実情に応じた独自の取組を行う区市町村を包括補助で支援をしております。
○中村委員 取組をしていただいているということですが、それぞれの役割はしっかり果たしていただいているんですが、先ほどいいましたように、やっぱりいろんなものが加わってくると負担が大変重くなってくるというところがあると思っています。
これ、ヤングケアラーというものが出てきたのもそうなんですけれども、結局出産の高齢化ということに伴って、子育てと介護が同時に来るわけですから、どんどんこれは深刻になっていくと思います。
後で介護離職の話もしますけれども、ダブルケアで仕事を辞める人もかなりいるという話も聞きます。なかなかそれぞれの課題の対応をするということかもしれませんが、例えば保育園とか、特別養護老人ホームとか、それぞれが例えば両方あれば、ポイントが上がって入りやすくなるとか、また、総合的な相談窓口をつくるとか、まだまだやれることはあると思っていますので、少しこういったダブルケアの問題もこれからの問題だと思っていますから、ぜひしっかりと取り組んでいただければというふうに思っております。
さて、先ほど、知事宛てに立憲ビジョンを出したという話もいたしましたが、その翌日、私は地元で、三鷹市が主催するヤングケアラーについての講演会に参加をしました。年若い子供が家族のケアを担うヤングケアラーについては、当事者や家族にとっては日常であるがゆえに、誰かに相談したり、支援を求めるという発想や情報が乏しく、学校現場を含めた周囲の大人が気づいて支援につなげることが必要です。
その場合、福祉や介護、医療、教育等といった様々な分野との連携は欠かせませんし、基礎的自治体はもちろん、子供食堂や学習支援などを行う民間の支援団体等とも広く情報を共有しながら、必要な支援につなげていくことが重要であると考えますが、見解を伺います。
○佐藤福祉局長 都は昨年度、ヤングケアラーを早期に把握するポイントや各関係機関の役割などを盛り込んだマニュアルを作成いたしました。
今年度はこのマニュアルを活用して、区市町村の児童福祉や教育など関係職員向けの合同研修やコーディネーターへの専門研修を行うほか、各関係機関や区市町村などによる協議会を設置いたしまして、支援策を検討するなど、多機関連携の強化に取り組んでおります。
○中村委員 また、ヤングケアラーの早期把握で重要な役割を担うのが学校です。この間、私は教員の役割は重要としつつも、
多忙化解消を求めるとともに、専門家であるスクールソーシャルワーカーなどの積極的な配置も求めてきました。多忙解消もスクールソーシャルワーカーの配置もまだまだ十分な状況ではありませんが、あらゆる取組を通じて、ヤングケアラーを早期把握し、支援につなげていくべきです。
教育長の見解を伺います。
○浜教育長 都教育委員会は、教職員向けデジタルリーフレットや教職員からの相談に応じる相談ダイヤル等により、ヤングケアラーを早期に把握し、福祉等の機関につなぐ体制を確保しております。
また、都立学校にはユースソーシャルワーカーを派遣し、小中学校にはスクールソーシャルワーカーの配置のための経費を補助することで必要数を配置し、適切に対応しております。
○中村委員 いろいろと学校の課題が複雑になり、いろいろ専門的な知識が必要なところもありますので、ぜひこういった方々の配置の方もお願いをいたします。
現在、都においては、ヤングケアラーに対する支援は、現場レベルでは福祉局と教育庁が取り組んでいますが、連携強化や政策的な掘り下げなど俯瞰的立場からは、子供政策連携室も積極的に取り組んでいるところです。
ヤングケアラーは文字どおり若年者であるがゆえに、社会経験にも乏しく、学業からも立ち遅れてしまう危険性をはらんでいます。教育機会の確保をはじめ、心理的なサポート、経済的な支援など、必要なサービスを提供することも重要です。
そこで、ヤングケアラーの総合的な支援についての見解を伺います。
○田中子供政策連携室長 都は、ヤングケアラーに関する組織横断の推進チームにおいて政策を練り上げ、ヤングケアラーに対する支援の充実に取り組んでおります。
こども未来アクション二〇二四におきましては、ヤングケアラーを早期に把握する環境づくりの推進や、多機関連携の基盤等の強化、ヤングケアラーへの多面的、継続的な支援などを掲載しております。
○中村委員 ヤングケアラーの問題は他局にまたがるものですから、ちょうどこの予算委員会でいろいろと聞かせていただきました。冒頭、知事にはちょっと条例について聞けなかったのは残念だったんですけれども、本当にこれからまだまだケアラーの問題というのは大事な問題なので、私たちとしては改めて条例制定を求めて、より一層施策の重点化を図ることを求めたいと思っています。
次に、介護離職ゼロについて伺います。
昨年七月に総務省が発表した就業構造基本調査によれば、過去一年間、東京都で介護、看護離職した者の数は一万四千二百人、五年前、二〇一七年の七千八百人に比べて倍近く増えています。全国が九万九千百人から十万六千二百人と約七%増えているのに比べても著しい増え方で、ゼロを目指すどころの状況ではありません。
東京都での増加率が著しい理由をどう分析しているのか、現状の確認も含めて見解を伺います。
○坂本産業労働局長 都は介護に直面しても安心して働き続けることができるよう、介護のため休業や休暇を取得できる制度の充実等に取り組む中小企業に支援を行っております。
また、介護による離職を防止するための先進的な事例に関し、経営者に紹介する取組も行っているところでございます。
○中村委員 なかなか十分把握ができていないということのようですから、今後、しっかりと、このあたり調査検討していただきたいと思っています。
昨年九月の一般質問で我が会派の西崎つばさ都議会議員が、経済産業省が働きながら介護をするビジネスケアラーが二〇三〇年には三百十八万に上るとの予測を発表したことや、介護離職と合わせた経済損失額が九兆円を超えるとされていることなどを例に、都に対して、介護と仕事の両立支援のさらなる強化を求めました。
令和六年度の予算案での対応について見解を伺います。
○坂本産業労働局長 都は、従業員が介護休業を取得した後、職場に復帰をした中小企業に対し奨励金を支給しており、来年度はこの取組の規模を倍増し六十社といたします。
また、介護に役立つテレワークの仕組みを導入する会社に最大百万円の助成を開始いたします。
さらに、経営者に対し、介護と仕事の両立に取り組む企業の事例を紹介するシンポジウムに関し、新たに従業員向けのものも開催いたします。
○中村委員 この二〇二一年の「未来の東京」戦略では、二〇四〇年代にはこの介護離職という言葉が死語になっているとされていたわけですけれども、確かにバージョンアップされた「未来の東京」戦略にも、六年度のこの予算書の中にもその言葉はなかったわけですが、決して死語になったというわけではありません。
介護離職ゼロについて、大事なことですから、改めて知事にも関心を持って積極的に取り組んでいただきたいと思っています。
介護離職ゼロに向けて、知事の見解を伺います。
○小池知事 介護離職によりまして、経営の中核を担う人材等を喪失することは企業にとって大きな問題となります。
このため都は、介護休暇制度の充実などに取り組む中小企業等に対しまして奨励金を支給するほか、企業の取組事例の紹介などを行っております。
また、介護職員等への居住支援特別手当の支給など介護サービスの充実に向けました独自の支援策を講じてまいります。
今後も、これらの取組を通じまして、介護離職を防止する環境づくりを後押しをしてまいります。
○中村委員 本当に介護離職の問題は本当に深刻だと思っています。
ご高齢の方が親の介護で会社を辞めたとしたときに、介護が終わったときにはもうまた就職するのが大変だということになってしまいますし、本当に働きながら介護もできるような状況をつくっていくことが大切だと思っていますので、こういったことは企業の支援でもあり、また福祉にも関わるところで、幅広く関わるところだと思っていますので、ぜひ知事には、介護離職ゼロが実現するよう、積極的な取組をお願いしたいと思います。
次に、住宅の政策について伺います。
私たちが知事宛てに提出をした、この都議会立憲民主党の東京ビジョンということの中には、重点予算として、必要とする全ての人の家賃補助制度を求めています。
私たちの代表質問に対して、小池知事は、対象世帯の範囲、民間家賃への影響、財政負担の問題のほか、生活保護制度との関係など多くの課題があると答弁されました。
そこで、家賃補助制度の議論を深めるため、知事が挙げた課題についてそれぞれ伺いたいと思います。
まず、対象世帯の範囲です。これはどのように決めるかの話だと思いますが、例えば、この対象世帯をまずは都営住宅の募集で外れた方、当たらなかった方の都民とするのはいかがかと思います。
現在、都は募集に外れてしまった多くの住宅に困窮する低所得者の方に対して、東京都はどのような支援を行っているのでしょうか。
また、昨年度の都営住宅の年四回の定期募集において、申込者数から当せん者数と補欠数を除いた数は何人いるのか、併せて伺います。
○山口住宅政策本部長 公的な家賃補助制度におきましては、幅広い観点から、対象世帯を公平に選定する必要がございます。
また、都営住宅の定期募集において、当せんや補欠などに該当しなかった世帯は重複した申込みも含め、延べ約十万五千世帯でございます。
都は都民の居住の安定確保に向けて、重層的な住宅セーフティーネット機能の強化に取り組んでおります。
○中村委員 重複している方もいらっしゃるので、正確な数は分からないんですが、少なくとも、ただこれだけ何万人もの方々が住宅に入りたくて入れなかった、都営住宅に入りたくて入れなかったということですから、本当に困窮しているんだというふうに思っています。
東京都が述べる住宅を必要とする方々への専用住宅は七百十三戸と登録が進んでいないのが現状ですので、私たちは家賃補助制度の検討が必要だと思っています。
さて、都は都営住宅の申込みの際に、年間所得金額や年齢、職業、現在の住まいの広さや家賃などを記入させていますが、当せんできなかった人が大勢います。これらのデータは住宅困窮者対策に生かされているのでしょうか。
例えば、単身六十歳以上の方の申込みで年間所得金額や年齢、現在の住まいの広さや家賃の平均や分布はどうなっているのか伺います。
○山口住宅政策本部長 都営住宅の住宅使用申込書には、年間所得金額や年齢、職業、現在お住まいの住宅の間取りや家賃などを記入することになっております。
これらの事項は、当せんや補欠などに該当する前段階の本人の申告のみに基づく資格審査を経ていない情報であるため、正確性に欠けるものであると考えております。
○中村委員 個人情報の扱いは難しいものだと思いますし、今後、ただ、デジタル化も進んでいくと、いろいろ変わってくるところもあると思っています。
貴重なこういったデータをどのように生かしていくかということ、住宅政策に生かせればと思っていますので、その点の工夫は今後していただければというふうに思っています。
都は住宅募集の選別に集中する一方で、抽せんに外れてしまった住宅に困窮する方々のデータが残念ながら活用していないということですが、単身者も多くが抽せんに外れてもいます。
単身高齢女性は四割が貧困だともいわれています。支援につなげることを求めるものです。
次に述べていた民間家賃への影響についてです。
物価が上昇する中で不動産価格も上昇し、マンションや賃貸アパートの家賃も上昇傾向が続いています。
二十三区の賃貸マンションの家賃は、この一年で一割も高くなったといわれていますが、これは何が影響していると考えているのか、家賃補助の影響なのでしょうか。
都内には、都営住宅二十四万四千戸を含め二十六万五千戸、世帯数の三・九%を占める公営住宅が安い家賃で供給されていますが、公営住宅の存在は民間の賃貸住宅市場にどの程度影響していると分析をしているのでしょうか。
また、生活保護制度の住宅扶助を受けているのは二〇二〇年、都内で二十万七千四百十世帯となっていますが、住宅扶助がどの程度民間家賃に影響していると分析しているのか、さらに、既に都内の複数区市において、収入減少者や高齢者、障害者、ひとり親の方々に補助を実施していますが、これらの区市では民間家賃にどのような影響があるのでしょうか。
この民間家賃への影響ということを述べていますが、このことについてそれぞれ見解を伺います。
○山口住宅政策本部長 民間賃貸住宅の家賃決定には、市場における需給バランスや建設費などを含め、様々な経済情勢等が影響していると考えられます。
家賃補助につきましては、国も市場家賃の上昇を招く懸念などを指摘しております。
○中村委員 国の議論の方は承知はしておりますが、直近の選挙などでも、与党を含む四党が家賃補助や住宅手当を公約にも掲げています。
ぜひ都議会でも議論をする必要があると思っています。
次に述べた財政負担の問題についてですが、東京都は家賃負担に伴う財政支出にしか目を向けていないようですが、もっと人に着目をして施策を展開すべきです。
年金額が少なくても、住まいを確保していれば、生活保護を受けなくても暮らしていける人は少なくないと思います。受給と併せて高齢者を見守れば、医療や介護などの費用削減効果も期待できます。
そして、何より住み慣れた地域の住宅で安心して暮らすことができれば、その人にとっても幸せで、少なくとも不安の種が一つなくなります。
住まいを失っているホームレスの方、ネットカフェ難民の方の対策も住まいを確保することから始まります。
住まいの確保は最もベーシックな生活保障です。それを財政負担の問題があるからと放置する理由にはなりません。見解を伺います。
○山口住宅政策本部長 住まいに関わる生活保障としては、国の制度として生活保護制度に基づく住宅扶助があるほか、生活困窮者自立支援法に基づく支援等も行われております。
都の住宅政策におきましては、都営住宅の活用のほか、民間賃貸住宅を活用した重層的な住宅セーフティーネット機能の強化を図っております。
○中村委員 住宅確保給付金なども、コロナ禍での特例を一部恒久化するなど社会保障政策としての取組が進められています。家賃補助の必要性を考えるものです。
次に、理由になっていた生活保護との関係です。
この生活保護制度との関係が何を意味するのかはっきり分かりませんが、そんなに住宅に困窮しているなら、住宅扶助を受けたらというご指摘なのでしょうか。
収入以外の要件を満たしていても、収入分位二五%以下の人たちの全てが生活保護を受けられているわけではありません。また、生活保護を受けている人が家賃補助の支援を受けると、収入認定されて生活扶助が減らされてしまうということなのでしょうか。
私たちは住宅扶助を受けている方への上乗せ補助を求めているわけではありません。むしろ、住宅扶助額を超える家賃の住宅に住んでいたからといって、家賃の安い住宅への転居を求めるものでもありません。
生活保護制度との関係についてはどういった課題があると認識しているのか見解を伺います。
○山口住宅政策本部長 先ほど答弁しましたとおり、生活保障としては、国の生活保護制度による住宅扶助等が措置されており、その対象以外の世帯への家賃補助につきまして、生活保護と異なる政策的な必要性があるのか、幅広い都民にとって公平な制度となるのかなど、大きな課題があると考えております。
○中村委員 家賃補助は住宅に困窮する低所得者だけではなく、代表質問で提案した多子世帯や働く意欲のある中高年世帯などに対しても積極的に取り組んでいくべきです。
できない理由を探すよりはできる方法を考えろというのが、小池知事の知事就任時の都職員に対する訓示でした。
改めて、必要とする全ての人への家賃補助制度を求めますが、知事の見解を伺います。
○小池知事 都民の居住の安定を確保するということは重要でございまして、都営住宅の積極的な活用に加えて、民間賃貸住宅を活用し、重層的な住宅セーフティーネット機能の強化を図ってまいります。
家賃補助制度につきましては、先ほどから本部長が答弁いたしておるとおりでございまして、多くの課題があると、このように認識をいたしております。
○中村委員 ぜひこの点、思考停止にならないで、課題をどう乗り越えるのかを考えていただきたいというふうに思っています。
住宅セーフティーネット策が進まない中、家賃補助制度の検討を改めて求めるものです。よろしくお願いいたします。
さて、少し質問順番を変えさせていただきたいと思っていますが、平和の事業について先に伺いたいというふうに思っています。
立憲民主党は、令和五年第一回定例会の西沢幹事長の代表質問で、東京大空襲の体験者による証言映像の公開を求めました。それを受けて、都は三月十日の平和の日に合わせて、二月二十八日から池袋の芸術劇場、調布市、三鷹市の三か所で空襲資料展が開催され、私も会場を訪れ拝見しました。
貴重な証言であり、これをもっと広く公開すべきであり、そもそも展示する場所だった東京都平和祈念館を早期に設立すべきと繰り返し述べてきました。
既に構想から長い時間も経過したことから、平和祈念館の整備について、知事から新たな提案をすることを求めます。
今回の証言映像はようやく公開されたものの、都内三か所、しかも三月十四日までです。
そこで、公開を認める証言者の数をさらに増やすよう取り組むとともに、常設の公開の機会を設けたり、教育等で活用が可能にする必要があると考えますが、見解を伺います。
○横山生活文化スポーツ局長 証言映像につきましては、百二十二名の方の同意を得まして、今回の東京空襲資料展において公開をしております。
証言映像の当事者の意向確認でございますが、引き続き行ってまいります。また、平和の日の記念行事企画検討委員会の意見もお聞きをしながら、資料のより広い活用方法の検討を進めてまいります。
○中村委員 本人の意向の確認ということが、なかなか書類の方を送っていろいろと書くのが大変だったりするということもありますので、ぜひできれば、これ職員の方に訪問していただいて、早期に確認していただきたいというふうに思っています。
また、本当これ、来年までまた見れなくなっちゃいますから、どこかで見れるような機会をつくるべきだと思いますし、平和の日のための企画検討委員会ということですから、この委員会そのものが年に一回しか開かれないので、もう少しスピードを上げてやっていただければというふうに思っています。
さて、平和についてなんですが、改めて私たち立憲民主党も、昨年、広島市の平和教育への取組を視察しましたが、広島では小学生の頃から平和についてしっかりと学んでいるという状況を伺いました。むしろ、広島の方はそれが当たり前だと思っていて、東京に来ると、平和への取組の不十分さに驚かれるようです。
私も学生の頃から中国残留孤児問題に取り組んできましたが、私が学生の頃は、肉親調査とか涙の対面とか、そういった報道を耳にして多くの人がこの問題を認識していたのと違って、最近の学生に聞くと、こういう問題そのものも知らない人も多くなってきています。要は時間の経過というのが戦争の記憶を風化させてしまいます。何もしなければ、ただ風化するのを見送るだけで、平和に対する務めを果たしていないといわざるを得ません。
三月十日に平和の日の式典を開催されましたが、私も参列いたしましたが、それにとどまらず、全ての都民がいつでも平和についての理解を深めることができるよう取組を拡大すべきですが、知事の見解を伺います。
○小池知事 戦争の記憶を風化させることなく、次の世代に語り継ぎ、平和の大切さを伝えていくことは重要でございます。
そのため、今回新たに同意を得た方の証言映像を都民の方々にご覧いただけますように、資料展で公開をしているところでございます。
○中村委員 ぜひ平和への取組、平和の日だけではないわけですから、さらなる取組の拡充をお願いしたいと思っております。
さて、次に、災害廃棄物の問題について質問させていただきます。
能登でも地震がありました。いろいろ災害の問題というのがあると思っています。昨年秋に、都の災害廃棄物処理計画が改定されました。その後一月一日に能登半島の地震が発生したことを踏まえて、首都直下地震が発生した場合に、都の計画どおりに進むのか議論を行いたいと思います。
能登半島地震では、この地域での七年分の廃棄物の量として、揺れによる家屋などの倒壊、火災による延焼、液状化、そして津波による水害で多くの災害廃棄物が発生をしました。
一方、首都直下地震後の廃棄物処理を行う、清掃の現場で働く方々との意見交換をしたのですが、想像もつかないんだという話がありました。首都直下型地震においても、地震と風水害など複合災害が起こる可能性があります。複合災害における廃棄物対応は計画に反映されているのか伺います。
○栗岡環境局長 昨年九月に改定した災害廃棄物処理計画では、従来の震災を中心とした災害廃棄物の処理に加え、新たに風水害への対策強化も盛り込みました。地震と水害について、処理の進捗に応じた取組事項を具体的に示しているほか、土砂災害、竜巻等についても発生する災害廃棄物の特徴や留意点を示してございます。
複合災害の発生時におきましても、本計画に基づき、区市町村とも連携しながら、災害廃棄物の円滑な処理に取り組んでまいります。
○中村委員 首都直下型地震が発生した場合、自治体が直営で廃棄物処理を行っている都市が減っており、災害時に支援できる他都市の支援部隊が少ないことから、一定期間、首都圏では自力での廃棄物処理対応が求められるのではないかといわれています。
都内市区町村の廃棄物処理でも民間委託が進み、労働者派遣などによる民間企業によって日々の廃棄物処理が担われていると聞きます。
災害発生時に廃棄物処理をいかに推進させる体制を構築するかについて、都はどう検討し、また、市区町村と連携し、計画を進めているのか伺います。
○栗岡環境局長 災害廃棄物処理計画では、発災時に初動期からスムーズな対応を図れるよう、平時から区市町村と一部事務組合、通常委託している事業者も含めた合同処理本部を設置し、災害廃棄物の受入れ条件等を整理しておくことを提案してございます。加えて、都と業界団体で締結している協定に基づきまして、平時から区市町村と事業者が具体的な調整を図れるよう都がコーディネートしてまいります。
こうした取組によりまして、区市町村と連携しながら災害廃棄物の処理が着実に進む体制を構築してまいります。
○中村委員 能登半島での地震の発生後に、一般家庭では、家で所有する軽トラックにごみを載せて、集積所にごみを運搬して処理が進められているようです。
一方、東京では、個々の家庭でそうした運搬手段を持たないため、自治体や業者が回収せざるを得ない状況にあります。そして、都内では、災害廃棄物を集積させる仮置場が十分でないともいわれています。
市区町村が仮置場を選定しますが、都立公園の提供も進める必要があります。災害廃棄物の仮置場選定への都の協力状況について伺います。
○中島東京都技監 都立公園では、仮置場の確保や設置等を行う区市が単独で廃棄物を処理し切れないなど、必要な場合に区市の要請に応じまして、災害廃棄物の仮置場を各公園の震災時利用計画に位置づけております。
計画に位置づける際には、都立公園が避難場所や救出救助活動の拠点、応急仮設住宅予定地など、他の用途に利用されることも踏まえまして、区市と協議の上、仮置場の候補地を定めることとしております。
○中村委員 先ほどの質問の中で、清掃現場で働く方々の発言、想像もつかないということを引用しましたが、東京はどのくらいの廃棄物の量なのか、関東大震災のときから現在では建物の構造が変わり、マンションも多くなっている、燃えても残る瓦礫が多数発生すると復興に時間がかかるのではないかとの発言もありました。
代表質問から災害への事前の備えを強化するなど議論を行ってまいりましたが、能登半島地震の発生、復旧の取組を踏まえた首都直下地震の想定も必要だと思います。首都直下地震の発生を見据え、どのように取り組むのか、知事の見解を伺います。
○小池知事 いつ起きてもおかしくない首都直下地震などの災害の脅威から、都民の生命と財産を守り抜いていかなければなりません。
このため、TOKYO強靱化プロジェクトにつきまして、ハードとソフトの両面から対策の強化を図りまして、昨年末にアップグレードしたところでございます。さらに、今般の能登半島地震を踏まえまして、その取組を加速しております。
今後も東京の強靱化に向けました取組を着実に進めて、安全・安心を確保してまいります。
○中村委員 次に、コロナの検証についての課題について伺います。
知事は、二月二十日の施政方針で、東京モデルをはじめ、新型コロナとの闘いで培った数々の知識や経験を結集し、感染症への備えを次のステージへ進めますと述べました。しかし、その内容は今年度内に改定する感染症予防計画に集約され、その他、コロナ禍の様々な課題については触れていませんでした。
新型コロナ対策では、政府や地方自治体の準備不足が多くの真面目な日本国民、都民の協力や犠牲で補われ、海外のような蔓延や医療の大規模な機能不全を起こすことなく乗り切ったのではないでしょうか。
しかし、これを奇貨として、コロナ禍の三年余りで浮かんだ課題を直視する検証がないままにしてはなりません。私たちは十一月十七日、知事宛てに提出をした立憲東京ビジョンで、コロナ検証、未来への伝言。次なる感染症の脅威に万全の備えをという項目を掲げています。
グローバリゼーションなどにより、感染症危機のリスクは増えることはあっても減ることはないといわれています。都のコロナ対策の検証をすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
○野間総務局長 都はこれまで、都民や事業者の皆様にもご協力をいただきながら、新型コロナ対策に取り組み、そこで得られた知見や経験を次の対策に生かし、東京モデルを確立させ、幾度も感染の波を乗り越えてまいりました。
今後も専門家の助言を踏まえつつ、国や関係機関と緊密に連携し、新たな感染症に備えてまいります。
○中村委員 コロナは本当に分からないことも多かったので、これしっかり検証して、やったことがよかったか悪かったかということを検証する必要があるんだと思っています。これは本当に今の世代というよりも、次の世代の人たちに対して、私たち今生きる人たちの責任だと思っていますので、本当に在宅で命を失うとか、そういった方もいたと、本当に大変な状況だったと思いますので、改めて今からでも、私は検証していただきたいというふうに思っています。
さて、次の課題に移ります。
全国に先駆けて、知事が飲食店などに対して、感染拡大防止協力金の支給に踏み出したことは評価したいと思っています。ただ、課題があったことも事実で、検証した上で今後の対策に生かすべきです。営業自粛要請の是非というのも検討されるべき課題だと思いますが、今後、万が一、未知なる感染症が蔓延し、営業自粛要請が迫られた場合、どのようなスキームで協力金を支給するのか、議論を深めてほしいと思います。
都では、延べ十九回にわたって感染拡大防止協力金を支給してきた中で、申請手続の簡略化や早期支給を行うなどの支給方法の見直しを行ってきました。一方では、感染拡大防止協力金を不正に受給した事業者がいることも事実です。
そこで、現在の感染拡大防止協力金の不正受給の件数及び金額について伺います。また、今後コロナとの闘いで培った知識や経験をどのように生かしていくのか、併せて伺います。
○坂本産業労働局長 都は、感染拡大防止協力金の支給の決定を受けた申請者が、偽りその他不正な手段により協力金の支給を受けようとした事例が判明した場合、支給決定の取消しを行ってまいりました。
この一月末時点で、都が不正受給と判断して支給決定を取り消した件数は三百六件、金額は三億七千九百二十五万九千円でございます。
今後とも、中小企業の支援を適切に行ってまいります。
○中村委員 本当に大きな金額です。真面目に守った人たちからは本当に怒りの声も出ていますので、適切な対応をお願いしたいと思っています。
また、この不正受給ということでいえば、国の地方創生臨時交付金によるPCRの無料検査事業でもひどい不正がありました。
都は昨年六月、十一事業者に対して百八十三億円の補助金不交付決定を行い、うち十七億円について返済を命じていますが、その後の状況、不正受給は全額回収できているのか、不正受給の経験をどのように生かしていくのか、見解を伺います。
○雲田保健医療局長 都は、補助金の返還を命じた後、期限までに納付がなかった事業者に対して繰り返し催告を行うなど、債権回収の手続を進めております。
また、補助金の不正受給が疑われる場合には、現地調査等を行い、交付決定の取消し等の措置を講じており、今後とも厳正に対処してまいります。
○中村委員 数字等、細かい数字が出されなかったのは残念なことなんですけれども、しっかりと対応の方をしていただきたいというふうに思っています。昨年三月七日の予算特別委員会でも保健所機能の強化について質問しました。知事も施政方針の中で、新型コロナの対応の核となるのは保健所であるとの認識を示していました。
私も感染症対策で核となるのは保健所であると考えていますが、今年一月二十六日に公表された都保健所の体制、機能の強化については、コロナ禍における様々な課題をしっかりと検証した上で示されたものであると認識してよいのか伺いたいと思います。
○雲田保健医療局長 都が設置いたしました都保健所のあり方検討会では、今回の新型コロナ対応を踏まえた議論を通じ、公衆衛生の学識経験者や市町村代表等の委員の方々から、都保健所と市町村等との連携強化などが重要とのご意見をいただきました。
本年一月に公表いたしました都保健所の体制、機能の強化については、このあり方検討会や市町村の意見等を踏まえ、都として取りまとめたものでございます。
○中村委員 やはりコロナのとき、いろいろと分からないこともあったとは思うんですが、保健所と市町村との連携等、課題はあったと思います。今度新しい組織もつくって連携強化していくということだと思うんですが、改めてこういったことをしっかり検証して、次に生かしていただければというふうに思っています。
さて、保健所体制の強化については、もちろん業務の効率化、DXは欠かせませんが、やはり最後は、人、専門的な能力を備えた人材をいかに確保していくかというのは大きな課題です。初動体制で遅れが出ないようにするには、震災時のように現場からの応援要請を待つのではなく、あらかじめ都庁からの支援体制を決めておく、人員計画をつくっていく必要があることは昨年申し上げました。
また、保健師、医師、看護師等の確保に向けては、人材バンク制度、IHEATの積極的活用をはじめ、ふだんは別の業務を行っている保健師などが平時より感染症の知識を身につけておくことも必要です。
新興感染症発生時の専門人材の確保について、見解を伺います。
○雲田保健医療局長 都は、今年度末に改定いたします感染症予防計画におきまして、新興感染症発生時に想定される保健所の人員確保数を数値目標として新たに設定し、応援職員の派遣や外部人材の活用など、人員確保に向けた調整を保健所設置区市と共に平時から行うこととしております。
また、都保健所では、予防計画を踏まえて策定いたします健康危機対処計画に基づき、地域の医療関係者を含めた感染症対応研修を実施するなど、人材の確保、育成を図っていくこととしております。
○中村委員 保健所については、コロナ禍で保健所の管轄区域が大き過ぎて、基礎的自治体との連携が極めて不十分だったとの強い思いもあります。多摩地域の二次医療圏について、都が複数の保健所を設置することについてなぜ見送ったのか、何ら考慮されなかったのか、基礎的自治体との連携強化をどう進めるのか伺います。
○雲田保健医療局長 都保健所は、二次保健医療圏における広域的、専門的、技術的拠点として、地域の感染症対策の重要な役割を担っております。
来年度から、多摩地域の都保健所に新設する市町村連携課に、市町村ごとの専任の担当職員を配置し、日常的に市町村等と意見交換を行うなど、市町村との顔の見える関係を強化することとしております。
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