2024/03/15 公営企業委員会で下水道の震災対策等を質問しました
2024年3月15日、公営企業委員会が開かれ下水道局の来年度予算案について質問しました。震災対策、トイレ対策、エネルギー、豪雨対策、技術の継承等について質問しました。質問と答弁の概要は以下の通りです。
○来年度予算と経営計画2021について
Q1 経営計画2021は、2025年度末までの5年間で折り返しを迎える。来年度予算にどのように反映されているのか伺う。どこに力点を置いたのか。
A1
・「経営計画2021」の4年目となる令和6年度予算は、計画に掲げた目標の達成に向けて、厳しい経営環境においても、老朽化施設の再構築や浸水対策、震災対策、エネルギー・地球温暖化対策など、主要施策を着実に推進していくために必要な事業費を確保することなどを基本方針として編成
Q2 流域下水道の三鷹市東部処理区の編入についての来年度予算の施策別建設事業費要求が0円であった。計画にも掲載された事業で外部監査でも指摘されている。検討のための予算もないのは問題ではないか。
A2
・三鷹市の東部処理区の編入については、編入に係る施設計画の検討や関係機関との調整
・関係市との調整においては、事業費や各市の負担割合、工期等が主な課題
・引き続き、これらの課題を含め、関係市と丁寧に調整を行っており、建設事業費は計上していない
Q3 市町村への支援の強化が必要。補助金の来年度の金額を最近5年間の金額の変化とともに伺う。
A3
・令和元年度から令和4年度までの予算は事務費を除き約2億円から約3億円で推移
・今年度からは従来の補助に加え、市町村の強靭化に資する公共下水道の浸水、地震対策に対して、市町村負担分の2分の1を補助する制度を開始しており、合計で約22億円を予算計上
・来年度については、合計で25億円を予算計上
Q4 都心に大型マンションやビルが建つ。下水道管の容量は足りるのか。増強する場合に費用負担を求められるか。
A4
・公共下水道は、各地域において排水できる量を定めている
・建物等の建築や増改築等によって大量の排水が生じる場合、大量排水者事務処理要領に基づき、事前協議を実施
・建築主等に対して、排水調整槽設置や、放流時間帯の調整等をお願い
Q5 コンパクトシティや人口減少も言われている。人口動態にあわせた計画の変更はあるのか。
A5
・下水道の整備は、概ね10年ごとに改定される「多摩川・荒川等流域別下水道整備総合計画」に基づき、推進
・将来人口の推計や開発動向等を踏まえ、計画下水量等を順次見直し
○環境・エネルギーについて
Q6 ペロブスカイト発電の実験を視察した。これまでの取組と今後の展開はどうか?
A6
・環境局、開発企業とペロブスカイト太陽電池の共同研究を実施
・国内の下水道施設で初めて、森ヶ崎水再生センターの水処理施設の覆蓋上部に設置
・屋外環境下における発電効率の測定や耐腐食性能等を検証
Q7 森ヶ崎水再生センターで消化ガス発電事業が始まる。内容と事業規模、効果はどうか。
A7
・森ヶ崎水再生センターにおける新たな消化ガス発電事業は、下水汚泥から発生した消化ガスを燃料として年間で約3,200万キロワットアワーを発電
・温室効果ガス排出量の削減効果としては、年間で二酸化炭素約10,000トンに相当
○災害対策について
Q8 能登半島地震への支援の内容は。そこで得られた経験を都にどう生かすか。
A8
・石川県からの要請などに基づき、主に輪島市の下水道施設復旧のための支援を実施
・若手職員も被災地に派遣しており、その経験を都内で発災した際の対応に活かしていく
Q9 能登では下水道が大きな被害を受けてトイレの使用に時間がかかり大きな問題になった。地震の備えはどうなっているか。耐震化をしていても何mも道路が隆起して下水道管も被害を受けたようだが対策は十分か。
A9
・震災時の下水道機能や、緊急輸送道路などの交通機能を確保するため、対象施設を重点化して下水道管の耐震化等を実施
・今後、今回の能登半島地震における被害状況などの検証結果を踏まえ、震災対策の充実に繋げていく
Q10 耐震化の完了の目標はどうなっているか。現時点でどの程度進んでいるか。
A10
・避難所や一時滞在施設など、経営計画2021で定めた中長期目標5,900か所を対象
・4,786か所で対策が完了
Q11 事務事業質疑でもトイレの問題を質問した。対策が急務であり、都は今後トイレ計画をつくるというが下水道局としてはどう取り組むか。
A11
・震災時の仮設トイレ等の確保は区の役割
・下水道局は、仮設トイレを設置できるマンホールは、区の要望に基づき指定
Q12 マンホールトイレが設置できるマンホールはいま23区にどのくらいあるのか。増やす必要があるが見解を伺う。
A12
・23区内における仮設トイレを設置できるマンホールとして指定した数は、令和4年度末で、7,134か所
・仮設トイレを設置できるマンホールの指定は、区の要望に基づき対応している
○浸水対策について
Q13 東京都豪雨対策基本方針の改定により、水害対策の目標が区部全域で1時間あたり85mmになり、10mm増えた。今後、下水道局では、どのように対応するか何う。
A13
・令和5年12月に改定された東京都豪雨対策基本方針では、区部の内水はん濫を防ぐ目標として、時間75ミリ降雨の下水道整備に時間10ミリ降雨相当の流域対策を組み合わせて対応することとしている
・このうち下水道整備は、早期に内水氾濫による被害を軽減するため、内水氾濫リスクが高い67地区を重点化し、幹線や貯留施設などを整備
◎技術の継承について
Q14 少子化の影響で各分野で人材不足が言われる。局として課題をどのように認識しているか。
A14
・下水道事業を将来にわたって安定的に運営していくためには、担い手となる人材の確保と育成が重要
・東京都職員の採用は全庁統一的に行われている
・この枠組みのなかで、学生を対象としたインターンシップや採用試験に向けた相談会を実施
・下水道事業の重要性ややりがいをアピールするなど、下水道局として工夫を凝らして下水道事業を担う人材を確保していく
Q15 技術継承を含め人材育成には時間がかかる。計画的な取り組みが必要だが見解を伺う。
A15
・人材育成方針に基づき、計画的かつ継続的な人材育成に取り組んでいる
・具体的には、業務の習熟度について、定期的な意見交換により、担当職務の早期習得を図っている
・技術継承を専任とする職員が各事務所を巡回し、個別相談するなど、きめ細やかなサポートを実施
・下水道技術実習センターにおいて、実際の工事現場や水再生センターの施設などを再現した実習施設を活用し、実践的な研修を実施
Q16 一般的にはグループ経営を進めるというと、本体は経営層だけを残してスリム化し、子会社に専門家を集める傾向がある。しかし、待遇が下がるので人が集まらなくなる。東京下水道グループとして人材確保をする必要があるが見解を伺う。
A16
・安定的に業務を行っていくためには、下水道局に加えて、政策連携団体である東京都下水道サービス株式会社 TGSにおいても、専門知識を有する技術系社員の確保が必要
・TGSにおいては、年間を通じた採用活動や応募要件の緩和など、固有社員の確保に向けた取り組みを進めている。
・適性ある社員を早期に管理・監督職に登用できるような制度改正や給与制度の改正など、社員の定着に向けた取り組みを推進
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