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都議会質問記録

【20】2010/10/29 島嶼振興、監理団体改革について質問

2010年(平成22年)10月29日、東京都議会 平成21年度各会計決算特別委員会 第1分科会において局別審査(選挙管理委員会、人事委員会事務局、総務局)に関する質疑を行いました。以下に質問と答弁を掲載します。

◆選挙管理委員会事務局への質疑

〇中村委員 それでは、投票率の向上に向けての取り組みについて質問します。昨年行われた都議会議員選挙における世代別の投票率を見ると、20代前半の投票率が30%でした。この数字は、最も高い投票率を示す60代後半の約75%に比べ、その半分にも満たない数字です。しかも、他の世代と比較しても最も低い数字となっています。人口が減少傾向にある若年層において、その世代の投票率が低いということは、若い人たちの意見がますます政治に反映されにくいことになってしまいます。こうした状況が今後も続くとなれば、東京の将来にとって、ひいては日本の将来にとってもゆゆしき問題となってしまいます。昨年度の決算でも、8ページ目に若年層啓発事業が載っていますが、その執行率を見ると82.3%と低いといえます。そこでまず、都選管の取り組みに問題ないのか、この執行率が低い理由について伺います。

〇宮川選挙管理委員会事務局長 中村副委員長のご質問にお答え申し上げます。決算数値に見ます若年層啓発事業の不用額につきましては、ただいまのご指摘にもありますように、予算額の2割近くになっております。が、そのほとんどが契約差金によるものでございます。例えば都内の中学三年生向けにつくりました選挙学習用冊子の版下の作成や印刷、あるいは東京都明るい選挙ポスターコンクール参加記念品の作製などにおきまして、入札の結果それぞれ百万円を超える差金が生じております。平成21年度に計画しておりました事業につきましては、経費の節減に努めつつ、すべて滞りなく実施をしたところでございます。

〇中村委員 執行率が低い理由についてはわかりました。事業そのものには影響していないということですが、それでは、具体的にどのような取り組みを行ったのか、その主な事業についての説明をお願いします。

〇宮川選挙管理委員会事務局長 若年層に対する啓発事業では、初めて選挙権を得る新成人と将来有権者となる児童生徒に力点を置いて、各種の取り組みを実施したところでございます。その主なところをご紹介させていただきますと、まず新成人には、一人一人が東京の未来を考えようという趣旨の冊子を作成いたしまして、都内で行われました成人式の参加者に区市町村の選管を通じて配布をいたしました。次に、都内在住在学の児童や生徒を対象に明るい選挙ポスターコンクールを実施いたしまして、このコンクールの入選作品などを展示する展示会を区部と市部において開催するとともに、「ゆりかもめ」と多摩都市モノレールを使いまして、列車内に作品を展示するギャラリー列車を仕立てて運行をいたしました。また、選挙に関する知識と興味を深めてもらうため、選挙学習用冊子を都内の中学三年生全員を対象に12万部つくり、配布をいたしました。さらに、啓発用のオリジナル附せん紙をつくり、啓発事業のイベント会場等で来場者全員に配布をしております。

〇中村委員 21年度の事業を実施してみて、何か改善すべき点や課題はなかったのでしょうか。例えば中学生、高校生を対象とする事業であれば、東京都教育委員会との連携も重要であると考えますが、あわせて伺います。

〇宮川選挙管理委員会事務局長 平成21年度の事業を振り返ってみますと、まず、中学三年生を対象に配布いたしました選挙学習用の冊子につきましては、その内容や挿絵をもう少しレベルを上げても十分理解してもらえたのではないかと。また、絵や文字の大きさを工夫して、もっと見やすくできたのではないかといった反省がございました。加えまして、ポスターコンクールにおける高校生の応募割合が低いということ、ギャラリー列車も、区部において、特に北部地域が手薄であることなどが見直しの課題となりました。お尋ねの東京都教育委員会との連携につきましては、中村副委員長のおっしゃるように、私どもも重要であると認識をしております。これまでも選挙学習用冊子の学校の授業での積極的な活用や、ポスターコンクールに対する後援をお願いすることなどを通じまして、関係を深めてきております。例えば選挙学習用冊子が授業で使用されている学校の割合が、平成21年度のアンケート調査によりますと、前年度を9.3ポイント上回る56.7%となっておりまして、これも連携の成果と受けとめております。

〇中村委員 それでは、それらの改善すべき点や課題について、今年度の事業の実施においてはどのように生かされているのか、伺います。

〇宮川選挙管理委員会事務局長 まず、選挙学習用の冊子につきましては、挿入する絵、使用する文字などを、デザイナーなど専門家のアドバイスを得ながら、中学三年生が手にとり、読みやすい工夫を加えますとともに、内容も充実させる方向で冊子全体を見直し、改訂版を作成、配布をいたしました。次に、ポスターコンクールにつきましては、高校生の応募意欲がわくよう、募集チラシのデザインについて、高校生の目にもかなう美術的要素を加味し、応募要領もよりわかりやすい記載に改めて配布をしたところでございます。その結果、今年度のポスターコンクールでございますが、9月10日に募集を締め切りまして、応募総数が1万7,621点、これは前年度に比べて1,200点近い増加となりました。ただ、そのうち高校生の応募はまだまだ少のうございます。そうはいっても497点が寄せられまして、これも、過去最高でございました昨年の418点を2割上回る増加となっております。なお、ギャラリー列車の区部北部におけます運行につきましては、新たに都電荒川線に二両仕立てまして、3月下旬に、都知事選挙のPRも兼ねる形で実施をする予定でございます。

〇中村委員 来春は統一地方選挙、とりわけ都知事選挙も控えております。将来の東京都がこれからも住みよい魅力的な都市であり続けるためにも、若い人たちの投票率を上げることが重要であると考えます。最後に、この点について東京都選挙管理委員会としての取り組みを伺って、私の質問を終わりにします。

〇宮川選挙管理委員会事務局長 啓発事業が若年層の投票率を上げる要因となるためには、多くの若者の目にとまること、そしてその感性に訴えかけるものであること、啓発イベントなどさまざまな事業に若者自身がかかわりを持つことなどが重要と考えております。来春の都知事選挙に向けたキャッチコピーが先日決まりましたが、若者のセンスにマッチした作品を選定するため、今回は選考委員を全員20代の有権者で構成をいたしました。また、若者が応募しやすいように、従来の郵便はがきやファクスに加えて、ホームページの応募専用ホームや携帯電話からの応募サイトを開設いたしました。その結果、応募総数は、これまで最高であった平成15年の都知事選のときの2倍以上の4,300件を超えた数が集まりました。これを年代別で応募者数を見ますと、最も多いのが20代でございまして、この20代も、実は前回は応募割合が全体の5%という最も低い層でございました。それが今回は20%へと大幅に増加をしたわけでございます。こうした実績も踏まえながら、今後の選挙の周知につきましても、多くの若者の目にとまるよう、若者の利用率の高いインターネットのホームページやコンビニのレジ画面、若者が多く集まる地域の街頭や駅構内、列車内のディスプレーなど、さまざまなビジュアル媒体を積極的に活用する計画でございます。今後とも、若い有権者がより多く投票所へと足を運ぶよう、区市町村選管を初め関係機関と連携をして、事業結果を検証し、改善を加えながら、効果的に啓発事業を推進していく考えでございます。

◆総務局への質疑

1.文書行政について


〇中村委員 初めに、文書事務について質問します。昨年度、知事から提案された条例は117件ありました。条例案の策定に当たっては、都独自の政策的な視点で審査することが非常に重要ですが、総務局はどうかかわっているのか伺います。

〇醍醐総務部長 総務局と条例とのかかわりでございますが、まず、個々の条例案につきましては、その具体的な内容につきまして、所管局が作成をしました案を総務局において法規的観点から審査をしているところでございます。その際、政策法務的な視点に立つことが重要であると認識をしておるところでございます。このことを踏まえまして、総務局におきましては、平成19年度に政策法務に関する相談支援を行う組織を拡充いたしまして、個々の条例の制定、改正に当たり、総務局として、施策の実効性を確保するための仕組みづくりなど、法的な課題整理のための指導、助言を各局に対し行っておるところでございます。

〇中村委員 昨今、自治体における政策法務能力の強化が叫ばれていますが、都も、その能力が発揮された独自条例の制定を進めていくべきと考えます。もちろん条例の制定を決定するのは議会ですが、提出権は議会と知事にあります。しかし、予算提出権は知事にしかないので、予算の裏づけと一体となった条例を知事は制定できます。都の重要な施策について、行政計画があるので十分だとして条例化しない場合がありますが、条例には都民への周知の効果もありますし、首長や行政の責務なども定めるなど、計画ではできない意義があります。政策法務の組織も拡充されたことですので、今後積極的な取り組みをお願いします。ところで、都は、規制条例のみならず、いわゆる給付条例と位置づけられる施策も数多く展開しています。こうした都民への給付を伴う施策については、現在、各局において要綱を根拠にしている例が多いようです。こうした施策にあっても条例を根拠にすべきとの考え方もあるようですが、見解を伺います。

〇醍醐総務部長 まず、住民に義務を課したり権利を制限する場合、そういった場合と異なりまして給付を伴う施策につきましては、地方自治法上の解釈によりますと、法律で定められている場合を除き、必ずしも条例を根拠とする必要はないとされております。したがいまして、給付を伴う個々の施策を条例または規則、また、先生ご指摘の要綱など、どの立法形式により規定するかは、その事業の継続性ですとか制度の弾力的運営など、各施策の具体的な内容から個別に検討すべきものと考えておるところでございます。

〇中村委員 私の問題意識としては、給付などの場合は、条例であれば、都民の代表である議会が議論し、また、そのことを通じて都民が意見を出し、都民への周知が図れるということがあると思います。また、要綱の場合だと、例規集といった条例、規則のデータベースにも掲載されず、現在、積極的に都民に公開されていないこともあります。要綱の内容をあらかじめ公開しておけば、都民は申請を検討する際の判断の目安にもなり、制度に関する単純な問い合わせや無用なトラブルも減ると思います。要綱の公開についての認識をお伺いします。

〇醍醐総務部長 要綱に基づく施策につきましては、これは当然のことではございますが、各局におきまして、利用者に対する制度内容の幅広い周知に努めているところでございます。根拠となる要綱の公開につきましては、その手法も含め各局の判断にゆだねているところでございます。ただ、総務局といたしましては、行政手続の透明性、公平性を図る観点から、要綱の公開というのは重要であるというふうに認識をしておるところでございまして、これまでも、各局からの相談の機会などをとらえまして、公開について助言をしてきたところでございます。今後とも、庁内の連絡調整会議などを通じまして、公開につきまして関係局に働きかけていきたいと存じます。

〇中村委員 要綱を根拠としている施策をすべて条例化するのは難しいということは、理解できなくはないんですが、少なくとも制定した要綱については公表することを徹底すべきと考えます。例えば、告示形式で必ず公表するルールをつくる方法もあるということを提案して、次の質問に移りたいと思います。

2.東京都島しょ振興公社について

〇中村委員
 次に、総務局の監理団体である財団法人東京都島しょ振興公社について質問します。島しょ振興公社の基本財産は、東京都の出資が18億円余、島しょの町村が21億円余、合計40億円になっています。これは、他の監理団体と比較すると大変大きな金額です。また、平成21年度の総務局の決算では、島しょ振興公社から総務局へ貸付金5億7千万円の返還金が歳入され、総務局から島しょ振興公社への貸付金5億6千万円が歳出になっています。貸付金の残高は22億6千万円もの金額にもなっています。そこで、島しょ振興公社は、これら基本財産と貸付金をどのように事業に活用しているのか伺います。

〇高木多摩島しょ振興担当部長 島しょ振興公社の基本財産は、その運用益を公社の行います各種事業の財源とするために、都と島しょ町村が拠出したものです。しかし、金利の低迷により、基本財産の運用だけでは十分な利息収入が得られないため、それに加えまして都から毎年一定額を公社に貸し付け、その運用益を事業の財源に充てております。これら基本財産と貸付金の利息収入をもちまして、島しょ地域の特産品の展示販売や島の魅力をPRする広報宣伝事業、ヘリコミューターの運航支援など、伊豆諸島、小笠原諸島の産業、観光などの振興に資する事業に幅広く展開しております。

〇中村委員 島しょ振興公社は、島しょ地域の振興のためにさまざまな事業を行っています。離島間を結ぶヘリコミューター事業には東京都から4億2千万円の補助金が支払われています。島しょ振興公社自体には、そのほかにも2千万円の運営費補助がなされています。東京都は、監理団体であるこの公社にどのような役割を期待しているのでしょうか、伺います。

〇高木多摩島しょ振興担当部長 島しょ振興公社は、寄附行為第三条の規定にあるとおり、伊豆諸島及び小笠原諸島地域の活性化を図るため、地域の産業、観光業の振興に関する事業を行うことによりまして、島しょ地域の振興と豊かな地域社会の形成に寄与することを目的として設立されております。この公社設立目的に従い、小離島を中心とします島民の生活路線の確保に向けたヘリコミューターの運航支援や、アンテナショップ、東京愛らんどの運営など、各種事業を実施することにより、島しょ地域の振興を図る上で重要な役割を担っており、今後ともその役割を十分に果たしていくことを期待しております。

〇中村委員 島しょ振興公社の基本財産は、先ほども述べましたが、都の公益法人の中でも突出して大きな金額です。公社が自立的で健全な経営を行っているかどうかきちんとチェックをしていく必要があります。また、島しょ振興という役割を十分に果たしているかどうかの検証も重要です。そこで、島しょ振興公社の所管局として、今後、経営状況や事業内容の検証をどのように行っていくのか伺います。

〇高木多摩島しょ振興担当部長 都はこれまでも、監理団体の経営目標評価制度によりまして、島しょ振興公社の収支の状況や特産品の販売高などの項目につきまして、それぞれ目標を設定し、それらの成果について検証を行ってまいりました。現在、島しょ振興公社では、多くの他の団体と同様に公益財団法人への移行を目指しており、公益認定による社会的信用を得て、一層充実した事業展開を行えるよう取り組んでおります。今後とも、島しょ振興公社の設立趣旨を十分に踏まえ、民間的経営手法や、都と島しょ九町村の共同実施によりますスケールメリットを活用し、島しょ地域の振興と豊かな地域社会の形成にこれまで以上に寄与するよう、指導、監督を行ってまいります。

〇中村委員 都政において島しょ振興については重要な課題であり、今後もしっかりと取り組んでいただきたいと思います。その一翼を、都と島しょの町村が出資をした島しょ振興公社に担っていただいているのですが、都民の大きな資産を預けているので、その運営管理が透明で公正であることをしっかりと監督するとともに、設立目的の島しょ振興について、十分な成果が出せているかも指導していくことが大切であると思います。引き続きの取り組みをお願いして、次の質問に移ります。

.監理団体改革について

〇中村委員 次に、監理団体について何点か伺います。監理団体については、都議会民主党も常なる改革を求めてきました。そこでまず、昨年度の監理団体改革の成果について伺います。

〇土渕行政改革推進部長 監理団体は、行政支援、補完機能を発揮する都政の重要なパートナーであり、都民からの信頼を得られるよう不断の改革を行っていくことが必要であると認識しております。そのため、監理団体改革については、団体の統廃合、都の財政支出や都派遣職員数の削減、役員退職金の廃止、役員報酬の引き下げ、経営目標の達成度評価や中期経営計画の策定など、さまざまな取り組みを積極的に進めてまいりました。昨年度につきましても、これまでの改革の取り組みの上に立って、個別の課題について対応を行ってきました。具体的には、経営の透明性の向上に関して、経営情報の公開の範囲を拡充し、新たに人件費等の状況、外部監査の結果、役員として都OBを選任した場合の都退職時の職名について公表することを定め、実施しております。

〇中村委員 私自身は、都政の変化の中で都自身が行うのではなく、外部への委託などを行った方がよい事業もあるのですが、完全な民間よりも公の立場にある監理団体が担うことが適している場面もあると思っています。監理団体の存在そのものは否定しませんが、公の側面があるのですから、透明性と公平性が強く求められ、そのことが存在のための必須条件となります。そこで、二つの観点から伺いたいと思います。都の監理団体であるからには、透明性を都民に訴えていくことが必要ですが、この努力が果たして十分といえるのでしょうか。今後、監理団体の透明性をどう高めていくのか伺います。

〇土渕行政改革推進部長 都は、本年9月に東京都監理団体活用方針を作成し、都民サービス向上のため監理団体を積極的に活用していくとともに、都民への説明責任を高めるため、経営の透明性を一層向上させるなどの改革に取り組んでおります。具体的には、監理団体の締結する契約につきましては、現行の公表基準を見直し、都から特命で受託した事業等にかかわる契約については250万円以上としました。また、事業評価を充実し、都が監理団体に委託している事業について、事業効果や効率性のみならず、団体がその事業を実施する妥当性等についても精査を行っています。今後とも、監理団体が都民に一層貢献していくために、不断の改革に取り組んでまいります。

〇中村委員 確かに徐々に取り組んできてはいますが、より一層の透明性の向上への取り組みが必要です。公表基準を変えたことは前進だと思いますが、都から特命で受託した事業等にかかわる契約だけでなく、自主事業であっても情報の公開をすることを求めたいと思います。さて、先般、東京都道路整備保全公社から都に対して10億円の寄附がありましたが、今回の寄附は、昨年度の包括外部監査で、将来の使途が明確でない特定資産について指摘を受けたことがきっかけになったと考えます。まだまだ都民の目から見てわかりにくい面があります。そこで、積立金等について、他の団体には同様なことはなかったのか伺います。

〇土渕行政改革推進部長 監理団体は、これまでも、具体的な使途を定めて計画的に基金を積み立て、着実な事業実施に活用してきました。また、新たなニーズへの柔軟な対応等のために一定の余剰資産を有することも、健全な経営のためには不可欠であります。新たな公益法人制度においても、公益法人が公益目的事業を行うために必要な財産を保有することや、不測の事態等に備えるために、公益目的事業費1年分相当額まで、使途の定まっていない財産を保有することは認められています。このような観点から、包括外部監査の指摘があった時点で、すべての監理団体について基金、積立金等の調査を実施し、道路整備保全公社以外は、保有限度額を超えるおそれがないことを確認しております。

〇中村委員 今後も一層の的確な指導に努めるべきだと思います。都の監理団体は、通常の民間企業と異なり、公的な側面が強い団体です。そのため、透明性に加えて公正性が要求されます。例えば、事業を展開するには当然人材が必要ですが、そのありようについて都民に疑念を持たれないよう公正性を高めるべきです。多くの監理団体では、そのトップに都の局長級などで退職した方々が就任しています。こうした現象は、都民から見ればまさに天下りであり、都民の信頼を失うということにつながっていると考えます。そこで、なぜ監理団体の役員に都のOBが必要なのか、都の見解を伺います。

〇中嶋人事部長 監理団体は、都の事業を支援、補完する重要な機能を持っており、都政の重要なパートナーでございます。このような監理団体が事業運営を行っていくために、都政に関する知識、経験を有する都を退職した幹部職員を活用することは、各団体の適切な運営に寄与するものと考え、都はこれまでも、株主や出資者としての立場から適材を推薦してまいりました。とりわけ監理団体等の意思決定にかかわる役員につきましては、都政とのより密接な連携を保ちつつ、団体の自主性、経営責任の明確化を図るという両方の観点から、都政で重責を担った局長級や重要、困難な職責を果たした部長級の退職幹部職員を推薦しております。こうしたことから、退職した都幹部職員の監理団体における活用は、今後とも必要であると考えております。

〇中村委員 現在、中高年の雇用状況が大変厳しい中、退職金はなくても雇用が確保されて、しかもそれが単なる雇用ではなく、団体の役員という処遇が与えられれば、都民の理解を得ることはなかなか難しいかと思います。都民の不信感や疑念を招かないような取り組みをしていくべきことは、繰り返し主張します。最後に、監理団体について別の側面から質問します。監理団体は、都という公の事業を担っていただくわけですから、監理団体の事業を担う職員一人一人の意識の持ち方の面でも課題があると考えます。職員が公務員ということではないにしても、公に携わっているという意識を持ちながら、事業能力を高めていくことが重要です。そこで、監理団体の従業員の公共的意識の醸成も含めて、団体の人材育成についてどのように考えるのか伺います。

〇土渕行政改革推進部長 監理団体において、固有職員の高齢化や都派遣職員の削減などの厳しい状況が続く中、団体が引き続き良質なサービスを提供していくためには、優秀な固有職員の育成が必要と考えております。このため、各団体では、業務に関連する知識や技術を習得するための研修に取り組むとともに、人材育成方針の策定や、若手の職員を対象とした都などへの長期派遣研修など、人材の育成に力を入れております。都といたしましても、首都大学東京と連携した経営改革研修の実施など、東京都の行政を支援、補完する監理団体の職員として求められるスキルアップを図るための支援を行っております。こうした取り組みを通じて、今後とも、職員が団体の事業推進に当たって能力を遺憾なく発揮し、都民サービスの向上に貢献できるよう、引き続き必要な支援を行ってまいります。

〇中村委員 監理団体全体としての透明性、公正性、公共性の取り組み状況について伺いましたが、まだ取り組みは道半ばといわざるを得ません。繰り返しますが、都政の改革の中で、監理団体の存在そのものを否定するものではありませんが、それには、透明性と公平性と公共性が確保されて初めて都民の理解が得られ、存在し得るものですから、今後のしっかりとした指導、監督の取り組みを要望して、質問を終わります。

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