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都議会質問記録

2024/10/18 都議会決算委員会の分科会で福祉局に質問しました

2024年10月18日、都議会の令和5年度各会計決算特別委員会第2分科会に出席し、昨年度の福祉局の決算に関して質問しました。介護人材確保、高齢者施設の整備、生活困窮者対策、放課後等デイサービス、学童クラブ、児童相談所、018サポートについて質問しました。

 令和5年度の福祉局の決算について質問します。

1 介護人材確保について

 少子高齢化に伴い、各方面で人材不足が言われる中、特に介護人材不足は深刻です。超高齢社会になり、ますます介護人材への需要が高まる中、人材不足により必要な介護が受けられなくなることが懸念されます。仕事の内容が大変等のイメージもあり、若い方が福祉の仕事を選ばないなど問題は深刻です。他の産業に比べて賃金が低いことも深刻であり、待遇改善に取り組むことが重要です。

Q1 都は、介護人材不足について様々取り組んでいます。実際の介護人材不足の実態はどうなっているのか伺います。あわせて、第9期高齢者保健福祉計画では2030年に4万7千人不足すると書かれていますが、様々な施策で介護人材不足はどの程度改善されたのか伺います。 

 都も様々取り組みをしているため、令和7年度の3万1千人が、令和8年度で2万8千人と改善するとの見込みを出しています。とはえい、需要の伸びの方が供給の伸びより著しく、深刻な状況は続きます。施策の拡充を求めます。
 
 また、介護人材不足により、職員の確保ができず、仕事はあるのに居宅サービス事業所が廃止になっているとの話を聞きます。

Q2 居宅サービス事業所の廃止件数の推移と、廃止理由について伺います。

 新規の事業者も多いようですが、人のつながりが大切な仕事なので、利用者にとって不利益とならないようにしなければなりません。廃止の理由は様々あるようですが、少なくとも人員の不足で廃止になることがないよう人材の確保が必要です。昨今の物価高騰で他の産業も賃上げになる中で、政府は訪問介護の報酬を引き下げましたが、ますます廃止に拍車がかかる恐れがあるため、撤回するべきです。


2 高齢者施設の整備について

 介護人材も大切ですが、高齢者施設も重要です。介護の基本は在宅とはいえ、様々な事情から施設が必要であり、特にその需要が高まる中、計画的な整備が必要です。特に特別養護老人ホームは待機者が多く、早急に整備していく必要があります。入所の要件が要介護3以上に変わってから待機者は数字上は減ったのですが、待機している方は多くいます。

Q1 特別養護老人ホームの整備は、予算では51か所となっているのに対して決算では33か所になっています。それでも執行率は82.0%と高くなっています。昨今の建設費の高騰が考えられます。計画の整備計画と比べて目標は達成できるのでしょうか。
特別養護老人ホームの整備状況と第9期高齢者保健福祉計画の整備目標の達成に向けた取り組みについて伺います。

 整備は進めているようですが、もともと高い地価の高騰、さらには建築費の高騰により、ここから先、目標達成に向けてはかなり厳しい状況があります。都内では土地の確保も困難ですが、目標達成に向けて都のより一層の取り組みを求めます。
 さて、老人保健施設についての整備について伺います。特養の待機待ちの方が入所しているということもあるようですが、本来の心身の機能回復を図る施設として入所を希望する方も増えています。入所期間が限られていることもあり、その需要は高まっています。

Q2 整備を促進すべき介護老人保健施設ですが、決算年度の整備についての予算の執行率はわずか8.4%と低く、改善が必要です。
介護老人保健施設の整備状況と第9期高齢者保健福祉計画の整備目標の達成に向けた取り組みについて伺います。

老人保健施設だけの目標から新たな制度である介護医療院も目標数に含むようになったとのことです。それでも目標数との差が6千人弱なので、達成には相当厳しい状況だと言えます。さらなる取り組みの加速を求めます。
さて、都が施設整備で掲げる施設として、もう一つ、認知症高齢者グループホームがあります。高齢化が進むと認知症の問題も深刻になり、着実な整備が必要です。

Q3 認知症高齢者グループホームの整備状況と第9期高齢者保健福祉計画の整備目標の達成に向けた取り組みについても伺います。

 グループホームも 取り組みはしているようですが、令和12年度の目標の2万人から現状では約6割の達成という点では、厳しい状況にあります。3つの施設について質問しましたが、高齢化の進展により必要な施設ですが、都内の地価高騰と建設費の高騰でますます整備が困難になります。都が保育園の待機児童解消を最重要施策として都有地の活用を図るなど都庁全体で積極的に取り組んできたように、高齢者施策についても最重要課題として都庁をあげて取り組むことが必要です。

3 生活困窮者対策について

 昨年度、生活困窮者対策として、突然、おこめクーポン券事業を始めました。生活困窮者への支援は必要ですが、本当に当事者のニーズにあっていたのかなど、その方法や内容に疑問の声が多く出されました。単身高齢者では大量の米を食べきれないとか、弁当を買ったり配達をしてもらっているので自分で料理をしないなど、制度を活用しなかった人も多かったようです。

Q1 生活支援費の執行率が35.5%と低いのは、おこめクーポン券事業の執行率が56.6%と低く、不用額は124億円と大きかったからです。
 おこめクーポン事業の執行率が56.6%と低く、あまり必要とされていなかったのではないでしょうか。原因を伺います。

 また、サービスを受ける側だけではなく、地域経済への影響の懸念もありました。スーパーでお米を買う方もいますが、近所のなじみのお米屋さんで買う方もいます。お店からはお客さんが減ってしまったとの苦情もありました。米を配るなら、ただでさえ厳しい環境にある地域のお米屋さんを利用できるようにすべきではなかったのでしょうか、

Q2 地域のお米屋さんには無関係に随意契約で事業者を決めたことは問題があります。そのようにした理由を伺います。

 小売店からも調達すればよいとのことですが、小売店とお客さんとの日常的なお付き合いもありますので、供給さえできればよいというのでは配慮に欠けていたではないかと思います。また、お店で売るためには、商品として定められた表示をきちんとする必要がありますが、今回は無料で配布されたため商品ではなく、表示がされていませんでした。

Q3 通常お店で買えば、袋に産地や精米日が書いてあります。今回はその記載がなかったのですが、その理由を伺います。

 小さなロット番号を見て問い合わせる人がそれほど多いとは思えません。無料だから通常の商品より情報提供が少なくてよいものではありません。
 昨今、サプライズのためか、突然発表される政策が多いのですが、そうした政策には手続きに不備があったり、細かな配慮が欠けているなど、十分な準備がされていないものも多くあります。今回の制度も、生活困窮者の救済であれば、利用された方が67%というのは決して高くなく、知っていて受けなかった方だけではなく、うまく利用できなかった方もいたと思われます。今後、この事業が再び行われるとは考えにくいのですが、とりわけ生活困窮者対策については、必要な人に必要な支援が届くよう、実態の把握と丁寧な制度設計をお願いします。

4 放課後デイサービスについて

 障がいのある児童生徒の放課後の居場所としての放課後デイサービスは、株式会社の参入もあり、急速に増えています。その分、事業所の質にばらつきがあるともいわれています。都としては利用者のニーズにこたえることができる事業所を増やすため都型放課後等デイサービス事業を始めたと理解しています。

Q1 しかし、都型放課後等デイサービス事業は75か所の予算が決算はわずか23か所で執行率も18.9%と低かったといえます。要因をどう考えているか伺います。

 制度設計をするに際して、利用者のニーズに答えることは重要ですが、事業者の声を丁寧に聞くことが必要です。放課後等デイサービスの制度ができる以前から厳しい環境のもとで取り組できた事業者も多くありますので、そうした事業者の声も丁寧に聞いていただくことを求めます。
さて、利用される児童生徒の障がいの程度は幅広いのですが、重症の児童生徒を受け入れる施設が足りていないとの声も聴きます。

Q2 医療的ケアなど重たい障がいがあり、放課後等デイサービスを利用できない児童がいる一方で、事業者側では重たい障がいのある児童を受け入れると、経営が厳しくなるとも聞いています。こうした状況の中で、都はどのような対応をしたのか伺います。

 重い障がいのある子どもが利用できるようさらに取り組みをお願いします。保育園のように待機児童という数は把握されていないようですが、実態を調査し入所を希望する人がすべて入れるだけのサービスが提供できるようすることが重要である。
 さて、18歳までは放課後等デイサービスが利用できますが、その後については居場所がなく、日中は作業所に通えても夕方通えるところがなく、保護者が仕事を続けるのも大変との声もあります。

Q3 放課後等デイサービスを卒業すると青年の障がい者の居場所がありませn。都議会でも国が取り組むよう意見書を可決しました。都は包括補助で市区町村を支援していますが実績はどうでしょうか。また、実施する市区町村を増やすべきと考えますが、都の取り組みを伺います。

 15区市で設置され今後も増えてはいくようです。とはいえ、すべての自治体に設置されることが必要であり、より一層の取り組みを求めます。
 この事業は18歳で線が引かれてしまいますが、生涯を通してサービスがつながっていることが望まれます。成人してからの居場所、さらには「親なき後」を心配する方も多く高齢化に向けての施設の整備など、生涯を見通してサービスの隙間ができないよう求めます。

5 学童クラブについて

 長らく、都政の最大の課題の一つとして保育園の待機児童問題がありましたが、都も重点的に取り組み、解消に向かいつつあります。しかし、保育園から小学校に入り、今度は学童クラブに入れない待機児童の問題があります。

Q1 東京都の学童クラブの待機児童数は、令和5年5月1日時点で3,524人となっています。令和5年度の待機児童解消についての取り組みはどうだったのでしょうか、目標と実績を伺います。

 登録児童数の増加を目指し増えていることもわかりました。しかし、保育園同様、入れない児童は「待機」として把握し、その解消に取り組むことが必要です。本来であれば6年生まで入れるのですが、とてもそこまで入れる状況にはなっていないのが現状です。

Q2 学童クラブは、人材不足も課題です。学童クラブの支援員になるための認定研修の受講資格はいくつがありますが、その1つが保育士の資格です。しかし、保育所の処遇が手厚いため、人材が保育所に流れています。学童クラブの待遇の改善も必要と考えますが見解を伺います。

 保育園も学童保育もどちらも重要な施設です。学童保育の人材不足が深刻になる中で、待遇改善が求められます。学童クラブの「待機児童」解消のために人材不足で増やせないということがないよう、人材の確保に努めるよう求めます。

6 児童相談所について

 深刻な問題である児童虐待に対応する児童相談所の体制強化は重要です。ずっと求めてきて改善はされてはいるようですが、増え続ける虐待件数に追いついていません。

Q1 都の児童相談所の児童福祉司の配置が国の基準を満たしていないと聞きますが、昨年度と今年度の状況を伺います。また、この状況を踏まえて、都として人材を確保するための対策を図っていくべきと考えますが見解を伺います。

 専門性のある人材の確保は困難で時間がかかるとは思います。ただ、長年人材不足は言われてきましたし、今後も虐待の深刻化の状況は続くと考えると、計画的な人材の育成が求められます。現場の職員が多くの案件を抱えて疲弊しているとの声も聴きますので、早期の改善を求めます。
 さて、増え続ける虐待件数に対して、子どもを預かる一時保護所が足りていません。先日、八王子児童相談所の一時保護所を視察させていただきましたが、多くの子どもがいる状況を目の当たりにして、早期の改善の必要性を強く感じました。幸い八王子は建て替えるとのことなので受け入れ枠の拡大を求めます。

Q2 一時保護所の受入れ枠が不足しており、民間事業者も活用して定員を拡充すると聞いています。現在の一時保護所の定員や、さらなる確保に向けた取り組みについて伺います。

 

 虐待やさまざまな事情で家庭にいられない子どもが、都の施設に来たら狭いところに押し込められたということがないようにしなければなりません。早期の改善を求めます。
 一時保護所がいっぱいなのは、家庭に戻るのは本来ですが、家庭に戻せない場合の行き先が足りないとの声も聞きます。

Q3 虐待通告が増加し、一時保護所の定員が超過している状況においては、代替養育が必要な児童を、児童養護施設等が確実に受け入れていく必要があります。
特に、手厚い支援が必要な児童を受け入れるなど、都立児童養護施設の役割は重要であると考えるが、昨年度の入所状況と、入所の受け入れのための体制強化の取組について伺う。

 定員を満たしていても一杯までいれられない事業も理解しますし、現場は大変だと思います。そうであれば、定員そのものを増やすしかありません。さまざまな事情で家庭に戻れない子どもたちが安心して過ごせる場所を確保するようさらなる取り組みを求めます。

7 018サポート

 0歳から18歳までの子どもに月5千円、年1万2千円配布する「018サポート」が行われます。当初は東京都と地方との塾代の差が根拠とされていました。この施策は突然発表されたため、もう少し丁寧に制度設計を進めればよかったと思います。住民票の情報は市区町村が持っているため、都が直接給付をするという事業には慣れておらず、ミスも発生しました。

Q1 令和5年度に支給した給付金について過支給があったとのことですが、状況を伺います。
 
 いまだに調査中というのは時間がかかりすぎます。やはり、都としてこうした制度を運用することには課題があります。国の制度である児童手当も実際に住民に届けるのは市区町村です。今回、児童手当の所得制限が撤廃されれば、なおさら、制度として共通する部分も多く、都が独自に事務費をかけて行うよりも市区町村が児童手当を配布する際に同時に行うことも考えられます。

Q2 018サポートの事務費の決算額について伺います。あわせて、区市町村が児童手当と一体的に実施した方が効率的だと考えますが、児童手当と合わせて実施できないのか見解を伺います。

 制度が違うので配り方も違うということですが、膨大な事務費を考えても、制度の整合性をとって同時に行う方が事務費も安くなり、ミスも減り、申請する側も一度で済みます。都として華々しく政策を打ち出し、それを住民に都が行ったことを示したいのでしょうが、そのために手続きを煩雑にする必要はありません。
 さまざまな都の施策がありますが、都民のためになるような制度設計を関係者の方からも丁寧に話を聞き、よりよい制度として進めることをあらためて求めて質問を終わります。

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