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都議会質問記録

2024/10/21 決算委員会で保健医療局に質問しました

2024年10月21日、都議会の令和5年度各会計決算特別委員会第2分科会に出席し、昨年度の保健医療局の決算に関して質問しました。新型コロナ対策と保健所、看護人材確保、がん対策、帯状疱疹ワクチン、都立病院の経営について質問しました。質問文は以下の通りです。

令和5年度の保健医療局の決算について質問します。

1 新型コロナ対策と保健所について

 新型コロナは振り返ってみれば、まさか医療が発達したこの時代に、世界中で猛威を振るい、命への危機が高まり、社会経済が大きく停滞することになるとは、予想すらしませんでした。当初オリンピックを開くはずだった2020年に感染が拡大し、3年もの長い月日を経て、決算年度の2023年5月にようやく2類から5類になり、まだ感染はあるものの、一定の区切りを迎えました。

Q1 昨年5月にコロナが2類になりましたが、決算年度ではコロナ対策に相当の予算が計上されましたが、執行率が低い事業も多くみられます。例えば、「医療提供体制の確保」は執行率が62.5%と低く、不用額は220億円と巨額です。主な原因は何でしょうか、伺います。

年度で見ると、この決算年度は、おおよそ4月の1か月のみがコロナ期間で、5月からの11か月はいわゆる「コロナ後」となります。予算を組んでいた段階はまだコロナ期間でしたから、予算を組んでも病院が対応しなかったことが背景にあってようです。
ただ、コロナ期間の3年間を見通せば、さらに膨大な予算が計上されました。私は、決算の視点からも検証する必要があると思います。振り返ってみると、知事の「ロックダウン」発言や、パチンコなど特定の産業に批判を集中させたことなど混乱したこともありました。ただ、未知の感染症で分からなかったことも多かったので仕方がない面もあったとは思います。だからこそ、決算だけでなく、施策全般をしっかりと検証する必要があります。都として様々な取り組みをしたことを記載するだけではなく、なぜそうした判断にいたり結果はどうだったのかを含めて、後世の人たちの命を守るため、今の世代の責任として、是非とも検証し、記録を残すことが重要です。すでに時間が経過し始めていますが、何度も知事には繰り返し述べてもコロナ対策について、決して「検証する」という言葉を使いませんが、あらためて、この決算の場でもコロナ対策を検証するよう強く求めます。

 さて、コロナ対策の課題の一つに、多摩地域の保健所の統廃合の影響があります。これは様々ある三多摩格差の一つであり、かねてから問題視していただけに、コロナで影響が出てしまったのが悔やまれます。23区では保健所が区に一つずつあり、多摩地域では、人口規模の大きい、八王子市、町田市を除き、東京都の保健所が管轄しています。過去、構造改革として大幅に統廃合され、その規模の大きさ、裏を返せば、地域との距離が懸念される中で、コロナが直撃しました。23区では最前線でコロナの対応をしたのは、区長のもとにある保健所であり、都が実際に担当したのは多摩島嶼でした。私の地元の三鷹市を管轄する多摩府中保健所は、6市100万人を超える人口を管轄し、区で最大の世田谷区の人口を超え、都内最大の人口を担当する保健所です。保健所の方々も一生懸命コロナ対策に取り組んでいただきましたが、6市とやり取りするため、必ずしも十分に連携できなかった部分がありました。

Q2 多摩地域では都の保健所が統廃合されましたが、コロナ対応が十分できたのか伺います。

 23区では、コロナの対応を区長のもとに保健所があり、区として総力をあげて取り組めました。多摩島嶼の大部分では都の保健所が担当するため、縦割りになってしまい、市町村との連携が必ずしもうまくいっていたとは言えませんでした。当初から組織の壁を越えて連携して取り組めればよかったのですが、市町村には自らの住民のコロナの感染状況について都から情報が来ず、医療が逼迫し在宅療養にならざるを得なくなった際に、ようやく市町村から食料を届けるとの申し出があり、ようやく情報も市町村に出されました。これは都と市町村との連携の一つですが、こうしたことも1つの保健所が管轄する自治体の数や人口規模が小さければ、もっとスムーズに連携できたと考えられます。 
 都は、保健所を統廃合した際に、規模を大きくすることで専門性を持てるとの説明でしたが、23区で最も人口が少ない千代田区は人口が6万7千人ですが、一つの保健所があります。また、二次医療圏には1か所との原則を述べますが、23区では1つの二次医療圏内に複数の区があるため、複数の保健所が存在していることになります。

Q3 23区は1か所ずつ保健所がありますが、都は規模による専門性を高めることと、二次医療圏に1か所あればよいという説明をします。23区ではどちらも違っています。多摩地域での保健所を再配置すべきですが見解を伺います。

 体制や機能を強化することはしていただきたいと思いますが、抜本的に改善するには再配置が必要と考えます。今後もコロナだけではなく未知なる感染症が現れる可能性もあります。また、精神保健医療など感染症以外の分野でも、地域が広く都の対応が薄くなったとの声も聴かれます。先ほど、「検証」と言いましたが、保健所についてもしっかりと検証すべきということをあらためて要望します。

2 看護職員の確保について

少子高齢化が進展する中、多くの分野での人材不足が言われますが、看護師についても不足が言われる。コロナ化での激務の中で深刻さが増しています。都としても看護人材不足に対応していただいていますが、決算上の数値を見ると、十分取り組まれたのか疑問になる事業もあります。施策の中で、看護職員再就業支援事業が38.5%と執行率が大変低くなっています。

Q1 看護職員再就業支援事業について、昨年度の就業・定着奨励金の支給実績を伺います。

看護師の資格を持った方に再び働いていただくために、再就業支援は重要です。より制度が活用され再就業が促進されることを求めます。
さまざま事業がある中で、執行率の低かった事業について質問しましたが、看護師不足への対応は今後も重要です。資格を持った方の再就業だけではなく、そもそも新規に看護師になる方を養成することが重要です。また、人の命に向き合う大変なお仕事でもあり激務でもありますから、定着していただくためにも、それに見合った待遇を改善しなければなりません。

Q2 看護師不足を指摘する声は多くあります。都として、看護職員の確保対策にどのように取り組むのか伺います。

さまざま取り組まれていことはわかりましたが、今後、ますます少子高齢化の進展により、生産年齢人口の減少により人材確保が困難になります。都民の命と健康を守るためにも、看護職員の確保は大変重要な施策です。とりわけ、大変なお仕事ですからそれに見合うだけの待遇改善が重要です。今後も、より一層の取り組みをされることを求めます。


3 がん対策について

5大疾病であり、死亡原因のトップであるがんへの対策は重要です。早期に発見されれば治る病気とも言われていますが、多くの方ががんで亡くなっているため、より一層の対応が必要です。患者さんにとっても、治療に際しては、生活のためにも仕事を続けながら行う場合も多くあります。治療のため仕事を失ってしまうと、その後の生活に不安が残ります。がんに対する施策は様々ありますが、治療と仕事の両立について取り組んでいることは重要です。しかし、

Q1 がん患者の治療と仕事の両立支援事業について、執行率が29.2%と低くなっています。その主な要因を伺います。あわせて、今年度の取り組み内容も伺います。

 執行率の低かった原因を答弁いただきましたが、両立支援は重要であり、今後より一層の取り組みを求めます。
 さて、いくつか事業がある中で、もう一つ、執行率が低かったのは緩和ケア推進事業です。がんに対する支援はさまざまな場面がありますが、緩和ケアも重要です。終末期を迎える時だけではなく、治療に際しても痛みを和らげ、精神的な安寧をもたらすことは重要です。しかし、

Q2 緩和ケア推進事業についても、執行率が27.8%と低くなっていますが、その主な要因を伺います。あわせて、今年度の取り組み状況を伺います。

 中小病院に緩和ケアに取り組んでいただくことは重要ですが、看護師不足不足もあり取り組みが十分ではなかったようです。すでに今年度で改善を行っているようですが、ますますの注力をお願いします。
 今回、がん対策について、決算ということで執行率の低かった事業について質問しましたが、がん対策は重要であり、今後さらなる施策の拡充を求めます。そのためにも、東京都で「がん対策条例」を作ることで、施策の強化を図ることができると考えます。そのため、民主党時代に都議会で議員立法として提案しましたが、残念ながら賛成少数で可決には至りませんでした。都のがん対策をさらに拡充するために、都としてがん対策条例を制定することを求めます。

4 帯状疱疹ワクチンについて

 昨今、帯状疱疹について広報もされ、大変な痛みを伴うこともあり、都民の認識も高まっています。多くの方にとって罹患する可能性があります。しかし、高齢者の病気という印象もあり、若い方の関心は低いとも言えます。ストレスなどの原因により若い方も罹患する可能性はありますが、知識がないと放置しておいてかなり痛みが広がってから気づく場合もあります。

Q1 帯状疱疹は若い人でも発病するため、早期の診断を広報すべきですが、都の対応を伺います。

 早く分かればそれほど痛みもなく薬を飲めばそれほど重症化することなく治る病気です。しかし、そういう病気があることを知らないと放置して重症化してしまいます。知ってさえすればよいので、是非とも広報をお願いします。
 さて、高齢者については若い方より発症率が高いのでワクチンで予防することが重要です。昨年度から接種促進に向けて新規事業を始めたとのことです。

Q2 帯状疱疹ワクチンの任意接種補助事業について、令和5年度から実施していますが、接種状況について伺います。

 かなり多くの方が接種をされたとのことです。予想を上回っての状況で、高齢者の関心は高いと言えます。毎年接種が必要ではないようなので、今年度の接種状況がどうなるかは見通せないようですが、今年度の状況をよく分析し、接種を希望する方が接種できるだけの予算を確保する必要があれば、今後予算の拡充をしていただきたいと思います。

5 都立病院の経営について

 都立病院は2022年7月に独立行政法人化しました。そのため、決算年度の2023年度が年間を通じての決算という点では初めてとなります。都の直営ではなくなったので、機構として決算の公表を行うことになりました。独立行政法人化するに際して、懸念として言われていたのが、独立採算になると採算重視になり、民間ではできない困難事例、いわゆる行政的医療が従来通り行われるかとの課題がありました。また、職員の待遇面で、医師については改善が図られる反面、それ以外の看護師や職員については待遇が悪化しないかの懸念もありました。導入する際に議論されたメリット、デメリットを、実際に実行されたのであらためて検証する必要があります。

Q1 都立病院が独立行政法人化しましたが、その成果と課題について伺います。

 コロナ禍のため、コロナ患者に注力した結果、それ以外の患者が減少したとのことです。通常の状況ではないと言えますが、だからこそ、コロナ禍という異常な時期に予定通り独法化すべきだったかは慎重に判断すべきであったと思います。

Q2 都立病院は183億円の赤字となりましたが、原因は何だったのでしょうか。赤字はどのように埋めるのでしょうか。改善策はどうなっているのか伺います。

 コロナ禍の影響により、都立病院だけではなく、民間病院も赤字の病院が多くあるとは報じられています。そのことは、必要な医療が受けられず、医療控えになっていないのか、状況を見極める必要があります。独法化したはいえ、都政の重要な医療を担っていますので、簡単に採算重視というわけにはもちろんいきません。都として民間が行わない行政的医療については引き続き財政的な支援を行うことが必要です。独法化については、今後もしっかり検証し、必要であれば改善し、何より都民にとって必要な医療を提供することを求めて質問を終わります。

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