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都議会質問記録

2024/10/23 決算委員会で生活文化スポーツ局に質問しました

2024年10月3日、都議会の令和5年度各会計決算特別委員会第2分科会に出席し、昨年度の生活文化スポーツ局の決算に関して質問しました。町会への支援、ボランティアの育成、平和施策、防犯カメラ、交通安全対策、私学助成、スポーツ振興について質問しました。


令和5年度の生活文化スポーツ局の決算について質問します。

1 公益法人について

多様化する社会において様々な市民のニーズに応える担い手として行政だけではなく、むしろ、行政とは異なる視点で取り組む主体として公益法人が期待されています。欧米では公益法人は事業規模が大きく雇用創出も行っているようです。それを支えるのは市民の寄付であり、寄付文化の醸成は重要です。しかし、この国では、ふるさと納税という問題の多い制度が寄付文化を歪めています。本来の目的と違い、批判されています。寄付により税制優遇を受けるのであれば、ふるさと納税ではなく、公益社団法人や認定NPO法人の寄付が望ましいと考えます。寄付文化の醸成のための普及啓発、認定NPO法人の活動を活発化させる両面が必要となります。

Q1 認定NPO法人の数の推移と、これらの法人に関する都民への情報提供の取り組みについて伺います。

 NPO法人は制度ができたときには期待もされましたが、認定をとるためのハードルが高く、微増ではありますが、都内でもわずか307法人となっています。寄付文化の醸成に悪影響を与えるふるさと納税は廃止するよう国に求めるとともに、公益法人の意義や役割を広報し、寄付文化の醸成が図られるよう求めます。

2 地域力向上について

 都は、地域力向上について、都はつながり創成財団を設立しました。以前は多文化共生に取り組む組織として東京都国際交流委員会があったのですが、あまりにも組織として規模が小さく、より注力するよう求めてきたいので、規模を拡大して財団をつくるという際には喜びました。その際、その財団が、地域力向上にも取り組むとして、両方担うことになったのは正直驚きました。とはいえ、国際交流にとっても地域は大切なので、良い形で両方の取り組みが融合することを期待したいと思います。しかし、決算年度においては財団への助成への執行率が低く懸念されます。

Q1 つながり創成財団への助成は69.3%とそれほど高くないのですが原因を伺います。

 執行率が低い理由をお答えいただきましたが、都が期待した事業ができていなかったのかと懸念したのですが、そうではないようです。とはえい、財団ができてまだ間もないとはいえ、多文化共生や地域力向上といった事業においてその存在感を表すほどの印象はまだないので、今後の活躍に期待します。
 さて、地域という点では、中心となる町会自治会などの地域組織が高齢化により弱まってきました。さらに、都市部においては新たな住民の流入もあり、より問題は深刻化しています。地域のつながりを強めようとしていたにも関わらず、さらにコロナ禍が人のつながりを断ち切り、その再生が求められます。都は以前から地域振興に取り組んでいます。

Q2 地域の底力発展事業助成は702件とありますが、見込みと比べてどうだったのか伺います。

 一昨年度より増加したとのことで、コロナ禍から少しずつ回復しているようです。内容を伺うと、これまで行ってきたお祭りへに助成を活用するか、比較的新たな人を呼び込みやすい防災に活用するところが多いようです。それぞれ工夫しているようですが、こうした制度をうまく活用できない町会もあるようです。昨年度は関東大震災100年を機に町会への支援が行われました。

Q3 関東大震災100年 町会・自治会防災力強化助成の実績はどうだったのでしょうか。助成率が10分の10で30万円まで全額助成するにも関わらず、そもそも活動できない自治会は手を上げられなかったとも聞きますが見解を伺います。

 全額助成ということもあり、多くの自治体が手を挙げることはできたようです。とはいえ、単年度の事業ですから、購入しただけで終わらないよう、今後訓練などで使われ、地域のつながりの強化につながるよう促していただきたいと思います。
 ところが、問題は募集の際の記載に、「助成条件として、町会・自治会からのメッセージ等を記載した、町会の防災対策や加入促進に係るチラシの掲示板への掲示を必ず実施してください。」とあったことです。チラシのデザインは3つのパターンから選ぶのですが、どれも小池知事の顔写真が入っています。知事は行政のトップなのでメッセージ性はありますが、一方では選挙で選ばれた政治家でもありますので、こうしたことには慎重でなければならないと思います。都自らが行う広報やチラシに知事を掲載することはありますし、それは否定しません。ただ、今回は、助成を受ける条件として自分の顔写真を載せたチラシを、町会の人の労力を使って貼りださせるのですから、制度として問題があります。

Q4 30万円の補助の条件として知事のチラシを貼るとのことでしたが、補助の条件として掲示を求めるのは妥当ではないと考えますが、見解を伺います。

 助成を受ける際にチラシを貼らないという選択肢がないこと、選ぶ中に知事の顔が入っていないという選択肢がないことが問題です。助成を受けたいので従わざるを得ない状況を作るのは制度として問題です。この制度は今回限りだと思いますが、都の他の助成制度においてもこのようなことがないよう強く求めます。
 さて、都が町会自治会を支援することは必要ですが、より身近な市区町村の方がその実情が分かり、より実態に合った支援ができると考えます。もちろん、財政的には圧倒的に都が大きいので、市区町村が町会自治会を支援する事業を行えるよう都が支援する方がよいのではないでしょうか。実際に、すでに独自で町会自治会へ支援を行う市区町村もあるので、両方の支援を同時に使えないので年度ごとに使い分けをしたりし、縦割りになっていることは否めません。

Q5 町会支援は市区町村の役割でもあり、多くの自治体が取り組んでいます。都は市区町村の取り組みを補助する取り組みが良いと考えますが見解を伺います。

都も市区町村も地域に対して注力することは必要ですので、整理することで縮小はしてほしくはありません。ただ、町会自治会も苦労していますので、行政の立場から都も市区町村も支援すればよいということではなく、町会自治会の立場から活動が活性化しやすい制度ができる体制を構築していただきたいと思います。都ですべての町会自治会の活動を現地で見てそれぞれの課題を熟知することは現実劇には不可能ですから、地元のことを近くで見てよく知る市区町村が活動しやすいような制度になるよう求めます。

3 ボランティアの育成について

 冒頭で寄付文化の醸成について述べましたが、財政的な支援だけではなく、直接的に社会に参加するボランティアの育成について質問します。都は、オリンピックの際に、そこに参加したボランティアの方々の今後の展開に期待していました。少子高齢化の中、多様な地域のニーズに応えるためにもボランティアは重要ですし、一方では、ボランティアの受け手だけではなく行う人自身の活躍の場や居場所を作ることにもなり重要です。よく二枚目の名刺、と言われますが、働く職場だけの名刺だけではなく、もう一つの活動の場を作ることで、複数の視点から本業そのものにも新たな視点を加えることになり、また、複数の居場所があることは精神的な安定につながるという側面もあります。

Q1 東京2020大会後に、都が開設した東京ボランティアレガシーネットワークの概要と令和5年度末の登録者数について伺います。

 多くの方が登録していることはよいことです。ただ、オリンピックという国際イベントは少し特殊なところがあり、社会に貢献するという献身的な姿勢もありますが、ボランティアとして参加していることに意義を見出すという側面があります。つまり、都がいうように、オリンピックにボランティアで参加したから、他の地域のボランティアにも容易に参加するということにはならないということです。きっかけとしてはよいのですが、より一層の取り組みが必要です。

Q2 東京2020大会を経験したボランティアは、スポーツ大会以外にも、様々なボランティアの分野で活躍を広げていただきたいと考えますが、都の見解を伺います。

 様々取り組んでいただいていることはわかりました。登録者数や取り組みはわかるのですが、実績はわからないようです。どのくらいの方が参加し、課題なども分かれば次の施策に活かせると思います。おそらく、今後、世界陸上やデフリンピックなどには同種のものとしてご参加いただけると思いますが、本当に人を求めている地域にボランティアの力が活かされるよう、地域福祉との連携を強めていただきたいと思います。このことは、元気な高齢者、アクティブシニアの活躍の場や居場所を作ることにもつながります。成熟した社会にとっては重要な課題ですので、より一層の取り組みを求めます。

4 平和施策について

 生活文化スポーツ局の事業に文化振興がありますが、その中に平和への取り組みがあり、大変重要だと思っています。とはいえ、3月10日の東京大空襲のあった平和の日に関連する事業のみの担当ということではあります。かねてから主張し続けていますが、都の平和に関する事業は福祉局や政策企画局など細かく分かれているので、首都東京として平和を掲げる部門を設置することが重要です。これは引き続き求めたいと思いますが、とはいえ、ここ数年、平和祈念館設立が凍結されて以来、同時に凍結されてきた空襲被害者の貴重な映像の公開について進められていることは評価します。平和を守ることは簡単ではなく、不断の努力が必要です。戦争の悲惨さを伝えることが平和を守ることにつながります。

Q1 空襲被害者の映像が初めて公開されました。あらためて実績を伺います。

 私も映像を拝見しましたが、やはり当事者が語る話は真に迫るものがあります。ロシアのウクライナ進行、ガザ地区での紛争など、世界各地で不安な動きがある中で、やはり戦争はあってはならず、経験者の体験はそれを止めるための大きな力になります。それだけに、せっかく記録してあるものはより多くの方に見てもらえるよう、さらなる取り組みをすることが重要ですが、現状では、臨時の場所で限られた時間に公開が限られています。

Q2 他の場所でも、また、常設で公開すべきです。早期に公開する必要がありますが取り組みを伺います。

 これまでは年に1回だった検討委員会も数を増やすようなので、できるだけ早くの取り組みをお願いします。特に、子どもたちに見ていただき、平和について学ぶ機会をつくっていただくよう求めます。戦後79年が経過し直接体験する方も亡くなられることが多くなるため、記録したものの公開も必要ですが、高齢化した体験者からさらに聞き取り、記録していくことも重要です。そのためにも凍結されている平和祈念館の建設を進めることが必要です。知事は、議会の合意が必要という付帯決議を理由に話を進めないのですが、知事から議会の合意が得られる提案をし、議会が認めればよいと考えます。あらためて、平和祈念館の建設を進めるよう求めます。

5 防犯カメラの設置について

 以前は、防犯カメラはプライバシーの侵害になると言われたこともありましたが、昨今は、犯罪防止のためその設置を求める声が強くなっています。もちろんプライバシー保護の取り扱いは重要なので、データの管理をしっかり行うことは重要ですが、設置に向けての支援はさらに必要になります。都では、防犯カメラの設置について、市区町村を通じて補助を行っていますが、町会・自治会等の設置に対する補助と商店街の設置に対する補助があります。

Q1 まず、令和5年度の町会・自治会等、商店街それぞれの実績を伺います。より設置を求める声がありますが、制度の拡充について伺います。

 多くの町会自治会、商店街の設置が進められているようですが、まだまだニーズはあるようなので支援の拡充を求めます。一方、設置だけではなく、その後の電気代などの維持管理費が大変だったり、何か事件があれば警察からデータの提供と求められその対応に時間がかかったりと、設置をしてもその後の負担が重いとの声も聴かれます。

Q2 防犯カメラの設置の費用もかかりますが、設置後の維持管理費も継続的に経費がかかります。維持管理費用に対する補助の実績を伺います。

 設置後の補助も行っていただいているとのことです。設置後の負担が重くないと分かれば設置も進みます。引き続きよろしくお願います。
 さて、昨今では社会情勢の変化で、駅前は栄えていても、地域にある商店街の店舗が減り、厳しい状況にあるところが増えてきました。商店会が加盟店の減少により、残ったお店の負担が重くなります。

Q3 商店会がなくなると防犯カメラも撤去されてしまうのではないでしょうか。自治体で引き受けられないでしょうか、見解を伺います。

 行政がやみくもにカメラを設置して監視社会になることは慎重であるべきです。だからこそ町会自治会や商店街が自らのまちを自ら守るために設置しており、自治体の設置は子どもを守るために通学路に設置するなど限定的です。とはいえ商店会がなくなると、街路灯もなくなり町が暗くなります。治安の悪化が懸念されるため、せっかくこれまであった防犯カメラを残すことはあってよいと思います。町会自治会も高齢化して大変なので引き受けられない場合もありますので、自治体が引き受けることも選択肢の一つとして検討願います。

6 交通安全対策について

 令和5年7月に改正道路交通法が施行され、電動キックボードを含む特定小型原動機付自転車については、新しい区分として規定されました。
 警察庁の発表によると、この規定の施行後1年間に全国で219件の事故が発生しており、その7割超が東京都での発生とのことです。

Q1 令和5年度の電動キックボード等の交通安全対策について課題認識と実績を伺います。

 自転車の安全を強化している中で、電動キックボードの規制緩和は驚きを持って受け止められています。技術の進歩により新たな交通機関が生まれることは悪いことではないのですが、単に規制緩和ではなく、きちんと安全な運行が図られるようにすべきだったと思います。とはいえ、すでに走り回っていて危ないとの声も多くなってきましたので、交通安全対策の強化を求めます。
 電動キックボードも問題ですが、やはり事故の件数で圧倒的に多いのは自転車です。自転車の安全対策にも取り組んでいただいていますが、乗る方の安全を守るためヘルメットの着用が必要です。特に高齢者の方が自転車で転倒すると致命傷になりかねないため、その着用が求められます。

Q2 令和5年4月1日に改正道路交通法が施行され、都は6月より、市区町村が行うヘルメットの購入助成を開始しました。その経緯と実績を伺います。

着用は努力義務ですが、あまり普及しているとは言えないため、都でも支援を始めたということです。急だったので当初予算ではなく予算の流用で行われたようですが、予想を上回るニーズがあったようです。今後も、助成だけではなく普及啓発にも取り組んでいただき、安全の確保をお願いします。

7 私立学校について

 私学助成については保護者からの求めも強く、年々拡充しています。立憲民主党としても学校教育の無償化を求めてきたので、私立高校の実質無償化の実現は評価します。とはいえ、せっかく予算を計上したのですから、それが各家庭や学校に支援として届くことが必要です。
 
Q1 私立中学校等特別奨学金補助は中学生に10万円を配るものとして注目されましたが、執行率45.7%と低く、不用額も21億円と大きくなりました。これだけ注目された事業でなぜそのようになったのか原因と見解を伺います。

 せっかくの制度なので執行率が低かったことは驚きました。すでに今年度では私立中学生に対する10万円の給付を所得制限なしに拡充していますが、こちらは各家庭にしっかり届くようお願いします。
 さて私学助成は金額も大きく、執行率も高いのですが、この10万円ともう一つ低かったのが、安全対策促進事業費補助です。子どもたちの安全のための校舎の耐震化など重要な項目もあると思います。

Q2 私立学校安全対策促進事業費補助の執行率が66.3%と低かったのですが、学校の安全は重要な事業です。原因を伺います。

 耐震化については額が大きいので時期がずれると執行率が低くなってしまうようです。とはいえ子どもの安全は重要なので、引き続き学校のニーズをくみ取り、早期に取り組んでいただくようお願いします。
 私学助成については教育への注力という点で重要です。今回は決算ということで執行率の低かった2つの事業について質問しましたが、引き続き、拡充に向けて取り組んでいくよう求めます。

8 スポーツ振興について

 オリンピックに際しては、従来の施設を使ったものもありましたが、新たに都立の施設整備も行われました。当初からその収支が注目されていました。

Q1 東京2020大会に向けて都が新たに整備した5施設の収支について、都が負担する指定管理料が大会前の見込みと比べてどうなっているのか伺います。

 当初の見通しからは改善されたとのことでした。公立のスポーツ施設については誰もが利用できることが重要であり、どこまで採算を追及するかは様々な考え方があります。多くの方に利用されスポーツ振興を図りつつも、適切な運用を図る必要があります。

Q2 収支を改善するため、今後どのように取り組んでいくのか伺います。

 スポーツ以外にも様々な利用をしているようです。常なる改善をお願いします。さて、来年はデフリンピックも行われ、都としても支援をしていくことが重要です。その際に、国際手話人材の確保が重要です。

Q3 デフリンピックに向けて、「国際手話人材の普及促進事業」が計上されましたが、実績を伺います。

都は議会により手話言語条例を制定しその普及に取り組でいますが、その機運を国際大会にもつなげていただきたいと思います。
デフリンピック、世界陸上と大きな大会がありますが、大会そのものの成功も重要ですが、それを機に多くの方がスポーツに親しみ、障がいの有無に関わらず参加ができるよう取り組み、健康で充実した生活ができるよう求めて質問を終わります。

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