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都議会質問記録

2024/10/25 決算委員会で教育庁に質問しました

2024年10月25日、都議会の令和5年度各会計決算特別委員会第2分科会に出席し、昨年度の教育庁の決算に関して質問しました。不登校対策、教員の人材不足、部活動の地域移行、スクールカウンセラーの大量雇い止め問題、学校へのエアコンの設置について質問しました。

令和5年度の教育庁の決算について質問します。

1 不登校対策について

東京都の不登校の児童生徒は10年連続増加し、約2万7千人とのことです。対応が急がれます。東京都教育委員会は、不登校対策を行っており、昨日も、困難を抱える生徒のために「チャレンジサポートプラン」を策定し発表されました。様々な子どもたちに多様な学びを提供するためにも、引き続き取り組みが必要です。

Q1 不登校・中途退学対策は重要な課題ですが執行率41.6%と低くなっています。その理由を伺います。

効率的な執行により、支援員を配置した学校数としては計画通りとのことでした。配置の日数や時間は様々あるようですから、配置した後、どのような相談があり、支援員の勤務日時や人数が適切か検討していただきたいと思います。子どもたちの側からいつでも駆け込めるような体制をとっておくことが大切なので、必要であればさらなる配置も検討願います。

さて、不登校の原因にはいろいろあり、友達や先生との人間関係、学習のつまづきなどもありますが、いじめも大きな原因になっています。

Q2 不登校の原因の一つのいじめについても、いじめ総合対策推進事業の執行率が23.0%と低くなっています。その理由を伺います。

いじめの解決のため、専門性を有する人材を配置するのはよいのですが、配置したのはわずか4校とのことでした。都内に数多く学校がある中で、これではほんの一部への対応にしか過ぎません。いじめについても、かつてのような直接的な暴力だけではなく、SNSによる見えないところでのいじめなど複雑化していますので、子どものSOSを敏感に感じ取り、寄り添っていける対応が必要です。もちろん、専門性のある人材だけではなく、担任の先生の対応能力向上がまず必要なので、研修など含めて対応の強化をお願います。

さて、不登校の原因は様々で、その状況が続くと、学齢期を超えて引きこもりの一つの要因にもつながり長期化してしまう恐れもあります。なかなか見えにくい部分もある中、その原因を調査し対策することが必要です。

Q3 不登校の実態が分かりにくい中、決算年度もフリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業に予算が3億円つきました。研究の結果について伺います。

調査としては大きな予算もかかりましたが、フリースクールに通う子どもの実態を調べられたとのことです。すでに今年度には、子供政策連携室がフリースクールに通う子供への支援等の施策を行っていますが、調査結果を活かし、他局とも連携しての対応を求めます。

さて、小中学校で不登校の経験があったり高校を中退した子どもが学びなおしをする学校として都はチャレンジスクールを設置しています。先日、会派として都立世田谷泉高校を視察させていただきました。学校の受け入れ体制、生徒の学ぶ様子を拝見いたしました。本来であれば不登校にならないようにすることが大事だということが前提ですが、不登校になった子どものためのチャレンジスクールへのニーズが増えているため入れない子どももいると聞きます。

Q4 チャレンジスクールの倍率が高いということですが入試の倍率を伺います。

かなり高い倍率になっているので、希望しても入れない子がたくさんいるということです。もちろん、ここに入れなくてもどこにも行けないわけではなく夜間定時制などの二次募集などの受け皿もあるようです。とはいえ、せっかく学び直したいと決意した子どもが、そこでもつまずいてしまえば、その意欲がそがれかねません。できるだけ希望に沿うような体制の整備が必要です。

Q5 チャレンジスクールの定員を増やす必要がありますが見解を伺います。

昨日発表になったチャレンジサポートプランでは、定員枠の拡大が発表されました。先の定例会で可決した都立立川緑高校の新設や規模拡大によって定員増が図られますが、増え続けるニーズに対応することが重要です。引き続きチャレンジスクールの定員の拡充を求めます。とはいえ、夜間定時制に行きたいという子どももいるので、そのニーズにも対応する必要があります。プランの中で、突然、夜間定時制を6校も募集停止にしたのは拙速だと思います。子どもには様々な居場所があるので、効率だけでは図れないものがあります。すでにプランは発表されましたが、あらためて慎重な対応を求めます。

さて、不登校など、さまざまな困難を抱え、つまづいても、いつでもやり直せる、学び直しができるようにすることが重要です。

Q6 不登校の生徒について高校中退後も学びの支援をする必要があると考えますが、取り組みを伺います。

学び直したいと思った時にいつでも学び直せることが大切です。本来は生涯教育として、一生涯いつでも学び直せることが大切ですが、せめて、18歳までの子どもたちには手厚い支援が必要です。高校は義務教育ではないのですが、高校を中退して支援が途切れないよう、つながっていることが必要です。子どもが来れば受け入れる体制はあるようですが、高校からもアプローチできる体制があることが望ましいと思います。

さて、都立の高校だけではなく、市区町村立の小中学校段階でのつまづきへの対応についても、都が支援する必要があります。早い段階でやり直せれば立ち直りも早くなります。

Q7 市区町村に設置されている学びの多様化学校の実績を伺います。さらに設置を拡大する必要があると考えますが、見解を伺います。

市区町村に5校設置されているとのことです。不登校の子ども通いやすいように、支援教室の設置が多くされるようですが、いじめなどが原因で不登校になった場合には同じ学校には行けないという子どももいます。様々な状況に対する受け皿が必要です。市区町村立なので原則としてその自治体の子どもに限られてしまうことから、今後も設置を希望する市区町村があれば、積極的に支援することを求めます。

不登校の子どもへの対応として様々質問しましたが、原因は多様ですし、求められる居場所の種類もさまざまです。一度つまづいてもいつでもやり直せる社会になるべく、特に人生の早い段階でつまづいた子どもたちが早く立ち直れるよう、不登校対策のより一層の取り組みを求めます。

2 教員の人材不足について

少子高齢化により介護、保育など人材不足が言われますが、教育現場における人材不足も深刻です。教員試験への倍率の低下は質の低下も懸念されますが、それ以上に、現実に必要な定数を満たさない状況になり、子どもたちへの教育に影響が出ないよう、人材確保が急務です。

Q1 教員不足が言われますが、都内公立小学校における決算年度当初と三学期当初の教員の不足状況を伺います。

随時補充はしているとのことでしたが、残念ながら多くの欠員があったようです。都が定める教員の定数を確保し子どもたちに教育を提供することは教育委員会の最も基本的な務めです。本来であれば正規職員で定数を満たすべきですが、この状況に対応するため臨時的任用で対応したようです。

Q2 年度当初に教員が定員を満たしていなかったのですが、臨時的任用教員の確保に向け、どのように対応したのか都教育委員会の取り組みを伺います。

臨時的任用教員を確保するのも大変だと思いますが、これは教育委員会の仕事なので、必要な人員が不足して学校現場で苦労しないようにすることが重要です。不足分を補うため他の先生の負担が重くならないようにすることは当然ですが、不足を埋めるための確保の労力を学校にかけさせないようにすべきです。とりわけ、長らく言われているのが、産休や育休の代替教員の確保です。

Q3 産休育休の代替教員の確保が大変で副校長の多忙の原因の一つになっています。昨年度は新規事業として10億円計上されましたが、実績を伺います。

年度途中での確保が難しくなる代替教員確保のため、臨時的任用教員を前倒しで任用する制度のようです。実績として確保できたのはよかったと思いますが、それでも確保しやすくなったというだけで、実際の確保の作業は学校、とりわけ副校長の役割になっています。副校長の多忙化が問題になる中で、この産休育休代替要員の確保が原因の一つとしてあげられ、毎年副校長会から負担軽減を求める要望が出されています。

Q4 産休育休の代替教員の確保は、本来、教員の人事権を持つ都教委が行うべきだと考えますが、見解を伺います。

支援システムを導入したことは負担軽減にはなりますが、学校が行うという前提に立っていることが私の認識とは全く違います。人事権は都教育委員会が持っているのですから、自らの職責が果たすべきです。それを果たすことができず、負担を現場の学校に負わせるべきではありません。負担軽減を図るのではなく、誰がその任務を行うべきかという原則に立ち返って、見直すことを求めます。

さて、都が定める定数を満たす教員の確保について質問してきましたが、自治体の選択として、独自に教職員を採用することがあります。とはいえ、23区と市町村との差、いわゆる三多摩格差があり、財政力の格差が独自の採用についても格差が生じています。

Q5 23区と市町村において学校で働いている教職員数には格差があるようで、校長会からも格差の是正を求めています。外部人材等の活用による教員の負担軽減は重要であり、都全体で取り組みを進めていく必要があります。そこで、令和5年度の都の取り組みを伺います。

都として独自に採用して配置していることはわかりますが、あくまで全市区町村を対象としたもので、すでに23区と市町村で差があることを前提にした配置ではありません。学校の教員は、23区と市町村を異動しますので、その違いを痛切に感じるようです。23区では独自で採用する教職員がいるためだと思われます。しかし、都教育委員会は独自採用の教職員に関するデータがないとして対応しません。都の採用した職員が働く現場の実態を把握するのは都の仕事です。調査をしたうえ、著しい格差があれば是正すべきです。これまでも本来は市区町村の仕事ではあっても、普通教室へのエアコンの設置や学校給食の無償化など、著しい格差があったため都が補助をするということも度々ありました。定数以上の教職員の配置についても同様に、調査し実態を把握し、是正すべき格差があれば都が補助すべきだと考えます。まずは、都が採用している職員が働いている現場がどのようになっているか調べることは人事権者の仕事ですから調査から始めていただくよう求めます。

さて、人材不足対策として、教員の採用だけではなくやめたり休んだりすることを防ぐ確保のための施策も重要です。「教職員アウトリーチ型フォローアッププログラム」が事業として計上されました。専門家を派遣しメンタルヘルスのサポートする内容のようです。

Q6 教職員アウトリーチ型フォローアッププログラムの執行率が40.7%と低い。予算では2地区から62地区に大幅に増やすとしていましたが、実績と執行率が低い理由を伺います。

執行率の低さは契約差金で予定通り配置はしたようです。しかし、多くの教職員がメンタルヘルスで休んだりやめたりしているのも事実です。原因はさまざまありますが、教職員の心の健康が保たれることは、子どもへのよりよい教育をするための前提にもなります。配置数だけでなく、内容についても把握し、必要があればさらに事業を拡充することを求めます。

さて、人材不足として、障がい者雇用の問題があります。かねてから問題視してきましたが、都教育委員会は国が定めた障がい者の法定雇用率を守っていません。守って当然なので民間と違い罰金はないのですが、民間の模範でなければならいので、早期に達成すべきです。規模や教育という特殊事情があるとはいえ、民間でもそれは同じです。

Q7 障がい者の法定雇用率を満たすことは当然の義務だが以前は満たしていませんでした。昨年度の障がい者雇用率と雇用率向上に向けた取り組みについて伺います。

残念ながら昨年度も満たしていないようです。これまで平成29年度のみ達成し、他の年度は未達成とも聞きます。決算年度の法定雇用率は2.5%、今は2.7%になっています。様々取り組みをしていただいているようですが、いかに困難であろうとも、達成するよう求めます。

3 部活動について

部活動について、教員の負担が重く、先ほど質問した人材不足にも関係がないわけではありません。そのため、教員の多忙化の解消のため、国が部活動の地域化を進めています。とはいえ、商業化したり、そもそも子どもがやりたい種目ができるのかという問題もあります。

Q1 都教育員会における部活動の移行についての取り組みを伺います。

まずは各地区への支援から始まったとのことです。教員の多忙化の原因の一つである部活動指導について、決算年度は新規事業として休日に地域の団体と連携して取り組めるよう5億円を計上しました。しかし、執行率は19.5%と極めて低い結果となりました。

Q2 市区町村における部活動の地域連携・地域移行の実績と課題を伺います。

部活動の地域移行はまだまだこれからだと思います。実際、受け皿を地域が担っていただければありがたいのですが、地域も高齢化が進み簡単ではありません。教員の多忙化の解消も重要ですが、そのために子どもたちが希望する種目や時間が確保できなくなるのも問題です。昨今では責任が問われるため、指導者の過剰な監督が求められる風潮にあることも負担の重さにつながっています。昨今では変わってきてはいますが、逆に毎日毎日部活動を行うことも見直されても良いかもしれません。いずれにせよ、中学生、高校生にとって部活動は勉強と同等に学生生活の重要な位置を占めているので、大人の都合だけで決めるのではなく、子どもの視点も大切にしながら検討していただきたいと思います。

4 スクールカウンセラーについて

子どもたちの様々な悩みに応えるために、都が全校にスクールカウンセラーを配置していることは評価します。

Q1 スクールカウンセラーの配置の実績や、学校や生徒児童からどのような声があるか伺います。

子どもから信頼され、悩みを解決できた事例もあるようなのでよかったと思います。そのためには、子どもとスクールカウンセラーとの信頼関係は必要で、急にできるものでもありません、じっくりと悩みを聞くからこそ、担任の先生には話せなくても、カウンセラーには話せることもあります。そのため、突然、相談していた人がいなくなってしまったというのは問題だと思います。

Q2 決算年度末に大量のスクールカウンセラーの雇止めがありました。子どもにとっても衝撃が大きいともいえます。経緯を伺います。

250人もの方が雇止めになったと報じられています。都はそもそもあまりこうした状況を公表していません。採用に関することは公表しないと言いますが、採用試験の内容ではなく、雇用の実績を聴いているわけですから、情報として公開すべきです。また、カウンセラーが自ら立場が不安定で不安になれば、子どもたちの相談をじっくり聞くことができなくなってしまいます。不安定な状況を改善すべきです。

Q3 仕事は生活の中心であり、簡単に雇止めはしてはなりません。対応について伺います。

規則通りという答弁でしたが、問題があれば規則を変える必要があります。働く人は物ではありませんから、安心して働ける状況を作ってこそ、子どもの相談に落ち着いて対応できます。改善を強く求めます。

5 学校のエアコン設置について

昨今、地球温暖化の影響か、猛暑が続いています。これは異常だととらえるよりも、これが常態化していると考えざるを得ません。生徒が学ぶ環境を作るために、すでに普通教室ではエアコンは100%設置されていますが、特別教室や体育館にも設置する必要があります。とりわけ体育館は災害の際の避難場所になることもあり、猛暑の中避難したら熱中症になったというわけにもいきません。

Q1 猛暑の中で、生徒も教員も大変な状況のため、都立高校において、早期のエアコンの設置を求めますが、実績を伺います。

順次整備しているとのことでしたが、引き続きの取り組みをお願いします。さて、この猛暑の中、暑いのは夏休みの8月だけというより、すでに7、8、9月は猛暑と考えてもよいと思います。学校の工事は授業の妨げにならないよう夏休みに行うことがありますが、まずは生徒を優先すべきは当然ですが、教職員にとっても健康に悪影響がある暑さなので、考慮する必要がります。

Q2 エアコンの設置工事は長期の夏休みになることが多いようですが、夏休み以降にもかかる事例もありました。かつてと違い、今は9月も猛暑なので、最初から夏に終わらない契約は見直すべきですが見解を伺います。

状況の変化に応じて、学校、とりわけ教職員の意見も反映されるよう取り組みを求めます。

さまざま質問しましたが、多様なニーズや、急速な社会状況の変化に対応し、何より子どもたちのための教育を提供できるよう求めて質問を終わります。

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