2024/11/27 厚生委員会で福祉局の事務事業について質問しました
2024年11月27日、都議会の厚生委員会で福祉局の事務事業全般について質問しました。児童虐待への対応、子どもの健康診断、中国残留邦人問題、障がい者施策について質疑を行いました。質問の概要は以下の通りです。
1 児童虐待への対応について
Q1:児童虐待の原因は様々ある。地方から出てくるなど、核家族が社会で孤立すると支援を受けられず虐待につながることがある。地域全体で虐待防止のために孤立させないネットワークをつくる必要があるが見解を伺う。
Q2:児童虐待から子どもの命を守ることは何より大切で、児童相談所と警察との連携は重要。とはいえ、相談内容がすべて警察に伝わるのも問題。児相が持つ情報をリアルタイムに警視庁と共有するとのことだが、すべての情報を共有するわけにはいかない。すべて警察に伝わるとなると家庭から児相に相談しにくくなってしまう。子どもの安全が第一という前提で、行政の都合ではなく子どものための判断が必要になる。情報についてどこで線を引くか、誰が判断するのか、伺います。
Q3:多様な子どもの特性がある中で、医療や心理面でケアが必要な児童がいる。そうした児童への対応に特化した旧情緒障害児短期治療施設である児童心理治療施設が必要となるが現在、都にはない。都において設置が必要だが見解を伺う。
Q4:児童福祉法上の「自立援助ホーム」の一類型である子どもシェルターは都心に何か所あるのか。また、こうした民間が行う子どもシェルターへの支援を行う必要があるが見解を伺う。
Q5:相談を受けた後、施設や里親の下で育つなどそれぞれの道があるが、子どもの出自に関する情報について、成人した後で本人が知りたくなる場合が当然ある。以前は、一定期間を過ぎると文書が廃棄されていたが、昨今、国の方針で文書の保存は養子の場合には永久保存になった。しかし、養子になった場合以外でも保存しておく必要がある。見解を伺う。
Q6:多摩地域の児童相談所の再編について、「多摩中部児童相談所」の今後の計画はどうなっているか。多摩府中保健所武蔵野三鷹地域センターの施設に入るのは、保健所再編が必要だと主張する観点からは残念ではある。一時保護所が必要なため正式に移転するとのことだが、今後の見通しを伺う。
2 子どもの健診について
Q1:子育ての経済的負担もさることながら、親の心配は、子どもの病気や健康です。7月29日、わが会派の竹井ようこ議員が仲間たちと国会で会見を開き、3歳児健診の問診票で、専門家が作成したガイドラインにある、吃音の項目を明記している自治体が、わずか1.2%でしかないことを明らかにしました。改めて乳幼児健診の重要性を考えさせられました。
3歳児健診での吃音を各区市町村に働きかけるべきですが、見解を伺います。
Q2:現在、3歳児健診の次は就学前健診となり3年近く空いています。そのため、独自に自治体で5歳児健診を行うところもありますが、医療人材不足などもありできていません。発達障がいなどを早期に発見し治療など対応することは重要です。5歳児健診についての都の見解を伺います。
Q3:5歳児健診については、先日、子ども家庭庁が自治体を補助するとの報道がありました。都としても市区町村の実施を支援すべきですが見解を伺います。
3 中国残留邦人問題について
Q1:毎年、中国残留邦人支援について市区町村の担当者に説明があるとのこと。戦後80年近く経つと若い世代がこの問題を知らない人がいる。歴史的な背景を含めて説明する必要がある。資料を見ると一定の説明はあるようだが、国策により中国に送られ、その後の帰国の妨げ、国籍の抹消、不十分な援護策によって何度も国から棄てられてきた経過があるから支援策があることを丁寧に説明する必要があるが見解を伺う。
Q2:高齢化した当事者世代が日本に帰ってきてよかったと思えるようにすることが重要。医療や介護における中国語の通訳の確保が必要になるが見解を伺う。
Q3:生活保護を準用しているために、固有の権利としてもらえるはずの支援金が子どもと同居すると収入認定されて減額されてしまいます。子どもと同居できるように法改正すべきですが見解を伺います。また、二世三世への支援も必要です。中国残留婦人の二世になると残留孤児とそれほど変わらない年齢の方もいて年金がほとんどない方もいます。国に法改正を求めるべきですが見解を伺います。
Q4:二世について、改正前の国籍法が適用されているため、残留邦人が男性の場合には日本国籍、女性の場合は中国籍になってしまうため、法的地位が不安定で、生活保護の受給も難しくなっています。実際、入管法の改悪で永住権を失う可能性もあり、そのことの周知が必要です。また、同じ二世でも帰国の際の同伴家族か、後になって呼び寄せた家族かで扱いが異なっています。同伴家族は国の援護の対象ですが、呼び寄せ家族は対象外になっています。どちらであろうとも二世三世も含めて国の責任による対応が必要です。
二世三世の実態を調査し、法改正までの間、自治体として独自に支援すべきと考えますが、見解を伺います。
Q5:都には平和の担当部門がありません。生活文化スポーツ局では東京大空襲の3月10日のみを記録を保存し伝える。平和を包括的に所管する部門が必要であり、それができるまでの間、中国残留邦人問題を唯一担当している福祉局が、当事者の聴き取りを行う必要があります。満州に渡ったのは地方だけではなく、東京からも開拓団が行っており、都としてそうした歴史を残す必要があります。都としても当事者の体験を聞き取り、後世に伝える必要がありますが見解を伺います。
4 高齢者施策について
Q1:高齢化が進み、施設の待機者がいる一方、ヘルパー不足になっています。人材確保に努めるべきです。高齢者のみの世帯や単身高齢者が増える中、「居場所と出番」をつくることが必要。孤独孤立の高齢者よりも地域とのかかわりがある方の方が平均寿命が長いとも言われる。都としても孤独孤立対策を行うべきだが見解を伺う。
Q2:いつでも行くことができ、話を聴いてくれる高齢者の居場所をつくることが重要。都はTOKYO長寿ふれあい食堂推進事業を行っているが十分な成果があったのか、現状と課題を伺う。
Q3:元気な高齢者が介助を受ければ暮らせるのに、買い物に行って帰ってくるのに時間が足りない。選挙で投票にも行けない。実態を調べて見直しを求める必要がありますが見解を伺います。
Q4:介護保険制度創設時から家族介護の位置づけは議論されてきた。家族介護者の支援などを含めたケアラー支援条例が必要です。最近では若年層の介護者であるヤングケアラーが注目されていますが、条例の中には、ヤングケアラーの支援についても規定しているものもあります。家族が介護地獄に陥らないようケアラー支援条例を制定して施策を強化すべきですが見解を伺います。
Q5:孤独死、身内がいない人の死後について支援することが当たり前になっていく。自宅で死ぬにはお金がいる。疫学的にも高額所得の高齢者が長生きする。いろいろな事業者があるのでトラブルもある。成年後見があまり活用されていない。後見人には弁護士、司法書士、社会福祉士が選ばれるが、法的な資格を有する社会保険労務士や行政書士との連携も重要。専門家を積極的に活用すべき。
Q6:一方、民間事業者に基準がないのでトラブルも起こる。トラブルの防止を図るべきだが見解を伺う。
Q7:認知症の当事者の意見を聴く場がない。当事者の声を聴く場が必要になる。地域づくりが重要で、家族だけではなく地域の他人が支え合う社会をつくる。「助けて」と言えるまちをつくる必要がある。認知症を地域全体で受け入れる施策が必要だが見解を伺う。
5:障がい者施策について
Q1:精神障害者保健福祉手帳が発行されるのに時間かかる。そもそも運転免許証のように更新のお知らせがない。期限が切れる前に更新を出しているのに間に合わない。それまでも運用で医療は受けられるが、障がいのある方の中には、不安になってしまう方もいる。期限が切れる前にお知らせをする、期限までに発行できなければ資格証のようなものを発行する、そもそも発行手続きを早くすることが必要だが見解を伺う。
Q2:東京都発達障害者支援センターが世田谷区にあり、多摩地域にも出張で相談ができるサービスをしているとのことだが、多摩地域にも発達障がい者支援センターの開設を求める声があるが見解を伺う。
Q3:障がい者の保護者からいつも「親亡き後」を心配する声がある。特に重症心身障がい者施設の整備が求められるが見解を伺います。
Q4:また、障がい者の都外施設について、どこに何床あるか。都内にはなかなかできないという事情は分かるが、遠方だと家族が行くのが大変でもある。今後どういう方針か。
6 精神障がい者施策について
Q1:精神障がい者の相談体制の強化が必要。市役所と保健所、精神保健センターの連携、うまくいかずたわい回しにされたとの声を聴いた。障がいの程度によって対応が違うとのことだが、複数あることで責任の所在があいまいになっていないか。どこが受けても受けたところが責任を持つべきだが見解を伺う。
Q2:精神障がいの方で、近隣とトラブルになった場合に、家族がいなくても、生活保護を受けているとケースワーカーがいるが、家族がいない場合に困難な場合がある。こうした際には市役所や警察に通報する場合も多いようだが、保健所が駆け付けないと対応できない。精神障がいで自傷や他害の恐れがある人を警察が把握した際に、保健所に知らせる「警察官通報」について、東京の保健所は現場に行かず、臨場率0%とのこと。原因は何か。対応すべきではないか。
Q3:滝山病院について、名前が変わったとのこと。イメージを変えたいのだと思うが、本当に内容が変わればよいだけのこと。体質は変わったのか。退院促進を行うべきだがどのような状況か。
Q4:滝山病院については今後も立ち入り調査が必要。抜き打ちで行う必要があるが見解を伺う。
Q5:長期入院の精神障がい者も地域で暮らせるようにすることが重要。都はアウトリーチ支援を行うが、地域で受け入れる土壌も必要になる。退院促進について見解を伺う。
Q6:精神との合併症、人工透析ができるところがないので滝山病院に噂があっても目をつぶってきたとも言われてきた。精神との合併症の受け皿となる医療機関を増やす必要があるが見解を伺う。
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