2024/12/16 教育、経済政策、児童虐待、高齢者施策、 安全安心について文書質問
2024年12月16日、都に対して文書質問を提出しました。本会議場で質問する機会を得られなかった議員に、文書で質問を提出した場合に本会議での質問と同じ扱いをすることになっています。毎議会、議場での質問か文書質問か必ずどちらかを行っています。今回は、1 教育について、2 経済政策について 、3 児童虐待について、4 高齢者施策について、5 安全安心について、2025年2月12日、都議会の議会運営委員会で前回定例会で提出した文書質問に答弁書が出されたことが報告されました。
一 教育について
問1 私学助成について拡充が進み、所得制限の撤廃の実現により、事実上の私立高校授業料の無償化が実現しました。しかし、国の就学支援金制度では所得制限が残っているため、保護者は年度当初に学校に授業料を払い、後から国や都の補助を受けることになります。ところがそれまでに半年以上かかるため、その間は保護者が負担することになり、負担が重いとの声があります。そこで、都が国の助成を建て替えて先に支払うとか、手続きをできるだけ早くするなど、保護者の負担を軽減する必要がありますが、見解を伺います。
答1 都は、補助金を速やかに支給できるよう、国や関係者と調整しながら検討しています。
問2 私立高校の保護者の授業料無償化について、国も所得制限を撤廃すればより迅速に手続きが進みます。都内の私立高校には都外から通学する生徒も多く、同じクラスで授業料を払っている生徒と払っていない生徒が混在していることになります。都からも国に対して所得制限撤廃を求めることが必要ですが、見解を伺います。
答2 都は、私立高等学校等の授業料の無償化について国に要望しています。
問3 私立学校の修学旅行について、観光客の増加から宿泊費などが大幅に値上がりし、保護者の負担が大きくなっています。保護者の負担軽減を図るべきですが、見解を伺います。
答3 私立高等学校等奨学給付金事業費補助において、低所得世帯について、修学旅行費等を含む授業料以外の教育費負担の軽減を図っています。
問4 教員の中には有期雇用で働いている方もいますが、教員の生活の安定は生徒への教育の質向上につながります。私立学校への運営費補助は、正規雇用に誘導できるような制度にすべきですが見解を伺います。
答4 私立学校における教員の雇用の在り方については、各学校において判断すべきものです。
問5 都内公立学校においては都の施策によって全校にスクールカウンセラーが配置されています。都の予算だけでは毎日配置できていないため、市区町村で独自に上乗せしている場合もあります。その場合、1日ずつ違う人を2人配置するより、同じ人が2日配置された方が子どもにとっても相談しやすくなります。都と市区町村が連携して配置することが必要ですが見解を伺います。
答5 都教育委員会は、公立小・中学校にスクールカウンセラーを配置する一方、区市町村教育委員会は、その判断で独自に配置している場合があります。
問6 都内公立学校において、様々な悩みを抱えた児童生徒について、いじめや家庭内の問題など異変がある場合に早く気づいて対応する必要があります。担任がまずは対応する必要がありますが、スクールカウンセラーなどの専門家の目も必要です。さらに、異変に気付きつなげるところまでには、教員だけではなく、給食の調理員、用務員等学校に関わる人の目が必要です。専門知識ではなく、簡単な研修により子どもの異変に気付いて担任やスクールカウンセラーにつなぐことが必要ですが見解を伺います。
答6 学校の教職員は、児童生徒の状況を把握し、適切に対応するよう組織的に取り組んでいます。
二 経済政策について
問1 都は中小企業を支援するため、毎年東京ビッグサイトを会場にした産業交流展を開催しています。毎年見学しますが、来場者があまり多くなかったり、いつも参加していた地元の企業が出展をしていなかったりすると、出展している企業にとってどれくらい有益なのか懸念されます。最近5年間の参加企業数と来場者数の推移を伺います。
答2 令和2年度の産業交流展は、コロナ禍によりオンラインのみでの開催となりました。令和3年度以降の東京ビッグサイトにおける出展者数と来場者数は以下のとおりです。
令和3年度 令和4年度 令和5年度 令和6年度
出展者数 546者 555者 620者 679者
来場者数 10,359人 11,951人 14,137人 17,454人
問2 産業交流展について、経済効果がどの程度出るかは重要です。経済効果をどのように図っているのか伺います。また、より多くの方が来場し効果が出るため、さらに改善することが必要ですが見解を伺います。
答2 産業交流展では、毎年、出展者と来場者にアンケート調査を行い、商談件数や満足度のほか、改善点などの意見を集めています。また、この調査結果等を踏まえ、毎年の展示会を工夫して開催しています。
問3 最低賃金が10月から都内では50円上がって1,163円になりました。他の国の状況をみても1,500円くらいまで引き上げることが望ましいと考えます。都として最低賃金の周知、賃上げに向けた機運醸成を図る必要がありますが見解を伺います。
答3 最低賃金に関する周知は、国の広報に加えて、都は労働関係の広報紙やセミナー、各種啓発冊子等を通じて、独自に広く行っています。 また、賃上げを実現した実例の紹介等を通じ、機運醸成を図っています。
問4 最低賃金の引き上げは重要ですが、一方、中小零細企業は人材への投資が上がるため経営が厳しくなります。本来であれば中小企業の売り上げを上げて賃金が上がることが望ましいのですが、最低賃金の値上がりに対応できず経営難に陥らせるわけにはいきません。中小企業が賃上げできるよう支援する必要がありますが見解を伺います。
答4 中小企業が事業を成長させ、賃金を引き上げるためには、その原資となる収益を確保できるよう、生産性を高めることが必要であり、都は、中小企業がデジタル機器や最新設備等を導入し、賃上げにつなげる計画を策定した場合に、助成率を引き上げる支援を行っています。
三 児童虐待について
問1 児童養護施設や里親家庭などの社会的養護の経験者である、いわゆる「ケアリーバー」の方々への支援は18歳で終わってしまいます。「ケアリーバー」の方々に対して、その後も引き続き相談できるよう取り組むことが重要ですが都の取り組みを伺います。
答1 都は、児童養護施設の退所者等であるケアリーバーが自立して安定した生活を送れるよう、相談支援等を行う職員を配置する施設を支援しているほか、ケアリーバーが気軽に集まって交流し、専任のスタッフに悩みを相談できる場を提供する、ふらっとホーム事業を実施しています。
問2 「ケアリーバー」の方々が、成人した後になって自分の出身を知りたくなることがあります。しかし、児童相談所が保管する児童記録票などの書類の保存年限については国の基準で行っていますが、今後、すべての書類を永久に保存するなど、制度の拡充を行うことが必要です。神奈川県では今年4月から廃棄を見合わせ、児童福祉審議会で検討することになっています。都としても児童福祉審議会で検討することが重要と考えますが、見解を伺います。
答2 国の社会保障審議会において、長期保存する児童記録票等の範囲の見直しが提言されており、都は、引き続き国の動向を注視していきます。
四 高齢者施策について
問1 超高齢社会を迎え、単身高齢者も増えたこともあり、自宅での最期を望んでも、施設や病院で最期を迎え、必ずしも希望通り自宅で最期を迎えることができないことが多くあります。まずは在宅医療の充実が必要ですが、在宅で医療を受けることが困難な状況になっています。都は自宅で最期を迎えたいという方々のニーズをどのように受け止めているのか、また、どのような理由で実現できないのか、原因をどのように考えているか伺います。
答1 誰もが住み慣れた地域でその人らしく暮らし、希望に沿った最期を迎えるには、都民や医療・介護関係者等の看み取りへの理解を深めるとともに、地域における在宅療養体制の整備を進めることが重要です。 都が令和4年度に行った保健医療に関する世論調査では、在宅療養の実現は難しいと思う理由について、「家族に負担をかけるから」、「急に病状が変わったときの対応が不安だから」などが挙げられています。
問2 自宅で最期を迎えるためには、訪問して医療を提供してくれる在宅医療の充実が必要ですがまだまだ十分とは言えません。在宅医療の充実に取り組むべきですが見解を伺います。
答2 都は、在宅医療に関わる人材の確保を図るため、在宅医療への参入を希望する医師等への相談支援を実施するとともに、地域における切れ目のない在宅医療体制の確保に向け、地区医師会と連携して24時間の診療体制を構築する地域の拡大などに取り組んでいます。
問3 自宅で最期を迎えるには医療と介護の連携が必要ですが、必ずしもお互いの理解が深いわけでもなく、制度の壁もあり難しくなっています。医療と介護のそれぞれの意識の改革ができれば、在宅での看取りが可能にもなります。希望する方が在宅で最期を迎えることができるよう、研修などを行うとともに連携を深めるなど、都としても取り組む必要がありますが見解を伺います。
答3 都は、医療・介護関係者を対象に、患者自らが望む医療やケアについて、家族や医療・介護関係者等とあらかじめ話し合い共有する取組の理解促進に向けた研修を実施しています。また、医療・介護関係者の連携を強化するため、在宅療養に関わる多職種の人材育成や、関係者間の情報共有を促進する多職種連携ポータルサイトの運用等に取り組んでいます。
五 安全安心について
問1 10月30日午前1時頃、三鷹市大沢の住宅に強盗が押し入りました。国立天文台北側の自然豊かで静かな住宅街での事件に、地元では大きな衝撃を受けました。 昨年の第1回定例会において、都議会立憲民主党は、いわゆる闇バイト、ネットなどを使った犯罪の企図や勧誘への対応の強化を求めました。その際、警視総監からは、SNS等の闇バイト募集の抑止活動、投稿の削除要請に取り組んでおり、引き続き取り組みを進める旨の答弁がされました。
しかし、この間の取り組みにもかかわらず、闇バイトによる強盗、窃盗事件が首都圏でも相次ぎ、手口も凶悪化、10代20代の若者だけでなく、60代の高齢者も検挙されるなど、年代を問わず広がる様相も呈しています。犯罪グループは事前に下見に行くので、パトロールの強化により犯罪を未然に防ぐことも必要です。 闇バイトの根絶はもとより、犯罪を防ぐための、より一層の取り組みの強化を求めるものですが、警視庁の見解を伺います。
答1 警視庁では、地域における犯罪情勢の分析に基づき、パトカーによるパトロール等の「見せる警戒活動」や不審者への職務質問、各家庭を訪問する巡回連絡の際の防犯指導等、管内実態に即して積極果敢に街頭警察活動を行っているほか、関係機関や地域住民と協働して防犯キャンペーンを実施するなど、官民一体となった防犯対策を推進しています。 また、犯罪の発生状況等の情報を防犯アプリ「デジポリス」等で発信しているほか、あらゆる機会を通じて、防犯カメラや防犯フィルムをはじめとする防犯性能の高い建物部品の普及促進を図るなど、自主的な防犯活動の更なる活性化に努めています。
問2 震災が相次ぐ中、建物の耐震化や食糧の備蓄や非常持ち出し袋など防災グッズは普及しています。一方、防災ほど防犯グッズは奨励されていません。とりわけ高齢者世帯に対して、ガラスに貼って割られるのを防ぐための防犯フィルム、二重鍵、ダミーを含む防犯カメラなどを購入する場合に補助することが必要ですが見解を伺います。
答2 都は、「防犯フィルムや補助錠の設置」など被害を防ぐためのポイントを示したポスターを作成し、区市町村等に提供しています。 都は、喫緊の状況を踏まえ、地域の実情に応じた家庭の防犯対策を緊急に行う必要があることから、令和7年度当初予算案に所要の経費を計上しています。
Twitter
@Nakamura_Mitaka からのツイートfacebook