2025/03/18 福祉局に来年度予算案について質問しました
2025年3月18日、都議会の厚生委員会で議案である来年度2025年度の予算案や条例案等に対して福祉局に質問しました。高齢者施策、認知症対策、シルバーパス、子どもの医療費、018サポート、児童虐待への対応、学童保育の待機児童解消、産後ケア等多岐にわたって質問しました。
以下、質問の概要です(答弁は後日掲載)
令和7年度、2025年度東京都予算案の福祉局分について質問します。
1 高齢者施策について
Q1:知事は「おひとり様高齢者への支援強化」を公約しました。単身高齢者の支援をするのは当然必要です。子どもが独立した後は夫婦だけになり、連れ合いが亡くなると一人になる場合がこれまでは多くを占めていました。今後は、増加する離婚による単身高齢者、さらには、結婚しないまま単身高齢者になる人も増えると予想されます。多くの単身高齢者について、生活、介護、医療、見取り、死後など、一人では死ねない社会になっています。おひとり様高齢者の支援は社会の大きな課題になりますが、都としてどのような認識で施策に取り組むのか伺います。
コメント:都市部における孤立孤独が問題になっています。地域との関わりがある人の方が長寿になるとの研究もあります。社会の様々な制度が家族を前提にしていますが、一人であることが普通になってきたこともあり、変化に対応していかなければなりません。人生100年時代と言われる中、長寿は本来喜ばしいものなので、生活の質の向上は重要です。是非、現状にあわせた独居高齢者、おひとり様対策の強化をお願いします。
Q2:新規事業として「高齢者の地域見守り拠点等整備促進事業」が行われます。見守りは重要ですが、見守りだけにとどまるのでしょうか。相談を受ける場合や対応が必要になる場合があればどのように対応するか伺います。
コメント:見守りを行えば、当然、様々な問題も見つけることができます。また、本当に困っている人は声を出せなかったり、出さなかったりします。見守りの取り組みの中でいろいろな問題が見つかると思いますので、それが相談窓口につながるような体制構築を求めます。具体的な相談窓口は地域包括支援センターになることが多いと思います。
Q3:昨今では、市役所は困ると何でも地域包括支援センターにつなぐ傾向にあります。そうであれば地域包括の人を増やす必要がありますが見解を伺います。
コメント:市役所も困ると何でも包括にという姿勢は困りますが、それだけ機動的に動ける頼れる存在でもあるとも言えます。包括の方は様々な地域の現場に出て活動している様子をよく見ますが、敬意を表するものです。ただ、そのため、大変多忙で多くの仕事を抱えているようですので、人員強化など体制拡充の支援を求めます。
なお、「地域包括支援センター」は、名前だけ聞くと高齢者の支援とは分かりにくいので、すでに愛称をつけている自治体もあるようですが、高齢者が気軽に相談できるよう入り口がもっと入りやすくするよう工夫は必要です。
Q4:高齢者の居場所が必要になります。市区町村で居場所作りを行っていますが、月1回や週1回のサロン的なものはありますが、いつでも行ける常設の居場所を設置する必要があります。居場所作りに取り組む市区町村を支援すべきですが見解を伺います。
また、居場所作りについては市区町村だけではなく、市民団体が行う場合もあります。市民団体が様々工夫してサロンを行う場合があり、取り組みが継続できるよう支援する必要がありますが見解を伺います。
コメント:各地域でかなり多くの取り組みをしていただいてはいます。ただ、高齢者が歩いて行ける範囲、小学校区に1か所ぐらいあるのが望ましいと思います。全部行政が行うのも大変でしたら、市民が空き家を活用して行う居場所づくりに積極的に支援することも重要です。元気な方に元気でいていただくことは大切なので、さらに積極的に拡大していただくことを求めます。
Q5:知事は「東京都版介護職員昇給制度を構築」を公約しました。新規事業として「介護保険制度における介護職員等の昇給の在り方検討調査事業」が6千万円計上されました。人材不足のため、待遇改善は必要です。しかし、介護保険は国が制度設計を行っていますが、都独自の制度を構築するのでしょうか、それとも国に提言するのでしょうか、どのような内容を想定しているのか伺います。
コメント:制度そのものの所管は国ですが、自治体から現場の声を国に届けることは重要です。単独の市区町村からは声をあげにくいので、そうした声も集め、最大の自治体である東京都が国に提言することは大きな意味を持ちます。是非、働く人が安心して働くことができるよう、そのことは介護を受ける方にも質の向上につながりますので、期待したいと思います。
2 認知症対策について
Q1:認知症については早く発見しても治るというものではないのですが、進行を遅らせることはできますし、地域で対応する体制をつくっていくことができます。
早期発見のための事業の事例として、神戸市では65歳以上の希望する方全員が認知症の検査を受けることができ、神戸モデルと言われているそうです。早期発見への取り組みが必要ですが見解を伺います。
コメント:さまざま取り組んでいただいていることが分かりました。とはいえ、誰もが自分がなるとは思いもよらないのですが、若い方でもなるし、年齢を重ねると誰がなってもおかしくなります。過度に不安をあおることはないとはいえ、適切な普及啓発をお願いします。
Q2:認知症の方を施設に入れるのではなく、地域で暮らし続けられるよう、地域の受け皿を作ることが重要です。また、認知症の方の居場所を作り、理解を深め、話し合える場所が必要です。支援する市民団体への補助が必要ですが見解を伺います。
コメント:高齢者の居場所づくりについてはだんだんと増えてきましたが、認知症の方の居場所はまだそれほど多くありません。特別な病気ではなく、誰もがなりうるので、変わるべきは認知症の方ではなく、認知症の方を受け入れる地域社会です。今後、ますます大きな課題となるため、ますます都と市区町村がさらに連携して取り組むことを求めます。
3 シルバーパスについて
Q1:知事は公約で「多摩モノレールの更なる延伸やシルバーパスの対象に」と「シルバーパスの改善」を公約しました。今回、料金を見直し、7月から2万510円が1万2千円になるのは、高齢者の移動の自由を守るために前進しました。まだ段差が大きいので、まずはやってみて、今後さらに見直せたらよいと思います。
さて、民間バス路線が減少している現状においては、シルバーパスをコミュニティバスに適用しても、民間を圧迫することにはなりません。コミュニティバスは高齢者の利用率が高いので、シルバーパスをコミュニティバスでも使えるようにすることが必要ですが都の見解を伺います。
コメント:路線バスと同等の運賃設定が前提ではありますが、市区町村とバス事業者の協議が整えば利用が可能とのことでした。必ずしもコミュニティバスだから利用できないというわけではないことが分かりました。基本的にコミュニティバスは民間では採算が取れない路線を担うので、まさに生活のための足になり、高齢者の方も利用します。必要があれば都から必要なデータの提供や仲介など含め、地域交通について連携して取り組んでいただくことを求めます。
4 子どもの医療費について
Q1:子どもの医療費については、医療費助成事業が大きく前進しました。しかし、自己負担金については23区では全ての区でとっておらず、市町村では残るところもあり、三多摩格差と言われています。子どもの医療費については、都としてどの自治体でも同じようにすべきですが見解を伺う。
コメント:子どもの医療費については、乳幼児、義務教育就学時、高校と順次拡大するたびに、23区と三多摩格差の格差が問題になっていました。今回、所得制限の撤廃については市町村総合交付金での対応ではありますが都全体で撤廃されるのはよかったと思います。しかし、自己負担金の問題については残ってしまいました。市区町村がそれぞれ行うとのことですが、財政状況が同じであれば自体体の選択とも言えますが、基本的な財政力が違えば選択したくてもできません。すべて公平にはならないから広域調整を行うべき東京都という広域行政があります。都民として同じサービスが受けられるよう、さらなる取り組みを求めます。
5 018サポートについて
Q1:018サポートも3年目になります。0歳から18歳までのすべての子ども約200万人に年1人6万円支給する事業です。予算額は1,227億円と大変大きくなっています。子どもに届けることは良いのですが、これだけ大きな事業なので事務経費も膨大にかかるため、ここはできるだけかからないようにすることが重要です。
事務手数料はどのくらいかかるのでしょうか。また、児童手当の所得制限が撤廃される機会に配布の業務を市町村に委託するとかなりの経費が節減できると想定されます。見解を伺います。
コメント:018サポートは全額都費なのですが、住民票のデータを持っているのは市区町村なので、通常こうした直接給付は市区町村に委託します。都も住民票の情報を使うことができるということで、直接行っているのですが、積極的に使うのが良いかは疑問です。慣れていないため当初はミスも多く発生しました。事務の負担を市区町村に押し付けるのは良くないのですが、児童手当の所得制限が外れたので、市区町村に委託して児童手当と一緒に給付をすれば事務経費がかなり安くなると推測されます。是非、試算し、市区町村にも協力をお願いし、大きな事業規模だけに少しでも経費が縮減できるよう、ご検討願います。
6 児童虐待への対応
Q1:1月28日、東京都児童福祉審議会が、令和5年に台東区で発生した4歳児の虐待死亡事件についての報告書が発表されました。そのなかで、「家庭への働きかけが不十分だった」との記載がありました。職員の方々は一生懸命取り組まれているとは思いますが、このような指摘でした。児童虐待は年々増加しますが、少なくとも、「虐待死ゼロ」であるようにすべきです。何度も知事に迫りましたが、ゼロを目指すとは言ってくれませんでした。児童虐待死ゼロを目指すべきですが見解を伺います。
コメント:子どもの大切な命は守らなければなりません。審議会ではゼロを目指すと言っているわけですから、都としても児童虐待死ゼロと目標を明確に掲げて取り組んでいただくことを求めます。そのためにも児童相談所の体制強化が必要になります。
Q2:児童相談所について、早期の職員の基準を満たした配置が求められます。23区が児童相談所を開くと人の取り合いになるかと懸念されましたが、ベテラン職員が23区に移る傾向があると言われ、残された都の児童相談所は大変とも聞きます。職員の配置の状況、課題と改善策を伺います。
コメント:増え続ける児童虐待に対して、職員の配置が重要です。以前から基準を達成していないことを指摘してきましたが、そのたびに専門知識のある人材育成には時間がかかるとの答弁でした。しかし、最初に述べてからかなりの時間が経過します。早期の拡充を求めます。
Q3:今定例会では、一時保護所の基準を定める条例案が提案されました。これまでは定員を超えても入所させていましたが、知事は施政方針で「保護児童への個別的なケアや施設の新たな整備により一時保護需要の増加に対応する」と述べました。一時保護体制強化事業が提案されましたが、現在の定員と、目標とする定員はどのくらいでしょうか。基準を上回るものになるか、伺います。
コメント:現在の定数が250名で、8年後に倍近い414名というのは大変な目標ですが、是非達成に向けての取り組みを求めます。定員があっても、命に危険があり家庭から引き離さざるを得ない状況になれば預かるしかないので、現状、施設が逼迫している状況にあります。様々な状況で自分の家にいられなくなった子どもが劣悪な環境に置かれることは避けなければなりません。着実は整備を求めます。
Q4:提案された条例案の第10条第2項で入所児童の意見又は意向を尊重した支援を行う、とありますが、第11条では正当な理由なく児童の権利を制限しないとしつつも、正当な理由がある場合には制限するとあります。どういう場合でしょうか。制限する場合は相当な理由がある場合に限定すべきではないかと考えますが見解を伺います。
コメント:まずは安全が最優先ということは理解しますが、子どもの権利を尊重し、できるだけ制限することがないような運用を求めます。
Q5;一時保護所にいても希望すれば元の学校に通えるようにすることが必要です。都の見解を伺います。
コメント:養護施設や里親などの受け入れ先の確保が困難であるなど、一時保護所に滞在する期間が長期化しているとも聴きます。安全を守るためといえ、突然、学校から姿を消す周りも驚きますが、何より友だちや先生と会えなくなるのも大変なことです。安全の確保は最優先ではありますが、できれば元の学校に継続して通えるようにしてあげたいと思います。2か所の一時保護所で先行的に実施するというのは良いと思います。虐待を受けた子どもの健全な育成のためにも、安全の確保を行い、できるだけ通学できることが望ましいと思います。
7 学童保育の待機児童解消について
Q1:知事は公約で「学童保育の待機児童ゼロと質の向上へ」としました。施政方針演説でも令和9年度末までに待機児童解消と述べました。現状の待機児童は何人でしょうか、また、課題は何か伺います。
コメント:保育園の待機児童はゼロに近づきつつありますが、卒園して小学校に入れば当然学童保育所がいっぱいになることは想定されていました。都全体ではありますが、3,731人の待機児童は大きな人数です。待機児童の解消に向け、量と質の両方を求めることは重要です。
Q2:児童館など既存施設を活用した居場所づくりを支援するとありますが、児童館に行けば待機児童に数えないのでしょうか。学童保育所に入れなかったから児童館に行く場合には待機児童の数から外すべきではありません、見解を伺います。
コメント:利用申し込みをしていれば、児童館に行っても待機児童になるとのことでした。児童館も必要ですが、学童保育と児童館は役割が違うので、児童館などの子どもの居場所を支援しつつも、学童保育の待機児童解消には並行して取り組んでいただくよう求めます。
Q3:学童保育所の待機児童解消のために定員を増やすためには人手不足の解消のため、職員の待遇改善が必要となりますが見解を伺います。
コメント:学童保育所の人材確保のための待遇改善はずっと求めてきました。都として取り組んでいただいているようですが、まだ足りないと言われます。同種の保育園の保育士さんの処遇とどうしても比較してしまうと、なかなか人材確保ができなくなってしまいますので、今後もさらなる待遇改善を求めます。
Q4:次に、来年度の新規事業である「東京都認証学童クラブ事業」について伺います。待機児童解消のために量を拡大するのと同時に質の向上を図るものとして、考え方はよいと思います。ただ、自治体の財政や施設の実情などに鑑みると課題があります。
支援単位あたり定員を40人としてしまうことで、それだけの規模を確保できないと、待機児童が現状よりも増えてしまいます。また、児童一人当たり面積を将来的には1.98㎡にしてしまうことも同様です。質を高めようとしている方向性は評価できますが、現状では待機児をなくすほうが優先されるため都型から認証に移行できる学童クラブは少ないと予想されます。都の見通しを伺います。
コメント:面積も1.65㎡以上の確保と答弁がありましたが、将来的には1.98㎡になるわけですから、いつかは問題になります。待機児童解消のために児童を狭いところに押し込めるわけにはいかないので、質の向上は可能であれば望ましいことです。ただ、可能であればということです。元々財政力が厳しい自治体では待機児童解消に向けて量も質もぎりぎりのところで追及してきています。
Q5:令和9年度に都型学童クラブをなくすとしていますが、この補助金がなくなると、多くの民間学童で運営が難しくなり撤退する事業者も出ることが懸念され、多くの保護者と児童が困ることになります。当面の間、都型学童クラブの継続を続け、都型から認証への移行を緩やかに進めてほしいとの声がありますが見解を伺います。
コメント:3年間の経過措置期間を設け、その間は補助率も引き上げるとのことですが、そもそも施設の面積が不足していれば新たな場所の確保を含め3年間でできるのか、また3年経つと運営費の補助も戻ってしまいます。繰り返しになりますが、自治体としても質も上げたいのですが、財政力が追い付かないという状況です。仮に3年で切り替えるということでしたら、さらなる東京都の支援が必要になります。
Q6:23区に比べて財政的に厳しい市町村では対応が難しく、すでに市長会でも改善を求める動きもあるといいます。市区町村の意見を聴くべきですが、どのような調整を図っているか伺います。
コメント:市区町村に調査や説明会を行っているとのことですが、現場からは多くの不安の声が出ています。引き続き状況を注視し、3年での移行が難しければ延長したり、支援の拡大を図ることが必要です。質の確保には賛同するものですが、実情とあっていないと、質をあげたら量の確保ができなくなってしまうと懸念があるということです。是非、待機児童解消と質の向上が図れるよう現状を的確に把握しての柔軟な対応と、必要があればさらなる支援を求めます。
8 産後ケアについて
Q1:とうきょうママパパ応援事業について、産後ケア事業に係る改修費補助が次年度拡充されていますが、その背景について伺います。
コメント:産後ケア事業の拡大は重要です。
Q2:育休明け前の母乳ケアについて、母乳を与える推奨期間をWHOやユニセフは、生後6ヶ月は母乳だけで赤ちゃんを育て、離乳食を始めたのちも2歳またはそれ以上まで母乳育児を続けることを勧めています。1歳で断乳した方がいいという科学的な根拠はありません。国の産後の定義が1年、東京都の補助制度が産後1年となっています。産後1年以降も母乳ケアについて、利用できるように検討すべきと考えますが見解を伺います。
コメント:個人差もあるので1年で切ることはないと思います。家事支援の派遣は3歳未満まで使えるので、そうしたサービスを利用しながら母乳を続けることはできると思いますが、助産師さんのような専門家ではないのでケアという点では支援の延長があってもよいのかと思います。サービスは各市区町村が制度設計しているようですので、市区町村への都独自のサービスを支援できるよう検討願います。
Twitter
@Nakamura_Mitaka からのツイートfacebook