2025/12/12 地下調整池、ゼロエミ家電、廃棄物処理等について質問しました
2025年12月12日、都議会環境・建設委員会が開催され出席しました。建設局関係の議案16件、環境局関係の議案と報告事項8件について質疑を行いました。最初に議案「石神井川上流地下調節池工事請負契約」として、都市型水害対策の976億円で地下トンネルをつくる大工事で、費用便益、安全対策、地域への説明などを建設局に質問しました。次に、総額644億円の補正予算の環境局分として「災害への備えとゼロエミッション東京の実現」として太陽光パネル設置、東京ゼロエミ住宅の整備、省エネ家電への買い替え促進について、適切な予算措置をして迅速の行うよう県境局への質問を通じて求ました。また、「東京都資源循環・廃棄物処理計画の改定」と「食品ロス及び食品リサイクルに係る施策強化の方向性」について質疑を行い、ごみの削減と食品ロスの低減を求めました。
以下に質問の概要を掲載します(一部答弁の骨子も掲載、議事録は後日掲載)
◆建設局関係の議案
(1)石神井川上流地下調節池工事について
議案の石神井川上流地下調節池工事について質問します。本工事は令和16年2月末までと8年以上もの長い期間をかけて、西東京市南町から武蔵野市八幡町までの約1.9km、貯水量は30万㎥、25mプール、1千杯分もの巨大地下トンネルで、今回提案された976億円の工事を含め、総事業費1,310億円という巨額の工事です。
昨今の気候変動の影響もあり、局地的、集中的に降るゲリラ豪雨等が頻発し、いわゆる都市型水害と言われる被害が拡大し、その対策が急務であると認識しています。しかし、もちろん税金が無限にあるわけではないので、費用対効果はどうしても考えざるを得ず、より最適な方法での水害対策が求められます。
Q1 2016年、平成28年3月に策定された石神井川河川整備計画では、時間降雨75mmの場合にも被害が出ないように、時間降雨10mmに対応した流域対策に加えて、未整備区間の河道整備と6か所の調節池整備を行い、あわせて時間降雨75mmに対応するとしています。このうち、2024年7月に費用便益分析が示されたのは、練馬大橋~向台橋間を検討対象としたものです。この区間での河川整備事業は、河川整備計画にある河道整備のうち、最上流部の向台橋~小金井公園間を除いた部分と、今回の議案である石神井川上流地下調節池の整備です。これによって、洪水対策としてどの程度被害を低減できるのでしょうか。また、この区間の洪水をゼロにするのが河川整備計画と理解してよいのか、見解を伺います。
A1
○石神井川河川整備計画では、流域全体で年超過確率20分の1規模の降雨に対応
○河川整備計画に示した河道や調節池等の全ての整備が完了すると石神井川全体において、溢水による浸水被害は解消
Q2 河川整備計画によってこの区間の洪水をゼロにするという場合、2024年7月に都が公表した「石神井川上流地下調節池整備事業について~事業の投資効果~」の16頁にある「事業の投資効果」によれば、この区間の被害軽減額は、調節池整備前の1,043.7億円から、被害軽減額が427.2億円となり、地下調節池整備後には被害額が616.5億円になるということでよろしいでしょうか。
A2
○2024年7月の公表資料は、石神井川上流地下調節池の事業の投資効果を示すため、費用便益比やその算出過程等を示したもの
○公表資料の16頁に示す1043.7億円は、調節池整備前の被害額であり、616.5億円は、調節池整備後の被害額を示したもので、この差分が被害軽減額427.2億円となり、費用便益比を求める過程で算出した数値
Q3 2問前の質問への答弁で、仮に地下調節池を整備してもこの区間の洪水がゼロにならないとすれば、この上流地下調節池完成後も発生するこの分616.5億円の被害はどのようにして防ぐのでしょうか、見解を伺います。
A3
○616.5億円は、国土交通省策定の治水経済調査マニュアル(案)に沿って、石神井川上流地下調節池の整備による費用便益比を求める過程で算出したもの
Q4 東京都が、最新時点での個別事業及び事業全体での費用便益分析結果を示していないので、推計で概算せざるを得ません。まず伺いますが、河道整備で時間降雨10mmに対応し、6か所の調節池で時間降雨15mmに対応するというのですから、その便益への貢献は、2:3、すなわち河道整備が2に対して調節池が3と考えられるのではないでしょうか、見解を伺います。
A4
○便益は、国土交通省策定の治水経済調査マニュアル(案)に沿って、河道や調節池の整備を実施しない場合と、実施した場合の被害額の差を、氾濫解析結果を用いて算出するもの
Q5 便益への貢献度の比率が2:3なので、調節池の貢献度は60%となります。また、上流地下調節池の貯水量シェアは、それぞれの貯水量から計算して37.2%です。これは、当初の河川整備計画において、まだ本事業の計画の前に計画された、向台橋~南町調節池と上柳沢橋~溜渕橋の2つの調節池の容量の合計が今回の地下調節池の貯水量に当たるため、6つの調節池の合計に占める割合です。これらが便益、すなわち、被害軽減額への貢献を示すと考えれば、河道整備を含めて考えれば、上流地下調節池の貢献度は37.2%の60%で22.3%、その他の調節池は残りの62.8%の60%で37.7%、河道整備が40%となります。費用の構成比が2015年の試算と変らないとすれば、その他の調節池の費用便益比B/Cは1.0を下回るのではないでしょうか、見解を伺います。
A5
○費用便益比は、国土交通省策定の治水経済調査マニュアル(案)に沿って適切に算出するもの
○流域全体の費用便益比は1.0を上回る
Q6 石神井川上流地下調節池の国庫補助事業としての事実上の条件を満たすために、便益を大きく見積もることで、河川整備計画を構成する他の事業の便益が低くするという誤った操作を行っているのではないかとの疑問が生じています。東京都として説明責任を果たすために個別事業及び河川整備計画全体の費用便益分析を実施して、事業の適切性を示すべきではないかと考えますが、見解を伺います。
A6
○費用便益分析は流域全体で評価するのが基本であり、国土交通省策定の治水経済調査マニュアル(案)に沿って適切に算出
Q7 総事業費は、令和5年1月末に公表した時点では989億円、現在は1,310億円と資材価格高騰等で大きく膨らんでいます。今回の契約案件である工事では予定価格が1,040億円で、一般競争入札の結果、976億円となっています。かなり長期の計画なので予想は難しいし、必要な人件費等の計上は必要とはいえ、物価高騰に対してどのように取り組んでいくか見解を伺います。
A7
○今後、物価高騰が生じた場合には、インフレスライド条項を適用し、工事金額の変更を行う
Q8 各段階において時間的余裕を持って丁寧かつ適切な情報提供が必要です。例えば、工事が終われば地上部分に管理棟もできます、都立武蔵野中央公園の中につくるので、景色も変わります。周辺の住民に丁寧かつ適切な情報提供が必要ですが、見解を伺います。
A8
○これまで14回の説明会を開催し、事業概要等を説明する他、仮囲いの形状や今後整備する管理棟等の完成イメージパースを示す等、周辺の住民に丁寧かつ適切な情報を提供
○引き続き、工事説明会などで丁寧に対応
Q9 周辺環境への影響に十分配慮し安全対策には万全を期することが重要です。工事では大型車両も通ります。また、近くには学校もあります。周辺環境への配慮と安全対策について対応を伺います。
A9
○武蔵野中央公園における工事車両の搬出入路については、通学児童の安全確保や地元住民への影響に配慮して設定
○工事車両は徐行運転を行うとともに、交通誘導員を適切に配置し、歩行者等の安全を確保
Q10 今回の地下調節池の工事については、シールドマシンの工法で行われます。この工法は東京外郭環状道路の工事で調布市において陥没事故が起こりました。この工法に不安を抱く方もいます。シールドマシン工法により工事を行うことについて、陥没しないよう対策は十分かを含め、工事の安全対策はどのようになっているのか伺います。
A10
○ 調節池におけるシールド工事の安全対策において、施工中の土砂の取り込み量や地表面に異常がないこと等を確認しながら工事を実施
2 環境局関係の議案と報告事項
(1)補正予算について
Q1:補正予算が提案され、レジリエントな都市の実現として、597億円の補正予算が組まれました。物価高騰対策とは全く関係なく組まれました。言うまでもなく原則は当初予算に計上すべきです。もちろん昨年を上回る猛暑でもあり対策は急務ではあります。当初予算ではなく、しかも、猛暑は9月の議会でもわかっていたのですが予算が組まれず、12月になって補正予算を組んだ理由は何か伺います。
Q2:2050年のゼロエミッションに向けて目標を定めて行っていますが、今回の補正予算はそれを前倒しするものでしょうか、それとも、遅れているのを挽回するためのものでしょうか。大きな予算を提案するのですから、全体の計画における位置を明確にする必要がありますが、見解を伺います。
3:これから補正予算を組んでも、今年度はあと3か月しかありません。太陽光パネルは1万5千件から倍の3万、蓄電池も2万強から倍近い3万8千への大きく伸びています。ゼロエミ住宅の集合住宅にいたっては、5千戸から2倍以上の1万1千戸です。
また、ゼロエミポイントでは、当初予算では4製品で830,910台、今回の合計は373,000台です。全体で1.5倍になりますが、内訳は、季節柄、エアコンや冷蔵庫は微増、給湯器は倍増、LEDが3倍です。あと3か月で執行できるのか、伺います。
Q4:ゼロエミ住宅で集合住宅は大家への補助ですが家賃高騰が問題になる中、家賃が高騰してしまい低所得者が住めなくなるようなことは起きないのでしょうか。見解を伺います。
Q5:夏から制度を拡大し、高額なエアコンや冷蔵庫を購入すると8万円補助することになりました。知事は熱中症対策として65歳以上の高齢者と障がい者を対象に、エアコンの購入費用を8万円補助すると発表しました。しかし、この時は補正予算を組んでいませんでした。これだけ高額だと予算が変わるのではないでしょうか。エアコンは16万台増加になっているのですが、これは当初予算の台数なのでしょうか。今回の補正予算からも充てられるのでしょうか、伺います。
(2)キャップ&トレード制度の改正について
Q1:都では先進的な取り組みとしてキャップ&トレード制度を行ってきましたが、今回、国の法律改正が行われ、国と都で制度の重複するようになりました。条例改正によって国の制度が適用される事業所が制度から抜けることになるとのことですが、必ずどちらかには入っていて、温室効果ガス排出総量削減には影響がないのでしょうか、まずは確認します。
Q2:これまでキャップ&トレード制度はどのくらい都の温室効果ガス削減に貢献してきたのか伺います。今後は大規模事業所については都ではなく国の制度になるのですが、都のカーボンニュートラルへの取り組みに影響はないのかあわせて伺います。
Q3:取引価格はどのように決まるのでしょうか。安ければ買えばよいということになるし、高ければ仕組みとして継続しません。見解を伺います。
Q4:代表質問において、環境局長からデータセンターへの対応について、キャップ&トレード制度等の義務制度を強化すると答弁がありました。具体的にどうするのか伺います。
(3)「東京都資源循環・廃棄物処理計画」審議会中間まとめについて
Q1 多摩地域と23区で取り組みが違い多摩地域ではトップレベルのリサイクルが進んでいます。都全体、23区、多摩地域それぞれのリサイクル率を伺います。
A1
〇令和5年度のリサイクル率は、東京の資源循環及び廃棄物処理に係る施策の方向性について(中間とりまとめ)に記載のとおり、都全体平均は25%。また、地域別にみると、区部平均は21%、多摩地域平均は36.4%
Q2 多摩地域と23区ではあまりに違うので、計画目標なども都全体で出すと施策に反映させられないため、目標を分けて設定した方がよいと考えますが見解を伺います。(Q2)
A2
〇国が定める「ごみ処理基本計画策定指針」では、各市区町村における一般廃棄物処理計画の策定に当たっては、都道府県の計画等における関連目標等に留意することとされており、都の目標は、都内全自治体が目指すべき水準として設定
Q3 多摩地域では自区内処理の原則が実施できないため、日の出町に埋めてさせていただいているため、有料化を含め、かなり削減に努めてきました。しかし、23区は、都の中央防波堤に埋めることができるため、ごみの減量の施策の進まない理由の一つだと考えます。多摩地域でごみ減量が進んだ経緯について、都の見解を伺います。
A3
〇多摩地域では、新たな最終処分場を確保することが極めて困難であり、現処分場の延命化のため、各自治体が協力してごみ減量に向け分別の徹底、リサイクルなど様々な取組が進んでいる。
Q4 現在、23区では、以前、サーマルリサイクルが推進されていました。サーマルリサイクルというのは、リサイクルとは名ばかりで、要は燃やしていたわけです。分別を徹底すると生ごみが増え、重油をかけて燃やすことにもなりかねないので、カロリーのため一定のプラスチックを燃やす方がよいとの考えもあります。そこで、現在のプラスチックの扱いについて都の見解を伺います。
A4
〇都は、区市町村によるプラスチックの分別収集を拡大するため、新たに事業を開始する区市町村向けの財政支援を行っており、分別収集を実施している自治体は、令和六年度末時点で、区部で二十一自治体に拡大
Q5 プラスチックのリサイクルが進んでいるとはいえ、依然として清掃工場などで焼却されているものもあります。3Rと言いますが、リサイクルが前提というのは、あまりよいとは思えません。そもそも使わないのがもっともよいので、リデュース、リユースの2RをPRすべきです。見解を伺います。
A5
〇都はこれまで、使い捨てプラスチック削減に向けた市区町村の取組を支援するとともに、市区町村との共同検討会を開催し、リユース容器の活用事例等、具体的な情報共有を図っている
Q6 とはいえ、有料化は大変です。日の出町との協定でやらざるを得ないのですが、経済的負担増には反対の声もあり、いまでも、23区との格差でなくしてほしいと言われることがあります。現在はごみの業務は都ではなく23区なので、都で決める問題ではないのですが、現状確認のため、23区での有料化の検討状況を伺います。
A6
〇 特別区は、令和二年度にごみ減量施策に向けた取組に関する調査研究を取りまとめるとともに、十七の区で、廃棄物処理法の一般廃棄物処理計画に家庭ごみの有料化を検討課題に掲げている
Q7 やはり分別の徹底を行うことが重要です。有料化はあくまで一つの手法でしかないので、それ以外にもごみ減量の取り組みはあります。もちろん市区町村で決めることではありますが、広域行政でもある都が与える影響は大きいため、その施策は重要です。都の取り組みを伺います。
A7
〇 都は、一般廃棄物排出量の削減に向けた目標を設定し、各自治体の取組を促進しており、2030年目標を前倒しで達成している。引き続き、市区町村と連携し、更なるごみ減量の取組を促進
Q8 食品ロスは、環境のためにごみを減らすというだけではなく、食料自給率の低い日本にとっては無駄を減らすことは大事なことです。また、教育上も農家に感謝をする点では食品ロスを減らすことは重要です。食品ロス対策の多面的な意義を強調した普及啓発が必要ですが、見解を伺います。
A8
○ 都は、家庭の食品ロス削減に向け、その対策の様々な意義や身近でできる削減行動をまとめた冊子や、SNSを通じたPR等により、無駄のなく賢い消費行動を促進
Q9 注文の仕方を変えることが大切です。メニューにないとなかなか「ご飯を減らしてほしい」とは言いだしません。食品ロス対策として、小盛りにした場合に割り引くなど工夫が必要であり、お店に協力を求めることが大切ですが見解を伺います。
A9
〇 都は、外食の機会が増える年末にかけて、食品ロスゼロに向け、飲食店と連携したキャンペーンを実施しており、メニューの工夫など、料理の提供形態に応じた取組などを周知
Q10 残ったら持ち帰りという習慣にすることも必要です。ただ、そのためには、持ち帰ったもので食中毒になるとお店の責任が問われるので、持ち帰らせないお店が多くあります。お店の側で持って帰ってもよいものと悪いものを指導してもらう、食品に関する知識を啓発するなど、方法はあります。持ち帰った場合には飲食店の責任が問われないようにすることが必要ですが見解を伺います。
A10
〇 都は、キャンペーンに参加している店舗やその利用者に対して、国のガイドラインをもとに、生ものの持ち帰りを控えることや持ち帰り後は速やかに食べることなど、安全な持ち帰り方法を周知
Q11 食品のメーカーは賞味期限が近付くと、期限前に廃棄するという商慣行を見直すことが必要ですが見解を伺います。
A11
〇 都は、賞味期限前食品の廃棄ゼロ行動を促進するため、卸・小売業における未利用食品の排出元や量等の廃棄状況の調査を行い、その実態を踏まえた納品期限の緩和を働きかけており、業界団体での見直しが進んでいる
