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都議会質問記録

【23】2010/12/15 「鉄道駅ホームの安全柵の設置について」文書質問を行いました。

2010年12月15日、東京都議会 本会議において都知事に文書での質問を提出しました。毎回一般質問ができる市議会と違い都議会では時間等の制約から4年間に数回しかないため、質問機会を保障するため文書での質問を認める制度があり、それを活用したものです。回答は知事の決済を経て次回の議会に文書で回答されるが、議事録上は本会議での質問と同様の扱いがされます。提出した質問と回答は以下の通りです。

鉄道駅ホームの安全柵の設置について

 鉄道駅ホームにおいては、狭いホームの近くを猛スピードで電車が通過し、日々都民の生命と安全が脅かされている。注意して歩けばよいという問題ではなく、押されれば本人の責任もなく悲惨な事故に巻き込まれてしまう。とりわけ目の不自由な方からは転落が本当に怖いという声もある。また、多くの乗客が事故などにより多大な時間を浪費させられ、場合によっては長時間電車の中に閉じ込められることもある。
 地方と違い、首都東京は過密なダイヤの中で、ホームに人があふれ、危険度は高いため、国以上の規制と安全基準があってもよいと考えられる。都営地下鉄に設置の動きがあるのは評価するが、JRや私鉄では各駅停車だけではなく猛スピードで通過する列車がある。都では公益的な判断から、震災時の緊急輸送道路沿いの建築物については、私有財産であるにも関わらず沿道を防ぐ影響から耐震診断を義務化し、それに合わせて耐震診断を行うに際して補助金を出し施策を進めている。こうしたことは鉄道にもあてはまるのではないか。必要に応じて都独自の施策を求めるものである。
 鉄道事業者としても安全対策に取り組んでいるとは思うが、私自身、乗客の一人として脅威に感じ、また、多くの方から怖いとの声を聞くことがある。乗客がそのように感じているのであれば、鉄道事業者がいくら対策をしていると言ってもまだまだ不十分と言わざるを得ない。
すみやかに鉄道駅ホームに安全柵が設置され、日々危険な状況にさらされる都民の生命と安全が守られるよう、東京都としても施策を行うことを求めて以下の質問を行う。

質問1 東京都内にある駅の数と可動式ホーム柵が設けられている駅の数は何駅か。また、ホームからの転落事故等に伴う事故件数、そのうち、けが人の件数、死亡者の件数は何人か。

回答1 
平成21年度末現在、可動式ホーム柵又はホームドアは、都内748駅のうち153駅に設置されています。国土交通省の調査によると、平成21年度、都内において、ホームからの転落等により列車と接触し死傷した事故は自殺者を除き95件あり、そのうち負傷者は73人、死亡者は22人です。

質問2
 鉄道のホームにおいては、事業者として乗客の安全に取り組むことは当然である。東京都道で橋に柵がない場所で通行人が転落したら都の責任になるのではないのか。現在、狭いホームのすぐ脇を猛スピードで列車が運行されているが可動式ホーム柵等設置に対する事業者の対応について、東京都の認識を問う。

回答2 可動式ホーム柵等は、ホームからの転落や列車との接触などの事故防止に有効な施設ですが、既存駅への設置に当たっては、車両扉の位置の異なる列車への対応や、ホーム幅の減少、停車時間の増大による輸送力の低下、更には膨大な投資費用などの様々な課題があり、事業者による可動式ホーム柵等の整備が進んでいない状況にあると認識しています。

質問3 ホームからの転落事故が起きた場合、鉄道事業者は官庁への報告義務があるか。死亡事故などの重大事故以外にも、ホームから線路に人が入った場合はよく電車が止まるが、月次報告でよいが東京都に報告させ施策に活かすことが必要だと思うが所見を問う。

回答3 列車と接触したことにより、死亡又は負傷した事故について、鉄道事業者は、鉄道事業法第19条に基づく鉄道事故等報告規則により、定期的に国土交通省地方運輸局長へ報告する義務があり、そのうち特に身体障害者に係るものなどについては、速やかに報告する義務が課せられています。しかしながら、列車との接触がない場合については、事故としての報告義務はありません。都としては、引き続き、ホームでの安全性向上を図るために、必要に応じて、適宜、国や鉄道事業者から転落事故等の情報を聴取し、適切に対応していきます。

質問4 自動開閉柵に費用と時間がかかるのは理解できるが、暫定的でもいいので扉以外の部分に固定柵を設けることなら容易にできる。応急措置として設置を事業者に働きかけるべきではないかと思う。固定柵の都内における設置状況と課題を伺う。

回答4 平成21年度末現在、都内において、東京急行電鉄多摩川線、同社池上線など6路線25駅に固定柵が設置されています。固定柵の設置に当たっては、車両扉の位置の異なる列車への対応、ホーム幅の減少に加え、開口部からの転落を防止できないことや、乗降の視認を妨げ、出発直前の安全確認に支障を及ぼす恐れがあることなどの課題があります。

質問5 JR及び私鉄においては、みずから取り組むことが基本で、働きかけをする、との答弁にとどまっている。現在、駅のバリアフリーについては法制化されている。特に視覚障がいの方は転落の危険におびえている。バリアフリー以前の問題として安全の法制度化を進めるべきではないか。交通基本法も検討されているが、ホームからの転落に対する安全確保について、事業者の取り組みを促進させるよう国に対してはたらきかけをしてはどうかと思うが所見を伺う。また、都においては福祉のまちづくり条例において転落防止のためのホーム柵の設置が努力義務として定められているが、目標年次を定め具体的に設置が進むよう取り組むべきではないかと考えるが所見を問う。

回答5 国においては、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」に基づいて平成18年に定められた「移動等円滑化の促進に関する基本方針」について、現在、改定を進めており、平成22年12月に、改定案を公表し、これに対するパブリックコメントを実施しました。この改定案によれば、可動式ホーム柵等については、転落を防止するための設備として非常に効果が高く、その整備を進めていくことが望ましいが、技術的困難さや投資費用等の課題があるため、これらを総合的に勘案した上で、平成32年度までに、可能な限り設置することとしています。引き続き、都としては、こうした国の動きを踏まえつつ、可動式ホーム柵等の整備促進に取り組んでいきます。

質問6 山手線も整備を促進すべく恵比寿駅に設置がされ始めた。車両によってドアの位置が違うため柵の設置が難しいという路線もある中で、車両のドアの位置を統一するために車両を変えるとう点で、評価できる。法制化により安全対策を責務とするが、同時に鉄道事業者への補助制度を設けることで促進につながるが所見を問う。平成23~25年度で「ホーム柵等整備促進事業」が計画され、来年度6千4百万円予算要求されているが内容を伺う。

回答6 鉄道事業法第18条の2では、「鉄道事業者は、輸送の安全の確保が最も重要であることを自覚し、絶えず輸送の安全性の向上に努めなければならない」と規定されています。可動式ホーム柵は、ホームからの転落や列車との接触などの事故防止に有効な鉄道の安全対策施設であるとともに、高齢者や障害者等の移動の安全性の確保に資する施設であると認識しています。こうしたことから、駅のホームにおける安全対策は鉄道事業者が自ら取り組むことを基本としつつ、都においても、整備に慎重な鉄道事業者の積極的な取組を促すため、来年度からホーム柵等の整備促進に向けた試行的事業を行い、課題を検討することとしています。

質問7 JR中央線は特急が車両の長さが違うのでなかなかできないようだが、山手線では車両を変えることも検討されている。しかし山手線と違い、特急や特別快速が猛スピードで通過する中央線等においては、その対策と言う点でも取り組むよう最優先にはたらきかける必要があると思うが所見を問う。

回答7 可動式ホーム柵等の設置に当たっては、通過列車の状況や、乗降客数、ホームの混雑度、事故件数、周辺の福祉施設数等を総合的に勘案し、必要性の高い駅から設置するよう鉄道事業者に働きかけていきます。

質問8 道路を建設する際、渋滞解消で経済効果を出して整備を促進している。柵をつくったから経済効果があるわけではないが、事故のたびに時間を失う都民にとっては安全対策は十分に経済効果があると言える。都は道路整備については渋滞による経済効果をよく言うが、鉄道においても事故による都民の損失は膨大である。こうした視点で、対策を早急に進めるべきである。昨今、駅のホームに駅員がいないことが多い。また、都営地下鉄へのホームドア・ホーム柵の設置は進めているが、私鉄やJRでは特急通過などで地下鉄よりも危険な駅は多い。駅の安全対策を真剣に考える必要があるが所見を問う。

回答8 
つくばエクスプレスや東京メトロ副都心線などの新規開業路線の駅においては、安全対策のため、可動式ホーム柵の整備を行っています。一方、既存駅においては、車両扉の位置の異なる列車への対応や、ホーム幅の減少、停車時間の増大による輸送力の低下、更には膨大な投資費用などの様々な課題があり、整備が進んでいない状況にあります。こうしたことから、整備に慎重な鉄道事業者の積極的な取組を促すため、駅のホームにおける安全対策は鉄道事業者が自ら取り組むことを基本としつつ、都においても、来年度からホーム柵等の整備促進に向けた試行的事業を行い、課題を検討していきます。さらに、鉄道事業者に対しても、必要性の高い駅からホーム柵整備を進めていくよう働きかけていきます。

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