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都議会質問記録

【2】2011/02/18 介護施設整備、予防接種の公費助成について質問

2011年2月18日、東京都議会 厚生委員会において、議案審議が行われ、「東京都介護基盤緊急整備等臨時特例基金条例」の改正と「東京都子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例基金条例」の制定、及び関連の補正予算について質問しました。以下に質問と答弁を掲載します。

(1)東京都介護基盤緊急整備等臨時特例基金条例

〇中村委員 最初に、東京都介護基盤緊急整備等臨時特例基金条例及び関連する補正予算について伺います。今回の改正では、現行の基金条例である地域密着型サービスの拠点等の整備費補助が増額されたことや、介護基盤の整備などに加え、地域支え合い体制づくり事業という介護支援体制にかかわる緊急整備を目的とした事業が新たに盛り込まれていますので、その関係で幾つか質問します。まず、地域密着型サービス拠点の整備費補助単価が増額されたことについてですが、補助対象となる施設について、都内の直近の整備状況について伺います。

〇狩野高齢社会対策部長 地域密着型サービスは、原則として区市町村の住民のみが利用できるサービスで、区市町村が指定、指導監督の権限を持ち、その整備については、区市町村がみずから策定する整備計画に基づき進めるものでございます。
 地域密着型サービスの整備状況ですが、平成二十三年二月一日現在で、小規模特別養護老人ホームについては五施設百三十一名分、小規模ケアハウスについては二施設四十九名分、小規模老人保健施設については二施設五十名分、認知症高齢者グループホームにつきましては三百六十四施設五千五百五十四名分、小規模多機能居宅介護事業所については七十六施設となっております。

〇中村委員 理念として掲げるほど地域密着型サービスが進んでいないのではないかと思います。ただいまの答弁にあったように、特に整備が進んでいない小規模特別養護老人ホームや小規模多機能型居宅介護について、どのような課題があると認識しているのか伺います。

〇狩野高齢社会対策部長 小規模特別養護老人ホームにつきましては定員が二十九人以下と定められており、介護報酬など、安定的な施設運営を行うことは困難な制度となっております。また、小規模多機能居宅介護につきましては、登録定員の上限が二十五名であることや、宿泊室にあきがあった場合でも登録者以外は利用できないなど、運営上の制約が多い制度でございます。
 このため、都は、国に対し、小規模な施設であっても運営が成り立つよう、施設の定員規模に応じた段階的な介護報酬の設定や、小規模多機能居宅介護の登録定員の上限撤廃などについて提言を行っているところです。

〇中村委員 この補助単価の増額により、具体的にどの程度の施設整備が進むのかについては、土地が確保しやすいかなど、さまざまな要素があるため、単純なものではないと思います。しかし、特別養護老人ホームの入所待機者が多くいる中、特養の整備は費用も時間もかかるため、地域密着型サービス拠点への期待は大変大きいといえます。
 この増額がきっかけとなり、事業者が積極的に参入するよう、都として周知に努めることを要望しておきます。
 次に、地域支え合い体制づくり事業についてですが、まずはその内容を伺いたいと思います。

〇狩野高齢社会対策部長 地域支え合い体制づくり事業は、高齢者の生活の安心を確保するため、自治体や住民組織、NPO等の協働により実施する取り組みを支援することにより、地域の日常的な支え合い活動の体制づくりを推進することを目的として創設されたものでございます。
 本事業の補助対象としては、例えば、地域住民が主体となって行う高齢者の生活支援の先進的な事業の立ち上げや、NPOの設立準備、その活動に必要となる拠点の整備や、活動の担い手となる人材育成などを予定しているところでございます。

〇中村委員 事業内容はわかりました。では、今回の平成二十二年度補正予算でどのような事業を実施するのか、その内容を伺います。

〇狩野高齢社会対策部長 本事業は、区市町村が、地域やその地域に居住する高齢者の状況や課題等をより的確に把握するため実施する日常生活圏域ニーズ調査に対して補助するものでございます。
 この調査により、区市町村は地域の課題をこれまで以上に的確に把握し、平成二十四年度からの第五期介護保険事業計画の精度の向上を図るとともに、個々の高齢者の状態に合った地域支援事業等を実施していくことが可能になります。
 調査経費として一区市町村当たり五百万円を基準額とし、補助対象自治体としては十区市町村を予定しております。

〇中村委員 介護保険の保険者である市区町村が地域における介護ニーズを的確に把握できなければ、サービスの需給のミスマッチにつながります。
 見守りや配食サービスなどの介護保険制度以外のサービスである生活支援サービスは、さまざまな主体により提供されており、地域の特性もあります。このため、市区町村が日常生活圏ごとにニーズを調査し、その圏域内で必要なサービスを把握することは大変に重要なことであることを改めて指摘しておきます。
 さて、三カ年にわたり検討し、今年度をもって終了する東京の地域ケアを推進する会議の報告書がまとまると聞いています。そこで、会議での議論とこの地域の支え合い体制づくり事業の関連について伺います。

〇狩野高齢社会対策部長 お話の東京の地域ケアを推進する会議では、高齢者が要介護状態になっても地域で暮らし続けていくために必要な取り組みの検討を行い、来月には報告書を取りまとめる予定でございます。
 報告書では、東京の地域包括ケアの実現に向けた理念を、みんなでつくり出す三百六十五日二十四時間の安心とし、その理念を実現するための基本方針として、地域の力、民間の力によるサービス需要への対応、都民一人一人が老後に対して主体的に臨むことなどを掲げております。
 今後、東京の地域包括ケアを具体化するために、この地域支え合い体制づくり事業の活用を区市町村に積極的に働きかけてまいります。

〇中村委員 ご答弁ありがとうございました。地域での支え合いについての取り組みが今後なされることになりますが、地域住民が主体となっての事業ですから、予算をつければすぐにできるという簡単な問題ではありません。施設介護は財政的な限界もありますし、何より地域に住み続けたいという当事者の思いにこたえるためにも、在宅介護や住民による支え合いが可能な地域社会をつくっていただきたいと思います。都においては、この条例改正による補正予算によって引き続き市区町村を支援することを要望し、次の質問に移ります。


(2)「東京都子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例基金条例」

〇中村委員 次に、東京都子宮頸けいがん等ワクチン接種緊急促進臨時特例基金条例の制定と関連の補正予算について質問します。
 都議会民主党は、会派内にがん対策プロジェクトチームを設置し、がん対策に取り組んできました。昨年の都議会第一回定例会の代表質問においても、早期発見、早期治療のための検診率の向上を主張するとともに、子宮頸がんワクチンの接種推奨と公費助成を求めました。また、Hibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンについても、子育て中の保護者から公費助成を求める多くの声をいただいてきました。
 今回、政府が補正予算を組み、公費助成を行うことになったのはそうした声にこたえるものです。最初に、接種についての自己負担の金額について伺います。これまでも、子宮頸がん予防ワクチン、Hibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンを接種したくても自己負担が大きくて大変だという声がありました。これまで自己負担としてかかっていた費用はどれくらいなのでしょうか、お伺いします。また、子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業の実施により、自己負担はどのくらいになるのでしょうか、あわせて伺います。

〇前田感染症危機管理担当部長 子宮頸がん予防ワクチン、Hibワクチン、小児肺炎球菌ワクチンの三つのワクチンにつきましては、これまでいずれも任意接種であり、医療機関によって接種価格は異なっておりました。
 おおむねの接種価格でございますが、子宮頸がん予防ワクチンは、標準接種回数が三回で、一回当たりの接種費用は一万五千円から一万七千円、Hibワクチンは、標準接種回数が四回で、一回当たりの費用が六千円から八千円、小児肺炎球菌ワクチンは、接種回数が四回で、一回当たりの接種費用は八千円から一万円と聞いております。
 また、子宮頸がんワクチン接種緊急促進事業の実施に当たりましては、接種費用や助成内容は区市町村ごとに定め、実費徴収も可能であるということから、自己負担はさまざまでございます。

〇中村委員 次に、制度について伺いたいと思います。既に市区町村で先行しているところは、自己負担が少なくなるように公費助成を行っていたところもあったようです。しかし、市区町村も財政状況が厳しい中、自治体によって取り組みに差が出ていました。予防接種の事業そのものは市区町村の事務とはいえ、住む場所の違いで大きな差のないよう、政府による財政支援が求められてきました。
 今回の事業において、国や自治体の負担についてどのようになるのかを説明願います。

〇前田感染症危機管理担当部長 本事業におきます負担割合は、国二分の一、区市町村二分の一となっております。なお、区市町村負担分につきましては、地方交付税措置がとられております。

〇中村委員 さて、これまでは市区町村の政策判断で取り組みに差があったため、同じ都内に住んでいても、その場所によって対応が違っていました。
 今回の事業によって、公費負担の割合については、各自治体の判断での差は残りますが、実施そのものについては、すべての自治体での実施が実現すると想定されます。
 もちろん、この時期の補正予算ですから、今年度に対応が間に合う自治体、来年度から始める自治体などがあるとは思います。
 そこで、子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業の実施見込みについて伺います。

〇前田感染症危機管理担当部長 本事業の平成二十二年度の実施予定でございますが、子宮頸がん予防ワクチンは二十八区市町村、Hibワクチンが三十五区市町村、小児肺炎球菌ワクチンが十五区市町村でございます。なお、平成二十三年度につきましては、すべての区市町村が実施をする予定でございます。

〇中村委員 昨年十月に国の厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会は、三ワクチンについて、予防接種法上の定期接種に位置づける方向で急ぎ検討すべきであると提言しています。都としても、国に対してそれを求めていくことが必要と考えますが、ご所見を伺います。

〇前田感染症危機管理担当部長 都は、これまでも、Hib、肺炎球菌など、予防接種法の対象となっていない疾病ワクチンの評価や位置づけなど、定期接種化を含め、予防接種全般のあり方について検討するよう、国に提案要求をしてまいりました。また、お話の予防接種部会等の動向も踏まえまして、都は、九都県市首脳会議等を通じて三ワクチンの定期接種化を図るよう、国に対して要望を実施したところでございます。

〇中村委員 ご答弁ありがとうございました。今後も都民の健康のため、引き続き働きかけをお願いします。以上で質問を終わります。

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