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都議会質問記録

【14】2011/11/01 エネルギー対策、節電対策、廃棄物行政等の環境行政について質問しました。

2011年11月1日、東京都議会 環境・建設委員会において、環境局の事務事業について質疑を行いました。以下に質問と答弁を掲載します。

(1)エネルギー政策について

〇中村委員 それでは、環境局の事務事業について質問します。
 環境への取り組みは大変重要ですが、まず震災以降、特に注目されるエネルギー政策について質問します。
 初めに、省エネ条例について伺います。
 六月の都議会定例会では、議員提案された東京都省エネルギーの推進及びエネルギーの安定的な供給の確保に関する条例が可決し、七月十九日に施行されました。省エネについてはこれまでも都の取り組みはあったのですが、議会が都民の意思として規範となる条例を定め、行政がその趣旨に基づいて都政運営を行うという点で、大変重要な意義があります。省エネ条例について都がどのように受けとめ、どのように政策に反映させていくのか伺います。
 また、震災が起こるまでは、環境というと温室効果ガスの削減が大きな命題でしたが、エネルギーの確保も重要な課題になりました。エネルギー確保と地球温暖化の防止、さらには環境保全も並立しなければならないのですが、ご所見を伺います。

〇吉村環境政策担当部長 大震災後の電力供給が不安定な状況の中で、今、東京都に求められることは、都民の生活と旺盛な経済活動を支える実効性あるエネルギー政策の具体策を確実に実行することであるというふうに考えてございます。
 そこで東京都は、ことし五月に東京都電力対策緊急プログラムを策定し、夏の大幅な電力不足に向けた緊急対策に直ちに取り組むとともに、合理的な省エネルギーのさらなる推進や、低炭素で自立分散型エネルギーの確保に向けた検討を進めております。こうした取り組みの方向性を、年内に策定する「二〇二〇年の東京」に盛り込む方針でございます。
 都は、これまでの気候変動対策の成果を生かしつつ、今後、高効率なコージェネレーション設備の導入や、再生可能エネルギーのさらなる普及拡大など、こうしたことによる自立分散型エネルギーの確保に取り組み、CO2の削減とエネルギー確保の両立を図っていく考えでございます。

〇中村委員 これまでも省エネ施策が推進されてきているのは承知をしていますが、条例の制定により、今後、だれが知事になり、どのような考えを持とうとも、行政が政策を実施する際の規範となっていきます。さらに条例では、都民にも、責務として省エネに取り組むことを定めていますが、まさに今、省エネへの取り組みが本当に必要であることを都民に示すことになります。より一層の施策の推進をお願いします。
 次に、製品の環境への負荷低減について伺います。
 製品の排出する二酸化炭素の削減については、使用する際のエネルギーの削減のため、製品の交換により、エネルギー使用量を削減できるとされているようです。ただ、製品は、消費する電力だけではなく、その製造過程においても大きなエネルギーを消費するため、製品のライフサイクル全体における排出量がどう考慮されているかも重要と考えます。
 もちろん、算定が大変難しく、そのことが企業の過度な負担増になったり、買い控えによる景気への影響も考慮に入れる必要がありますが、環境への影響を考慮すれば、こうしたことを検討する必要もあると考えますが、ご所見を伺います。

〇吉村環境政策担当部長 これまでに行われているライフサイクルCO2の算定結果を見ますと、家電製品や自動車などの場合には、製品の使用段階から排出されるCO2が多くなっており、まずは、それらの低減に努めていく必要があるというふうに考えてございます。
 このため、都はこれまで、家電製品の省エネラベリング制度や、低公害、低燃費車に対する融資補助制度などを通じまして、製品の使用段階における省エネルギー、CO2削減の推進に取り組んできたところでございます。
 しかしながら、省エネ家電製品や次世代自動車の普及が大きく進みますと、製品の製造段階から排出されるCO2の比率がふえてくる傾向もあることから、今後は、原材料や部品のサプライチェーンも含めました、製品のライフサイクル全体からのCO2削減を考えていく必要も出てくるのかなと、そういうふうに認識してございます。

〇中村委員 製品をつくるのには膨大なエネルギーがかかるということを、都民の皆様にご理解いただくような政策も必要かと思います。今のご答弁では、必要性の認識についてはご答弁いただけたものですから、今後の検討課題としていただきたいと思います。
 次に、第二回定例会で成立した補正予算以降の節電対策について伺います。
 都は、予算案編成に際して、東京都電力対策緊急プログラムを策定しましたが、そのサブタイトルには、「過度の電力依存社会からの脱却を目指して」とありました。そこで、補正予算において、過度に電力に依存しない都市政策、都民生活のあり方の検討として三千万円の予算が計上されましたが、その検討状況はどのようになっているのか伺います。

〇吉村環境政策担当部長 大都市東京におきまして過度に電力に依存しない都市づくりを進めるためには、特に、中でもエネルギー消費量の伸びの大きいオフィスビルなどの業務系施設におけるエネルギー使用量の抑制が極めて重要であると、こうした考えでございます。
 このため、補正予算を活用いたしまして、既に明らかにしておりますが、業務集積地域を対象とした電力使用量のリアルタイムでの見える化と、需給制御等を行うエネルギーマネジメントの事業化に向けた調査を、事業者の協力を得て行う予定でございます。

(2)補正予算以降の節電対策について


〇中村委員 次の質問として、ことしの夏の節電の施策について伺います。
 震災後には多摩地域や二十三区でも、一部、計画停電があり、とりわけ特定の地域が何度か停電したため、負担の偏りへの不満の声が出されました。夏については、都民の協力によって計画停電は回避されましたが、無理のない節電を誘導していくことが必要と考えますけれども、ご所見を伺います。
 また、補正予算ではさまざまな施策が出されましたが、実際の効果はどうだったのか伺います。例えば、東京都認定節電アドバイザーが百万世帯を対象としたアドバイスを行うとする施策も実施されましたが、これは大変大きな数値目標ですので、その実施状況について伺います。

〇和賀井都市地球環境部長 ことしの夏は、企業や家庭で創意工夫を凝らしまして電力削減に取り組み、昨年の夏に比べ、東京電力管内の最大電力、いわゆるピーク電力を約一八%削減したところでございます。
 都といたしましては九月末までに、大規模事業所及び中小規模事業所向けに節電セミナーを計三十八回開催し、また合計で約六百カ所に省エネの専門家を派遣するなど、企業の効果的な節電を促してまいりました。
 また、家庭の節電アドバイザーにつきましては、今年度末までの達成を目指すものでございますが、診断員を、当初予定の三千名を大きく上回ります約五千七百名に増員いたしまして、九月末現在、三十三万件以上の訪問実績を上げているところでございます。
 今後は、ことしの夏の節電の取り組みを分析いたしまして、無理のない賢い節電を呼びかけていくことが重要であると考えております。

〇中村委員 ことしの夏の節電はかなり無理をした節電という部分もあったかと思いますので、無理のない節電が必要になりますが、どう取り組んでいくかが大切です。
 もちろん、省エネといっても、電気のない時代に戻すことはできませんが、一方で、効率や便利さだけが優先されるのではないという、価値観の転換も求められる場面が出てきます。社会全体の認識や生活様式の変化が避けられないと考えます。ご所見を伺います。

〇山本環境都市づくり担当部長 ことしの夏につきましては、大規模事業所に対するキャップ・アンド・トレード制度や、中小規模事業所に対する地球温暖化対策報告書制度などを活用いたしまして、取り組みやすい効果的な節電対策を促してまいりました。
 この結果、多くの事業所で、比較的無理なく電力の削減を行うことができたという状況でございます。
 こうした中で、例えば明る過ぎる照明を見直す動きなど、過度な電気の使用を見直そうという動きが出てきております。こうした動きをとらえ、ビジネススタイルやライフスタイルの転換を図っていくことも重要だと考えてございます。
 一方、一部には、いわゆる我慢の節電もあったことは否めない状況でございます。今後、当分の間は、震災前のような電力供給力を見込めない状況でありますから、引き続き、無理のない賢い節電に継続して取り組んでいくことが重要であると考えております。
 このため、現在、都は、事業者などに、この夏の節電対策についてアンケートを実施しておりまして、その結果を踏まえ、無理のない賢い節電について取りまとめ、その内容を広く周知を図ってまいります。

〇中村委員 さて、既に報道でも、ことしの冬の暖房の時期に向けての節電対策についていわれ始めました。
 猛暑の夏ほどではないという説もありますが、夏はピークが午後一時から二時で、夕飯どきのピークとは、ずれていましたが、冬は暖房と夕食のピークが重なるため、その対応が必要ともいわれています。ことしの冬の節電対策はどのように進めていくのか、計画停電は回避できるのか伺います。
 また、来年の夏以降についてはどう考えるのでしょうか。ことしはかなり無理をした部分もあり、老朽化した火力発電所も稼働させました。また、震災直後ということで都民の意識もかなり高く、協力を得やすかったともいえます。
 危機は回避できたとはいえ、根本的な解決になったわけではないだけに、来年の夏以降の対策も大変重要ですが、どう対策するのか伺います。

〇山本環境都市づくり担当部長 ことしの冬の東京電力管内の電力需給につきましては、国は、四%から七%の供給余力があるという見通しを示してございます。もちろん、この供給余力は従来のような十分な余力というわけではありませんので、引き続き、賢い節電を推進していく必要がございます。
 この冬の電力消費につきましては夏場と異なりまして、朝や、夕方から夜にかけて電力消費が多くなる傾向がございます。夏と同様に、照明に関する対策の重要性については変わりませんが、暖房を電気からガス等の燃料に切りかえていくという、冬ならではの対策もございます。このように、冬の節電につきましては、その特徴に合わせて節電対策を推進していくことが必要であるというふうに考えております。
 また、国におきましては、計画停電や電力使用制限については、これを回避していくという基本方針を示してございます。来年の夏の電力供給見込みにつきましては、原子力発電がすべて停止する可能性がございますが、火力発電の増強などによりまして、この夏と同程度の供給力を見込めるものと考えてございます。
 ことしの夏は約五千五百万キロワットの供給力がございましたが、ことしの夏の最大電力需要としましては、八月十八日に約四千九百万キロワットが出てございますが、供給力に、ある程度の余裕がありました。こうしたことから、来年の夏の節電につきましては行き過ぎた取り組みをすることのないように、無理のない賢い節電を推進していくことが重要であると考えております。

〇中村委員 冬の寒さというものも、どのくらいになるかわかりませんし、来年の夏ももっと厳しい暑さが来るかもしれませんので、常に緊張感を持って取り組んでいただきたいと思います。
 とりわけ、ことしは補正予算での対応ということになりましたけれども、来年の夏ということになれば、これから編成する予算の中にもいろいろと施策を盛り込んでいくことになるかと思いますので、改めてことしの夏の施策を総点検して、また来年度の政策に生かしていただきたいと思います。

(3)地域グリーンニューディール基金事業について

〇中村委員
 次に、地域グリーンニューディールの基金事業について伺います。

 先ほどからの質問でも、今後の社会は、環境や省エネ、節電などが大変重要になるということを伺いました。都においては、国の制度を受けて基金が設立されましたが、成熟した社会において、社会における課題の解決と、景気対策や産業育成の両面を図る政策となっています。
 そこで、この地域グリーンニューディール基金事業の実績と効果がどうなっているのか伺います。

〇吉村環境政策担当部長 地域グリーンニューディール基金事業は、地球温暖化対策等の解決に向けた地域の取り組みを支援するとともに、環境投資による雇用創出を図ることを目的といたしました、国の補助事業でございます。
 東京都は、国から交付を受けました約十二億円で基金を造成いたしまして、平成二十一年度から二十三年度までの三カ年で、区市町村等における公共施設の省エネ改修事業等に活用してきたところでございます。
 二十三年度半ばの現時点で約十一億円を執行済みでございまして、事業全体によるCO2削減効果は、年間約一千百トンというふうに見込んでございます。

〇中村委員 この制度は国の事業をもとに行われたため、期限が来れば終了してしまいます。しかし、環境産業の育成の考え方は残す必要があると思います。今後とも、市区町村との連携を深めて、環境産業の育成を継続的に図るべきだと考えますが、ご所見を伺います。

〇吉村環境政策担当部長 東京都はこれまでも、さまざまな施策を通じまして企業の省エネ投資を促し、需要の拡大と技術革新による環境産業の育成を図ってきたところでございます。
 本事業は、温暖化防止に向けた地域の取り組みを支援するものであり、補助制度が終了した後は、区市町村がそれぞれの地域特性に合わせて独自の取り組みを継続して行っていくことが重要だというふうに認識してございます。
 東京都は今後とも、区市町村との連携を深めつつ、省エネ機器や再生可能エネルギーの普及促進等による環境産業の育成を図っていく考えでございます。

〇中村委員 環境産業の育成を図っていくというご答弁をいただきましたが、それを推進するために、今後は都独自の新たな制度の創設も必要だと思いますので、ぜひご検討をお願いいたします。

(4)廃棄物行政について

〇中村委員 最後の大きな項目として、廃棄物行政について伺います。
 過度な景気の冷え込みには留意しつつも、節電対策や生活様式の見直しに加えて、ごみの削減ということも重要です。リサイクル社会の推進として、住民や事業者、行政が一体となって、ゼロコミュニティを目指しての持続可能な資源循環型社会を築く必要があります。
 都として、廃棄物の削減目標の数値を立てていますが、どう実施していくのか伺います。
 とりわけ、多摩地域に比べて、二十三区はリサイクル率が低い現状があります。参考資料としていただいた、東京の環境二〇一一によると、平成二十一年度の地域別リサイクル率は、多摩地域が三六・八%に対して、二十三区は一九・五%と二倍近い差があります。多摩地域で生活をして細かくごみの分別をしていると、二十三区での分別が余り厳しくないのには驚かされます。なぜこのような差が生じるのか、その理由を伺います。
 また、一般廃棄物の処理は市区町村の事務とはいえ、都としても削減目標を掲げているのですから、市区町村にどのような支援を行うことによって取り組むのか伺います。

〇木村廃棄物対策部長 本年六月に発表いたしました東京都廃棄物処理計画では、廃棄物の排出抑制や資源循環の仕組みづくり等を進め、平成二十七年度の廃棄物の最終処分量を、十九年度比で三〇%削減するという目標を掲げております。
 家庭から出されます一般廃棄物の排出を抑制するためには、容器包装の簡素化、軽量化や、容器包装の分別収集、リユース商品の普及、家庭ごみの有料化などが有効でございます。多摩地域では、容器包装の分別回収率が高いことや、家庭ごみを有料化している自治体が多いことなどがリサイクル率を高めている要因と考えられます。
 今後とも、区市町村と連携しながら、リデュース、リユース、リサイクルの3R施策を推進し、ごみを出さない循環型社会の実現を目指してまいります。

〇中村委員 3R施策の推進とのご答弁がありましたが、省エネルギーの推進でも質問しましたけれども、製品の製造にもエネルギーを消費しますし、一度製品にしたものは完全にリサイクルできるものばかりでもないので、3Rの中でも、ごみの発生抑制であるリデュースが最も大切になります。
 今後も、市区町村への支援や国への提言などを含めて、さらなる取り組みをお願いします。
 さて、都として、家庭ごみなどの一般廃棄物のリサイクルを市区町村とともに推進していくことは重要です。一方、産業廃棄物においては、リサイクルの促進に加えて不法投棄防止など、適正処理を徹底してやっていかなければなりません。
 先日、工事現場で使った工具やヘルメット等が家の前に捨てられて困っているという住民からの相談を受けましたが、産業廃棄物も、山林への不法投棄だけではなく、そうした市街地における不法投棄を行うとんでもない事業者もいるようです。不法投棄は犯罪ですから、その対策においては警視庁や関係自治体と連携し迅速に対応するなど、より一層対策を強化しなければなりません。
 そこで、都としてどのようにして不法投棄対策を実施しているのか伺います。

〇木村廃棄物対策部長 東京都では、不法投棄等の不適正処理防止と早期発見等を一層強化するため、平成十四年度から警視庁からの派遣職員を含めた産廃Gメンを組織し、休日パトロールや、不法投棄現場の立入調査等を実施しております。
 また、産業廃棄物の不法投棄は都県域を越えて広域的に行われることから、関東甲信越、福島、静岡地区の三十自治体で構成する広域連絡協議会、通称、産廃スクラム三〇を設置し、産業廃棄物収集運搬車両の一斉路上調査や、不法投棄業者の情報交換等の取り組みを行っております。
 今後とも、産廃スクラム三〇や都内区市町村、警視庁とも連携し、不法投棄現場の確認や原因者の特定等を迅速に進め、厳正に行政処分を行うなど、不法投棄の撲滅に向け、取り組んでまいります。

〇中村委員 ご答弁ありがとうございました。
 環境の保護や静脈ビジネスとしての適正な事業者が育成されるためにも、不正に対する取り締まりの、より一層の強化をお願いします。
 今回の質問では、エネルギーや、環境産業の育成から廃棄物処理までを質問しました。消費生活を行う以上は、製造や廃棄の部分は見えていないだけですが、存在しています。エネルギー問題を考える上でも、上流から下流まで全体の流れを都民が認識し、生活様式を変えていくことが必要になります。
 今後ますます重要になる環境行政において、関係各位のより一層のご尽力をお願いして質問を終わります。

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