【6】2012/03/21 地球温暖化対策、太陽エネルギーの活用、ごみ処理行政等について質問しました。
環境・建設委員会 質問と答弁(2012年3月21日)
2012年3月21日、東京都議会 環境・建設委員会において、議案である平成24年度東京都一般会計予算等について、環境局に対して議案について質問しました。以下に質問と答弁を掲載します。
1.地球温暖化対策とエネルギー政策について
〇中村委員 平成二十四年度東京都一般会計予算の環境局分について質問します。
昨年の東日本大震災が起こる前までは、環境行政というと、地球温暖化対策が大きく注目されていました。しかし、震災により電力需要の問題が加わったこと で、エネルギーをいかに確保するかが注目されるようになりました。とはいえ、地球温暖化対策の必要性は重要なことに変わりはありません。
都は、カーボンマイナス東京十年プロジェクトを掲げ、二〇二〇年までに東京の温室効果ガス排出量を二〇〇〇年比で二五%削減するとの目標でしたが、震災による影響はどうなると予想されるのでしょうか。排出量はふえていないのでしょうか。目標は達成できるのか、伺います。
〇和賀井都市地球環境部長 現在、東日本大震災以降の原子力発電所の稼働停止に伴います電力不足を補うため、老朽火力による電力供給が増加していることか ら、電力の供給一キロワットアワー当たり、どれだけのCO2を排出しているかというものを示します数値であります排出係数というものがございますが、こち らは上昇するものというふうに見込まれております。
しかしながら、震災以降の電力不足に際しましては、これまでの地球温暖化対策の中で実施してきました施策を活用し、例えば照明照度の見直しですとか、空 調の温度の見直しなど、無理なく実践できます即効性のある対策の普及啓発を通じて、事業者、家庭とともに一丸となって節電対策、省エネルギーに取り組んだ ところでございます。その結果、東京電力の発表によりますと、二〇一一年度の上半期、東京電力管内の販売電力量は、昨年比でおよそ一四%減少してございま す。
今後とも、昨年夏の成果を踏まえた節電対策、省エネルギーにおけますグッドプラクティスの発信等を通じまして、これまでの電気の使い方の見直しを促しま して、スマートな節電、省エネルギーを促進していきます。加えまして、高効率で低炭素な自立分散型エネルギー源の導入ですとか、天然ガス発電所の設置、都 内におけます太陽エネルギーを中心としました再生可能エネルギーの一層の普及拡大を通じました電力供給の低炭素化もあわせて進めてまいります。
このように、エネルギーの需給両面からの対策に取り組むとともに、電力以外におきましても、先ほどの質疑にもありましたとおり、運輸部門におけます CO2削減などにも取り組みまして、二〇二〇年までに東京の温室効果ガス排出量を二〇〇〇年比で二五%削減するという目標達成に努めてまいります。
〇中村委員 震災によるエネルギー確保という大きな問題はありますが、温室効果ガス排出量の二五%削減という目標に変わりがないことをご答弁で確認させていただきました。
とはいえ、幾つかの課題に並行して取り組むことは大切ですが、大変なことでもあります。都は、東日本大震災後の大幅な電力不足を受け、電力対策緊急プロ グラムを策定し、事業所、家庭における省エネ、節電対策を推進してきましたが、全国的に原発の停止等による電力不足が予想されるこの夏以降は、都の環境、 エネルギー政策は、電力確保、生活水準の維持、環境保全か、何を優先するのでしょうか。
節電を含めて、経済への影響や都民生活の水準はどうなると考えているのか、ご所見を伺います。
〇吉村環境政策担当部長 先ほどの都市地球環境部長が答弁させていただいた内容にもありましたとおり、昨年夏は、大幅な電力不足を受け、家庭や職場におけるこれまでの電気の使い方が大きく見直されたところでございます。
一方、一部に見られました、家庭でのエアコンを全然使わない、不使用とか、職場でエレベーターを完全にとめてしまう、あるいは一部とめてしまうというよ うなことで、健康への影響や業務効率の低下をもたらす、こういった無理な節電を今後継続して実施し、定着させていくということは困難でありますし、こうい うことを行政施策として継続して実施していくことは無理があるというふうに考えてございます。
そこで、今後は、省エネ技術等を活用することなどによりまして合理的な節電を進め、電力需給の安定化、都民生活や執務環境の快適性の維持、CO2排出量 の抑制といった三つの課題をうまくバランスさせて、両立させていく施策に取り組むことが必要であるというふうに認識しております。
具体的に申しますと、まず需要面では、運用面の対策に加えまして、先ほどの質疑にありましたスマートメーター等によるエネルギー使用量の見える化、高効 率照明、空調の導入など、設備面での対応を計画的に行い、合理的な省エネ、節電を実現していく、こういうことが必要であるというふうに考えます。
また供給面においても、高効率なコージェネレーション設備などによって自立分散型エネルギーを進めていくことや、太陽エネルギー等の再生可能エネルギーの大幅な普及拡大など、低炭素な電源の確保を推進していくことが重要だと考えてございます。
このように、エネルギーの需要と供給の両面からの対策を継続して進めまして、電力の需給の安定化と生活水準の維持、あるいは環境保全など、多くのファクターをうまくバランスさせて定着させていく、こういった取り組みを進めていきたいというふうに考えてございます。
〇中村委員 いずれの要素も大切であり、うまくバランスをさせていくとのことでした。それを実現するには行政のリードが必要ですが、都民の協力も大切で す。そのためには適切な情報が必要ですが、電力は足りているという説とか、足りていないという説など、さまざま報道され、都民にも戸惑いがあります。正し い情報に基づいて正しい判断がなされるよう、お願いいたします。
2.太陽エネルギーについて
〇中村委員 次に、太陽エネルギーについて伺います。
都は、昨年十二月に発表した「二〇二〇年の東京」計画では、都内の全戸建て住宅の六分の一に相当する三十万戸に太陽光発電を整備することで、九十万キロワットの電力を生み出すとしています。
家庭における創エネルギー導入補助が、昨年夏の補正予算で、平成二十三、二十四年度の二カ年の事業として組まれています。住宅用の太陽光発電や太陽熱利 用等が補助対象となっていますが、太陽光発電は、平成二十二年度末で一たん終了した補助事業を復活させた形となっており、その経緯及び補助の効果を伺うと ともに、今後、太陽エネルギーの活用をどのように考えているのか伺います。
また、三月十九日には、朝日新聞に一面の全面広告として大野環境局長の対談の広告記事を掲載して、太陽熱の普及促進について大きく推進をしています。広 告には、家庭部門のエネルギー消費量の半分は、今後、太陽熱にしたいというグラフも掲載されています。太陽熱の普及促進も含めてご回答願います。
〇和賀井都市地球環境部長 住宅への太陽光発電の補助事業につきましては、平成二十一、二十二年度の二カ年で約一万九千件に上る導入実績を上げ、平成二十二年度は、補助開始前と比べて約七倍以上に導入を拡大したところでございます。
このように所期の目的を達したため、当初予定どおり、平成二十二年度末で事業を終了いたしましたが、震災に伴い、家庭における電力確保が喫緊の課題と なったため、昨年夏の補正予算に基づきまして、創エネルギーを目的として再開したものでございます。今年度は、七倍以上に拡大しました昨年度をさらに四割 程度上回るペースで導入が拡大しております。
さらに、お話にありました太陽熱につきましては、今後は、給湯や暖房といった熱需要が全体のエネルギー需要の約半分を占める家庭におきまして非常に有効 でございますので、太陽熱の利用を促進することが重要だと考えてございます。太陽熱市場を再構築するため補助事業を展開しながら、太陽エネルギーを最大限 活用してまいります。
〇中村委員 太陽エネルギーを最大限活用することへの決意を伺うことができました。
先ほど紹介した環境局の広告には、太陽光発電の効率は十数%、太陽熱は四〇から六〇%とあります。もちろん、電気として使うか、熱として使うかの違いは ありますが、住宅の状況によっても活用の仕方が変わってきますので、最適な組み合わせで最大限活用できるような検討をしていただきたいと思います。
さて、太陽光発電は住宅用を中心に導入が進んでいますが、ことし七月から開始される固定価格買い取り制度では、住宅用太陽光発電以外の再生可能エネルギーについて、その発電電力の全量が買い取られることになっています。
これにより、住宅以外でも太陽光発電の導入が大幅に拡大することが期待されますが、都として、この全量買い取り制度によるさらなる普及拡大効果についてどのように認識をしているのか、ご所見を伺います。
〇和賀井都市地球環境部長 固定価格買い取り制度の法律が成立以降、住宅以外のスペースを活用しました太陽光発電のビジネスプランを検討する事業者が多数出てきてございます。
全国的には、大規模な遊休地を活用しましたメガソーラー事業が動き出しておりまして、広大な敷地の確保が困難な都内におきましても、倉庫ですとかホームセンターなど、比較的広い屋根面積を確保できる施設の屋根を活用した発電事業の検討が始まっております。
このような取り組みは、住宅より大きな太陽光発電の導入が促進される点で有意義と考えておりますが、実際に成果を上げるためには、国が設けました第三者 委員会で検討が始まった買い取り価格について、事業採算がとれる水準で設定されるなど、固定価格買い取り制度の実効性が担保されることが重要だと認識して ございます。
3.区市町村補助事業について
〇中村委員 次に、区市町村補助事業について伺います。
都はこれまで、地球温暖化対策や緑の創出、保全をさらに進めるためには、都民や事業者に身近な区市町村においての取り組みが必要として、平成二十一年度 から三年間にわたって東京都地球温暖化対策等推進のための区市町村補助事業制度を行い、平成二十三年度には十八億六千万円の予算が計上されていました。
まず、三カ年の成果について伺います。
〇吉村環境政策担当部長 平成二十一年度から実施しております地球温暖化対策等推進のための区市町村補助制度につきましては、これまでの三年間で、都内六 十二区市町村のうち五十二団体でご活用いただきました。残念ながら、島しょを中心に十団体には結局はご活用いただけなかったのですが、多くの団体にご活用 いただいて事業を実施しました。
この制度の活用によりまして、例えば商工会等、事業者団体と連携した中小規模事業者のCO2の削減対策であるとか、あるいはコミュニティバスへの電気自 動車の導入、また、西多摩地域においては間伐材の木質バイオマスの利用など、地球温暖化対策等の推進に向けた、地域の特性を生かしましたさまざまな事業が 行われました。
これらを通じまして、各区市町村の地域特性に応じて、地球温暖化対策、また緑の創出、保全が実現しまして、区市町村の創意工夫に基づく波及効果の高い先駆的な事業への取り組みの促進など、大きな成果を得ることができたというふうに考えてございます。
こういったことで、当初想定していた制度創設の目的は達成できたのではないかなというふうに認識しております。
〇中村委員 大きな成果が出たとのご答弁でしたが、この三月末で、先ほど述べた補助事業は終わります。
そして、次年度、平成二十四年度からは、二カ年の事業として、地域と連携した環境政策推進のための区市町村補助事業が始まるとのことで、平成二十四年度には五億円の予算が計上されています。
前の制度からすると、単純に予算規模だけ見れば減っているのですが、新しい制度の内容について伺います。
〇吉村環境政策担当部長 平成二十四年度から新たに開始いたします、地域と連携した環境政策推進のための区市町村補助制度につきましては、東日本大震災を 踏まえた新たな課題への対応等を含めまして、区市町村が事業主体となる緊急性、重要性の高い環境施策に関し、都がその事業費の二分の一を補助する制度でご ざいます。
この制度では、区市町村単独で実施する事業に加えて、住民やNPO、民間団体等、地域と区市町村とが連携を図りつつ取り組む事業も対象としております。こうした環境政策に向けた地域住民等の参加を促進する仕組みとしております。
また、事業採択に際しましては、区市町村の個々の取り組みが近隣自治体へ与える影響も重視する予定でございまして、各区市町村の取り組みが都内全域に広く波及し、相乗効果を発揮することも期待しております。
具体的な補助メニューとしましては、省エネでは、例えばNPOと連携した家庭の省エネルギーを促進する仕組みづくりであるとか、再生可能エネルギーでは 地中熱利用を促進する事業、あるいは、生物多様性では生物多様性のための計画策定、あるいはその計画に基づく取り組み、廃棄物抑制の事業としては、先ほど ちょっとご議論のありましたレアメタルのリサイクル事業なども、区市町村で取り組んでいただくときにご支援させていただくという考えでございます。
〇中村委員 先ほど述べましたが、新たな事業は二カ年ということですが、平成二十六年度以降は、区市町村補助はどうするのか伺います。
〇吉村環境政策担当部長 地域と連携いたします環境政策推進のための区市町村補助制度につきましては、お話のように、平成二十四年度、二十五年度の二カ年間の事業として予定してございます。
二十六年度以降につきましては、それまでの事業の進捗やその効果を検証した上で検討していくことになるというふうに考えてございますが、今、私どもとし ては、この平成二十四年度から始まる新たな補助制度を区市町村にご活用いただけるよう、全力を尽くすことが重要であると考えてございます。
こうした取り組みを進めまして、都民に身近な区市町村がみずからの責任と創意工夫によりまして、地域に根差した環境施策に積極的に取り組んでいただけることを期待しているところでございます。
〇中村委員 これから始まる事業ですから、まずそれが活用されるということは大事だと思いますが、二年後に効果を検証した上で、また検討していくというご答弁でもありました。
環境政策については、市区町村で取り組む課題ではありますが、財政力の差にかかわらず自治体で取り組んでいただきたい課題でもあります。例えば、福祉の 方では包括補助制度のような制度もありますので、グリーンニューディール基金の方も終了したようですから、環境分野においても、施策推進のための新たな制 度の創設というのも必要かと考えます。
さらに、市区町村の枠組みを超えて活動するNPO等の民間団体もありますので、そうした市民活動も継続して活動していけるような制度の創設を求めて、次の質問に移ります。
4.ごみ処理について
〇中村委員 次に、来年度の新規予算として計上されている、エネルギーセンターとしての廃棄物処理施設の調査研究の内容を伺います。
予算の資料によると、多摩地域におけるエネルギーセンターとしての廃棄物処理施設の規模等を調査研究するとして六百万円が計上されています。都は、「二 〇二〇年の東京」計画の中では、ごみ発電により十万キロワットを新たに創出するとしています。既に二十三区では、すべての焼却施設で発電をしているため、 多摩地域でということのようですが、多摩地域での市町村の焼却炉の状況についても、あわせて伺います。
〇木村廃棄物対策部長 多摩地域にあります市町村の清掃工場は、市単独は十一工場、それから、複数の市が一部事務組合をつくって運営しているところが六工場、合計十七工場でありまして、このうち、ごみ発電設備を有するのは七施設でございます。
二十三区ではすべての清掃工場で発電設備を有しており、多摩地域においても、清掃工場の建てかえにあわせて、ごみを再生可能エネルギーとして活用するよう検討する必要があると考えております。
平成二十四年度の調査研究では、ごみ発電やバイオマス利用など、エネルギーが活用できる処理技術等の内外の先進事例を収集、研究するとともに、エネルギーセンターとしての廃棄物処理施設の最適な処理規模などを検討してまいります。
〇中村委員 エネルギーのことを検討するのは大切なことだと思うんですけれども、今はまず、多摩のごみをどのようにするかということは、大きな問題としてあると思います。
一般廃棄物の処理については、収集、運搬、分別、焼却、最終処分まで自治体内で行う自区内処理が原則とされています。しかし、実際には、東京都内において自区内で埋め立てまでできる敷地を確保するのは大変困難です。
二十三区では都からの分権が進み、ごみ処理は二十三区の業務になりましたが、二十三区のごみは東京都の中央防波堤で埋めていただいてはいますけれども、多摩地域ではそういうところがないので、一部事務組合をつくって、日の出町で最終処分を行っていただいています。
先ほどの質問でも、多摩地域の廃棄物処理施設について、エネルギーセンターとしての検討をするということでしたが、そもそも多摩地域のごみ行政をどのようにするのかという幅広い議論も必要ではないかと思います。
もちろん、市町村の事務ですから、最終的には市町村の判断になりますし、そうでなければならないと思います。ただ、複雑な事情と長い歴史のある問題です から、先々を見ても、焼却炉を建てかえる都度、今のような問題が発生しかねない事項でもありますので、都も全く無関係ではいられないと思います。
東京都のように、都市部においては自区内だけで最終処分することは現実的には困難な中で、将来的な多摩地域のごみ処理について、都としてはどのように考えているのか、ご所見を伺います。
〇木村廃棄物対策部長 廃棄物処理法では、一般廃棄物の処理は基礎的自治体である市町村の事務とされております。
一般廃棄物の収集、運搬は各市町村が実施しております。清掃工場につきましては、先ほどいいましたように、市単独あるいは複数の市町村が組合をつくって 清掃工場を設置、運営しております。最終処分につきましては、多摩地域のほとんどの自治体、二十五市一町で東京たま広域資源循環組合をつくり、運営してお ります。
このように、事業の内容に合わせて、各市町村が市町村の判断において事業主体を決めていくことが原則であると考えております。
都は、広域的な立場で、多摩地域におけるごみ処理問題解決のため、必要な技術的支援と市町村相互間の調整を行ってまいります。
〇中村委員 ごみの問題は、都市部においては本当に重要な問題だと思います。
先ほど述べたような状況の中で、多摩地域では厳しい状況から、ごみを減らしているという努力は、多摩地域は全国で最も進んでいるといっても過言ではないと思います。
以前の委員会でも質問しましたが、リサイクル率だけで見ても、区部では約二〇%なのに対して、多摩では約四〇%ということで、住民の皆様は、分別を含め て大変努力と協力をしていただいています。それだけに、現在では市町村の業務ではありますけれども、広域行政の視点から、市町村の意見もよく聞いて、より よいごみ行政について検討していただくことをお願いしまして、質問を終わりたいと思います。
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