【8】2012/03/29 高齢者の生活と住まいについて文書質問を行ないました。
2012年3月議会 文書質問と答弁(2012年3月29日)
2012年3月29日、都議会本会議で、文書質問「高齢者の生活と住まいについて」を知事に提出しました。高齢社会を迎えて住宅政策は大変重要です。そうした中、多様な住まい方を選択する動きがある中で、自立した住民が、プライバシーを尊重しあいながら、支え合い生活する暮らし方である「共同居住(グループリビング)」について質問しました。毎回一般質問ができる市議会と違い都議会では時間等の制約から4年間に数回しかないため、質問機会を保障するため文書での質問を認める制度があり、それを活用したものです。回答は知事の決済を経て次回の議会に文書で回答されますが、議事録上は本会議での質問と同様の扱いがされます。質問と答弁は以下の通りです。
1.高齢者の生活と住まいについて
3月15日に東京都総務局が発表した「住民基本台帳による東京都の世帯と人口」によると、平成24年1月1日のデータで、「総人口に占める65歳以上人口の割合は 20.76%、調査開始以来過去最高を更新」となり、高齢社会がますます進展しています。ところが、人口割合だけではなく、住まい方の変化の中で、「一世帯当たり人員は1.99人、都全体で初めて2人を下回り調査開始以来過去最小」となったことは、一人暮らしが必ずしも高齢者とは限らないとはいえ、いわゆる独居高齢者の増加が推測されます。昨今では、報道でも「孤独死」が報じられるなど、高齢社会における問題は、とりわけ都会である東京都において深刻な問題になります。
高齢そのものは悪いことではないはずですが、寝たきりや介護のイメージからあまりよい受け止め方をされていません。本来、長寿は喜ばしいことであり、いつまでも元気で安心して暮らせることは良いことのはずです。住宅政策は生活そのものでもあり、所得階層に応じた多様で重層的な対応がより一層必要です。有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、ケア付き賃貸住宅、シルバー住宅などの充実が必要です。もちろん、施設の整備だけでなく、地域の支え合いのようなソフト面での施策も必要です。住宅政策と福祉政策のより連携が必要です。
以下、高齢社会における生活と住まいについて質問します。
質問1:世帯数が2人を下回ったことは、翌日の報道では知事も衝撃を受けたことが報じられています。この事実は、さまざまな観点から対応を考える必要はありますが、住宅政策の視点から、都としてどのような認識を持っているのか伺います。
答弁1:都民の家族構成、生活様式等は、大きく変化しており、世帯規模の縮小と同時に高齢化が進行し、高齢夫婦のみ世帯や高齢単身世帯が急速に増加していると認識しています。
質問2:民間賃貸住宅の入居者制限を行っている家主は全体の19.6%になるとの調査データがあります。これは、単身の高齢者だけでなく、高齢者のみ世帯の場合も不可になる場合があるようです。高齢者にとって賃貸住宅を探す際に大変苦労されるとの話も聞きます。こうした状況について、原因をどう認識し、どのように対応するのか所見を伺います。
答弁2:財団法人日本賃貸住宅管理協会が実施した調査によると、入居制限を行っている理由として「家賃の支払に対する不安」、「居室内での死亡事故等に対する不安」などがあります。都はこれまでも、高齢者の入居を拒まない民間住宅の登録・情報提供、宅地建物取引業者を対象とした講習会の開催及びリーフレットの作成・配布を始めとした幅広い情報提供や啓発活動を実施しています。今後とも高齢者の居住安定確保に取り組んでいきます。
質問3:東京都住宅政策マスタープランが改定される中で、「空き家を高齢者などの新しい住まい方である『共同居住(グループリビング)』用に改修する場合や、木造住宅密集地域内の従前居住者向けの移転先住宅として活用する場合に、改修費用の一部を助成するモデル事業を実施します。」との項目が記載されました。空き家の活用という側面からの事業のようですが、「共同居住(グループリビング)」という概念が盛り込まれたことは大きな意義があると考えます。
「共同居住(グループリビング)」は、自立した住民が、プライバシーを尊重しあいながら、支え合い生活する暮らし方です。高齢社会において医療や介護等の公的負担が大きくなる中、施設ではなく、地域での孤立でもなく、自宅での生活に近い自立した生活を望む取り組みが各地で行われています。先駆けとして、神奈川県藤沢市の「COCO湘南台」があり、私も訪問しお話を伺いました。また、都内でも狛江市の「狛江共生の家・多麻」を見学しましたが、このように多くの実例ができています。
平成24年度予算には、「民間住宅活用モデル事業等」として1億円が計上されました。その中で、「共同居住(グループリビング)」の事業の概要を伺います。
答弁3:都は、平成24年度に国が創設する民間賃貸住宅に対する改修助成事業を活用し、空き家を共同居住用等に改修する場合に、国による補助に加えて、その費用の3分の1、1戸当たり上限100万円の助成を行うモデル事業を実施します。
質問4:今回の事業では空き家の所有者と希望する高齢者のマッチングが大切だと考えます。とりわけ、各市区町村やNPO法人などの民間団体等の協力は必要不可欠になると考えます。どのように事業を進めるのか伺います。
答弁4:住宅マスタープランにおいて、空き家を高齢者などの新しい住まい方であるグループリビング用に改修する場合に、改修費用の一部を助成するモデル事業を示しています。事業の実施に当たっては、広く提案を募り、モデル事業にふさわしい取組を選定します。
質問5:今後、高齢社会において、さまざまな暮らし方がある中で、この「共同居住(グループリビング)」という住まい方についての都の認識、今後どのように対応していくのか伺います。
答弁5:共同居住は、高齢者にとっての安心できる暮らしの実現を始め、都民の多様なニーズに応じた、東京における新たな居住形態の一つであると認識しています。モデル事業を実施し、その取組を都民、事業者へ紹介していきます。
Twitter
@Nakamura_Mitaka からのツイートfacebook