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都議会質問記録

【10】2012/06/13 都議会 本会議で一般質問を行いました。

東京都議会 本会議 一般質問 質問(2012年6月13日)

2012年6月13日、東京都議会 本会議において都政に関する一般質問を行いました。以下に質問を掲載します。
(議場では全質問をまとめて行った後で一括で答弁されましたが、以下は一問一答に並べ替えたものです)

<質問項目>

1.少子・高齢社会への対応について
(1)高齢者・若年者の雇用対策について

(2)高齢者の住まいと地域での見守りについて
2.都民の健康について
(1)がん対策について
(2)精神保健福祉について
3.多摩地域の課題について
(1)地域主権について
(2)調布飛行場について
4.エネルギー政策について
5.中国残留孤児問題について

1.少子・高齢社会への対応について

(1)高齢者・若年者の雇用対策について

○都議会議員 中村ひろし 最初に、少子・高齢社会への対応について質問します。現在、老後の不安、若い世代の貧困など、先への不安を抱く 方も多くいます。都政には多くの課題がありますが、「現在の東京の最大の課題は雇用と貧困だ」と指摘する有識者もいます。昨今、知事は国政に関する発言が 目立ちますが、都民の暮らしについてももっと発信をしていただきたいと思います。
 2013年4月以降は公的年金の報酬比例部分が段階的に65歳に引き上げられます。現在のままでは、60歳定年以降、継続雇用を希望したとしても雇用が 継続されず、また年金も支給されず無収入となる期間が生じる可能性があり、いわゆる「2013年問題」と言われています。この問題に対応するため、企業 に、継続雇用制度などの65歳までの雇用を確保するための制度の導入を義務付ける高年齢者雇用安定法の改正案が国会に提出されています。一方、この高齢者 の雇用により若年者の雇用機会が失われるのではないかとの声もあります。高齢者の生活も大切ですし、若年者の仕事の確保も大切です。高齢者・若年者、両者 に対する就労支援を行っていく必要があると考えますが、都としての対応を伺います。

〇産業労働局長 前田信弘 高齢者と若年者に対する就業支援についてのご質問にお答えします。
 今後、少子高齢化の進展により、労働力人口の減少が見込まれる中、世代を問わず働く意欲と能力のある方が就業を通じて社会を支え、活躍できるよう支援す ることが重要であります。ご質問の高齢者につきまして、都は、東京しごとセンターで就業相談や就職支援講習などを行うほか、地域で臨時的、短期的な就業機 会を提供するシルバー人材センターへの支援などを行っております。また、若年者に対しましては、しごとセンターでのカウンセリングなどに加え、就職面接会 の開催、研修と就業体験を通じた正規雇用化への支援などを行っております。今後とも、さまざまな施策を通じて、すべての年代の方々に意欲と能力に応じた支 援を行い、就業を推進してまいります。

(2)高齢者の住まいと地域での見守りについて

○都議会議員 中村ひろし 次に、高齢者 の住まいの課題について伺います。都は、施設での介護よりも住まいに近い形のモデルとしてサービス付き高齢者住宅、都型ケアハウス、シルバー交番の3つを 示しました。とりわけ中間所得層向けのサービス付き高齢者向け住宅については、先日見学させていただきましたが、バリアフリーの住宅に行きとどいたサービ スがあり素晴らしかったのですが、今後普及するかどうかは注視していきたいと思います。今般、自治体でも品川区が主体となって整備するとの報道もありまし た。今後、サービス付き高齢者向け住宅などの高齢者向け住宅を大幅に供給していく必要があると考えますが、都の設置促進に向けた取り組みを伺います。

〇都市整備局長 飯尾豊 高齢者向け住宅の設置促進についてでございますが、高齢化が急速に進む中、高齢者が多様なニーズに応じた居住の場を選択でき、住みなれた地域で安心して暮らすことが重要でございます。
 このため、都は、平成二十一年、猪瀬副知事の発案により立ち上げたプロジェクトチームの検討結果に基づきまして、高齢者向けの賃貸住宅の供給促進を図る ことといたしました。国は、この都の先駆的な取り組みを受け、昨年四月に関係法を改正し、現在は、これに基づき供給促進を図っております。
 お話の高齢者向け賃貸住宅は、平成二十三年度末で約二千七百戸が設置されており、平成二十六年度までの設置目標である六千戸に向け順調に推移しております。
 高齢者向け賃貸住宅の供給促進には、市区町村との連携強化や事業者への制度の周知が不可欠であり、都独自の基準や補助制度をわかりやすく示したパンフ レットを作成し、周知に努めているところでございます。今後とも、国や市区町村と連携し、サービスつき高齢者向け住宅などの設置促進に取り組んでまいりま す。

○都議会議員 中村ひろし 孤独死、孤立死は大きな課題です。以前も述べましたが、都知事の選挙公報の10の約束の一つに「認知症ゼロ・寝たきりゼロ・孤独死ゼロのトリプル・ゼロ社会を『東京ルール』で実現します」とありましたので、具体的な取り組みを求めます。
 昨年度、都は東日本大震災の影響による電力不足を受けて、高齢者の熱中症対策を緊急対策事業として実施しましたが、震災後の特殊事情だけではなく、日常 的な高齢者施策としての見守りが必要です。地域では創意工夫を凝らした様々な取り組みが行われていますが、オートロックマンションや個人情報の壁など、依 然として見守りの現場における課題は多いのが現状です。取り組みに地域差があることも気になります。都は、市区町村において、より効果的な高齢者等の見守 りの取り組みが進むよう、一層支援すべきと考えますが、所見を伺います。

〇福祉保健局長 杉村栄一  まず、区市町村の見守りの取り組みへの支援についてでございますが、都はこれまで、民生委員や自治会、町会な どによります高齢者の見守りを行う区市町村に対して、包括補助を通じて支援をいたしているほか、シルバー交番設置事業により、地域の高齢者を見守る拠点の 充実を図っております。
 今年度は、見守りの担い手を中心に構成する会議を新たに設置しまして、これまでの取り組みの検証や先駆的事例の分析を行い、効果的な見守り手法などを検討することとしておりまして、この結果も活用しながら、区市町村の取り組みが一層進むよう支援してまいります。

2.都民の健康について

(1)がん対策について

○都議会議員 中村ひろし がん対策につ いて伺います。3月28日に東京都がん対策推進協議会を傍聴しました。先の定例会最終日の29日の前日で、まだ条例の可否が決まる前でしたが、福祉保健局 長からは議会での議論について評価をされていました。国の方でもがん対策推進基本計画が閣議決定され、都も25年度の改定に向けて取り組んでいる大切な時 期だと思います。がんには早く見つけて治療をすれば治るがんがありますし、治療もずいぶん進んできました。治せるがんを早く見つけるためにも、がん検診の 受診率向上に向けた取り組みは大変重要で、そういう点では、都議会民主党の要望により、今年度の予算に新規事業として「がん検診受診率・精度向上支援事 業」が計上されたことは評価します。
 しかし、都のがん対策基本計画では平成24年度の目標を50%としながらも、2割台から3割台にはできましたが、まだまだ目標にはほど遠い数値です。が ん検診受診率を向上させるためには、自治体だけでなく、職域等の受診率の向上も重要です。がん検診受診率への効果的な対策を考えるためにも、まず現状把握 に取り組むべきと考えますが、現在、職域におけるがん検診は位置づけが明確になっておらず、受診状況の正確な把握もできていません。都の所見を伺います。

福祉保健局長 杉村栄一 次 に、職域のがん検診についてでございますが、職域におけるがん検診は、法令等における位置づけが明確でないため、受診状況の正確な把握や精度管理を行うこ とが困難でございます。また、がん検診の受診率を向上させるためには、区市町村が行う検診とあわせ、検診全体に占める割合が高い職域における検診の受診を 促進することが重要でございます。このため、都は、職域におけるがん検診につきまして、がん対策推進基本計画に明確に位置づけ、受診率や実施状況を把握で きる仕組みを構築するとともに、有効ながん検診が実施されるようガイドラインを示すなど、支援策を講じることを、国に対し、提案要求をしております。

○都議会議員 中村ひろし また、都民の受診率向上のために、都はどのように取り組んでいくのか伺います。

福祉保健局長 杉村栄一 次に、がん検診の受診率向上のための取り組みについてでございますが、都はこれまで、リーフレットやホームページ、イベントなどを通じ、がん検診の重要性や具体的な受診方法等について、都民に周知を図ってきました。ま た、がん検診の実施主体であります区市町村に対しましては、個別の受診勧奨など、効果的な受診率向上策に取り組む際に、包括補助事業を活用して支援をいた しております。さらに、がん検診に積極的な企業をがん検診推進サポーターに認定をいたしまして、従業員への受診勧奨や都民への普及啓発などの活動を支援し ております。今年度は、こうした取り組みに加え、研修やイベント等で活用する映像作品を制作し、都民のがん検診受診率の向上を図ってまいります。

○都議会議員 中村ひろし がん患者の方 が自宅で療養する場合、独居高齢者の場合は十分に対応できないという不安があります。往診に行ったら亡くなっていたという医療関係者の声も聞きました。在 宅での療養と独居との関係も重要な課題です。国は医療制度をつくるのですが、地域福祉との連携は地方自治体の役割です。今後、都としてがん患者の地域にお ける療養生活を安定したものにする施策、さらには社会復帰に向けての支援についてどのように取り組むのか伺います。

福祉保健局長 杉村栄一 次 に、がん患者の療養生活についてでございますが、都は、病院での治療を終えたがん患者が、住みなれた地域で安心して療養できるよう、病院から在宅への円滑 な移行等を調整する窓口の設置や、急変時の病床確保など、区市町村における在宅療養の取り組みを支援いたしております。
 また、五大がん及び前立腺がんについて、東京都医療連携手帳を作成し、患者が自分の治療計画を理解して、地域で診療を受けることができるよう、普及を 図っております。今後とも、がん患者が社会復帰を含め、地域の中で療養生活を継続できるよう、在宅療養の取り組みを進めてまいります。

(2)精神保健福祉について

○都議会議員 中村ひろし 次に、精神保 健福祉について伺います。昨年、厚生労働省が精神疾患を5大疾患と、医療計画の必須事項となりましたので、今後改定を行う東京都保健医療計画に盛り込まれ ることになります。とりわけ若年層については重要であるにも関わらず支援が十分に行き届いていない領域と言われています。若年者の苦しんでいる状況を何と かしたいという切実な声も届いています。精神疾患も早く見つけて早く支援を行うことは大切です。都は、そのために内科医の研修を行うなど取り組んではいま すが、医療機関だけではなく、民間事業者によるサポートが行われている事例もあり、地域において若年層を対象とした医療と福祉の連携に取り組んでいく必要 があると考えますが、所見を伺います。

福祉保健局長 杉村栄一 次に、若年層への支援における精神科医療と福祉の連携についてでございますが、精神障害者を支援するため、区市町村では、民間事業者も活用し、地域活動支援センターを中心に相談支援を実施いたしております。
 また、都では、精神保健福祉センターや保健所におきまして、若年層やその家族を対象に専門職による思春期、青年期相談を行いますほか、区市町村や民間事業者等と共同いたしまして事例検討会を実施するなど、医療と福祉が連携した支援に取り組んでおります。
 今後とも、こうした取り組みを進め、若年層の精神障害者を支援してまいります。

○都議会議員 中村ひろし 精神疾患に関 する施策に関連して児童虐待への対応についても伺います。先の予算特別委員会でも多くの議論がありましたので、私も東京都児童相談センターや杉並児童相談 所を訪問しました。痛ましい事件がなくせるよう一層の取り組みを要望するものです。児童虐待が問題になるとき、親に精神疾患の疑いがある場合もあります。 児童相談所で子どもの対応はするのですが、親への対応はどのようにしているのでしょうか。児童相談所は保健所と連携したり、専門家を配置する等の取り組み が必要と考えますが所見を伺います。

福祉保健局長 杉村栄一 次に、児童相談所における親への対応についてでございますが、児童相談所は、親からの虐待が明らかになった場合、子どもの状況や家族環境、親の精神的な状況など、個々の家庭状況等を把握した上で、その家庭に対する支援方針を定め、親への指導を行っております。
 そのうち、精神疾患の疑いがあるなど、医療支援が必要な親に対しましては、児童福祉司や保健師の資格を持つ専門職員が、保健所等と連携をし、医療機関への受診の働きかけを行うなど、家庭生活を立て直し、子どもの養育が適切にできるよう支援をいたしております。

3.多摩地域の課題について

(1)地域主権について

○都議会議員 中村ひろし 地域主権につ いて質問します。都は三多摩格差はなくなってきたと言いますが、近年でも公立小中学校におけるエアコン設置率のあまりの差に依然として格差があることを実 感させられました。都が市町村総合交付金を年々拡充できたことは評価します。ただ、多摩地域では保健所が統合され、多摩図書館の位置付けも変わりました。 今度は労働情報相談センターも統合しようとしていていますので、サービスが低下しないよう要望します。
 また、本年4月には、地域主権一括法により多数の事務が都から市区町村に移譲されました。各市区町村においては、実施主体の変更に伴うサービスの低下を招かぬよう懸命にサービス水準の維持向上に努めているところです。
 これら移譲事務にかかる財源は、地方交付税により国が措置するとされていますが、多摩地域には、交付団体もあれば不交付団体もあります。不交付団体に とっては、仕事は増えたが財源は来ないという現状であり、この状況は住民サービスにも影響しかねません。私の地元・三鷹市も不交付団体ですが、このような 状況も踏まえ、先般、三鷹市長が、総務大臣あてに「地方交付税の不交付団体における都市財政の充実強化についての要望」を提出しました。都においても、市 区町村の実情を踏まえ、国に対して強力に働きかけを行っていくべきと考えますが、ご所見を伺います。

〇総務局長 笠井謙一 市区町村の実情を踏まえた国への働きかけでございますが、地域主権一括法による市区町村への権限移譲に係る財源につきましては、国が、地方交付税や国庫負担金などにより確実に措置することとされております。
 しかし、地方交付税では、不交付団体にとって事実上の財源措置になり得ず、不満があることは都としても承知をしております。
 そのため、都は、国への提案要求等により、これまでも不交付団体などすべての市区町村に対し、必要な財源を措置するよう国に求めてまいりました。
 今後とも、市区町村の実情を踏まえながら、国に対して確実な財源措置を行うよう働きかけをしてまいります。

(2)調布飛行場について

○都議会議員 中村ひろし 次に調布飛行 場について質問します。調布飛行場は三鷹市、府中市、調布市3市にまたがり、大島、新島、神津島と本州を結んでいます。都議会民主党は島嶼振興調査会を設 置し、私も会員として島嶼振興に取り組んできました。一方、周辺に住む方にとっては安全への不安や騒音などの環境問題もありますので、常に配慮することが 大切です。これまで都と地元3市で協定を結び、空港の運営については常に協議を行っていました。今回、羽田空港から三宅島への航空路線が平成24年度末を もって羽田では就航不可能になるとのことで、調布飛行場からの就航が検討され、すでに都から地元3市への協議を申し入れ、島から3市への要請もあったよう です。また、新たな航空路線を増やすだけではなく、これまでは目視による有視界飛行しか認めてこなかったのを、天候によっては計器飛行に変更することも合 わせて計画し、3市に申し入れるとのことですが、いずれも、いま開会している3市の議会で協議されると思われます。島嶼振興は大切重要ですが、安全対策を 怠ってはなりません。最終的には3市の承諾が必要になりますが、前提として安全等対策や騒音対策が重要になりますので、都としてどのように取り組むのか伺 います。

〇港湾局長 中井敬三 調布飛行場に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、調布飛行場の安全、騒音対策についてでありますが、調布飛行場は市街地に立地していることから、これまでも、安全性の確保や騒音の低減に向け、さ まざまな取り組みを行ってきております。具体的には、安全面に関しては、毎月開催される運航担当者会議等において運航の基本手順等の徹底を図るとともに、 都独自の取り組みとして事業者を対象に安全啓発講習会を開催するなどして、安全対策に努めてまいりました。また、騒音対策としては、国の基準よりも手厚い 住宅防音工事補助等を実施してきております。
 今後は、航空法の改正により新たに導入された操縦者の技能維持を図るための特定操縦技能審査制度の活用などを図り、さらなる安全確保に万全を期すとともに、騒音対策にも引き続き努め、周辺住民の方々が安心快適に過ごせるよう、総合的に対策を実施してまいります。

○都議会議員 中村ひろし これまでも都が決定する時は、なかなか情報が出てこないことに、地元の不信感がなかったわけではありません。今後、地元3市、周辺住民にどのように説明をしていくのか伺います。

〇港湾局長 中井敬三 次に、調布飛行場の地元協議についてでありますが、都では、これまでも、飛行場の管理運営に関して大きな変更が生じた場合には、地元三市と協議を行うとともに、必要な住民説明も行ってまいりました。
 今回の三宅航空路線の新設及び計器飛行方式導入についても、地元三市に対して五月に提案を行い、協議を重ねているところであります。今後とも、地元市と の協議が円滑に進むよう、適切な情報提供に努めるとともに、周辺住民の方々への説明会も開催し、地元から十分な理解が得られるよう全力で取り組んでまいり ます。

4.エネルギー政策について

○都議会議員 中村ひろし 次にエネル ギー政策について伺います。東日本大震災以降、原子力発電所への依存度を減らさざるを得ない社会になり、再生可能エネルギーの推進、省エネルギーの推進が 大変重要になります。都議会民主党は、昨年、省エネ条例を提案して可決させ、それを受けて都は省エネ推進方針を策定し推進しています。今後、一層省エネを 進めるには、都だけが旗を振るのではなく、都民の中からも省エネを進める大きな動きが出ることを期待します。
 今回、東日本大震災や原子力発電所の事故に伴う大幅な電力不足の経験を受けて、多くの方がエネルギー政策に関心を持っている昨今の状況を踏まえ、都民の 声をしっかりと受け止めながら、エネルギー政策を企画、展開していくことが必要と考えます。都は、東日本大震災を踏まえたエネルギー政策のあり方につい て、どのような検討体制で議論を深め、どのような取り組みをしてきたのか、今後はどのような取り組みを行っていくのか、伺います。

○環境局長 大野輝之
 エネルギー政策に関する検討についてでございますが、都は、昨年七月、東日本大震災を踏まえた今後の環境政策のあり方につきまして、環境審議会に諮問を行い、エネルギー政策についても、主要な検討課題の一つとして活発な議論が行われました。
 議論の過程では、パブリックコメントを実施いたしまして、都民、事業者等から寄せられた意見の内容を公表するとともに、適宜、最終答申に反映をいたしました。
 先月、都が発表しました省エネ・エネルギーマネジメント推進方針は、本答申を受けまして、昨年夏の経験を生かした賢い節電の定着に向けた方針と、スマー トエネルギー都市の実現を目指した施策の方向性を取りまとめたものでございまして、今後、都民や民間事業者等と連携し、着実に取り組みを進めてまいりま す。

5.中国残留孤児問題について

○都議会議員 中村ひろし 最後に、中国残留邦人問題について伺います。私は一橋大学に在学時からこの問題に関わり、支援活動に関わってき ましたが、高齢化が進み亡くなる方も多くなってきました。言うまでもなく、中国残留邦人は、終戦の混乱や冷戦などの国際情勢のもとで、何十年も中国に残留 を余儀なくされた日本人のことです。戦前、国策として満州に渡ったものの、敗戦を知らされず、ソ連軍の襲撃により多くの犠牲者を出しました。その後、東西 冷戦により帰国の道が閉ざされ、ようやく日中国交回復後に帰国の道が開かれたものの、時間の経過により、判明が困難であったり、判明しても遠い親戚では受 け入れが難航するなど、現実的に帰国できるまでにはさらに多くの月日がかかりました。人数は減りましたが、いまなお訪日調査で身元を捜す方もいます。国家 間の戦争は国民を不幸にし、その後、何十年も爪痕を残します。当事者にお会いするたびに戦争の愚かさと平和の尊さを認識させられます。知事の中国残留邦人 問題と平和に関する認識について伺います。

〇知事 石原慎太郎 中国残留邦人の問題と平和に対する認識についてでありますが、敗戦間際、ソビエトは中立条約を一方的に破棄して、我が 国に宣戦布告をいたしまして、ソ連軍は、満州、南樺太、千島に一挙に侵攻し、どさくさに紛れて領土までもかすめ取ったわけでありますが、この戦で満州では 開拓民を初め多くの同胞たちが悲惨な最期を遂げられました。何とか生き延びた人々も、日本へ引き揚げに際して厳しい苦難に遭って、こうした悲惨な歴史が今 日の中国残留邦人の問題を生んだと思います。
 今でも覚えていますけれども、敗戦直後、私の父の友人の一族が、満州にいた方々が、ほうほうのていで引き揚げてきまして、生活のめどが立つまで私の家に 数カ月滞在しておられましたが、子どもを産んだばかりの娘さんが、男に見せるために頭を丸刈りにして、まだ毛が、要するによく伸びていなかったのを、私、 子どものころでありましたから非常に奇異な思いで眺めたのを覚えています。
 いずれにしろ、生き延びるためとはいえ、親が自分の子どもを手放さなければならなかった事実には、思いをはせたとき、本当に心が痛みます。引き揚げた人 は、まだましであったと思いますけれども、とにかく子どもを向こうへ残した人たちというのは、本当に、何ともいえぬ断腸の思いだったと思いますが、こうし た悲劇はもう二度と起こしてはならないと思います。
 しかし、その平和を成立させるためには、それを一生懸命願うだけではなくて、現実的な手だてを積み重ねる必要があるということを忘れてはならないと思い ます。戦後、日本はアメリカ依存でずっと過ごしてきましたが、さしたる緊張もなしに、今は平和の毒に侵されて、自分の手で自分を守るということすら忘れた 感じがいたしますが、心がけずして安易に手にしている平和は、結局、結果として、物質主義、拝金主義という平和の毒を醸し出したと思います。
 有名な哲学者でありました田中美知太郎さんの非常に識者の間では評判の論文でありましたが、その中で田中さんは、憲法で幾ら平和を唱えても、それで平和 を確立するわけではない、ならば憲法に台風は日本に来てはならないと記すだけで台風が防げるかという至言を残しましたけれども、私たち、これを胸に刻むべ きだと思っております。

○都議会議員 中村ひろし 中国残留邦人 は、帰国後に日本語が不自由なため就職が困難で、本当に苦労されました。国の責任と補償を求めて、国家賠償請求訴訟も起こされましたが、国との和解がなさ れ、法律が改正されて新たな支援策が導入されました。新支援法の本格施行から約4年が経過しました。支援相談員の配置はありますが、地域支援については受 け皿となる民間団体が必ずしもなく、また、人数が少ない自治体だけでは対応が難しいところもあります。地域支援については、法律で市区町村の業務とはなり ましたが、各自治体の取り組み状況と、広域的な支援を行う都の今後の取り組みを伺います。

福祉保健局長 杉村栄一 次 に、帰国した中国残留邦人等への支援についてでございますが、平成二十年度から、法改正に伴いまして、中国帰国者等に対する通訳や相談員の派遣等を行う地 域生活支援事業の実施主体が区市町村となりましたが、都は、実施体制が整わなかった区市町村について、暫定的に事業実施を補完してまいりました。
 この間、都は、区市町村に対し主体的に事業を実施するよう働きかけを進め、今年度から、支援が必要な中国帰国者等の住むすべての区市町村において、実情に合わせた事業が実施されております。
 また、都は、他の自治体の取り組み事例の紹介や、区市町村の支援、相談員等を対象とした医療通訳の専門研修等を行っており、今後とも、区市町村が中国帰国者等への支援を円滑に実施できるよう、引き続き取り組んでまいります。

○都議会議員 中村ひろし 中国残留邦人 の問題は、長年放置されたせいで、二世、三世、四世へと課題が継承されてしまいました。国の援助の範囲は同伴家族だけだったため、呼び寄せ家族への支援は ほとんどないため、苦しい生活の方が多くいます。都は自治体として問題に直面した方々に対して、国よりも対象範囲を拡大し、日本語学校事業を行ってきたこ とは高く評価しています。しかし、高齢化しつつある二世の中には、先への展望が抱けず不安をいだいている方がいます。根本的な問題は国の責務とはいえ、都 としても国に対して要望すると同時に、現実的な対応が必要です。相談等の対象も呼び寄せ家族にも拡大すべきだと考えます。こうした呼び寄せ家族の問題につ いて、都はどのように認識しどう対応するのか伺います。

福祉保健局長 杉村栄一 最後に、いわゆる呼び寄せ家族への対応についてでございますが、中国帰国者等への支援は、基本的に国の責任で行うべきでございますが、後から帰国した二世等の家族、いわゆる呼び寄せ家族を対象とした国の支援制度は設けられておりません。
 都は、呼び寄せ家族についても、言葉や生活習慣等の違いから生じる生活上の困難があると考えられることから、その自立、定着の促進を図るため、独自の生活相談員制度を活用し、日常生活等の諸問題に関する相談、助言、指導を行っております。
 また、無料で受講できる日本語教室や、都立高校での中国引き揚げ生徒のための入学者選抜について、呼び寄せ家族も対象にしているところでございます。

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