【11】2012/06/14 都の「緑施策の新展開」に対して緑地の確保について質問しました。
環境・建設委員会 質問(2012年6月14日)
2012年6月14日、東京都議会 環境・建設委員会において、都が策定した、「緑施策の新展開~生物多様性の保全に向けた基本戦略~」に対して、緑地の確保について環境局に対して質問しました。以下に質問の概要を掲載します。
〇中村委員 緑施策の新展開について、緑地の確保の観点等から質問します。
都内では、緑地を確保するために、用地買収を行うなどして都市計画公園を整備している一方で、開発等により多くの緑が失われている現状があります。事業 所が移転をしたり、農地に相続が発生した場合など、ある程度まとまった土地が発生したときに、市区町村などと連携して、都市公園化できるような制度が必要 ではないかと考えます。
また、緑の減少の大きな要因の一つには、農用地の減少があり、その原因として、農地や農業用施設用地に宅地並みの相続税が課せられているため、その支払 いのために農地を売却せざるを得ない状況が発生していることなどが書かれています。これについては同感であり、毎年行っている税制改正の国への要望など、 これまで以上に都として力を入れてほしいと思います。
私の地元の三鷹市でも、ことし策定された基本計画の中に、都市農地保全条例の制定を検討すると明記され、今後取り組んでいくことになると思いますが、都としてもこのような動きを支援すると同時に、農地保全の施策の積極的な展開を求めます。
これらの事業や制度は、環境局以外の局が所管をしていますが、今回の緑施策の展開の中では、他局の事業が多く記述されているように、まさに緑行政のかなめを環境局が担っていると思います。
そこで、他局の事業についても、環境局としてどのようなスタンスで今後推進を図っていくのか伺います。
〇谷上緑施策推進担当部長 東京都の緑施策に関する事業は幅が広く、今回の緑施策の新展開の作成に当たりましては、約二十の局と調整を行い、東京都の総意として環境局がまとめたものでございます。
他局の事業への関与でございますが、例えば、幾つかの局におきましては、緑施策に関する連絡会や検討会が設置されており、それに環境局として参画し、政策形成や事業構築などに関与しております。
今後は、緑施策の新展開でまとめた各局の現行施策につきまして、進捗状況を把握するなど、情報交換を密に行っていくとともに、ご指摘のあった都市公園の 整備や農用地の保全に関する事業につきましても、関係各局と必要に応じた調整を適宜行い、事業推進を図ってまいりたいと思います。
〇中村委員 都市部においては、利便性と効率を追求した結果、大切な自然が失われてしまいました。多くの関係局が事業を進める際、場合によっては環境局の 主張とぶつかる場面もあるとは思いますが、都市部における緑地の保全のためには、他局と調整というよりも、環境局がリードするくらいの意気込みで取り組ん でいただきたいと思います。
また、今回の緑施策の新展開では、緑の質の観点もより高めていく必要性が随所に書かれています。緑の質を高めるという点では、公園などを整備する際に もっと土や緑をふやす必要があります。コンクリートが敷きつめられた公園では、環境によくないのではないかと考えますが、所見を伺います。
〇谷上緑施策推進担当部長 土や緑の持つ機能には、生き物の生息場所の確保、ヒートアイランド現象の緩和、火災の延焼防止、潤いや安らぎの提供、食料や燃料の人間生活に必要な物資の提供など多面的であり、コンクリートやアスファルトにはない機能も有してございます。
公園における緑化の基準につきましては、例えば都市計画法に基づく民間事業者の整備する都市公園、いわゆる民設公園の整備に当たりましては、五〇%以上 の緑地を確保する基準の例などがあり、その公園の設置目的に沿って、公園の設置者が適切に緑を確保していると認識しております。
〇中村委員 公園というと土と緑のイメージがあるのですが、最近では、近隣への砂ぼこりの影響や歩行空間整備のためのコンクリートの割合が高い公園も見ら れます。そうしたことへの配慮はもちろん大切ですが、できるだけ土と緑が多くなるよう取り組んでいただきたいと思います。
また、公園や緑地を街路樹や緑化された河川で結ぶグリーンロードネットワークの充実も書かれています。しかし、必ずしも緑化された河川ばかりではなく、河川敷もないコンクリート三面張りの河川は景観的にも余りよくありません。
そこで、例えば上からツタをたらしたりするなどの壁面緑化を河川にもすることで、住宅密集地における緑の帯ができます。既に取り組んでいる事業者もあるようですので、都としても研究をしていただきたいと思います。
さて、既存の緑を残したり、公園の中の緑の割合をふやすことも大切ですが、都市部においては多くの開発行為が行われています。適法な開発をとめることは できませんが、開発行為が生態系に与える影響を緩和するには、都市計画行政と連携して、開発行為における緑の確保の義務づけを強化する必要があります。こ れまでの開発許可制度の取り組みと今後の方向性について伺います。
〇谷上緑施策推進担当部長 都はこれまでも、自然保護条例による開発許可制度などにおいて、一定規模以上の開発を行う場合、一定量の緑地を確保することを義務づけるなどして、良好な自然環境の保全に努めてまいりました。
平成二十一年には、緑化計画書制度や開発許可制度の緑地確保に関する基準を強化し、緑の量を一層確保する措置を講じたほか、開発許可制度において既存樹木の保全検討を義務化するなど、緑の質を確保する措置も強化しております。
今後は、緑施策の新展開の方向性に基づき、的確に制度の運用を図ってまいります。
〇中村委員 また、都内の緑地の確保については、小中学校の校庭芝生化の事業があります。既に事業開始から五年程度がたち、平成十九年度から平成二十二年度まで五十三・三ヘクタールの芝生化を実施したとあります。
校庭の芝生化については、子どもたちがはだしで元気に走り回っている姿を見ると、自然環境の保全だけではなく、教育的な効果もあるという評価もできます。
一方では、芝生の手入れが大変だったり、枯れたりするところも出てくるのではないでしょうか。
都が施策として進めるのであれば、継続的に市区町村を支援する必要があると考えますが、所見を伺います。
〇谷上緑施策推進担当部長 これまで都は、区市町村に対する整備費や維持管理費の補助、学校現場への専門家派遣、芝生にかかわる保護者や地域住民の方々な どに対する講習会の開催、芝生に関する情報誌の発行など、区市町村の学校現場のニーズに合わせて、さまざまな事業を展開してきております。
今後もさらに、校庭のみならず、校舎の屋上や壁面の緑化を推進する拠点として、多様な生物の生息、立ち入り場所を創出する緑の学び舎事業を展開するなどして区市町村を支援してまいります。
〇中村委員 効果だけを見れば校庭の芝生化も緑地がふえることではよいのですが、その手入れを含めた手間や負担をだれが負うのかという課題は残ります。
多くの方が便利さを求めて東京に集まり、都市が発展してきました。そのため、過密した都市の中では、失われた緑を取り戻すには相当な努力と費用が必要になるという認識は、都民の皆様にも共有していただかなければなりません。
先ほど質問した開発行為における緑の確保の義務づけを強化することも、所有権の制限になりますし、芝生の手入れも負担がかかるので、都民にもご理解とご 協力をいただき、施策が進められるようにするには、自然環境保護の必要性について、より一層の普及啓発を図ることが大切です。
環境局は開発行為が生態系に与える影響を緩和する手法の研究に取り組むことも書かれています。今年度になって、都立神代植物公園に広く植物に関する知識 や生物多様性を学べる場として新たに植物多様性センターが設置され、私も見学をしてきました。これは武蔵野、奥多摩、島しょの三つのゾーンに分かれてい て、いい施設ではあるのですが、駐車場から正門に向かうわきの方にあるので、余り目立たないのでもう少しPRをすることがよいかと思います。
いずれにしても、このような取り組みや普及啓発を積極的に進めて実効性のある施策を構築し、将来的に東京の緑を確保することが今まで以上に進むことを期待しまして、私の質問を終わります。
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