> 都議会質問 > 都議会各会計決算特別委員会 > 都税収入、固定資産税など主税局に質問

都議会質問記録

2016/10/28 都税収入、固定資産税など主税局に質問

都議会各会計決算特別委員会の第一分科会に出席、主税局の昨年度の決算について質問しました。都税収入から見た景気動向、タワーマンションの固定資産税、政策減税による耐震化の促進や燃料電池車の導入促進などの状況について質問しました。

○中村委員 それでは、主税局の平成二十七年度決算について質問します。
 まず、都税の歳入決算について伺います。
 昨年度の都税歳入は、当初予算では五兆二百十六億円でしたが、年度末の最終補正予算で千八百四十二億円増の五兆二千五十八億円としていました。しかし、今回の決算を見ると五兆一千八百三十六億円となり、当初予算は超えていたのですが、補正後の最終予算を下回る結果となりました。
 そこでまず、昨年度の都税収入について伺います。また、補正後の予算に届かなかった理由を含めて、税収から見た景気動向はどのように見ているのか、伺います。
○小山税制部長 平成二十七年度の都税収入は、補正後予算額に対し二百二十二億円、〇・四%減の五兆一千八百三十六億円となりました。
 主な要因といたしましては、法人二税では、前年度実績をもとに補正後予算を見積もったものの、中国を初めとする新興国経済の景気減速の影響などがあり、大口法人の一部に前年度ほどの伸びが見られなかったこと、また個人都民税の配当割において、投資信託の運用実績の悪化等によりまして、課税対象となる配当額が見込みを下回ったことなどが挙げられます。
 しかしながら、平成二十七年度の一年を通じて見ますと、雇用、所得環境の改善、原油価格の低下等によります交易条件の改善、政府による緊急対策の効果などがございまして、景気は緩やかな回復基調が続いたため、都税収入は四年連続の増収となっております。
○中村委員 年度末の最終補正を見積もる段階までは、緩やかな回復基調が続いているとの見方でしたが、その後に状況が変わったようです。今回は下振れ幅が小さかったのですが、歳入予算にあわせて歳出予算を組むと、歳入の見込みが違えば赤字になってしまいます。景気動向の分析は難しいと思いますが、できるだけ正確な状況把握を行うことを求めておきます。
 さて、国は、都の税収が豊富として、地方法人課税の不合理な偏在是正措置を行ってきました。しかし、都税収入のうち高い割合を占める法人二税は、先ほどの答弁のように、景気の変動があるとそれに伴い変動しますので、決して安定しているとはいえません。
 そこで、決算年度において、国の不合理な偏在是正の影響はどうでしたでしょうか。都だけではなく、法人住民税の一部国税化は、とりわけ不交付団体である都内の市区にも影響があったようですが、それを含めて、全体での影響はいかがでしょうか、伺います。
○小山税制部長 地方法人課税の偏在是正に伴う都内市区町村を含めた東京都内全体の影響額は、平成二十七年度決算ベースで、法人事業税の暫定措置によりまして約二千五百億円の減収となりました。また、法人住民税の一部国税化によりまして、約九百億円の減収があったと見ております。
○中村委員 大変大きな金額が国に吸い上げられています。平成二十八年度の税制改正で法人事業税の暫定措置は廃止することとされましたが、法人住民税の国税化により、まだまだ大きな金額が奪われようとしています。とりわけ都内の不交付団体は大きな影響を受けていますので、都はそうした自治体の意見も踏まえて、国に意見を出していただきたいと思います。
 さて、国の税制改正の議論の中で、法人実効税率の引き下げと外形標準課税の拡大が行われました。平成二十七年度の都税制調査会の答申の中でも、公平性の確保のため必要としながらも、中小企業への負担に関する配慮が必要ともしていました。
 そこで、法人実効税率の引き下げの中で外形標準課税の増税がいわれましたが、影響はどうなったのでしょうか、また中小企業に影響がないようにとのことでしたが、どのようになったのか伺います。
○小山税制部長 平成二十八年度税制改正では、法人実効税率の引き下げに伴いまして、資本金一億円超の法人における法人事業税所得割の税率を引き下げるとともに、外形標準課税の割合が八分の三から八分の五まで拡大されました。その際、所得割の税率引き下げによる減収額と外形標準課税の拡大による増収額が同規模となるように制度設計されております。
 ただし、外形標準課税の拡大により負担増となる事業規模が一定未満の法人につきましては、負担を軽減する措置が講じられており、それらを含めた都税収入への影響額は約九十億円の減収と見込んでおります。
 なお、中小企業につきましては、地域経済や企業経営への影響にも配慮いたしまして、引き続き外形標準課税の対象外とされております。
○中村委員 次に、いわゆるふるさと納税について伺います。
 政府は、地方創生との名のもとに、さまざまな手法で都の税収を地方へと配ろうとしています。他の自治体に寄附をすると居住する自治体の税が控除されるため、見かけ上は他の自治体に納税したように見えます。その仕組みを利用した自治体が返礼品を送ることで誘引していることから、税のあり方としては適切とはいえません。
 そこで、いわゆるふるさと納税の影響はいかがでしょうか。税のあるべき姿ではないので、都として国に見直しを求めるべきではないかと考えますが、見解を伺います。
○小山税制部長 いわゆるふるさと納税によります都の減収額は、平成二十七年度において約二十億円でございます。本来行政サービスを受ける自治体に入るべき税収が、寄附金を通じてではございますが、他の自治体に移転するということは、受益と負担という地方税の原則の観点から好ましいものではないと認識をしております。
 一方、特定の地域を応援したいとの納税者の思いを実現する手段としては、国民に定着しつつあるものとも受けとめております。
○中村委員 受益と負担という地方税の原則の観点から好ましくないという答弁は当然ですが、なぜ定着しつつあるものとも受けとめているという消極的姿勢なのでしょうか。
 昨日発表された東京都税制調査会の答申でも、受益と負担との関係をゆがめる制度と厳しく断じ、今年度創設された企業版ふるさと納税については、税制の本質をゆがめる場当たり的な措置であり、抜本的に見直すべきとまでしています。地方の発展は当然大切ですが、それはこうした制度で行うべきではないので、今後、都から国に対して見直しを主張するよう求めます。
 さて、昨今の税に関する報道で注目されるのは、タワーマンションの固定資産税です。床面積が同じであれば高層階と低層階の課税額が同じですが、販売価格が違うということで、国が見直すということです。当然昨年度も見直す前の制度で課税していたわけですが、そもそもどういう仕組みなのでしょうか。資産価値がきちんと反映されていないということなのか、伺います。
○大久保資産税部長 タワーマンションなどの区分所有家屋に対する固定資産税につきましては、専有部分ごと、また共用部分ごとに評価することが著しく困難でございますため、一棟を一括して評価の上、固定資産税額を算定いたしまして、その額を専有部分の床面積の割合によって案分して、各区分所有者に課税をしております。このため、階層が違っても、同じ床面積であれば、固定資産税額は同額となる仕組みとなってございます。
 現行制度上、家屋に対する課税におきましては、家屋の資産価値を構成する要素の中で建築資材や労務費などの建築費が基礎となるよう定められておりまして、現在のところ階層の相違は、反映させる仕組みとはなってございません。
○中村委員 タワーマンションの件では、低層階の人は市場価格より割高な税を負担し、高層階の人は割安な税を負担していたことになり、だからこそ節税対策に使われているようです。国が評価方法を定めるので、都は国が決めた課税をしていたのですが、さまざまな税の中で負担感に不公平感が生じる場合に、都独自でできることは都が見直し、国の制度に基づくものは都からも積極的見直しを求めていただきたいと思います。
 そこで、都として独自に減免を行っている小規模住宅用地などの固定資産税の減免について伺います。
 毎年、小規模住宅用地などの固定資産税の減免について請願が出され、都は減免しています。都心部では地価が高いため、妥当な対応だと思います。そこで、昨年度の影響額を伺います。
○小山税制部長 固定資産税及び都市計画税に係る三つの軽減措置について、適用件数及び減収額を平成二十七年度実績で申し上げますと、まず一つ目、小規模住宅用地に係る都市計画税の軽減措置につきましては約百六十六万件、約三百二億円、二つ目、小規模非住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の減免措置につきましては約二十七万件、約二百三十四億円、そして三番目ですが、商業地等に係る固定資産税及び都市計画税の軽減措置につきましては約二十九万件、約九十二億円、合わせて約六百二十八億円となっております。
○中村委員 件数が膨大なため、軽減、減免の合計金額が六百二十八億円と膨大ですが、投機目的で不動産を所有するのではなく、小規模な居住や商売を続けるためには、引き続きこうした措置をとっていただきたいと思います。
 幾つか質問しましたが、徴税の役割は、もちろん税を集めることですが、一方、その方法によってさまざまな政策的な効果を生み出すことができます。ところが、税は都税とはいえ、実際には国が制度の大枠を決めていることが多いようです。
 その中で、都の裁量で決められる分はどのくらいあったのでしょうか。経済的格差がいわれる中で、負担感の公平は必要であり、都の税制の中で実現していただきたいと思いますが、実際にはされているのでしょうか、伺います。
○小山税制部長 都におきましては、課税自主権を活用いたしまして、大都市特有の財政需要に対処するため、昭和四十九年度から法人事業税、昭和五十年度から法人都民税の超過課税を実施しております。また、平成十四年度からは、国際都市東京の魅力を高め、観光の振興を図る施策に要する費用に充てるため、法定外目的税として宿泊税を実施しております。
 なお、所得再分配機能につきましては、応能的な性格を有する国税である所得税の役割とされておりまして、平成二十五年度税制改正では、最高税率の見直しが行われるなど、累進税率の強化が図られているところでございます。
○中村委員 平成二十五年度税制改正で最高税率の見直しなど累進税率の強化との答弁がありましたが、それはここ数年の話であり、もう少し長いスパンで見ると、所得税の最高税率は大幅に下がり、累進税率は弱まっているのではと思います。
 所得再分配機能は国税である所得税の役割とのことですが、さまざまな税を徴収する中で、都民の所得の状況などもわかるわけですから、ぜひ自治体の立場からも、税負担感の公平化について国にも積極的に求めていただきたいと思います。
 さて、そうした高所得者に関して、最近ではパナマ文書やタックスヘイブンなどとの言葉が話題にもなっていました。都として、高額納税者が海外に転居したり、資産の海外移転などによる影響はあるのでしょうか、対策はしているのか、伺います。
○小山税制部長 法人税においては、一定の税負担水準以下の国、地域にある子会社等の所得につきまして、内国法人の所得とみなして、合算して課税する制度が設けられており、その効果は地方法人課税にも及ぶものでございます。所得税におきましては、株式等の未実現のキャピタルゲインについて、出国時に課税される特例が設けられております。
 一方、個人住民税につきましては、非居住者に対しては課税されないこととされているため、公平性等を踏まえ、引き続き検討していくこととされております。
 国境を越えた取引に係る課税の適正化につきましては、国際的な課税ルールの取り決めの中で、国家として対応されるべき問題でございます。現在、政府税制調査会におきまして、租税回避を防止する観点から、国際課税の適正化に向けた検討が進められており、今後とも国の動向を注視してまいります。
○中村委員 税については、各局からの要請により、さまざまな政策減税が行われています。東京では災害対策は喫緊の課題であり、公共施設は行政が行いますが、民間建築物は、補助はありつつも基本的には所有者の負担で行われることになります。
 そのため、耐震化促進のために行われている固定資産税、都市計画税に係る耐震住宅促進減免について、直近の実績を伺います。
○大久保資産税部長 減免対象となる住宅でございますけれども、昭和五十七年一月一日以前からある家屋で耐震化のために建てかえ、または現行の耐震基準に適合させるように一定の改修を図った住宅でございまして、建てかえられた住宅につきましては三年度分、改修された住宅につきましては一年度分、または二年度分が、減免が適用される仕組みとなってございます。
 平成二十七年度における耐震住宅促進減免の対象件数及び減免税額でございますけれども、総件数で一万六千六十八件、減免税額は約十七億八千八百万円でございます。このうち、建てかえ減免は一万四千八百八十六件、約十七億五千三百万円、耐震改修減免は千百八十二件、約三千五百万円となってございます。
○中村委員 一万六千件もの住宅が建てかえ、耐震改修が行われたとのことで、災害に強いまちづくりという観点では一定の効果はあったようです。もちろん、耐震化一〇〇%を目指して担当局と協力し、引き続き取り組むことを求めます。
 さて、政策減税として、自動車税のグリーン化、自動車取得税の特例措置について伺います。中でも燃料電池車について伺います。
 都では、水素社会の実現に向けて、燃料電池車の導入促進を図り、購入に際しての補助だけではなく、都独自の課税免除を行っています。とはいえ、燃料電池車はかなりの高額であり、かつ水素ステーションの数が少ないことから、普及までにはまだまだ時間がかかりそうです。だからこその政策減税だと思いますが、燃料電池車の減税についての実績はどうか、伺います。
○副島課税部長 平成二十七年度における燃料電池車の軽減実績でございますが、地方税法による軽減と合わせ、自動車税は百十四件で約二百二十一万円、自動車取得税は百三件で約一千九百二十六万円となっております。
○中村委員 自動車取得税の減免で百三件とのことでしたので、まだまだ普及にはほど遠い数字とは思います。オリンピックに向けたレガシーとして普及を図っているとのことですし、今後さらなる技術革新があったり、普及により価格が下がることなども期待されます。税の面からもそうした将来の東京の姿に政策減税という形での協力を引き続きお願いします。
 次に、公共の用に供する土地への課税について伺います。
 先ほどは個人の住宅の耐震化についての減免についてお答えいただきましたが、東京が防災に強いまちづくりを進めるためには、都道や都立公園の整備も必要になります。その場合、所有者の方から協力をいただくわけですから、協力が得やすいよう税からの取り組みがあってもよいかと思います。
 そこで、都道や都立公園などのために立ち退いた場合の収入は、都の事業に協力してもらうためにも非課税などの措置はないのか、伺います。
○小山税制部長 土地収用法等により、個人の土地や建物が収用された場合でございます。二つの特例措置がございまして、一つ目が、譲渡所得の金額から五千万円を控除する特例措置、そして二つ目が、収用された資産の対価として得た補償金で代替資産を取得した場合、その部分については課税されない特例措置、この二つのいずれかを選択して、適用を受けることはできるとされております。
○中村委員 一定の特例措置はあるとのことでした。都道の整備など、土地の所有者が反対ではなくても価格で折り合わずに長期化することもあります。税の減免という側面からも、事業への協力を得やすくすることは大切です。
 今回の質問では、税の側面から負担感の公平性を確保することで格差の解消につなげていただきたいということを考えながら質問しました。都独自の政策、さらには国への要求など積極的に行っていただき、都民の生活向上に資する税制であることを求めて、質問を終わります。

 

ユーティリティ

都議会質問内検索

Search

過去ログ