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都議会質問記録

2016/11/15 都の会議の公開、保育園の質の確保、長期計画等を質問しました。

都議会総務委員会に所属が変わって初めての質問をしました。政策企画局、選挙管理委員会事務局、監査事務局に都の会議の議事録の公開、保育園の質の確保、長期計画の財源の裏付けを示した見直しなどを質問しました。

監査事務局への質問

○中村委員 それでは、監査事務局の事務事業について質問します。
 昨今、豊洲新市場の建屋の下に盛り土がなかった問題で、残念ながら都政の信頼が大きく揺らいでいます。第一義的には、組織そのものがみずから誤りを起こさない仕組みをつくることですが、加えて、外部から監視の目を光らせ、誤りが起きないようにすることが必要です。知事から独立した機関である監査委員の機能を強化し、適切な監視を行っていることが都民から見え、安心をもたらすことが必要と考えます。その立場から、以下、質問します。
 先日、国の会計検査院が一兆円もの無駄を指摘し、大きく報道されました。都の監査委員は毎年監査をしていますが、ここ五年間の指摘金額は幾らだったのでしょうか。指摘金額がどうなるのかも伺います。
○池田監査担当部長 過去五年間の指摘金額でございますけれども、平成二十三年、二億五千二百万円、平成二十四年、六十九億六千二百万円、平成二十五年、四億六百万円、平成二十六年、六億千二百万円、平成二十七年、五億三千九百万円でございます。
 これには、収入、支出の手続が不適切であったもの、工事において過大積算があったもの、補助金の過大交付があったもの、有効利用されていない財産などがございます。
 このうち、補助金の過大交付や契約変更が可能なものなどについては返還されているところでございます。
○中村委員 ここ五年間の指摘金額をお答えいただきましたが、国よりは少ないとはいえ、大きな金額です。都民の税金が無駄にされてならないのは当然なのですが、有効に使われなければなりません。引き続き厳しい目で監査をしていただきたいと思います。
 先日、報告のあった昨年度の監査について、多くの指摘事項がされたようです。そして、その指摘を受けて各局が改善することになりますが、改善措置が八六・七%であり、三十八件が改善されていないとのことでした。
 指摘を受けた事項については、当然に一〇〇%改善されるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○池田監査担当部長 平成二十七年十二月一日現在、未改善の三十八件のうち二十八件につきましては、平成二十七年九月に公表された定例監査での指摘であり、指摘から日が浅いものでございました。これらのほとんどは、平成二十八年に入って改善済みとなっております。
 残りの案件は、工事やシステム開発を要するなど、改善措置に一定の時間がかかるものでございます。これらにつきましても、引き続き対象局に改善を求めてまいります。
○中村委員 指摘については、ぜひ一〇〇%対応するよう、引き続きの取り組みをお願いします。
 さて、監査委員の監査には、定時監査や工事監査、決算監査など多くの種類があり、その中に行政監査があります。現在、行政監査は毎年テーマを決めて行っていますが、何か事件が発覚したり、もしくは疑惑があったりした場合には、能動的にみずから監査すべきではないでしょうか。
 例えば住民監査請求という制度や議会の請求の監査などもありますけれども、それらは監査開始のきっかけの一つです。
 監査委員は、監査をする必要があれば、みずから監査すべきではないでしょうか、見解を伺います。
○池田監査担当部長 監査委員は、地方自治法に基づき、必要があると認めた場合は、いつでも監査を行うことができるとされており、一般には、この監査は随時監査といわれております。
 都はこれまでも随時監査を行ってきており、最近では、平成二十年十二月に公共事業に係る国庫補助金等の事務処理を対象として、また、平成二十二年二月には東京オリンピック・パラリンピック招致に係る財務事務などを対象として行ったところでございます。
 今後も、必要があれば適切に判断し、対応してまいります。
○中村委員 過去、随時監査を行ったこともあるようです。もちろん、監査をしなければならないようなことはない方がいいのですが、万一、そうしたことがある場合は積極的に動いていただくことを求めます。
 さて、監査には、財政援助団体等監査として、都の補助を受けている団体が監査されているとのことですが、対象となる団体はどのように決まるのでしょうか。
 昨年度の監査によって、補助金の返還を求めたものが十四件あったとのことですが、その金額は幾らだったのでしょうか。また、実際に返還されたのでしょうか、伺います。
○池田監査担当部長 財政援助団体等監査の対象につきましては、補助金交付額の多寡、事業規模や都の出資比率等を考慮し、さらに、前回監査からの経過期間や前回監査の結果等を勘案して選定しております。
 平成二十七年財政援助団体等監査では、十団体に対し、十四件、約千百四十一万円の補助金返還を求めております。これらについては全額返還済みでございます。
○中村委員 幾つか質問しましたが、昨今の都政の状況を見ると、これまでどおりの監査でよいということはないと思います。常に健全な組織になるよう取り組む必要があります。
 都庁は大きな組織ですが、どうしたら不正が起こらないかに真剣に取り組む必要があります。監査の課題をどのように認識し、取り組んでいくのか、局長の見解を伺い、質問を終わります。
○猪熊監査事務局長 広範にわたる都の行財政運営をより効率的、効果的に監査するためには、監査機能の強化が肝要であり、課題であると認識しております。
 機能強化のためには、監査の実施に当たり、リスクを適切に評価し、その影響度、頻度に応じて監査を重点化すること、また、民間監査手法の活用などにより専門性の向上を図ることが重要でございます。
 さらに、これまでも取り組んでまいりましたが、指摘事項の改善につきましては、誤りの根本原因の解消や仕事の進め方の見直しなど、再発防止の徹底を図り、庁内にフィードバックすることによって、都庁全体の基礎力を底上げしていくことが不可欠でございます。
 こうした取り組みを通じて監査の実効性を高め、今後とも公正かつ効率的な都の行財政運営の実現に貢献してまいります。

選挙管理委員会事務局への質問

 

○中村委員 それでは、選挙管理委員会の事務事業について質問します。
 私たち議員も選挙で選ばれていますので、公正公平な選挙が行われることを強く願っていますし、選挙管理委員会の方々には日々ご尽力をいただいております。
 ところが、長年の慣習からか、法律で規定してあるとしても、なかなか浸透していないという状況もあります。政治家の有権者への寄附は当然禁止であり、これは知られているのですが、有権者から政治家に寄附を求めることが禁止されていることが案外知られていません。法律がわかりにくいことがあるかもしれません。だからこそ、しっかりと啓発活動を行うことが大切です。
 そこで、まず、寄附の禁止についてどのように普及啓発をしているのか伺います。
○福田選挙管理委員会事務局長 政治家が選挙区内の人や団体にお金や物を贈ること、また、有権者が政治家に対して寄附を求めることは、時期や理由を問わず、公職選挙法で禁止されております。
 このため、都の選挙管理委員会では、年二回、夏と冬の贈答シーズンなどに合わせまして、寄附禁止PR強化期間として啓発ポスターやリーフレットを作成し、区市町村選挙管理委員会とも連携しながら町内会等へ配布するなど、周知を図っているところでございます。
○中村委員 私も、地元の町会で回覧板が回ってきたときには、寄附禁止のリーフレットが回ってきたのを見ましたので、取り組まれているということは認識をしています。とはいえ、どのくらい浸透しているかが大切なので、この普及啓発は絶えず行っていただきたいと思います。
 さて、こうした取り組みは、選挙管理委員会だけではなく、多くの都民の皆様の協力があって行われています。とりわけ明るい選挙推進運動がボランティアによって行われています。
 そこで、ボランティアはどのように集めて、また、どのように活動に報いているのか伺います。
○福田選挙管理委員会事務局長 ご質問の明るい選挙推進運動を行っているのは、明るい選挙推進委員と呼ばれる人たちでございまして、この推進委員は区市町村の推薦により、都と区市町村の明るい選挙推進協議会が委嘱しておりまして、ボランティアで明るい選挙推進活動に取り組んでいただいております。
 現在、都内では約四千六百人の明るい選挙推進委員が活動しているところでございまして、毎年千人以上の推進委員が集まる東京都明るい選挙推進大会におきまして、一定の年数活動していただいた明るい選挙推進委員に敬意と感謝の意をあらわし、永年功労者表彰を行っているところでございます。
○中村委員 地域のイベントなどで、明るい選挙推進委員の方々がボランティアで活動されている姿を頻繁に拝見します。ぜひとも、そうした方々の活動そのものをPRすることでも、公正公平な選挙の普及啓発につながるよう取り組んでいただきたいと思います。
 さて、選挙で大切なのは、公正、公平な選挙だけではなく、投票率の向上もあります。ここでは、昨今、法改正された共通投票所について伺います。
 投票率向上のための施策として、公職選挙法が改正され、投票日に駅や商業施設など利便性の高い場所で投票できる共通投票所を自治体が設置できるようになりました。
 しかし、都内で実績はないということですが、課題は何でしょうか。投票所の設置は市区町村ですが、都として投票率を上げるために設置の支援はできないのか、見解を伺います。
○福田選挙管理委員会事務局長 共通投票所の設置を可能とする公職選挙法の改正はことしの六月に施行され、都内においては、七月に行われた参議院議員選挙から適用となっております。
 この共通投票所を設置するに当たっての課題といたしましては、当該区市町村の有権者全員の投票が可能となることから、二重投票を防止するためのシステムが必要なこと、投票用紙ののぞき込みなど不正を防止するための設備の設置や、投票管理者などが投票所内を見通すことができる配置の可否といった施設面の制約がございます。
 また、選挙の種類を問わず、将来に向けた継続的な使用、一度限りの開設ではなく、継続的な使用が望まれているというところでございます。
 共通投票所の設置については、これらの課題について勘案し、地域の実情に応じて、効果やコストの観点も踏まえて区市町村選挙管理委員会が一義的には判断することになります。
 東京都選挙管理委員会といたしましては、ことし行われた参議院議員選挙において他都市で実施された事例の情報提供や法的な助言を事務局長会や研修会を通じて行うなどにより、支援に努めてまいります。
○中村委員 課題はまだあるようですが、法的に可能になったため、実現に向けて検討していただきたいと思います。
 さて、投票率の向上は、便利な場所での投票や期日前投票がありますが、何といってもその内容に関心を持っていただくことです。選挙期間中に立候補者の政策が多くの方に知らせることができれば、関心も高まり、投票率の向上につながると思います。
 そこで、公職選挙法第百四十二条に規定する法定ビラ、マニフェストビラと呼ぶこともありますが、その頒布についてどのようになっているのか、現状を伺います。
○福田選挙管理委員会事務局長 選挙運動用ビラの頒布につきましては、公職選挙法の規定によりまして、衆議院議員選挙、参議院議員選挙及び地方自治体の長の選挙で頒布が可能となっております。
 地方自治体の長の選挙におけるビラの頒布につきましては、平成十九年の法改正により解禁されましたが、地方自治体の議員の選挙におけるビラの頒布については現在も認められておりません。
○中村委員 国会議員の選挙に続いて、自治体の長には認められるようになりましたので、あと認められていないのは自治体議員の選挙だけです。全国各地の自治体議会で、頒布ができるよう意見書が議決され、国会に提出されてもいるようです。投票率の向上には、何より政策を知り、関心を持ってもらうことだと考えますので、今後、法改正されることが望まれます。
 以上、幾つか質問いたしましたが、引き続き公正公平な選挙、投票率の向上に努めていただくことを求めて、質問を終わります。

政策企画局への質問

 

○中村委員 政策企画局の事務事業について、最初にマネジメント本部について質問をします。
 小池都政がスタートして百日を超えました。この間、知事が掲げる東京大改革を実現するための都政改革本部を立ち上げ、さまざまな問題提起を行っています。今後は、知事自身も述べていますが、目に見える結果を出していくことが求められます。それには、知事が都庁全体を統括し、また職員も、知事のもと一丸となって施策を進めていく必要があります。そのためには、トップマネジメント機能をより一層強化することが重要ではないかと考えています。
 九月に、知事は新たな会議体として都庁マネジメント本部を設置いたしました。その都庁マネジメント本部について何点か質問します。
 まず、その設置に至った経緯について伺います。
○小池総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都庁マネジメント本部は、縦割りや、意思疎通、情報共有の不足、責任の所在が曖昧といった都政運営上の課題に対処するために設置したものでございます。
 こうした課題に対し、知事、副知事を初めとする幹部職員の間で情報と課題を共有するとともに、率直な意見交換や実質的な議論を行うなど、マネジメント機能の強化を図るため、都庁マネジメント本部を設置したものでございます。
○中村委員 知事も設置に際して、豊洲市場の盛り土問題で情報が共有されていなかったこと、責任の所在が曖昧であったと述べていたようですので、マネジメント機能の強化につながることを期待したいと思います。
 そこで、政策企画局のホームページで、都庁マネジメント本部の議事概要が掲載されているのを拝見しました。九月三十日に第一回を開催し、これまで六回開催されています。議題として、展示会受け入れのための今後の対応や公有財産の活用などが取り上げられ、また、何回かは外部の専門家とも意見交換を行っているようです。
 そこで、都庁マネジメント本部の役割と、議論された内容が今後どのように都政に反映されるのか伺います。
○小池総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都庁マネジメント本部は、都の行財政の最高方針、重要な施策及び課題等について情報の共有を図り、審議策定を行う機能を有してございます。
 知事のもと、副知事などの特別職や関係局長で、重要な課題等について情報共有を図り、実質的な議論を行うことを重視して運営していくものでございます。
 その議論の結果は、今後の個別の施策展開などに生かされていくものと考えております。
○中村委員 知事、副知事を初めとする幹部職員の議論であるならば、私のみならずとも、都民も十分に注目し関心を示すと思いますが、議事録については作成されていないと聞いています。
 議事概要についてはホームページで公開していますが、内容が余りにも簡単過ぎます。本来であれば、議事録を作成し公開すべきと考えますが、それが難しいのであれば、都民の方々がごらんになる議事概要をもっと充実すべきと思いますが、見解を伺います。
○小池総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 会議の議題や内容につきましては、議事概要としてホームページで公開しておりますが、政策形成や事業運営に支障のないよう配慮する必要がある一方、できる限り都民の皆様にお知らせしていくことも必要であると考えております。
 こうした観点から、今後の公開にあり方ついて、引き続き検討してまいりたいと思います。
○中村委員 今、豊洲市場の盛り土問題では、最初の自己検証報告書では、まだ数年前の出来事ですが、誰がいつ決めたのかを特定できませんでした。二回目の報告書でようやく特定したものの、なぜそうしたかは明確にならず、当事者からは反論書も出されたと報道されています。
 都政における重要な意思決定として、関係者が押印を連ね、決裁者が押印する書類だけでは、決定した結果を示しているだけで、その過程でどういう議論をしたのかという決定に至る過程がわかりません。
 そもそもオリンピック施設の件もあるので、都政の重要な決定は、マネジメント本部において事前の協議を経て、最終決定を文書で決裁するといったような意思決定のルールをきちんと定めていくべきです。その上で議論の内容を記録し、後に検証できるようにしておくことが重要です。
 都が文書を作成するのは、民間と違い、都庁のためだけの文書ではなく、公文書として都民共有の財産であるという考え方に転換する必要もあります。
 マネジメント本部も始まったばかりで試行錯誤もあるかと思いますが、できるだけ都民の方々に公開していただきたいと考えます。それが都政への都民の関心を高めることにもつながっていきます。
 今後、公開のあり方を検証するとの答弁がありましたので、ぜひとも前向きに早急にやっていただくことを求め、次の質問に移ります。
 次に、国家戦略特区について伺います。
 この間、東京の国際競争力の強化として、特区の活用が積極的に図られてきました。
 また、規制緩和についても、例えば都立公園に保育園を設置できるようにするなど積極的に活用を図ってきました。もちろん、規制緩和についても、安全など、規制することで守るべきものがあって定められているので、慎重に検討することが必要な場合もあります。都立公園での保育園については、保育そのものの安全が損なわれるわけではないため、こうした緩和は、待機児童解消という緊急課題については有効と思います。
 そこで、特区について幾つか質問します。
 まず、先月設置された、内閣府及び東京都により東京特区推進共同事務局が設置をされたとのことですが、その目的と目指す方向性について伺います。
○山本国家戦略特区推進担当部長 十月四日に設置された東京特区推進共同事務局でございますが、内閣府、都庁関係部局との連携強化により、東京都における特区を活用した規制改革を一層推進させることを目的としております。
 今後、待機児童の解消、国際金融都市の実現、女性活躍、働き方改革などの幅広い分野において、内閣府、関係部局との連携のもと、数多くの現場のアイデアを生かした規制改革提案、規制改革メニューの徹底活用を目指して取り組んでまいる所存でございます。
○中村委員 次に、先ほど述べた規制緩和に関して質問します。
 先日の国家戦略特区諮問会議において東京都が提案した待機児童対策に関する規制改革要望のうち、特に小規模保育の年齢制限の撤廃については、十分、都で議論されたものなのでしょうか。また、保育園の待機児童解消は必要ですが、質の確保もなされなければならないのではないでしょうか。見解を伺います。
○山本国家戦略特区推進担当部長 まず、九月九日の国家戦略特別区域諮問会議におきまして東京都が提案した待機児童対策に関する規制改革要望の内容は、保育の現場を担う区市町村や保育事業者の意見などを踏まえたものでございます。
 また、小規模保育の年齢制限の撤廃につきましては、三歳以降も小規模保育事業を利用できるようにすることで、保護者の選択肢が広がるというメリットがございます。
 この観点から、東京都としましては、設備や人員基準を満たすことを前提に、対象年齢を就学前の児童全体に拡大するよう国に提案しているところでございます。
○中村委員 今ある規制について必要かどうかを議論することは大切かと思います。ただ、国での議論を見ていると、これまでの経過を踏まえずに進めてしまう場合がないとはいえないので、不安が残ります。
 特区が認められると、都の政策に大きな影響を与えます。トップダウンの場合もあるとは思いますが、必ず担当局と十分連携をしていただきたいと思います。特に保育の場合は安全が重要であり、福祉保健局も、有識者や自治体代表、関係団体、都民も入った子供・子育て会議などでさまざまな議論をしています。そういった議論を踏まえて取り組んでいただきたいと思います。
 さて、先般の国家戦略特区法の改正で、自家用有償旅客運送制度の特例事業が導入されました。この特例は、いわゆるライドシェアの解禁につながるものと考えられます。
 ライドシェアは、スマートフォンを使い、二種免許を持っていない素人が簡単にタクシーの営業ができるため、白タク行為の合法化ともいわれ、安全性の観点から懸念されるため、安易に導入すべきではありません。
 慎重な対応を求めるべきと考えますが、見解を伺います。
○山本国家戦略特区推進担当部長 今回の国家戦略特区の特例は、現行の道路運送法上の自家用有償旅客運送制度につきまして、観光客を主目的とした運送に拡大するものでございますが、同法で規定されております運行管理体制や車両整備等の安全規制を緩めるものではございません。
 また、この特例の適用に際しましては、適用対象となる過疎地域等の自治体、事業実施予定者、バス、タクシー事業者との協議を経ることになっております。
 なお、いわゆるライドシェアは、運行管理、車両整備等について責任を負う主体を置かないままに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としたものでございます。その一方で、今回の特例は、現行の自家用有償旅客運送制度と同様に、安全な運行についての運送責任を負う主体を置くことを前提としており、全くその形態が異なるものと国から聞いているところでございます。
○中村委員 特区について何点か質問しましたが、先ほども述べましたが、特区は都にとっても大きな影響があるため、ホームページなどでも、内閣府にリンクをするだけではなく、都としてこういう主張をしているんだとわかりやすく掲載することも大切ですので、今後、工夫をしていただくことを求めて、次の質問に移ります。
 次に、二〇二〇年に向けた実行プランについて伺います。
 知事が就任して百日がたちましたが、どのような都政を目指すかを明らかにするのは重要です。
 今回、二〇二〇年に向けた実行プランを策定するため、コンセプトと主要政策の方向性について都民の意見を募集しています。
 そこで、まず、二〇二〇年に向けた実行プランは、長期ビジョンが示す政策の大きな方向性を継承するとしていますが、何が継承され、また、何が変更されるのか伺います。
○小室計画部長 本年八月に出しました二〇二〇年に向けた実行プラン(仮称)の策定方針に記載のありますとおり、実行プランは、長期ビジョンが示す政策の大きな方向性を継承しつつ、三つのシティーを実現し、新しい東京をつくり上げていくための今後の都政の具体的な政策展開を示す計画でございます。
 個別の政策につきましては、長期ビジョン策定後の社会経済情勢や都民ニーズの変化に応じて、新たに構築するものや拡充するものがあるものと認識しております。
○中村委員 先ほども述べましたけども、実行プランについて、現在、都民の意見を募集しています。個々の事業はすぐにやるべきだというものがあったとしても、全体を見通して、人的、財政的な視点も踏まえ優先順位をつけていくのが計画です。もちろん、緊急に対応すべきことがあり、突然決めなければならないことも出てきますが、できるだけ、計画を立てる段階でやる、やらないなどを決めることが望ましいと思います。
 例えば、長期ビジョンには掲載されていた延遼館は来年度の予算が計上されず、計画ではやるとされていたものが、やるかどうかわからなくなっています。逆に、長期ビジョンの段階では都立広尾病院の移転については具体的に掲載されていませんでしたが、今年度の予算では計上されている施策もあります。
 そこで、政策を追加、変更または廃止する場合、どのように対応していくのか、また、実行プランではどうするのか伺います。
○小室計画部長 行政計画は政策の展開を示すものであり、長期ビジョンにおきましては、八つの都市戦略と二十五の政策指針に従い、政策を体系化しております。
 政策を具体化する個々の事業につきましては、事業の進行により、必要に応じて追加、変更等を行っております。
 実行プラン策定におきましても、長期ビジョン策定後の社会経済情勢や都民ニーズの変化等を的確に捉えた上で、必要な見直しを行ってまいります。
○中村委員 知事がかわり、方針が変わるものもあるでしょうから、具体的に実施するものだけを記載するのでは、実施しないように変更したものは、やるのかやらないのかわかりません。実施しないと判断したものも示した方が明確になるのではないでしょうか。
 財源は限りがあるので、やめるものがあってやれることもあるので、財源的見通しを持つべきです。個々の事業について、都度報道されることがありますが、できるだけ計画段階でしっかりと検討し判断して明示するのがわかりやすいと思います。
 いずれにせよ、個々の事業がばらばらではなく、都政全体の財政の中で行われるものですから、財政的な裏づけをもって計画行政を行っていただきたいと思います。
 また、計画という点では、東京二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会で都が負担する費用が幾らなのか明らかにすべきです。実行プランにおいて二〇二〇年大会に係る総費用と内訳を示すべきと考えますが、見解を伺います。
○小室計画部長 長期ビジョンは、東京二〇二〇大会の成功に向けた都の政策の展開を掲げ、その三カ年の工程と事業費を示しております。実行プランにおきましても、同様に対応してまいります。
 なお、大会の総費用や役割分担は、実行プランではなく、今後、関係者の協議により決定されていくものだと認識しております。
○中村委員 私は、そもそも長期ビジョンの期間十年間全体でも財政の見通しを示すべきだと過去に主張してきましたけれども、実行段階の平成二十七年から二十九年度の三年間で三兆七千四百億円という数値しか示されていませんでした。
 今回、実行プラン全体の財政の見通しは示されるとは思いますが、そのうち、都民の関心も高い二〇二〇年大会の都の負担する予算も示すべきではないかというふうに思います。
 計画は財源の裏づけがあってのものですから、今回二〇二〇年までのプランですから、大会にどのくらいの費用がかかるかは、他の政策にどのくらい予算をかけられるかにもつながりますので、できるだけ実際に近い形で示すことを求めます。
 さて、都では、舛添前知事のときに、都市計画審議会に二〇四〇年代の東京の都市づくりを諮問し、私も議会推薦人の委員として審議に加わり、小池知事就任後に審議会から答申をしました。二〇四〇年代を見据えながら、二〇二〇年以降の都の姿を明らかにしていく必要もあります。
 都では、二〇四〇年代の東京の都市づくりについて検討を行っていますが、実行プランにおけるビヨンド二〇二〇はどのようなものになるのか伺います。
○小室計画部長 二〇二〇年に向けた実行プランは、四年間の行政計画としてまとめるだけではなく、二〇二〇年のさらにその先を見据えた上で、科学技術の大幅な進歩や人々のライフスタイルの大きな変化などを通した明るい東京の未来についても、その一端を描くこととしております。
○中村委員 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックはもちろん大変重要ですが、東京都にとっては、そこは通過点であり、その後の都政の姿を示すのは大変重要です。特に、その後、少子高齢化は世界に類を見ないスピードでも進みます。
 もう二〇二〇年はそれほど先ではありませんので、都民の暮らし、都の姿を見据えた都政運営を行っていただくよう求めて、質問を終わります。

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